桜前線!注意報?! |
捏造設定あり!! <あらすじ> 花宮成り代わり主が、審神者になれと時の政府に誘拐されて十年。 お母様のお願いにより、時の政府を理論と力技で乗っ取り済みな花宮。 なぜかレア刀しかでない花宮本丸。 成り代わり主の前世は、【銀魂】土方で、【大神伝】のチビテラス=最高神(←この設定重要!) そんな花宮本丸に、見習いがやってきた!? 見習いはなんと同じ転生仲間の火神大我成り代わり主で・・・。 <異界審神者とは> ・別の世界からやってきて審神者になった人のこと ・人外や異人というと言葉が悪いので、「異界審神者」とよばれるようになった ・うさぎ耳が生えてたりするものもいる ・とにかくこの世界とは別の世界から来た審神者につけられる名称 ・夢主はこの世界の住人だが、前世の能力については「異界」のものであるため、ごまかすときに自分を知らない奴には「異界審神者」と告げている --------------- < side 火神 成り代わり主 > 誠凛高校バスケットボール部1年、火神大我!背番号10。ポジション、パワーポイント!! どんな相手が来ようと全員ブッ倒す!!! な〜んてことをかたっていたのも今となっては、むかしのこと。 バスケ少年として青春をすごした俺の名は、火神大我。 正確には“火神大我に”成り代わった「神崎零」と申すものです。 現在、歴史修正者から世界を守るため、審神者になるべく、この本丸で修業中の身。 真名を刀剣男士に知られてはいけないらしいので、ここでの俺は、見習い審神者の「火凛 (カリン)」だ。 ぶっちゃけ、この場合《真名》とは「火神大我」のことをさすのか「神崎零」をさすのか、俺にはさっぱりわからないが、 自分の今の名前と誠凛をもじったこの「火凛(カリン)」という仮名も気に入っているのでヨシとする。 バスケバカだった俺が、審神者になることになった経緯としては、大学卒業後の進路を悩んでいた時にトキノセイフとやらに 誘われたのがきっかけだった。 俺にはひとよりも霊力が多くあるから、ぜひ力を貸してほしいと言われたのだ。 この時期はぞくにいう就職困難時であった。さらにはtimingよく現れた国のだした雇用内容のすばらしいこと。 あっさり食いついたね。 どうやら給料もがっぽりはいるし、家にも定期的に帰れるらしいし、現世との連絡も取れるとのことで。 なんも問題ねージャンと、ならば!と、契約を交わした。 霊力をミソメラレたのは、たぶん色んな世界を回っていたとかで霊力が増えたせいに違いない。 トリップ人生万歳!おかげでこの就職難を乗り越えられそうです! しかも審神者になれば、火神大我として成り代わったため有り余っている体力を、戦場で発散できる。 なにそれすばらしい! そうして見習いになって―― うっし!審神者になってやるぜー!! っと、意気込んできてみたのものの、ふたを開けてみたらびっくり。 研修先の指導審神者さんが、なんと高校卒業後から行方不明になっていた知り合いの花宮字だった。 字さんは、俺の転生仲間にして、前世からの先輩である。 最初はそのひとが自分の教官になるひとだとしらなくて、本丸のゲートをくぐるときひどく緊張したものだ。 そこで、はじめてこの本丸のゲートをくぐったとき、目の前にこんのすけだけがちょこんと座っていた。 この本丸のこんのすけだというこんのすけは、脱色でもされたかのように全体的に白っぽかった。 本来、濃い黄色である部分が、白にほんのりと色を付けたぐらいに薄い桜色をしている。 赤い隈取は、これまた淡い灰色のような色合で。 首元には、深い緑の組み紐がまかれていて、結び目を止めるように造花がつけられた首飾りをしている。 こ「亜種ですがなにか?ちょっと本丸に長くいすぎたせいで本丸色に染まってしまっただけです。それだけです。わたしのことは以上です。ではついてきてください。審神者のもとへ案内します」 初っ端から、亜種こんのすけ。 思わずポカンと空いた口がふさがらなくて、ガンミしてしまった。 そうしたら、俺が口を開くよりも先に桜色こんのすけに、この俺に何か言えるものなら言ってみろとばかりの勢いで、先に釘を刺された。 どことなく哀愁も感じる口調と、もう説明が面倒なのだとばかりのオーラが、桜こんのすけからあふれ出ていたので、何も聞かないでおいた。 桜こんのすけに案内されて、ふと気づく。 誰の歓迎もない。 全員がもしかして広間に集まって、ズラーっと並んでる中に突撃か!?とも思ったが、本丸の遠くで笑い声や怒鳴り声がきこえてくるから、通常に運転しているようにも見える。 むしろ、通常すぎないか? これって もしかして。 もしかして・・・俺がくるのを知らされてない。 とか、さすがにないよな。 ・・・まさかね。 そう思っていたのが間違いでした。 フラグって言葉がありました。 桜こんのすけは、「はいりますよ」の一言もなくスパン!と障子を開けると、「見習い様がいらっしゃいましたよ」と中にいる人物に告げた。 ちなみに彼らは、身だしなみなどきにもせず、それはもう普段の格好ですとばかりに自由な感じで・・・・・饅頭をたべていた。 まさにいま口に入れている者もいた。 審神者など可哀そうにむせていた。 結論。 見習いが来るのは知っていたが、まさか今日とは思っていなかったらしい。 挨拶もなにもなくもうしわけないなーと思っていたら、突然小狐丸・・・なのか?なんだか小さい小狐丸が泣きだし、つられたのかそれを肩に乗せていた普通サイズの小狐丸まで泣き出した。 おふ。亜種だ。亜種がいる。 え。この本丸って亜種が多いのか。 そんなところで、俺はやっていけるのだろうか・・・。 そうして、ずいぶんむせたあとに顔をあげた審神者を見て、さらに驚くことになった。 花『なんだお前か』 火「どーもここでは“火凛”と呼んでくださいwwwセ・ン・パ・イ☆」 二年前まで何度も聞いた響き。 ちょっと懐かしい声の主がそこにいた。 アホ毛がゆれる頭。 緑の目。 