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04. 勘違いは加速する |
しゃべれないって不便だね! せめて文字をかく時間さえくれれば、オレだってツッコミかえすぐらいするんだぞ! 【 side 夢主1 】 ハろはろ。ドーモ。生まれてウン万年以上もたつ俺様何様白澤様な転生者その1です。 なんでその1かって? いや、だってここあの世だよ。 死んだ魂は転生して生まれ変わるんだよ。それを取り締まる場所があるんだから、やっぱ順番って必要でしょうが。 それはさておき、オレ、ついに休暇をゲットしましたよ。 桃太郎くんのおかげで最近、いろんなところに出かけられてうれしいな。 でもそれを考えると、うちの桃園って、どんだけ人材不足だったんだろうって思う。 っで、そのとき遠い目をしていたら、憂いているとか言われ、通りすがりのひとにめっちゃ心配そうに声をかけられた。 「白澤様消えないで!」「いかないでください!」とか言われた。 解せぬ。 なにそれ? なぜオレが消えることになってるの? いや、それ誤解です。 ったく。この容姿のせいなのか!? 白いからか!? 白い色は儚いのか!? 容姿のせい!? ちがうだろ。ないない。オレ元気だよ。 なんだかこの世界でオレはよく勘違いされることが多い。 まぁ、いつものことなので、まぁ心配してくれる彼らには苦笑でかわし、そんな感じで久しぶりの完全休暇を待ったりしていた。 地獄に遊びにいったら、鬼灯がカックリと口をひらいて、次の瞬間には、ことばのとおり鬼の形相で近づいて、じゃなくてせまってきた!? なんなの!? なんなの!? オレ、怒らせるようなことしてないよね。 「あなた、こんなところでなにをしているのです!」 『え?』 「体が弱いのに地獄にくるとか、何考えてるんですか! はやく天界におもどりなさい!」 えー。 こっちでも勘違いとか。 つか鬼灯はまだ勘違いしてたのかよ。 っで。 鬼灯が大声であらぬことを騒ぐものだから、周囲の新しい地獄のスタッフが白澤は病弱の設定がさらに広まってしまった。 しかもちょっとオレがドジったせいで、誤解が超加速。 もういやだ。 なにがあったかというと―― 必死に「これは誤解」「違う」のだと。 首から下げていたメモ帳に文字をかいたら、読めないと亡者や鬼たちにつっこまれ、自分が書いたのが中国語だったことにあわてた。 これ以上噂を広げられてなるものかと、地面にとっさに字をかこうとそこらにある棒を拾えば―― それは亡者の骨で。 さすがに「すいませんそれ自分の上腕部分の骨で」と足元にあった石だと思っていたら、頭蓋骨で。とっさのことにびびって骨を手放してしまう。 そうしたら、周囲がいっきに動きをとめ、カラーンと骨がおちる音だけがその場に響いていた。 うわーん。血がついてた。腐った肉片が骨についてたよぉ。 ああ、個々ってそういうところでしたよね。 まぁ、よいのですけど。 それにしても・・・この亡者の血って面白いよね。 地獄だからかなのか。 魂が流した血だからか、腐敗臭とかせず、しばらくすると消えちゃうんだよな。 そう考えると血の池地獄の血は常にあれだけの量を保持してるのはすごいことなのかもしれない。 あ、地獄の人たちがやたらと黒い衣装を着てるのって、こういうので汚れちゃうから? え、じゃぁ、普段着喪服=地獄? オレ服喪もってないなぁ。 薬品扱うから白い服の方が清潔感あるし。 あれ?ハンカチ・・・・あ!通りすがりのおねぇさんが鼻緒がきれたとかで、ハンカチあげちゃったんだ。 しかたなく、ついた血をふりはらった。 ら。 そこでふと周囲が静かなのに気付いて、あたりをなにげなく見渡してみると、鬼灯をふくめた鬼+亡者たちがオレをみて青い顔をしていた。 ああ、そういえば誤解を解こうとしていたんだっけなと思って。 とりあえずなぜ彼らが固まっているのか、まぁ、どうせなにかの勘違いしてるんだろうけどね! なにがあったかきかなきゃはじまらないと、ゴソゴソとポケットからメモ帳をだそうとして―― ポケットの中にあった墨壺のふたがはずれて手にインクがついてあわててポケットから手を取り出す。 あ、手が黒くなっちゃった。 「ぎゃあー!!!白澤さまがぁぁぁぁ!!!」 けがれた!!! なんて絶叫が地獄中に響き渡った。 穢れてねぇよ! 骨に触れただけでアウトなら、今頃地獄にいない!! 瘴気に汚染されたわけでもない。 そもそもこれは墨だ! 勘違いも甚だしい。 もーーーーーうっ!!! いい加減にしてくれ!!! そうして生まれた新たな伝説に、オレは桃太郎クンと天帝に愚痴を吐いたのだった。 愚痴と言ってもオレが口を開いて、声を出してしまっては、地獄どころかこの世界そのものが壊れかねないので、 もちろんお口はチャックだ。 レポートのように、今日あったことを書き連ねたのを彼らにたたきつけて「読め」と言ったにすぎないが。 はぁ〜、本当にもういやだ。 なんでそんなおかしな勘違いをするの? ただしゃべらないだけなのに。 しゃべらないだけだよ!!!! 【 side 鬼灯 】 私の名は鬼灯。 村のために死に、そこへ鬼火がまざって、わたしが生まれた。 