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04. 使用人が投げた石は波紋を刻む |
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side 『夢主1』 シュザンヌ様が倒れてからしばらくして、公爵に呼び出され、“ガイ”でないこととを告げたとき、オレが“ガイ”でないというのもきっちりわからせた。 ついでといってはなんだが、どうせすぐこの屋敷を出るのだからと、“ガイ”やヴァンの悪事をすべてクリムゾンに教えて、オレが自由に生きるための協力者になってもらうことにした。 原作はなんともおもわない脇役だったのでそれはともかく、ここのクリムゾンのことはそれほど嫌いではないので、置き土産代わりにとヴァンとモースと元祖“ガイ”(死亡)とルークとローレライとか外殻大地とか…あることないこと全部ちくった。 ゲームのネタほとんどだね〜。 って誰かに指摘されようが、別にオレが外殻大地降下作業に参加するわけでもないし、このくらいで変えられてしまうような予言なら、もともとその程度の呪縛しかなかったということで、それはそれでこの世界の住人にとってはハッピーエンドだろう。 未来が変わりすぎて予想がつかない展開とか、こういうときこそ自分で考えるべきだと思うので、どっかの二次創作にでてくるような『逆行ルーク』や『夢主』とは違って、原作崩壊とか、原作登場人物と絡むなんてこと、微塵も思っていない。 原作にかかわる?とんでもない。 なんでそんな それこそ息が詰まる。 オレは原作とかいつも気にしないで好きに行って、言って、生きるだけだ。 あとのことはあとで考える。 そもそもなぜダメオだがやるときはやれるクリムゾンに、オレが知りうる限りのこの世界の知識を教えたかというと、改めて考えたら二年も猶予があると気付いたのだ。 オレはこの世界で言うなら未来に当たる“原作知識”がある。 すでにこちらはローレライ解放にいたるまでのひとつの未来(ルート)を知っているのだから、二年と少しという短い期間しかないとはいえ、念には念を入れて対策をしておけば、未来が急激に変わっても、外郭大地やら瘴気やローレライに関してすんでしまえば、あとは特殊能力者たるルークとアッシュ、ティアがいなくても回避できることばかりだ。 超振動や譜歌、ユリアの血以外の残りの問題は、世界存続などややこしいことではなく、たかが人間同士のいがみ合い=戦争などといったごたごたが残るだけだろう。 そのくらいはルークとか個人の問題はではないので、国のトップが気張れと言いたい。 そこまで考えて、「ん?」と思ったのが予言だ。 たとえ慎重な夢主が原作破壊を拒否し、パーティーメンバーらとともに世界救世を!なんて世迷言をはいてこようと、瘴気やパッセージリングらへんの対数年数がやばいことは変わらない。 その耐久年数うんぬんに関しては、さすがに未来とか関係なく、ユリアシティやダアトも含め、国の重役たちにはぐらいは暴露してもいいと思うんだよね。 別にそんなのは予言に読まれていなくても予言を重視しようとする者らにしてみても、今の段階ではまだ、確認したり、対策ねるぐらいのことしかできなわけだし、そのぐらいは知っておくべきではあって、世迷言とこちらの助言を無視し何もしないのは…さすがにちょっとぉ〜と思うぐらいで。 “確認する”――これくらいなら予言重視派の人間でだろうが、なかろうが、予言に関係なく動いていい理由になると思うんだよ。 別になにかするわけじゃないしな。 そもそも崩壊寸前に二大譜業都市この時間軸より未来において、ちゃっかり音素測定器やら、振動を停止させる装置を短期間で作り上げた。 つまりもっと時間があれば、レプリカ一万と心中未遂も必要なくなるのではないかと思ったのがもっぱらの要因だ。 