太い眉。 高めだが、福山潤と同じ声。 それに思わず顔が緩んで、にやついてしまった。 世界が変わっても。次元が変わっても。 ここでも前世からの腐れ縁は安定のようだと思わず笑ってしまう。 火「お久しぶりです先輩」 よっこいしょと団欒している中にちゃっかり混ぜてもらう。 周囲を見渡せばやはり桃色な花びらが多く視界に入る。 師となる審神者が知り合いでほっとしつつ、行方不明であった人物がなぜと声をかけるよりも、このひとの霊力なら当然だなと思ってしまう。 さすがに知らない相手の本丸であることに内心緊張していたが、相手が相手であっため、無意識に緊張していたものから解放され、ようやくひといきつく。 刀剣男士が、みな神だとしても。 しらない刀剣男士ばかりいても。 亜種がいても。 これなら大丈夫だと思えた。 なぜなら、この本丸の審神者は――― なじみある字先輩だったのだから。 * * * * * 本丸にやってきてしばらくてして――。 定期報告のため、政府へ顔を出していたのだけど。 転送装置(GATE)でもって戻ってきてみれば、玄関の扉がいつもより重かった。 重いというより、鍵でもかかっているのか動かない。 しかたなく「ただいまー」と声をかけてみたが反応はない。 あの桜こんのすけさえいない。 もう少し扉を強くおしてみよれば、壊れる前にあいてくれるだろうか。 先程よりも力を込めてみたら、意外とはやく扉が動いた。やはり鍵はかかっていなかったようだ。 ならなぜ・・・ 瞬間。 ばさぁー!!!!! っと、PINKの洪水に押し流されかけた。 そのピンクがなんなのかというと、すべて桜の花びらだった。 どうやら桜のはなびらがつまっていて、扉がふさがれていたらしい。 しかも扉の内側、PINKの洪水の向こうからは、刀剣男士と思われる人物の奇声じみた甲高い笑い声が響き、怒鳴り声と悲鳴が響いているという謎の状況。 実はこういう感じで、花びらが大量に生産されたり、雄たけびやらはしょっちゅうだ。 それをはじめて聞いた当初は、狂った刀剣や怒り狂う審神者やいじめられてる刀剣がいるのかとおもったものだ。 いまとなっては懐かしい思い出だが。 「まさか噂のブラック本丸に先輩がなってしまったのか!?」とあせったが、こんのすけによって案内された本丸は、全体的に本当に綺麗で、噂にあったようなドス黒い印象は皆無だったのにほっとしたものだ。 まぁ、あの字先輩の本丸だ。 何があってもおかしくない。 むしろブラックでも通常運転していそうだ。 それでも澄んだ空気の方がなんかほっとするというもの。 笑い上戸がいると知らない者からしたら、この本丸の刀剣男士だけを見れば、ブラックと勘違いされかねないと、たびたび思うのだ。 今回も遠くから笑い声や怒声や悲鳴やらいろいろきこえてくるほど。 どうやら、笑い上戸たる堀川と和泉守がやらかしたようだ。 怒鳴り声は、いたずら好きの奴への常識刃によるお説教と不満で、悲鳴は桜の海におぼれた者の声だという。 日常的にこんな感じで騒がしいのだと、桜こんのすけには教わっている。 桜「ああ、火凛様。おかえりなさいませ。今はここから先、桜が多すぎてどこが沈むのかわからないので気を付けてください」 ザッパーン!っとばかりに扉からあふれ出てきた桜の花びらの上(体重が軽いので沈まないようだ)をピョンピョンととびながら、背中に小さな小狐丸をのせた桜こんのすけがやってきて、むかえてくれた。 どうやらみんな中にいるらしい。 屋敷と庭が桜で酷いことになっているとか。 桜こんのすけに従ってついていけば、たしかに屋敷内でさえ俺の太ももぐらいまでの桜の花びらで、床上浸水のようにうもれていた。 この桜の花びらは、笑い上戸が生産していて、幻影となって消えるよりも出現する間隔の方が早いらしく、消えるのも間に合わず増えていく一方なのだという。 こういうこともこの本丸ではよくあるようで、ゴミの日までは一か所にためておくことにしているらしい。 だが、その掃除をしていたさなかにも増えてしまい、生き埋めにされている者や遭難者が続出しているのだとか。 現在花びらによって埋め尽くされているのは、庭から入り口にかけて付近だけとのことで、ゴミにだしやすいように入り口付近にあるため、入り口が一番量が多く、扉があかなかったのはそのためだという。 ん? 生き埋め?遭難者? なんか不穏な言葉が混ざっていたような気がするが、質問するまもなく桜こんのすけが「こっちですよ〜」と先陣切っていってしまうので、あわてて後を追いかける。 そうしてこんのすけによって案内された場所にいたのは、審神者と古参の刀剣たち。 そのなかにはもちろん桜の海の原因もいて、まさに桜を量産中だった。 あれだよ。 誉桜? 刀剣男士がうれしいときに咲くという桜。たしか見習い研修でやった。 それが視界一杯を覆っているので、桃色一色。 その中で、字先輩はへいぜんと縁側で、そばを食っていた。 花『おー火神か。おかえり。そこいま掃除しても意味ないから、ちょっと桜かきわけてこっちまでこいよ』 ちょうどいくつかの盆を持った三日月宗近〈チカ〉と山伏国広〈フッシー〉が、桜をかき分けてやってきて、一番大きなザルにドーンとばかり山盛りのそばを手渡され、タイミングのよさにまた笑ってしまう。 字先輩のことだ。気配でも察知していたか、超直感が俺の帰宅を予言していたのだろう。 ありがたく山伏からザルごとうけとり、三日月にもらったつゆの入った器にそばをいれていく。 火「それにしても。これ、全部あの誉桜の花びらっすか。ここまでくると幻想的というより掃除方法を考えるぜwww」 花『あー、大丈夫大丈夫。それ刀剣男士たちの感情がこぼれたあまり具現化してるだけだから、しばらくしたら消えるから・・・・いちおう』 月1「ただし。消える前にさらにあやつらが笑わなければ・・・の話だがな」 伏「うむ。この本丸は主のせいでつねに“力”で空間が満たされておるゆえ。実体化したものがなかなか消えぬのだ」 花『あーうん。