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02. 憤怒の炎は公爵家の使用人 |
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side 『夢主1』 「っと、いうわけでファブレ公爵様。 わたくしは。名は・。ガイ・セシルではありません。 申し訳ありませんが今日この瞬間このときより解雇していただけないでしょうか? あと、服ください」 ルークに会った。 建物内の場所とかを把握していないが、世話をする程度なら余裕だ。 いつもと違う使用人らしくきちんとした格好で、礼儀をわきまえて笑顔ですべてをこなすオレに、周囲もルーク も唖然。 そりゃぁ、ボンゴレはマフィアでも古き格式を継ぐ裏世界のドン。 警察も人も一目置くその巨大な存在ともなれば、やれ会談、やれ会合、やれ食事会だとかは我々幹部陣にはひっ きりなし。しかもそこはさすがイタリア紳士の国といわんばかりに、高級ホテルや城での生活はまさしく古来の 貴族の“それ”だった。 貴族としての立ち居振る舞いや礼儀作法、マナーはしっかりしつけられている。 ついでにさすがはお子様。ルークはすぐにオレが“ガイ”じゃないことに気付いた。 きっと無垢ゆえの本能だろう。 とりあえず部屋の掃除をさせてもらっている間は、片手間にルークの話を聞いていた。 ときにはルークにオレがいままでどんな暮らしをしていたかなどを聞かれ、転生人生の某家短の一抹を語ったり した。 掃除が終わった頃にはなぜか完全に懐かれ、キラキラした目でオレを見上げていた。 そんなこんなで時間が空いて館内で迷った挙句調理場にたどり着いたときは、この世界の料理ってどういうの かなと手伝いを申し出た。 久しぶりに握った鍋やら包丁の感覚に浮かれていたら、コックに喜ばれた。また手伝おう。 っで、それから夜時。 旦那様や奥方様が待っているから料理を運んでといわれた。 こりゃぁ、好都合。 ちなみに今日の晩御飯はオレ指導の元、栄養バランスを考えた健康にいい海鮮料理です。 いや、それはどうでもいいか。 ルークはオレのことを知っているからか、本当に子供のようにニコニコとしてオレの登場をよろこんでくれる 。 ちなみに本来ならこんなことをこんなタイミングでするべきではない。 それは階級を重んじる(とほざいているくせに、ガイやティアやヴァンになにもしてない)キムラスカでなくと も同じこと。 だけど、そんなことオレはかまっていられる余裕はなかった。 「お食事前だというのに申し訳ありません公爵様。ですがわたしはいますぐにでもこの“ガイ”でいるのがたえ られないのです」 罰でも何でも受けるから〜。 そう膝をおって請う。 うん。“ガイ”らしくないのは理解してるよ。 そんな“らしくない”仕草にか、クリムゾンの眉間にしわがよる。 はは。アッシュみてー。さすが親子。 そういえば眉間の皺って一度つくと、癖がついてとれなくなるんだってさ。 でもオレは“ガイ”じゃないからね〜。 睨まれても困るっての。 それはいいとして、服くださいよ服。 “ガイ”の服なんか着れるかよ!あのスパッツパッツン!! はずかしい! そもそも使用人の制服は統一すべきでしょう?なにガイだけ特別みたいな扱いしてるんです? それでも王族かよ。民をまとめるべき王族のはしくれなら、ケジメ、しっかりつけろや!! オレの暗殺部隊だって、オレの屋敷の使用人だって全員統一された服着てるんだぞ。 ファブレっていうか、キムラスカの王族って本当にどうかしてる。 やれやれだ。 っと、まぁ、その辺は心の中だけの想いだ。 けっして顔には出さないで、オレは“ガイ”ではないのだと語る。 ガタン!! 「母上!?」「!?」 ってか、うわぉ!?なにごと!?なんでそこで気絶するのシュザンヌ様。 気が弱いにしてもおかしいよねそこ!? おもわずかけつけて、椅子から落ちて地面にぶつかる前にキャッチする。 