今は額に一本角を持った地獄の鬼で、閻魔大王の補佐をしています。 突然ですが、そろそろ金魚草に餌をやる時間なので失礼します。 閻「ちょ、ちょっとまって鬼灯君!?これ、この書類の山どうするの!?」 灯「自分でやってください。そもそも本来は貴方の仕事ですよ」 閻「ほおずきくーん!!」 「閻魔様ぁこのひとどうします?」 「あ、こいつ嘘つきだ」 閻「え、あ、そのひとはこっちで・・・って、ほぉーずきくぅーん!!!」 なにか見苦しいなにかが聞こえましたが無視です。水やりの方が重要です。枯れたらどうするんですか! 草に水をやった後はアレです。 今日は嫌な予感がするので、見回りに行きます。 いわばもう一つのエサやりでしょうか。 “あれ”が間違いなく、絶対この辺りを彷徨っている――そんな気がするので、周囲をよぉく見渡さなければ。ああ、気が気ではありませんね。 わたしが探している奴の名は寝たろう。 失礼しました。嘘です。 寝たろうというのは正式なものではありません。 なぜなら奴は白澤という中国の神獣なのですから。 こっちでは主に桃の育成のため、天界にいることが多いですが、やつは放っておくと何百年でもダラっとしていて、1000年ぐらい寝こけているということもある怠惰な生き物なのです。 閻魔大王や天帝や他の上のかたたちは「あれは諸刃の剣ゆえに無茶をさせてはいけない」「力が強すぎるから口がきけない」というのですが、 私からすると、めんどくさがりが極限に達し、話をするのもやめてしまったのだと思えますね。 なぜならば白澤が声を出して話しているのを私はみかけたことがあるのです。 蝶に話しかけていました。 その時の私は思いました。「こいつなんてさびしいやつだろう」と。 かわいそうに、友達がいないのでしょう。 桃園でひとりで、口もきけないただの虫に話しかけていたんですよ。 まぁ、世の中サボテンに話しかける特殊な方がいると言いますし、サボテンより蝶の方が絵てきにもましなのでしょう。 話しかけるならせめてしゃべることができる草にすべきです。 金魚草、おすすめですよ。 オギャーとしか言いませんが。 ああ、やはりいましたね。あのまっしろけのことで・・・・ なにをしているんですかあのまっしろけは!!!! 地獄におちた亡者の骨を触るなんて!!!! ああ、ほら! ただでさえ純粋すぎて真っ白で。 ただでさえ身体が弱いというのに!! 手が亡者の血で汚れて! はっ!?なんということだ!ポケットに入れていた手まで黒ずんで!!!! これは地獄の瘴気のせいでしょうか!? だから地獄なんかに来るんじゃないとあれほど言っているのに!!!! あのまっしろの毛皮が黒い斑点模様になったらどうするのです! あわてて手を洗浄してあわてて地獄から追い出しました。 ええ、あぶなかったですね。もう少しあの白いのが長くこの場にいたらと思うと――――血の気が引く思いです。 え?私が白澤に甘いって? 嘘を言わないでください。あんな弱い生き物は嫌いですよ。 嫌いじゃなくて心配してるようにみえる? だからいつも言ってるじゃないですか。 みてるだけで倒れそうで。そのまま消えてしまいそうで。そんなのが傍にいてごらんなさい。“私の”心臓が持たないんですって。 え?それが心配してる?バカですかあなた。 “私が”気がきじゃないんです。 そうですよ。すべては“私の”ためです。 私の心臓に嫌な負荷を与えてはほしくないので、しっかり地獄の見張りをして、あの真っ白けを追い出すんですよ。 よし。あのまっしろけもいなくなったので、お仕事をしましょう。 今日は亡者を煮ます。 ここに良い感じで誰かさんの手に投げ捨てられて地面に転がったばかりの骨があります。これなど骨がちょうどいいでしょう。 たわしで肉もすべてそげ落としたあとには、そのあとは細かく刻むとしましょうか。 それとも―― 「鬼灯様まって!まってください!!!」 「もうやめて!!その亡者への処罰はそれじゃないですから!!!」 「白澤様が拾った亡者だからって八つ当たりはやめて!!!」 「その亡者は何も悪くないんです!たまたまなんですって!!!」 「あ〜〜〜れ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!」 はて。白澤がなんですか? どうでもいいですね。 それより誰ですか、こんな道端に亡者の骨を置いたのは。 いけませんね。ちゃんと指定の位置に捨てなければ。 「いや〜〜〜〜〜〜あらわれるぅ〜〜〜〜〜〜〜!!!!」 なんですか、今の女々しい悲鳴は? たわしで肉まで綺麗に洗って骨を白くしてるんですよ。洗ってるんですから当然でしょう。 逆に礼ぐらい言ってもらわないと困りますね。 「ほねが!ほねが・・・け、けずれ・・・・ガクリ_(:3」∠)_」 あ、このあとは綺麗に肉もすべて再生したら、刻みましょう。 そうしましょう。 「いや!だからそれその亡者への罰じゃないです!!!」 「いろんないみで!」 「つか照れ隠し?鬼灯様、白澤様へのてれ・・ギャァッ!?」 「ぎゃぁー!!!!!鬼灯様!待って!待って!!!その金棒ふりまわさ・・ぎゃふっ!!!!」 「ほおず、ぶべらっ!?」 はぁ〜。 今日も清々しい地獄の叫びが聞こえてきますね。 |