そうなんだよなー。 消える前にさらにさらに桜が舞うから、消えてるようには見えないんだよなー。なんか対策ねるか?』 火「ねらんとやばいでしょーよ。さっきも悲鳴聞こえてたっす」 コ「そのとおりです!」 古参だという彼らと先輩と、そばをすすりながら話してると、ふいにすぐ横から声が聞こえてくる。 声の主は、桜の上で桜こんのすけと仲良くそばをたべていた小さい小狐丸〈ココマル〉からのものだった。 コ「花びらの海で泳ぐのもあきたでございますぅー。そもそも泳ぎたくて泳いでいるわけではないのですぬし様」 っと、それに合わせるように、庭だろう部分の桜の海の一部が盛り上がり、ザパーっと中から人影が出てきた。 白い人影は、濡れた猫のように顔を左右に振って花びらをふりおとすと、ジトーっとした目で、字さんをみた。 切「主。愛染や蛍丸、カシさん、ココたちが花びらでおぼえれるのを捜索するのも救助するのもいい加減つかれたんだが」 あらわれたのは、桜まみれになった山姥切国広〈キリ〉だ。 その腕には、鶯丸の本体が・・・。 本体? 鶯「キリ!無事か!?」 切「なんとか。ここまで流されていたぞウグさん」 バッサバッサ桜をかき分けておくれて到着したのは、機動がちょっと遅い太刀、鶯丸だ。 機動が間にあわなかったのか。 だから逃げ損ねたのか。 近づいてくるのも障害物があるせいで遅い。そんな鶯丸〈ウグさん〉に、山姥切国広〈キリ〉が泳ぐようにして桜をかき分けて近づき、彼の本体を手渡している。 みつかったことと、受け取ったことで、鶯丸がほっとした表情を見せる。 げっそりとして登場した山姥切。 さらには桜まみれになった鶯丸が、縁側でのんびりとしている俺たちをみて、桜の海と化している庭から花びらをかきわけてでてきた。 鶯「よっ。っと・・ふぅーやれやれ」 切「安全地帯はないのか」 花『屋根の上だけだな』 彼らも縁側に乗り上げ、桜をはらって座れる範囲を確保すると、疲れたようにそこに座った。 鶯「もう庭まで本体が流されてしまっときは、さすがの俺も今回ばかりはもうだめかと思ったな。勘弁してほしいものだ。・・フシ、俺にも茶をくれないか?」 伏「しばし待たれよ。他の者もじき集まってくるであろうからな」 月1「俺もいく。蕎麦の追加もそろそろできよう。鶯はそこで少し休んでおれ」 鶯「ああ、助かるチカ」 ニコイチか!?とばかりに、ここの三日月〈チカ〉と山伏国広〈フッシー〉は、よく行動を共にする。 阿吽の呼吸というやつである。 ちなみに鶯丸は赤疲労が出ていた。 ぐったりしている彼の肩を心配げな顔で近づいた山姥切が、肩をもんでいる。 この本丸の刀剣男士はみんな個性的ではあるが、みんな仲がいい。 それをみながらほくほくしつつ、鶯丸の疲労具合にちょっと顔が引きつる。 だって彼がこうなった原因は、この大量の誉桜のせいとか・・・。 火「お、お疲れ様っす。つか、本丸内で洪水が起きるとはだれも思わないだろ(遠い目)」 切「本当にな。想定外だ」 鶯「まぁ・・こういうこともある。この本丸ではな」 一「主は特殊ですからなぁ。いやぁー本当に」 会話に割って入るように桜をかきわける音とともに、殺気を感じ背筋にゾクリと悪寒が走る。 案の定、殺気を感じた方には、黒い笑みを浮かべた一期一振が、にこやかにいた。 常に負のオーラを発しているロイヤルさんは、まさに魔王のごとくそこに君臨していた。 彼が「主」と字さんを呼ぶときは常に殺気を感じる。この毒と棘しかなさそうなロイヤルは、ツンデレを突破したゲスい腹黒さんだ。 そして字さん(主)のことを世界の誰よりも嫌っている世にも珍しい刀剣男士だ。 気付けば、その腹黒の背後からも刀剣男士か来ている。 今の本丸に頭だけ埋もれてしまいそうな、ピンクの髪の岩融〈ピンク〉さんが、あいかわらず死んだような疲れ切った目をしている。 その太い腕に俵抱きでかつがれているのは、狩衣が濡羽色のホケホケした良い笑顔の三日月宗近〈二(フタ))だ。 岩融と同時に顕現されたという本丸二振り目らしい三日月宗近〈二〉は、噂のとおりホケホケとした介護老人(極)だそうだ。 〈フタ〉は、先程もいったように、狩衣の色が普通の三日月より濃い黒であるのは、わざと変えているので亜種とはちょっと違う。 それ以外はいっけんどこにでもいる三日月宗近だが、その髪飾りには「二」の漢数字がかかれた札がくっついている。 ちょっと見には、あれだ。キョンシーみたいとか思わないでもない。つけるにしてももっといい場所はあるだろうと思うのだが、本人は気にしていないらしいので、ヨシとしておこう。 そのまま岩融に地面におろされた〈フタ〉は、ふわ〜とあくびをすると、よきかなよきかなと庭の穏やかな気候に目を細めてホケホケと笑った。 しかしそんな〈フタ〉を、冷めた目で一期が見ている。 この本丸には三日月が5人いる。 霊力でつながれた字さんや、長年付き合いがあるものには、5人いる三日月はそれぞれ性格や表情が違うためみわけるのは簡単らしいが、俺にはまだわからないときが多い。たとえば五人が、別三日月の振りをしてしまえば、それこそさっぱりだ。 そのため、見分けられるように、一振り目〈チカ〉以外の三日月には、服に違いを出してもらっている。 一番目はノーマル。(ただし性格はどうみても亜種なハイスペックじーさんである) 二番目は、濃い黒の着物に、頭に名札。 三番目は、袖裾に「三」の漢数字が刺繍された淡い桜色の着物を着てる。 四番目は、肩に「四」の漢数字のかかれた小さなワッペンをつけている。ちゃんと服の色も違うのだが、よくよくみないとわからない程度。青の色合いが普通の三日月よりは明るめらしい(本人談)。ただし隣にノーマル三日月を並べない限りわからないレベルであるが(どんな主張だ!?意味が分からん)。 五番目は、緑の着物に、月の刺繍がすべて漢数字の「伍」になった着物をきて、眼鏡をかけて、ひもでくくったそろばんをいつもつけている。 いや、うん。