有り得ない偶然 Side1
- 鋼.の錬.金術師 -



03.オレもカーティス





 -- side オレ --





 オレは任侠妖怪一家の三代目奴良リクオを面白おかしくみまもる猫またの )だ。
職業は猫カフェで普通の猫の振りをしてお客様に愛想をふるまうこと…おっと、いけね。間違えた。

ただいまただの人間である。
・カーティス。
ただいま17才。
性別は男である。

 かの最強を噂されたカーティス夫妻の息子として生まれました。
正確には、作られたと言った方が正しいかな。
オレは原作軸より随分前にイズミ・カーティスによって、人体練成されて誕生した。
 アルフォンスのように魂がそこにあって、魂の概念、そして本当の真理の門とはなんなのかをしらなければ本来は人体練成など成功しない。 オレはその魂の工程を吹っ飛ばして、“器”に魂が呼ばれたので世界の壁を越えてきた。

 そうなんですよ。はぁ〜。なぜか生まれたんですオレ。
どうやってって…錬成されて?
代償は健康な身体で。
 本当は遠の昔に死んでてもいいハズなほど脆いんですがこの身体は、そこを気合いで生きてるんです。
オレの生へのしぶとさは、どうも真理にも予想外だったみたいで、あのドッペルやろうはちょくちょくオレの夢に接触してくる。
けどその都度殴り合いによる力技と、茶菓子の誘惑でもって、真理を取り込みました。あ、いや失礼。取り込んだではなく、仲間になってもらったんです。
オレの命はオレのもんですからね。
オレが生きている理由なんかこんなもんです。
それがなにか?

 でもって。
話は変わるけど、茶飲み友達となった真理にまで憐れまれるほどオレは勉強が好きではない。
しかし、この世界の人たちは違う。
みんな頭がいい。
 オレなんかは、錬金術とか理屈はわからない――というよりわかりたくもないけど、錬金術師の脳みそにはついていけないと心の底から思うよ。
やろうと思えば、前世からの転生特典で、“理の流れ”ぐらい肉眼で見えるんだろうけどさ。
つまり気合があればオレも錬金術師になれるということ。
めんどうだから嫌だけどね。
それに母から錬金術はやるなといわれている。
 ただでさえ普通に生きることが難しいオレは命を削りかねんとのこと。
オレもそれには賛成。
 化学式を見るのも物を覚えるのも何らかの締め切りに追われるのも苦手だ。
将来なんか期待できない身だけど、錬金術を扱えるようになるより、父親の肉屋を手伝ったほうがオレにはしょうにあっている。
まぁ、旅をしているほうが楽で好きなんだけどさ。
 そんなわけで、オレこと・カーティスは、珍しく原作破壊やら介入なども一切する気のない傍観者として日々まったり好きなように生きている。
ちなみに原作キャラとみごとに関係を持ってしまっているわけだけど、たぶん隅の隅の方で存在があってもなくてもよさそうな立場で誕生した…と、そう思いたい
 だって錬金術世界に生まれたからとはいえ錬金術が使えるわけでも、特殊能力があるわけでも、軍に所属しているわけでもない。ただの肉屋の病弱な息子でしかないからね。
といってもあのカーティス夫妻の息子だ。
過保護な両親からは身を守るためとして武術をしっかり学ばされたし、前世という経験もある。そんじょそこらの軍人より強い自覚はある。自覚はあるが、身体がその能力についていかないのが最大の問題だ。
なぜかって、オレはこの世界に生まれてからは体が弱いので、すぐ寝込みかねないのだ。

 あっはっは☆
うん。無理。
オレ、派手な運動禁止されてるんだわ。
悪いけど、『鋼の』がんばれ。

 オレは好きに生きるぜ。
真理?人体錬成?戦争?ウロボロス?ごめん。興味ないわ。
 今は生きるので精いっぱいですし、もうね、ほら、前世の名探偵ズのように頭のいい人の傍にいるの嫌なのよ。
錬金術師の勉強させたり、ながったるい講義をきかしてみ?オレ、鬱になるよ。寝こむんじゃなくてひきこもるよ。


――てなわけで。
マジでオレのことは気にしないでください。
会っても無視してくれるとありがたい。










カーティスって、ある意味最強の称号ですよね〜(笑)
ああ、そういえば人体錬成で生まれちゃったオレもそのひとりか。
いやはや。最強けっこうじゃねぇの。
いいよね別に。








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