脈をはかり瞳孔やらを見るかぎり、本当に意識がおちている。 気絶・・・か。 “ガイ”のあまりの違いに気絶とかありえないよ奥様。 ――あ〜。いや。ちがうな。これは 「シュザンヌ!?」 「母上!」 「大丈夫ですよ。貧血です(ただのとはいえない気がするけど)」 なんか普通に気絶と判断するには違和感がある。 まだ他にも原因があるような・・・。 まぁ、とりあえず今は“貧血”っていう判断で問題はないだろ。 「鉄欠乏性貧血です。つまり鉄分不足です。 これは毎日の食生活から鉄を摂取する事で防ぐ事ができます」 ただしその際は鉄の多い食材を食べるだけでは不十分で、鉄の吸収を助けるタンパク質やビタミンCも同時に摂る 事が大切で。また赤血球をつくるのに欠かせないビタミンB12と葉酸も必要に〜・・・。 っと、いうのは割愛する。 あんまり動かなかったから疲れやすいのは当然として、眩暈も顔色が悪いのも、体調が悪いのは体質だと諦めて ちゃぁ、本人からの病症申告がないだろう。そうなると、ちゃんとした症状を医者が認識できないだろうな。 間違いなく貧血ですぜ、この顔色の悪さは。 それに食が少ないのもそうだし、口端切れてる。 うまく付け爪とかネイルでごまかされてるけど、爪が割れてる。 ほかにもいろいろあるけど、この症状は間違いなく貧血。 どちらにせよかけつけてきた赤毛二人には安心させるように笑い、オレによる騒動で固まっていたメイドや使 用人たちにひつようなものをとってこさせる。 うん。オレ、転生するたびにあちこちで医療技術学びまくってよかった。 こっちじゃ第七譜術にたよりそうで、そんなもので体内の不足分の鉄分とれるかってんだよ。 しかも絶対まっとうな健康にいいもの食べてないぞ、このお貴族様ら。 飯の支度が整っていく途中だったテーブルを見て思わずため息。 せめてシュザンヌ様を第七譜術師なんて人体構造を知らないバカに頼まず、ちゃんとした医者にみせてやれよと つっこみたくなるのをこらえて、テキパキと処置を施す。 それにやはり周囲の目が驚きに変わる。 主に彼らの口から出るのは「あのガイが・・・」とのこと。 だから“ガイ”じゃぁねぇっての。 そのシュザンヌ様騒動により、オレの話はうやむやになってしまった。 とりあえず『ガイ』と呼ばれて振り返れるぐらいには、たった一日で慣れてしまったのが気にくわない。 そのまま本日は主治医が捕まらないとかで、結局彼女の容態が回復するまでこの場に居座ることとなった。 そのままただ居座るだけなのもなんなので、オレが“ガイ”とは違うことを笑顔で、クリムゾンに懇切丁寧に しかし『 』という本名も『ザンザス』と名乗ってもだれもそのとおり聞き取れず、聞き取れてもそれらの“名” を発音することができないらしく、しかたなく。本当にしかたなく、ならば「ガイ」のままでいいという ことにした。 いままでの転生経験では、文字は読めずとも言葉だけは通じていたのに、ここの神=ローレライはダメ意識集合 体だったようだ。 本当にダメだなローレライ。 名前変換さえできないのか。 まぁ、いい。 新生ガイということでいこう。 ただしガイ・セシルでもガイラルディア以下略のどちらでもなく、ただの「ガイ」だ。 もちろんそのことは、オレが『 』であり、“ガイ・セシル”ではないことと一緒に、すぐにファブレ邸中に広めてもらった。 そうしたら「“ガイ”そっくりの別人だったのか」と、「やっぱりなぁ〜」「だと思ったよ」とあっけなく納得 された。 それを聞いて思った。 オレが普通の使用人らしいことをしたり、医者の真似事をして見せただけで納得されるなんて――― ガイラルディアー!!貴様どれだけサボってやがったクソがぁっ!!! 今は亡き、爽やかスマイルの害(ガイ)に、憤怒の炎を捧げたかった。 思わず握った拳に爪が食い込んだが、そのうさは、クリムゾンをいじめることで地道にはらすことにした。 本当は原作に巻き込まれるのは面倒なので、“ガイ”じゃないと理解してもらえて、さらにファブレ邸にいて くれと懇願されようと、居座りたくはなかった。 