なんか性格も違いすぎるけど、外見もなんか個性的だなと思った。 俺のためとはいえ。三日月が・・・って、思わなくもない。 それぞれ個性の出し方が半端ないが。 火「外見の選択の仕方だけでも“普通の三日月とは”って思うのはなんでだ・・・やっぱ先輩の本丸いろいろおかしいですよ」 花『まぁ、しってはいる』 一「ええ、見習い殿の言う通りです!うちの主は“おかしい”んですよね。ね、そう思いますよね。ですから。“色々”っと、しかたがありません。ええ、本当に」 花『おまえの言葉の棘がいてぇーよ』 岩「だが主。一期の言葉もあながち間違ってはないだろ。フタのような怠惰求めるような風変わりな刀剣が生まれるぐらいであるしな(遠い目)」 月2「はは。そうだなぁ。もう団子がすべて桜風味なのも道明寺ばかりなのも、ちとあきてきたしなぁ」 一「見飽きたのであれば、フタ殿も少しは掃除を手伝ってはいかがです?そのまま寝てばかりでは天下五剣とは名乗れないようなただの鈍ら(嘲)」 鶯「・・・・・まぁ、たしかに主が少しばかり異常だというのは俺でもわかるが。そのせいで桜の量が凄いことになっているしな。 とはいえ、一期よ。少しはカリカリするのをやめたらどうだ。ほぉら、茶でものめ」 一「主はこの際どうでもいいです。茶もないのにすすめないでくだされウグ殿。 それよりフタ殿です。あなたも少しは人さまのために働いたらいかがか。また岩融殿にばかり迷惑をかけて。最低ですな」 月2「喧嘩か?ふふ。若いな一期よ。だが・・・断らせてもらうぞ。俺はだらだらしていたいのだ」 一期は主たる字先輩には毒舌を。 自分も働いてるんだからお前も働けよとばかりの絶対零度の一期の冷たいまなざしが三日月に向けられるが、〈フタ〉は、扇子をパサリとひろげてそれをさえぎると、扇子で口元を優雅に隠し微笑む。 だが、その目は明らかに笑っていない。 つまり何が何でもだらけることをやめないと。 どんだけだよ。と思わなくもない。 思わず〈フタ〉の変なこだわりにひいた。 っというか、そのまま一期と三日月がにらみ合いを始める。 外見がいいといわれるなかの上位に入る二振りによる無言の攻防は、はっきりいって空気までピリピリとしはじめ、傍にいるだけでめちゃくちゃ怖い。 そんなやりとりをみて、〈二〉の横にいた岩融がさらにため息をつく。 岩融は、「早くチカか伏殿がこないだろうか」と小さくつぶやいていた。 鶯丸は騒動にはかかわりたくないとばかりに視線をそらし、山姥切に肩を相変わらずたたかれている。 むしろこんな冷戦空間のすぐ脇で、いつものこととばかりズルズルズル〜とのんびり蕎麦をすすっているこの本丸のメンツが審神者を含めておかしいと思う。 結局、お腹真っ黒一期と怠惰を求めるるがために譲る気をまったくみせない三日月による壮絶にして、静かな攻防は、誰かの蕎麦がひとわんなくなったところでおひらきとなった。 「蕎麦はまだかの」とホクホク微笑む三日月に、見る価値もないとばかりに激しく舌打ちをした一期が視線をそらしたのだ。そのまま一期は離れた位置に腰を下ろす。 この本丸の桜の量もやばいけど―― ・・・・刀剣男士たちの性格まずくね!? 怖いぐらい黒そうな三日月宗近と一期一振りってどうなの!? 常に疲れきったような岩融とかどうなの!? 他にも何かいろいろ言いたいことは多いが、口に出すにはこの本丸の亜種具合が半端なさ過ぎてどうしたらいいかわからなくなる。 俺の言いたいことを理解してくれる奴はいないのかと、戸惑う俺をみて、どこにいたのか江雪左文字が俺を憐れむような目で見て、ポンと肩に手を置いて首を横にふるりと振った。 雪「花の宮を常識でとらえぬことです」 そのドンヨリとした目が言っていた。 “私はもうあきらめた”と。 それで納得する。 いや、納得せざるを得なかった。 どうやらこの本丸は、ブラックとは違う意味でヤバイようだ。 まぁ、あの花宮字だし。 黒バス史上最も優秀な脳を持つ花宮真と、びっくり転生者な字さんを混ぜ合わせたのが、花宮字だ。 何が起きてもおかしくない。 火「ああ、先輩の本丸ですもんねぇ〜」 思わず遠い目をした俺はわるくない。 火「字さんの本丸を開けたらピンクの吹雪と海と亜種まみれだった件」 * * * * * 研修先の審神者―――花宮字。 審神者名なんかない時代に誘拐されたらしく、彼に審神者としての名はない。だが、多くの刀剣男士や審神者が彼を「花の宮」と呼ぶ。 俺よりひとつ年上のこの先輩、前世からの俺の先輩で、腐れ縁である。 そしてここが重要!このひと、元神様だ。 現世では花宮真成り代わりとして転生し、当時のブラック政府に誘拐まがいのことをされかけ連れてこられたらしい。 っが、ヒエラルキーってわかるか? 誘拐されてきた割には、国家を裏から支配しているような言動をよくこの本丸では耳にするし、どうもこの本丸にはノルマやらについて政府が強く言ってこないようだ。 それはそうだろう。 このひとは、誘拐されたあげく、その政府を改革し、審神者の育成を向上させ、戦争をよりスムーズなものへと変えたひとだ。 なお、今俺がうけている研修制度も審神者のための規則もつくり、審神者への支援、現世への帰還など。それらを根付かせたのも先輩だ。 ついでに『花宮字』と今世の真名を普通に声にだして呼ぼうとも、付喪神に真名を知られようと、だれひとりとしてこの先輩に手出しできた神がいないという。 政府も攫う人間を間違ったよな。 攫ったはずが、その被害者によって逆に改革されちゃうんだからww むしろ先輩って、転生しまくってるせいか、絶対普通の人間じゃない。 というか、人間だろうかと疑いたくなる。 だってあのひと、いわばヒエラルキーの頂点に君臨してる存在だろ。 なにせ元太陽神,天照だ。大神様だぜ(笑) それを誘拐するって・・・もう誘拐犯を憐れむか笑いたくなるレベルだ。 それでもできるだけ真名である下の名を呼ばないように、声に出して先輩を呼ぶときは苗字か「花」と呼ぶように心がけてはいる。 