彼らの譜業への熱意は容易に世界を救えるだけのものがあるだろうし、あの好奇心は常に進化をし続ける、新しいことを生み出していく力となるだろう。 それにはきっかけがあればいい。 ――そう思った。 きっかけを生むための石は投げた。 クリムゾンを通してその波紋がどう広がるかは、この世界の住民の問題。 さすがに世界規模の危機だ。 繁栄が読まれていたとして、その繁栄に台地がなければ意味がない。 自分達が死にたくないなら、さすがにボンドで椅子にくっついたような重い腰でもあげてくれるだろうと――ゲーム内のインゴベルト陛下をみてつくづく「頭つかえやごらぁ!!」っと、願うばかりだ。 なにせ国は王がいて動く。国とはそういうシステムだから、下を顧みない王の国が長く続くはずがないのだ。 戦争をすれば民が死ぬ。そうして民が死んだあとの繁栄って、自分だけ生きていればいいとかそういう“幸せ”なら、そんなもん国じゃない。 そもそも王族が料理を作れるか?農作物を育てられるか?答えは否。 ひとりで生きてけるはずがないのだ。 一番いいのは、戦争をしないこと……だが。 インゴベルト陛下のことは、『ダメダメのダメなオトナ=ダメオ』をとおりこして、『まるでダメすぎるオトナ=マダオ』と以降はそう呼ぶことにしよう。 かわりにクリムゾンをもう「ダメオ」と呼ぶのはやめよう。ややこしいから。 なぜやたらとインゴベルト陛下に強く願うかというと、あのひとは本当にダメなマダオなのだ。 この世界の陛下も原作と同じように、腐っていたから。 どうして、いち使用人でしかない今のオレが、そんな個人事情を知っているかというと――忍び込んだからな。 暇つぶしと上層部見学のつもりで、城や貴族院に何度か侵入して実物を見てきたから。 そこでもうこいつらダメだなとオレ的判断を下したに過ぎない。 でもクリムゾンはまだ目が死んでなかったから、本当にオレが知りうる限りのことを“全て”教えた。 波紋を広げるための布石は彼に手渡した。 「あとは勝手にやれ」と、その後のことはすべて放置したがな。 もともとオレは、この地をさっさとおさらばするつもりで、未来情報をこと細かく教えた。 のだが、なのになぜかあわてたクリムゾンにより、せめて一か月は残ってくれと言われた。 笑顔で「考える時間にしちゃぁ長げぇよ」とイタリア語でかえしたら、なんだかおびえたような顔をされた。 微妙にショックだった。 “ザンザス”のときは、いつも顔でおびえられてたしなぁ。 ああいう『目』は、必要以上傷つくからやめてほしい。 まぁ、一か月ぐらいならいいかと。 その一ヶ月で好き勝手させてもらうことにした。 その間…っというより、二日目には、すでにオレの中でクリムゾンの評価が定められていたので、、徹底的な教育を施すこととにしたためか、あるいは年齢差のせいか、ふと気づけばオレは彼の呼び方を「坊ちゃん」にしていた。はじめは渋い顔をしていたクリムゾンだったが、それもそれ。「ダメオ」よりましだろうといったら、なんだか遠いまなざしで空を見上げていた。 「まぁ、年も年だし。オレからしたらお前はまだまだガキだろ」 「それもそうだったな」 そんなやりとりからはじまり、つぎに『元祖“ガイ”』に関する情報をすべて消すか、抹消してもらうことを条件にした。 クリムゾン坊ちゃんの権力がきかないところは、オレ自身の能力を使用して、さっさと“ガイ”に関するすべてを消し去った。 なにをしたって――音素の遠隔操作ですがなにか?ああ。なにもないですね。では次。 マルクトへの情報端末侵入もたやすく、さくっとデリート。 文章で残っていたものは、遠隔操作で音素に干渉して、事故に見せかけて燃やしてやった。 写真や肖像画は残っていても7歳ぐらいまでのものばかりだろうから、似ても似つかないと半分放置。 生き証人であるヴァンをどうしたかって? ああ、あれね。放置だ。放置。 オレが“ガイ”だと思い込んでいるなら逆利用するか無視するだけだ。 ―――ヴァン・グランツ。 あれに対しては、オレ、ちょっとあなどっていたことがある。 住んでいる場所が違うから、早々会うこともないと思っていたのだ。 っが、しかし。 実際は「仕事はどうした?」と言いたくなるほど、ヴァンはキムラスカに頻繁に来るわ、尊敬も何もしてないくせにオレを様づけで『ガイラルディア様』呼びしてきて、いちいちなにかを報告してくる。 ルークじゃないけど「うぜぇ」。 あまりにうざさと、うさんくさすぎる笑顔に、マフィア家業で慣れた営業スマイルでもってスルーして聞いているふりをしてやりすごした。 なんか勝手に喋っていればいい・・・な〜んて思っていたら本当にかってにしゃべっていた。 だから使えるところは利用してるだけ。 ヴァンはやはりバカだ。脳が少し足らないようだ。 そういうところは、どうも口先でまかせやらの異常なカリスマ性でカバーしている。 さらに少しつっついてレプリカのことをささやけば、なぜそのことを知っているとばかりに驚かれたが、すぐにアッシュの近況報告してきてくれるようになった。 きくところによると、アッシュは、すっかりヒゲによる悪い育成は完了しているようで、神童といわれたのが嘘のように落ちぶれてしまい、見事な短絡思考ぶりを発揮しているようだ。 いまでは戻る気ないだろうお前。とつっこみたくなるほど元気に、キムラスカの兵へ刃をむけることをためらわない殺戮行為を行っては、眉間に皺を寄せて周囲を怒鳴り散らしているようだ。 もうね、それさ。ヴァンのたくらみを暴くための潜入でした〜なんて笑って許せる限度を超えてるよね。 オレは誰でもないオレだから、そんな自国に反逆行為に等しいことをしたあいつにどうこう言言う気もないが。 そんなこんなで、暴走するアッシュをとめるでもなく、ひたすらこっちのルークに笑顔を向けるべく三日に一度は訪れるヒゲ。 大の大人が仕事もしないでこんなところまで何をしてやがる。と、腹がたち、仕事するから金貰えるんだろうが。仕事してないなら金を下々へ返せとどなりちらしたくなったのは、いままでの前世からの事務処理経験からか、オレがひたすらに貧乏性なのかどっちかだ。 あまりのヴァンのおかしな奇行に、キムラスカにやつがくるたびに陰湿ないじめを試みた。 いじめ、もといヴァンをねらったとしか思えない落とし穴や物や槍が降ってきたり――それらは、もちろん偶然ではなく罠ではない。 何度か繰り返していくと、さすがのおヴァンも偶然ではなく罠の可能性をうたぐりだし、あれらの罠を張っているのがオレじゃないかと、疑われたが知ったことじゃない。 笑顔のおまけつきで、口で言い負かしてやった。 もちろんニッコリ笑顔で足元に気をつけたほうがいいよといいながらイタリア語で「カスですね〜」とあざ笑う言葉をいつも添えているが、この世界にイタリア語なんてない。 はりついた笑顔でオレはなにもしりませんといわんばかりに微笑んでいるだけだ。 そうしたら表面しか見ていないのか、それとも“ガイラルディア”ならこんなことするはずないとでも思っているのか。奴はあっさりオレの言葉を信じ、日々オレの陰湿ないじめに耐えている。 実のところ、オレは「ハ」の字ヒゲ信仰者にして、ヴァンのヒゲの形が許せない。 それほどの「ハの字髭」信者である。 そのことを知っているのは、オレのことをすべて知るクリムゾンの坊っちゃんだけが、オレの張り巡らした罠にひっかかるヴァンをみて同情の眼差しを送っていた。 クリムゾンから「ほどほどにな」とどこか哀愁さえ漂う雰囲気をむけられた。 ********** そういうわけでこの世から、“ガイラルディア”“ガイ・セシル”の名前が聞こえなくなり、ヴァンの口からだけ聞こえるようになってきた頃。 もう一ヶ月以上たつんだけど、いまだにファブレ公爵様がオレを解雇してくれない。 