だがいまの段階では、行く当てもないし、文字も読めないし、まず服がない。 なので、しばらくファブレ邸にやっかいになることは了承した。 かわりにいままでの“ガイ”の私物の撤去してもらい、やつの給料分はすべて、下町の方にまわしてもらうよう にした。 オレの給料はしばらく必要としないので、ファブレ邸での衣食住の保証をしてもらい、退職のときに退職金を若 干もらうことを約束させた。 再度、服くれとクリムゾンに訴えた。 さっそく使用人と同じ服をもらえたので、いろいろ妥協しよう。 でも、さっさと解雇してくれなかったクリムゾンのことは、これからは「ダメオ」って呼ぶことにする。 心の中でだけだけど。 ********** 「それで原因はどうかな?」 「あ〜シュウ医師。お久しぶりです。っと、ついでにクリムゾン様。 ちょうどいいところにいらっしゃいましたねおふたりとも」 「わたしは“ついで”なのか・・・」 ん?なんか、いま聞こえたけど、どうせダメオのダメダメ発言だろう。 あんな優柔不断な奴のつぶやきなんか気にしなくていいや。 視界の隅でダメオが、がっくりと肩を落としてドンヨリとしていたけど無視。 でも最近、使用人とはまた別の服をもらったので、しかも黒メインの、デザインがけっこうオレ好みだったとい うこともあるので―――しかたない。これからはせめて名前で呼んでやろう。 さてさて、ここにいるシュウ医師についてだが、なんとビックリ。原作でも登場したあの医師だ。まだシェリ ダンだかベルケンドだか(どこにいたっけ?)に行っていない今は、シュザンヌ様の主治医をしてくれている。 かといってファブレ邸にいるわけではなく、キムラスカにいるとしかいえないが。 主治医が彼だと判明した後は、この世界の譜業技術による医療技術レベルをきき、シュザンヌ様やこの館の住 人の健康状態などを聞いた。 そのまま話の流れと、新しい情報が知りたいこともあり、シュザンヌ様に関しては、この世界で今できうるかぎ りの血液検査や、身体、内蔵の損傷は内科などを行い、調べに調べまくった。 結果は案の定。ただの貧血でも失神でもなかったわけだ。 まさかここで音素の循環と結合がうんぬん〜と、謎の呪文めいた単語が計測されるとはおもいもよらず。 はぁ〜。ため息一つ。 ファンタジー死ね。 「結果が出ましたよ。 今回のは食事制限かけてればなおる程度の貧血です。 それら体調不良の原因は、食事のバランスのわるさによるもの。 体質改善のために調理法を変えることをすすめます。というか、変えやがれこのカスどもが。 っと、いうわけで。今度の貧血は一時的なもの。 実際、奥様の体質は悪質な根本がありました。 気が弱いからショックで気を失うだけですめばよかったのですがね」 オレの“ザンザス”だったときの口癖である「カス」がでた瞬間、クリムゾンとシュウ医師が、顔を青褪めさせ て固まったが気にしない。 料理はひとのため。人を生かすも殺すも料理人しだい。 その料理を元料理人としては、許せない。 できれば食材と食材を作ってくれた皆様に謝れカスどもが。と、なぐりかかりたいほどだが、我慢。 我慢しているだけオレは原作XANXASより優しいに寛大だと思う。 なので二人の大人が口をあんぐりとあけたまま固まろうが、砂になろうが、気にしない。 料理と食材への憤り、思い知れ。 「そ、それで・・・理由は?」 「チッ(もっとかたまっていればいいものを)。よくあの石化状態から抜け出せましたね公爵様」 「ガ、ガイ・・・お、おぬし、最近わたしのあつかいが酷くないか?」 「たかだか50年足らず生きた若造がなにをいっている。オレからしたらインゴベルトもシュウ医師もただの若 造だ」 「「・・・・・・」」 「さ〜て。さてさてクリムゾンの坊ちゃんはさておき。 いいですか。では本題に入りますねお二方。 キムラスカの王族は赤毛。ゆえに赤毛を残すために王族たちは親族間の結婚を繰り返し、血が濃くなった。 シュザンヌ様は王族。