たまにうっかり下の名で呼んでしまうことがあるが、まぁ、それもしかたがない。 なにより本人も刀剣男士たちもきにしてもいないので、よく真名を呼んでしまっている気がする。 っというか、字さんって名前を呼ぶと存在感増す気がする。まさか力がそれで強くなってたり・・・・・・は、さすがにないよな。 字『オレは太陽とか信仰されると力増すけどー。 神様ってのはな。人が信じる想いや願う力が、そのまんま形になったり力になるわけだ。 だから誰か一人でも信じてるやつがいると、神の力は増す。 まぁ、名前を呼ぶってのも一種の信仰だよな。“そこにいる”という信じ込むことで、存在証明?になる。つまり神様がそこにいるって信じてるわけと同じ。そりゃぁ、名前を呼ばれれば確固たる自我は固まるし、存在でしつづけられるし、力も増すわなぁ〜。 それがどうかしたか火凛?』 それって、もう何をしても字さんの力って増大していくだけじゃないですか。 ・・・いえ、俺は何も聞いてません。 聞こえませんでしたよー!!! きいてませんから! さて。まぁ、とにかく、俺の転生仲間の先輩俺は、もうたdなお人間って断定できない領域に足を突っ込んでるわけですが。 そんなひとの本丸に、見習いに来ている俺です。 その俺から言わせてもらうと。 この本丸、ホワイトではあるが、やっぱりいろいろおかしい。 審神者もおかしいが。 刀剣男士も個性にあふれている。 第一に、堀川国広と和泉守兼定が笑い上戸で、やたらとこの二人はメタ発言をするのはどういうことだろう。絶対に、本来あるべき普通の堀川や兼定とはなにかが違う。 山伏国広は、プロテインや筋肉よりも掃除と料理に力を注いでいるし、本丸内でもっとも刀剣たちに信頼されてるみごとなおかんだし。 山姥切国広は、まとってる布が花柄なんだが。 しかもあの花柄は、手縫いの刺繍であったり、パッチワークらしい。なんと国広兄弟による合作らしく、予備(別柄)も常備されている国広ズの愛がこもった一級品だ。 さらにはビックリ爺さんな鶴丸さんが、白くない。いや、外見も普段の行動も見習い研修時のチュートリアルどおり白いのだが、なんか言動のそこかしこが黒い。いや、本性はみたことないから実際はよくしらないけど、どうもこの鶴丸さんは異常な狂犬らしい。花宮さんが危険なことに巻き込まれたりなにかあったりすると、すぐに言動の隅々になにかヤバイ雰囲気をかもしだす。普段はビックリ爺さんなのにな。 そして三日月のおじいは、動き回ってはテキパキと他の刀剣たちの世話をかいがいしくこなし、ときには説教をし、なんだか教育パパっぽい。 あれ?介護爺はどこいった?あと、俺がみているかぎりこの〈チカ〉と呼ばれる三日月は、常時内番着だった。理由が動きやすいからとか。もうそれからして間違ってる気がする。 ちなみに俺が初日にであったため息ばかりついている三日月は、〈ミイ〉という三人目の三日月で、最近は桜色の狩衣を着ている。 なお、このとき、字先輩のネーミングセンスのなさを改めて体感させられた気分だった。 三番目だから「ミイ」って。二番目だから「フタ」ってどうなのって思う。 ついで三条一派が、小狐丸の身長が15cmぐらいしかなくて、本当に小さいのがいる。 小さい小狐は、いつも誰かの肩に乗せもらってるほどに小さい。事故があって短刀どころかペーパーナイフになってしまったらしい。 さらには大きい小狐丸もいて、大きい方は小さい方(ココさんというらしい)の足の代わりに、せかせか動いている。 一期一振は、字先輩を前にすると、妖刀じみてみえる。なぜなら、この本丸では愛染君以外短刀がいないらしく、一期は弟とだれひとりとして出会えなくて、呪詛じみた愚痴をつねに黒い笑顔で字さんに向けて吐き連らねているしまつ。 江雪左門字さんは、筋肉になにかトラウマがあるようで、バスケできたえた俺の上腕筋肉をみて・・・・死んだ魚のような目で空を眺め始めてしまうし。 あとさ。三日月が数人いて、もちろんレアと呼べる刀剣たちが他にも複数いて・・・。 簡単に言うと、レアばっかの本丸だ。 どうやら花宮先輩の霊力がでかすぎて、レア刀しかでないらしい。 ドロップだろうが、新しい仲間は常にレア刀しかこないのだとか。 おかげで短刀関連の小さい子(特に粟田口)はでないしで、花宮さんは一期一振に相当恨まれてるらしい。 なぜ来派の短刀の子がきたのかは、ドロップでも鍛刀の結果でもないためらしい。それこそ意味が分からないが、詳しくはまだ教えてはもらっていない。 そんな愉快な花宮の、花びらが舞う本丸で―――ことはおこる。 “その日”までは、俺の審神者研修も相手が相手だったせいか、なにごともなくかなり穏やかに進んでいた。 そんなある日、俺はすごい噂を発見したのだ。 それをみたとき、思わず堀川じゃないけど、俺も噴き出した。 遊びたい!勉強したい!学びたいんだ! そんな理論の元、ネットをつなげて!とねだったところ、字先輩は、あっさりと審神者用の端末を使う許可をくれて、研修も何もない暇なときはそれで、思うがままに遊ばせてもらった。 現代文明、漫画、アニメ、ゲーム、バンザーーーーイ!! 俺も自分の本丸もらったら、ゲームとオタク文化を広めるんだ!あとバスケ。 っで、遊びで開いた審神者専用ちゃんねる。 略して、サニチャン。 そこでなにげなくいじってたら―― 驚くべき検索結果がでた。 どうやら、この本丸、随分雅な呼び方をされているらい。 審神者が「花の君」や「花の宮」「花の審神者」。 この本丸は「花の宮本丸」。 その理由は、 ここの審神者が花の様に美しいため。 ここの審神者はいつも花のようなよき匂いを漂わせている。 ここの審神者の刀剣男士は、花の飾りやらをしている。 ここの審神者の刀剣男士は、みな穏やかで、誉桜をちらすほど微笑みが絶えない。 そういった綺麗かつ、幻想的な由来。 それがネット情報による周囲の価値観である。 これだけでも十分に笑えるのだが、実態はちょっと違う。 たしかに花宮字だし、花に縁があるが――――そうではない。 