むしろルークは勉強教えて〜っとどんどん懐くし、一線引いておきたかった使用人とは普通に会話が成り立ってるし、コックにはいつも健康と料理法について教えをこわれるし、シュザンヌ様には健康面で対談あり、白光騎士団には剣の指導をとかいわれる。 この時点でオレは、自分で自分に何をしているんだろうとツッコミたくなった。 かかわりすぎてないかオレ? 追記。 最近クリムゾン ヒアリングズゲェ。 夢主使用人歴、二日目からの一ヵ月間 一カ月契約というコト 水たまりに石を投げると、波紋が生まれる 河に石を投げて、三段跳び ――みたいな? 〜 今回のゲストでポン♪ 〜 ■ ガイ ・自分のこと知りうるすべてをクリムゾンにのみ語ったため、クリムゾンの前でのみ『素』をみせる強気の使用人 ・一か月間だけ、付き合ってほしいとクリムゾンに言われ、クリムゾンに雇われる ・城に侵入してゲームとどれだけ違うか見に行って色々がっかりした ・自分が成り代わったがゆえに、ゲームのキャラクターと同じことをさせられるのが嫌でオリジナル元祖ガイの存在を抹消したひと ・前世クオリティーにより、機械という機会を支配下に置くことができるらしい(これによりハッキングしてガイの存在を消した) ・マフィア家業で慣れた営業スマイルは怒った時によくつかわれるらしい ・「ハ」の字ヒゲ信仰者 ● クリムゾン・ヘアクォーツ・フォン・ファブレ ・屋敷の中で唯一、夢主の口の悪さと本性と本当の年齢を知る男 ・夢主に色々と八つ当たりされ、しごかれて、いじめぬかれてるうちに精神面が強くなった ・ルークがレプリカであることや、栗なホド島コンビもろもろの悪事などの原作知識を「未来の情報」として、夢主に叩き込まれている ・もっと凄いのが現れたため「マダオ」の汚名を返上された ・二日目以降からすっかり見下され「坊ちゃん」や「クリ坊」と呼ばれるようになる ・最近夢主からの扱いが自分だけ悪い気がしている ・ニュアンスから夢主のイタリア語の悪口を敏感に感じ取っている ・夢主による政治とは何度家という授業が開始される ● シュザンヌ ・強くあれと願われている ・夢主が一か月館にとどまることにした理由の存在 ・まだ何も“原作のこと”は知らされていない ・夢主が“ガイ”にそっくりな別人で、優秀な医者で、クリムゾンより年上ということは教わった ● ヴァン・グランツ ・夢主に侮られていた人 ・そして非常にウザイ ・ゲームで悪役になるほど考え方がいろいろ間違っているラスボス ・若髭親父 ・夢主を“ガイ”だと思い込んでいるため、逆利用されかけている…っが、もちろん気付く気配さえない ・脳が足らないらしく、口先でまかせやらの異常なカリスマ性でカバーしている ● この世界の住民の皆様 ・とりあえず一言「がんばれ」 ・お前たちはやればできる子だと思う ・予言なんかに負けるないでほしい ・常識人をもっと増やすべきだ ● インゴベルト六世 ・夢主に城に侵入されたのものぞき見されていたのも気づかないひと ・ボンドで椅子にくっついたような重い腰の持ち主 ・頭つかえやごらぁ!!とだれかに思われている ・まるでダメすぎるオトナ=マダオ ● 元祖ガイ ・ゲームでさわやかイケメン、女嫌いな、ルークを見捨てたくせにまんまと出戻ってきた――自称幼馴染の護衛剣士な使用人 ・夢主に存在そのものを抹消された哀れな金髪男 ・ボンドで椅子にくっついたような重い腰の持ち主 ・頭つかえやごらぁ!!とだれかに思われている ・まるでダメすぎるオトナ=マダオ ● アッシュ ・暴走しているらしい ・だれもとめないらしい ● ルーク ・一カ月ですっかり夢主になついた朱毛の子供 ・自分がレプリカだとは知らない無邪気ないいこ ● ファブレ邸のコック ・ただいま健康料理法を教わっている。もう特訓中 ● 白光騎士団 ・だれだか知らない“ガイ”似の少年が何者か気になっている ・剣術を「ガイ似の彼」に教わるといいとクリムゾンに言われて戸惑い中 |