たかだか貴族の公爵であるクリムゾン坊ちゃんより、その血の影響が濃いのはいたしかた ないことです。 つまり彼女に宿る病は、先天的遺伝子異常。血が濃すぎるせいでおきた障害なのです。 こういった先天的な遺伝子異常を持つ場合、奇形児として生まれることもよくあるので、シュザンヌ様はそれが 表面には見えない部分に現れたようですね。 たとえば気絶。いえ失神というのは、大脳皮質全体あるいは脳幹の血流が瞬間的に遮断されることによっておこ る一過性の瞬間的な意識消失発作のことなんです。 通常は数分で回復するので意識障害などの後遺症は起きないのですが、シュザンヌ様の場合、生まれつき・・・」 「ちょっと待ってくださいガイさん!」 「す、すまんがそのだいのうひんしつ・・・とかいうのはいったい?」 ばばばばばーーーっといっきに、状況を語っていたら、この世界の医療レベルをオーバーした説明になっていた らしい。 それに気付き、慌てて止めに入ったシュウ医師とクリムゾンに謝り、わかりやすく説明する方法を考える。 「・・・すみません。専門的な話になってしまいましたね。 まず失神は、簡単に言えば脳の血の流れがいったん止まってしまうことです。それにより意識が閉ざされるので す。 これを通常、学術名称で『失神』といいます。 気絶とはまた違うものです。 そしてシュザンヌ様の場合ですが・・・・・・。 え〜っと、ものすごい簡単に言っちゃいますと、これからしっかり食事療法をしていけばこの間の貧血はおきま せん。 こっちの方は薬を出しておきます。 ですが、奥方様の場合は生まれたときからの特殊な病も持っていたようなのです。 彼女は体内構造に問題がありまして、失神がよく起きるということです。 原因は、体を構築する音素の欠乏、循環の乱れがみられます。 いうなれば血と同じように身体を廻る音素に異常が発見されたため、必要な譜業装置をただいまつくらせていま す。 その譜業が完成&調整が終わるまでの間、オレが作ったもので申し訳ないのですが、投薬治療をしばらく行わせ てもらいます。これで音素のめぐりをよくすることによって、いままでよりは身体が丈夫になるかと思われます 。 これらの遺伝子異常はいまの技術では治せるものではないので、元気になってもあまり無理はさせずに・・・。 まぁ、いま最善を尽くして欲しいのは、気を強く持つこと。 あまりにばかばかしいほど些細なことで驚いて気を失うようじゃ、自ら命を縮めているものと思ってください。 病は気の持ちようとも言います。 奥方様は心臓がお悪いわけではありません。なので、できるだけ体力をつけさせてください。あと気力ですね」 診療中に彼女って、よくショックにより倒れていたんだよね。 それを思うと、とにかく神経図太く生きろやと、言いたくもなるというもの。 あれでよく王宮に住まう古狸や腐った貴族どもを相手にいままで生きてこれたなと思うのだ。 いるんだね本当にああいう御伽噺に出てくるような、何かを言うたびに倒れる貴族のお嬢様という気が弱い生き 物ってさ。 このままじゃ、彼女、毒殺されても文句は言えないよな。 この前倒れたのは、毒じゃないけどさ。 それにしてもシュザンヌ様の病気は面倒だ。 なにこのファンタジー要素の多い病。 音素のめぐりがおかしいから、生命維持がやばいです・・・って、どんだけファンタジーよ。ここの人間。 面倒。 気合いだけでも少しは生きたいと思ってくれないかね?こちとら諦めてる奴に手を貸すほど気は長くはない。 資料を一通りシュウ医師に手渡し、あとはまかせると告げると、はやくこの屋敷から離れたいと視線を窓の外 、遠くへ向けたところで―― 「だが・・・」 クリムゾンが戸惑うように表情を歪めてオレに意見してくる。 「薬などとわからぬものを使わず、第七譜術師にまかせたほうが」 『うるせぇーんだよカスが』 思わず汚い言葉を吐いてしまったので、それを聞き取られないようにイタリア語で呟いた。 なにをいうんだこのアホ公爵は。 第七譜術師に遺伝子的な病は直せねぇだろうが。 