「花」とここの審神者が名付けられた意味としては、あってはいるが、いろいろ間違ってもいる。 事実を知っている自分としては、ネットでひろったその間違った情報に噴出してしまうのも仕方ないというものだ。 まず最初の間違いは、“微笑む刀剣男士”ではなく、“爆笑する”刀剣男士である。 さらに正しい理由としては、ここの刀剣男士がやたらと喜びの感情をあらわにするため、彼の周りを常に桜吹雪が吹雪いているためだ。 桜が散るではなく、吹雪いている。 なにせ彼が歩いた道には桜の道ができ、桜のせいで彼の顔を見た者はいない。とまで言われるほどだ。 いや、もうこれというか、うちの字さんひきあてがよすぎて、なんかやたらとレア刀をひく。しかもそのどれもが個性豊かであるという状況だ。 彼の刀剣男士は亜種というか独創的なキャラが多く、その近侍筆頭堀川国広が笑い上戸なのだ。そのせいでうちの審神者は顔を見られたことがないらしい。なにせ桜が吹雪いているのだから仕方がない。 なお、花のにおいとやらは、それこそ本丸を埋め尽くすほどの誉桜のせいで匂いが移ったにすぎない。 ゆえに「花の宮」。 火「ぶっふォッwwww銀魂成分なのか!?銀魂影響どこまででるんだよ!!ってか、演練で歩いている際の兼堀組が猛桜吹雪で覆われてる様がありありと浮かぶし!?ああ、もう!ギャグにしか思えないだろうが!!!」 その演練で我らが花の宮審神者をみたという、目撃情報がサニチャンにのっていて、それを見たときの俺の心情。 いまなら頑張らなくてもバスケのゾーンよろしく、堀川国広と和泉守兼定と鶴丸国永と一心同体になれる。 笑 え る。 有り得ないぐらい笑える。 たとえば俺が、刀剣男士であったなら、桜を散らせる自信がある。 それほどの衝撃だった。 きっと山姥切国広あたりは「最近主の顏をあまりみてない(桜吹雪が邪魔だ)」とか言ってそう。 というか、桜が舞うじゃなくて、ふぶいてそうだからすごすぎるwww 思わず通りがかった先輩を捕まえて―― 火「せ、先輩wwww」 いや、でもその麿っとした眉毛を見たら、頭にいくつか桜の花びらをつけていて、やっぱり笑えた。 噴出した俺に、花宮先輩は眉をしかめた。 花『きめぇ火凛。お前何、人の顔見て笑ってんだよ』 火「え、演練で、ぶふwwwせ、字先輩のこと、「花の君」とか「花の宮」って呼ばれてるの知ってました?ぶっふぁwwww主に理由はそこの二人を演練に連れてってるためですが」 切「あ、ああ・・・兄弟は演練場でも・・・吹雪いてるからな(遠い目)」 堀「もうキリちゃんってば!ふぶいてるってなにそれうけるwww」 火「吹雪いてる!今まさに吹雪いてるぜ!だ、です!!!」 伏「おちつけ見習い殿。お前の方が笑ってるぞ」 鶴「いやぁ〜それにしても驚いたな。主、花宮の名前がどんどん現実味を帯びていくようだな」 花『いや、そもそも。花吹雪とか関係なく、花宮って、それオレの本名だから。現実味も何もないからな。 それよりオレが花で吹雪いてるなら。なら、お前。火ぃ、ふけよ。“火”凛だろ』 火「理不尽wwwwwwだが笑えるwwwwハッ!?いやいやいや!俺できないっすから!そんな目でみんな見るなー!!!」 花『はぁー桜は桜でも・・・綺麗な意味の桜吹雪じゃないってどういうことだよ』 溜息をつく先輩。 その横で何がツボにはまったのか爆笑している堀川国広。 よって、また彼を中心に桜が吹雪き―― 火「あー、桜が凄すぎて、犯罪者の目に黒線やモザイク並みの効果が先輩の顔に………!」 桜のせいで顔が口元しか見えねぇ。 犯罪者と言ったら、周囲の刀剣たちがちらりと本丸外へと視線を向ける。 雪「空には虹が・・・」 蛍「本丸が穏やかな証拠だよね」 雪「しかも何本も・・・」 愛「・・・たぶん。あれでも虹は虹だし。一応吉兆の印だろ」 鶯「たしかに虹は吉兆のしるしではあるな」 鶴「ああ、空にまた一本増えた」 「「「主のどこが犯罪者なんだ?」」」 空を見上げた刀剣たちに首を傾げられた。 火「おっと。そうきたか」 ここの本丸の刀剣男士たちは、どうやら指名手配所や犯罪者をTVがうつすときのモザイクの存在をしらないらしい。 俺、すべった。っというより、無垢な視線がちょっといたかったです。 というか、その無垢な視線の半分が、空に増えたり減ったりしている虹を見て遠い目をしていたのは、この際みなかったことにしておこう。 亜種中の亜種、堀川国広と和泉守兼定は、俺の言葉の意味を的確に理解したらしく、現在の桜まみれで口しか見えない堀川や字さんの姿を見て爆笑していた。 掘「花でおぼれるとかなにそれってみんな思うだろうねwゴメン・・・ぶふっwwwあはははははwwwもうだめお腹苦しいwwwうけるwwwww」 兼「銀時らがいたら、さぞこの本丸は、いまよりもさらに鮮やかなピンクと化していそうだなwwww」 花火『「それだけは呼ぶな!」』 * * * * * 火担当「噂といえば。そういえば、知ってますか火凛殿。 花が舞う本丸の美人審神者(笑)っという噂以外に、この本丸“ブラックだやべぇー!”って噂もあるんですよ」 火「え。こんなに花が舞ってるのに?」 担「ええ。こんなに花が舞っているのにです。ブラックだってちくった人おかしいですよねー。むしろここはドリフだと思いませんか?私は断然ドリフの生中継を見ているようで大好きです!」 花『そうだな。ドリフなら、紙吹雪で海ぐらい作ってくれそうだ』 火「なんと!?ドリフを知っているとは!!担当さん、あんたできるな!」 担「それほどでも。なにせ、この私も実は【八時だよ全員集合!】を見て育った二十世紀の人間ですからね〜www」 花『というか、いつからあんたいた?』 担「普通に太郎太刀様が門からいれてくれましたよ。山伏国広様からは、こうしてお茶までいただいてますし。なにをいまさら」 花『・・・そうか』 火「あーあ、これが桜の花びらじゃなくて、羽ならフッカフカの羽毛布団つくれるのになぁ」 花『とはいえ、時間を置くと消えるぞ』 火「あ、いずれ消えるんならフカフカとか意味ねーか」 担「え。