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03. もてる男は心臓に悪い |
「こないだ白澤さまが女の子侍らしてるの見た」 「ああ。それな」 「随分前だけど、女の子とニコニコあるいてるところみたよ」 「いや、その女性じゃない!今回は鬼じゃなくて天女だった」 「うわ〜すごい。白澤さまって、タラシじゃん」 「相手の女性毎回違うよね〜」 「ナンパ師ってよぼうか」 「そういえばさ、白澤さまって異常に女の子にもてるよね〜」 「やっぱ顔?」 「そういうとやっぱり鬼灯様ももてるよな。そういえば顔?なんか似てるきがするわ」 「鬼灯様と白澤さまって、おふたりとも切れ長の目とか二枚目具合が似てるんじゃね?」 「いけめんいいなー」 「いえ。あれは恋愛対象ではなく、庇護欲が女性を誘うんです」 「あ、鬼灯様だー」 「ちわー」 「こんにちわ鬼灯様」 「はい、こんにちわ。それで?どうして白澤(まっしろけ)の話なんかを?」 「雰囲気は違うのにお二人はなんか似てるねーって話になったんですよ」 「そこから女の子にもてるのはなんでだろうって話になって・・・」 「どうやら女性というのは、あのまっしろけを前にすると、母性本能をくすぐられるらしいですよ。キュンキュンくるとかいってましたね」 「「「え」」」 「えーっとそれって」 「天界の天女たちがこの前そう言って、あのまっしろけを誘拐してひと騒動が起きてましたよ。桃太郎がいたから桃園は無事だったものの。違う意味で天界陣営は大慌て。いや〜みものでしたね」 「ま・じ・か!?」 「うわ〜天女こわい」 「しかもやっかいなことに、誘拐された当人が口下手というか、しゃべれないものだから、悲鳴を上げたり助けを呼ぶこともできず。 あげく本性が獣なせいか、人型の生物の扱いに慣れていないせいで、物の断り方というのを知らないんですよ。 誘われて、連れてかれても暴れるでもなく、そのまま従ってしまうんですから。 女性なんてみんなアレに母性本能と過保護だか庇護欲だかを刺激されるんですよ。 少し会話しても相手は口がきけない。だもんでニコニコして「話を聞いてます」をアピールしてくるもんだから、話しかけてる方は好印象。あげくに・・・アレの儚さ具合にキュンと胸を射抜かれた女性が、トチ狂うなんて日常。そのまま拉致ってしまわれること多数。本当に大迷惑です。 あのまっしろけは、ああやってかまわれて、まとわりつかれているにすぎません。もててはいません。大事にされてるんです」 「あれ?なんか、イメージと違う」 「てっきり白澤さまに鬼灯様は対抗意識とかありそうとか思ってたんですけど」 「ないですよ。そんなもん」 「えーだって・白澤さまを見ると鬼灯様ってすぐに怒鳴り込みに行くからてっきり」 「じゃぁ、ヒゴヨクは?」 「うんうん。なんかおふたりの関係が凄い気になる」 「仲がいい悪いというよりは、あまりアレを私の視界に入れたくないだけです。 アレが出歩いているのをみると、私の心臓はいつもより激しく活動するので、いっそあのまっしろけをどこかにやりたくなるんです」 「それって、普通に仲が悪いって言うんじゃ」 「え?むしろ仲がいいんじゃ?」 「ないですね。私の心境をお教えしましょうか」 「ぜひ」 「うん」 「です」 「あのまっしろけが歩いているのを見ると、私はガラスの置物が震動の激しい棚の上に置いてあるのを見ているような嫌な気分になるので、心臓に悪いとは思ってはいますが」 「ん?それって・・・」 「えーっと・・・それって、鬼灯様の心臓が?白澤さまの心臓が?」 「私のです」 「まぁ、つねに地震が起きている場所に立っているなんて・・・それは白澤さまの心臓にも悪いって」 「たしかに」 「どっちの心臓にも悪い例えだったね」 「怖いじゃないですか!あのまっしろけ、この地獄にこれるような生き物じゃないんですよ。もろいんですよ!?」 「あ、白澤さまだ」 「あなたというひとはなんでいるんですかー!!!!!!危ないじゃないですか!病でもうつったらどうするんですか!ああ、もう!土埃なんかつけて!どこで昼寝したんですか!!また地べたにそのまま寝てたんですか!風邪をひいたらどうするんですか!!!」 「・・・・ああ。まるほど」 「鬼灯様が白澤さまを見るといつもすごい勢いでかけつけて、怒鳴りに行ってたのって――」 「「「なんだ。心配してたのか」」」 「ほかのみんなもそうだけど・・・」 「なんかお前の言いたいことわかるわ」 「鬼灯様も過保護のひとりだと思う」 「だな」 「うん」 |