オレだって先天的な遺伝子の病は治せない。 せめて症状を和らげようと、譜業機械を作り始めていて、さらにその間を埋めるために投薬治療をしようといっ たのに。 オレの前世能力をフル活用して、音素の流れをわざわざ読み取って、音素と相性のいい植物を摂取してきて、わ ざわざシュザンヌ様のためだけに作った薬に、効能さえ知らずに・・・文句があると!? たしかにこの世界では薬物治療なんてほとんどないのだろう。 だからといってオレの苦労を、医療知識も人体構造さえ知らない第七譜術師ごときに任せるなど許せるものでは ない。 『ローラの“歌”さえ目視できるこのオレ様の“目”をなめてんのか坊や?』 「え?」 「ガイ、さん?」 『オレより年下の分際でこれ以上調子こいてんじゃねーぜ若造ども。 とくにそこの赤毛。自分の子供さえ助けようともせず、見ようともせず、おろかにも堕ちていくだけの王を右腕 としとめることもできねぇカスが、人様の血税で贅沢してんじゃねーよ。このドカスがっ!!』 腹が立ったので最初から最後までイタリア語で罵詈雑言吐いてやった。ただし笑顔で。 そうそう。ここでは言語数がめちゃくちゃ少ないんだよな。 その証拠にこの世界では、イスパニア語とフォニック文字しかない。 さらにはもちろんのこと、この世界にイタリア語なんてない。 オレが突然わけわからない言葉でもってたたみこんだせいで、さすがのクリムゾンもシュウ医師もギョっとして いた。 「いまのはもしや古き言葉か?古代イスパニア語か?」 「いいえ。異世界の言葉です。 これでお判りでしょう?オレは“ガイ”じゃない。むしろこの世界の住人ではない。 『向こう』の世界でオレは医者でした。そのオレを信じてください。 ひとは譜術にたよりすぎる。 きちんと人体の仕組みさえ知らない者が第七譜術師であったらどうするのです?おかしな具合で骨折した腕がく っついたら? そんなことさえわからない譜術師より、オレを信じてください。 そもそも第七譜術は、身体の細胞を活性化することはできても遺伝子までは治せない。 音素振動数をだれも変えられないのと同じように」 「譜術は・・・・・・」 「ひとが思うよりも知らないことのものが多い、まだ謎深き物質なんですよ。危険ととなりあわせなんです。 あと、何度も言いますが、わたしは医者です。ファブレ公爵。あなたは兵を動かす才能は人一倍あるのでしょう が、医療知識があるわけではない。 医者でない者が知識もないのに知ったかぶりして反論はしないでいただきたい。 これ以降の治療に関しては、シュウ医師におまかせします。資料もお渡しいたしましょう。 よくお考えくださいクリムゾン様。 前例がないというだけで、貴方はそこにある希望を捨てるのですか?」 よく、考えればいい。 いままで戦争とあのバカ王のためにしか使わなかったその『脳』と『心』で。 延ばせる命を縮め、その間をすべてベットにしばりつけるか。 新しい技術によって命を延ばし、太陽の下を歩かせてあげるか。 「クリムゾン・ヘアツォーク・フォン・ファブレ」 「・・・・・・」 「貴方が決めろ。彼女は貴方の“何”だ? 大切だと思うなら――」 “今度”は、間違った判断をしないでほしい。 アッシュ(灰)となった“ルーク”は、クリムゾンの国を取った『心』のせいで、この地を去ったのだから。 まっ。オレがヒゲに洗脳されて単細胞になっちゃったアッシュとかどうこうしようとか思ってはいないけどね。 だってダアトって遠いいんだもんよ。 ごめんよ灰。 んでもって。 オレはこの世界が嫌いなので、さっさと元の世界に帰りたいんだが・・・・・・今までの経験からいって、たぶん帰れ たとしてもしばらく帰れない。 こういうトリップ現象は何十回も体験している。 同じ世界に帰るにしても違う世界に行くにしても法則があって、オレが成り代わったり憑依した場合、その対象 として人生を終えない限り、別の世界にいけないのだ。 つまりはここで“ガイ”としてその人生を終わらせない限り、世界からオレは抜けれないということ。 