ちょっと!?私はスルーでスルーですか!?現実逃避ですか!?ひどいですよ貴方たち。ひどすぎないですか!ドリフで一緒に育った仲間でしょうに!?」 気付いたら団欒に一人増えていた。 しかもちゃっかり湯呑と茶菓子まで出されている黒スーツにグラサンをかけた、胸ボインなグラマーな女性。腰近くまである茶色の明るい髪は一つにくくられ、できる女って感じの女性である。 ただしタイトスカートでなく、パンツスーツなのが、唯一残念な感じだ。 その仕事できます敵な女性の正体は、俺の担当役人さんである。 なお、花宮さんの担当さんは男で、彼女とは違って別のひとらしい。 火担「ここはレア刀の宝庫ですからね。研修生さんが本丸のっとりとかしないようにと、定期的に監査が入ることになってるんです。今日はその日です。 私的にはこの本丸でそんなことできるほどに勇気ある(笑)見習いだったらと、それはもう昼ドラ展開をとても楽しみにしていたのに。火凛さんがいい子で残念です」 っと、いうことらしい。 なにかやばい発言が聞こえた気がするが、そこはスルーする。 二十世紀ごろの女性というのはとても妄想力が盛んであり、テンションが高い奴が多いというのは、身をもって知っている。 つっこんじゃいけない。 そ、それにしても政府の役人マジ神出鬼没だなぁ。 花宮さんなんかは、ゲートのセキュリティーを心配したのか、チラリとゲートをみつめてその後何か考え込んでいた。 彼女の発言は、スルーしていた。 きっとドリフをみて育ったから、彼女は笑いを取ろうと必死なのだろうと・・・・俺はそう思うことでスルーさせてもらった。 火「担当さん、あの一面桜吹雪のPINKにお出迎えされて、気分はどうでした?」 火担「ああ、あれすごいですよね!道明寺になった気分よ。自分はなんて小さな生き物なのかしらってまず思えたわ。ピンクに流されるなんて初めての経験だったもの。ええ、目の前に広がるのは広大な桜の海。そして私はその中にポツーンとケチりにケチって少量しか入れられなかった餡子。そんな感じだったわね」 火「そもそもブラックってホラー並みの本丸からしてアウトだし、天気は曇天だし池の鯉が腐ってるとかスレで見るんすけど・・・その道明寺の気分を味わえるこの花の本丸でブラック説って不思議っすね」 花『こないだブラック調査のために役人が来たぞ。すぐに帰ったがな。 あの日は、鶴さんのいたずらも相まって、桜の量が絶好調だった。やつらがきたときなんぞは、調査班は前に進めなくて、手だけピンクの海から飛び出てて「たすけてくれー」っとSOSをだしてきた。おかげで本丸のみんなで発掘作業した』 火「oh…もう事後だったとは」 切「まさか本丸で花びらによって初の死者が出るかも!?と、ひやひやした」 伏「カカカ!基本的に花弁はすべて入り口付近にためておくようにしておるからな!」 鶴「そりゃぁ入り口から入ればうもれるわwww」 桜「あそこにためておくとゴミ捨てやすいですからね〜」 月1「主よ、次から人を招くときは、裏門か庭から入ることをすすめておくがよいぞ」 笑いすぎて消えないレベルの花とかwww 何度聞いても笑えるけど、実際それを目にして体験してしまうと、笑ってられない。 ああ、今日もどこからか堀川国広と鶴丸と兼定の三重奏が聞こえてきてきそうだ。鶴丸はここにいるけどな。 火担「それにしても今日も空には綺麗な虹がかかってますねぇ。拝めば私にもいいことあるでしょうか。ナムナム〜」 花『付喪神を前にして、なぜ虹?どこの宗派だ?』 火「そういえばだれかが虹は吉兆の証って言ってたぜ・・です」 石「(遠い目)あれは、あの笑い上戸たちが笑いすぎたあげく、この本丸が鮮やかに彩り、七色では足らないとばかり本数を増やしたりする虹だよ。わたしはね、もう虹の数を数えるのはやめたよ」 火「ちょ!?石切丸さんが死んだような目をして語ってるんすけどぉ!?」 花『俺は、ピンクが嫌いだ』 火「先輩の眉間のしわがぁ!!!」 青「ふふ。ほんとこの本丸色が派手だよね」 蛍「派手とかそういう問題じゃないよ青江!死活問題の間違い!!俺たちこどもサイズで顕現した奴にはきつよこの本丸!ああ、もう!!ほーりーかーわー!!せめて虹が一本になるぐらいまでは笑うなっ!!」 一「ごもっともで。弟たちが来た時が心配です」 愛「そうだそうだ!ココさんとか!・・・俺もだけど。まじでつらいんだからな!」 掘「せっかくいっぱいあるのに吉兆の印を全面拒否してるwwww」 花『だから笑うな!!』 コ「ぎゃー!!!あるじさまぁ!!!こんのすけぇ!!たすけ・・・・」 「「「「ココさん!?」」」」 狐「ココ!?俺が目を離したすきに!?」 花『・・・なぜ自分と同じぐらいのこんのすけに助けを求めるんだココさん』 掘「ブフォッwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」 話をしている間にまた桜の犠牲者が出た。 慌てて庭にとびだし救出するも、桜が結構深くつもっていて危ない。 火「ココ、よければ桜の海が収まるまでの間だけでも。俺の肩か頭の上にいるか?溺れはしないと思う」 コ「かりんどのぉ〜(涙目)」 花『すでにでかい奴がたくさんいるのに。遭難者が出るとは。 機動の高い奴がほしいな。あとは、でかいやつを数人顕現させないとやばいよなこの本丸』 伏「うむ。拙僧が、つねに本丸にいれるわけではないしな」 狐「火凛殿。俺が」 火「ああ、大丈夫大丈夫だぜ小狐丸。 ほらよ、ココさん。 つーかさ、花宮先輩。このままじゃまじでやばいだろ。この先、短刀が来たら毎回溺れんじゃ」 明「花はん、今日なぁ、たのんでい(ずべ)ギャァ!?」 「「「カシぃーーーーー!?」」」 めんどうくさがりやと評判だが、ブラック本丸の影響であんまり動けないだけの明石国行〈カシ〉が、たまに自ら動けば、花びらに滑って・・・そのまま廊下から転げ落ち、ザブンと桜の花の中に突っ込んだ。 ああ、ついに大人サイズの男士まで桜にやられている。 この本丸マジヤバイ。 本当に遭難者が出てるし。 しかもすべった明石国行は、びっくりしたのか顕現がとけて、本体に戻ってしまったから余計大変。 〈カシ〉、なんて不運な子。 明石の本体が桃色の海に沈んでいくのみていた同じ来派の蛍丸と愛染が、絶叫を上げている。 彼らとともにこの本丸に来たという太郎太刀さんなんかは、慌てて二人を止めようとしていたが、間に合わず 蛍「いまいくからね国行ぃ!!」 愛「待ってろ!!」 外見に似合わずいさましい2人のお子様は、「とう!」っと掛け声をあげて庭にひろがる桜の海へと飛び込んだ。 それをみた字先輩がためいきをついて、桜の海の中で「たすけて〜!」と声を上げているふたりに『こうなるのはわかっていただろうに』と眉をしかめている。 そうしておぼれている子らの側にいた大柄の刀剣たちに、来派一行を助けるように指示を出す。 愛「た、たすけて主!」 蛍「国行だけはみつけるんだー!うわーん!!ここ庭じゃないの!?あ、足が届かない!!」 花『こら!短刀と蛍丸は庭に足を踏み入れるなと言っただろ!カシなら、身長が高い奴に探させるからお前らは戻ってこい。 チカぁー!!カシさんとこどもらが深みにはまったぞ!!池はかこいをしろといっただろ!』 月1「うむ?はて?池はたしかあちらの方に。あそこは・・・縁側との境目では?」 切「ついにあちらまで埋まったか」 鶴「・・・消失が間に合わないほど増産するとは驚きだ。つぎは花びらを漬物にでもするか」 花『こりゃぁ本格的に大太刀か太刀を増やさないとまずいか。あるいは機動の高い奴がいいんだが。 はぁー・・・とりあえず、しばらくお子様組は全員長身の奴と組んで動くようにしろ。どうせならココさん以外は、そのまま練度あげにでもいってこい!火凛、研修と思ってもついていけ。チカ!おまえが今日の部隊長だ。一期つれてっていいから子供らの面倒見てくれ。 オレはお前らが帰ってくるまでに、本丸なんとかしとくわ』 月1「あい、わかった」 火「よっしゃぁ!まかせとけ!!」 花『オレも道明寺はあきた』 火担「あ、じゃぁ私はそろそろ帰りますね」 花『土産に山伏国広作、ハナミヤ印の道明寺を持って行ってくれ』 火担「はい、いただきます。ごちそうさまです花の宮」 火「ここまで危険地帯とか……もはや池がどこにあるかさえわからねぇ。あー、戦場に行く前に愛染たちをなんとかしないとな」 花『タローさん、ちょっと来派たちの救出手伝ってやってくれ。青江!岩通しを連れてきてくれ!カシさんさがすから!』 太「承知(コクリ)」 青「もちろんきちんとやるよ。もちろん連絡のことだよ」 伏「主よ・・・数人、離れの部屋の中で埋まってるようだが」 花『ああ、たしかに。あの奇声が聞こえて来る部屋あたりに遭難者がいそうだな』 火「先輩help!!ゲートの操作する場所まで桜吹雪で埋もれてるっす。どんだけぇぇ」 花『・・・・・・フッシー』 伏「諾」 花『あーわるい火神。とりあえず花びら製造機の意識狩ってくるから、それまで待っててくれ』 火「う、うっす?」 火「ん?悲鳴と、真剣必殺が・・・聞こえる?」 どうやら草製造機もとい、笑い上戸の意識を刈りに練度カンスト済みの古参メンバー山伏国広がむかったらしい。 花宮先輩には錯覚だと言われたが、間違いなく笑いが途絶えて、一瞬本丸が静かになる。 カポーンと獅子脅しがなった。 火「ん〜おかしいな。 俺はたしか審神者の研修に来たはずなのに」 ・・・なんで。 なんでPINKの海から刀剣男士を掘り出すことしかしてないんだ? 【オマケ】 火「なにしてんだあいつ?」 ある日、「三」を背負う三日月を廊下でみつけた。 桜色の三日月が、ほてほてと優雅に廊下を歩いている。 だが、その背を見たとたん―― ゾワリ それで理解する。 彼は〈三(ミイ)〉じゃない。 目の前を歩く三日月が、〈ミイ〉でないのはあきらかだ。 そもそも〈ミイ〉であれば、歩き方が“優雅”ではなく、“ゆらり”っという感じだ。 疲れ切った感じがないので、間違いなく違う。 彼が桜色を着ているというあまりの違和感に、俺は思わず足を止める。 〈ミイ〉に化けた“彼”に、眉をしかめずにはいられない。 なにをたくらんでいるのやら。 火「なしてんだ〈四(シイ)〉」 月4「あなや。なぜわかった?俺の変装は完璧であったと思ったが」 振り返った彼は、きょとんした後、楽し気にこちらへ体ごと振り返った。 彼は普通の三日月宗近のふりをしているが、実は自分が動かず楽をするために知恵をまわし、周囲を犠牲にする――打算系宗近〈四(シイ)〉だ。 月4「火凛殿は、俺達のことを見分けできぬのに。なぜ俺だけわかる?今だってこれは俺の狩衣でないというのに」 火「アンタの知能犯的なところ―――花宮さんらしさがあってゾワッとする」 月4「はっはっは!主が言う其方の“野生の勘”かっ」 そのとき三日月の目が、獲物を見るようにギラリとひかり、楽し気に目を細められたのは忘れられない。 背筋に殺気以上の悪寒が走ったのは言うまでもない。 桜色の衣を待った〈シイ〉は、口元をたっぷりした袖で隠すと、狐のように目を弧に細めて笑う。 月4「ふふ。主が言うように“よい目”だ。火凛殿がただの見習いであるなど、ああ、いずれこの本丸を去ってしまうなど、おしいな。ほんにおしいことよ」 怪しげな笑みを浮かべて意味深な言葉だけをつげると、満足したような顔で三日月がこちらにくるりと背を向けてしまう。 ふわりと桜色の狩衣がひるがえり、三日月はさっそうと去っていった。 意 味 が!分 か ら な いっ!!! なんだあの目は! なんだあの捨て台詞は! こえぇぇぇよっ!! この本丸の三日月は、相変わらずおそろしい。 介護爺さんじゃなくて、腹黒率が多い。 なんか色んな意味で。あと違う意味でもこわすぎるわっ!!! っで。 俺、なんでおしまれたの? |