もしかするとあのバカ音素ロレの呪いでオレがこの世界に引き込まれたのだとしたら、ルークを助けない限りか えれない。なんてオマケがあるかもしれないが、ローレライからは一度たりとも更新はなかったので、そんな夢 展開はないものと考える。 なのにもうすぐ原作始まるよ〜。 もうすぐ世界崩壊するよ〜。 って、そんな時期である。 約二年と数ヶ月前。 でももう少しこの館にいると確実に原作に巻き込まれる。 そんな時期にファブレ邸にいたくねぇんだよっ!! 世界救世?世界の生贄?そんなもの、みたくもない関わりたくもない。くそったれだ。 全て(ローレライ含む)をかっ消してやりたいところだが、まず“ガイ”っていう存在に対する身分が邪魔だ。 “この身体”は、ガイ・セシルとしては、役立たずの金食い虫なだけの使用人というレッテルしかない。 本名である3Gにしたって同じだ。 『マルクトのとある滅んだ島の領主だかなんだかの生き残り』なんて奴が、今更表に出てこられたら、自分がそ のホドの領民だったら間違いなく、のこのこでてきた主に南下したが痛くないし、逆に今までなにしてやがった と憎くてたまらないことだろう。 そんな怨まれるだけの地位なんか要らない。 これまた面倒な地位だ。 いっそのこと縁を切ってほしい。 そんなわけでまだファブレ邸で、クリムゾンと日々押し問答中な哀れなオレ。 ルークと執事を味方に引きずりこんだ。 もう少ししたらクリムゾンをおとせるかもしれない。 滅べローレライ!!! 夢主使用人歴、一日目 陰では赤毛のパパは別の呼び方をされていたりする 〜 今回のゲストでポン♪ 〜 ■ ただのガイ ・本名である『 』を誰も発音できないことに絶望し、しかたなく「ガイ」と名乗るしかなくなり、背に哀愁漂わせることとなった夢主 ・スパッツをはきたくないがために、大きめな使用人の服を着るおしゃれさん ・使用人以上に完璧にふるまうなりたて一日目の使用人 ・懸命に「ガイ・セシル」でないことを“笑顔”でアピールし、一両日後には別人と認定された凄腕医師 ・前世クオリティで、ローラレイの歌(音素の流れ)さえ目視できる ● ルーク・フォン・ファブレ ・自身がレプリカであることを知らない朱毛の公爵子息 ・夢主と「ガイ・セシル」が別人だと一目で見抜いた ・純粋でこどものようであるため、普通の大人より勘がいい ・夢主が自分を自分としてみてくれるので、一瞬でなついた ■ ファブレ邸のコック ・夢主の料理の腕に歓喜した人 ■ ファブレ邸の使用人 ・「ガイ・セシル」が気が狂ったと、明日の天気を気にする人々 ・槍が降ってこないことを祈っている ● ガイラルディア・ガラ〜(以下略) ・スパッツで髪パッツンな残念なやつ ・『害虫、有害、人害』の『害3乗』こと3G認定された故ダメダメ使用人 ・夢主に魂を追い出されて魂が死んでしまった「ガイ・セシル」…ともいう ● クリムゾン・ヘアツォーク・フォン・ファブレ ・シュザンヌが倒れたことで、一日目から夢主によって強烈な圧力をかけられるようになった肩身の狭い人 ・夢主に早く服を渡さなかったため、夢主に心の中で「ダメオ」と呼ばれているが気づいていない ・堅物 ● アッシュ ・どっかの宗教団体で傍若無人ぷりをはっきしているだろう眉間に皺の子 ● シュザンヌ ・なんだか凄いタイミングで倒れて、夢主が「ガイ・セシル」でないというアピールする場を偶然にも作ってくれたひと ・病弱体質は、一族の繁栄目指した親近結婚によるとばっちり的な先天性の遺伝子異常 ・ファンタジーな病にかかっているので、薬と譜業で生かされている ・気を強く持つこと、体力付となにかと訓練中 ● ローレライ ・夢主に好き勝手言われてる第七音素意識集合体 ・本当に夢主がここにくるのにかかわっていたかは不明 ● シュウ ・シュザンヌをみてくれている医師 ・原作ではティアの瘴気障害を診断した人 ・クリムゾンよりは物わかりが良く、夢主から医者として指示を受けるほどには仲が良い |