有り得ない偶然
++ 花火乱舞 ++




見習いがくるってよ
※時の政府事情。審神者について。刀剣男士と霊力について。などにいろいろ捏造設定あり!!

<あらすじ>
花宮成り代わり主が、審神者になれと時の政府に誘拐されて十年。
お母様のお願いにより、時の政府を理論と力技で乗っ取り済みな花宮。
なぜかレア刀しかでない花宮本丸。
成り代わり主の前世は、【銀魂】土方で、【大神伝】のチビテラス=最高神(←この設定重要!)
そんな花宮本丸に、見習いがやってくるこことに!?

<異界審神者とは>
・別の世界からやってきて審神者になった人のこと
・人外や異人というと言葉が悪いので、「異界審神者」とよばれるようになった
・うさぎ耳が生えてたりするものもいる
・とにかくこの世界とは別の世界から来た審神者につけられる名称
・夢主はこの世界の住人だが、前世の能力については「異界」のものであるため、ごまかすときに自分を知らない奴には「異界審神者」と告げている
---------------





 


<side 審神者な花宮成り代わり主>


さて。審神者になって、この異空間ではそろそろ十年がたとうとしています。
この時代からは、オレが生きていた時代は過去なので、あちらとこちらでは時空の流れが違ってきてしまう。
へたするとオレが審神者なって、現世では5年もたっていないかもしれない。
ま、詳しくはわからんがな。

この十年間、オレはなにをしていたかというと、 見送りの際の母の言いつけをしっかり守り、出陣より政府をたたきのめすことに力を注いでいた。

いや、だって、遠征とかいって帰ってきたらそのあと暇じゃん。
だから遠征・出陣の後は、母さんが言っていたことを実行しようと、国に圧力をじわり。ジワリとかけていた。
国を下層粋から外堀を埋めるようにじわりじわりいたぶるの、面白かったです。
そんなわけで審神者の状況改善に走っていたら、あっというまに十年の歳月が過ぎたわけです。

おかげで、審神者たちは、現世を普通に行き来できるようになりました。
フハッ!むしろゲートのシステム書き直してやったわ。
現世と本丸をつなげる仕組みに対するレポートをかきあげ、 政府によって、家族と無理やり離された審神者たちの救済案をたたきつけました。
資料は時の政府の役人を脅して、資料室閲覧許可を得ているので問題はない。
嘆願書も数千という署名も無意味です。そんなのは平成の世になる前から分かっていたこと。だって“上”の方は、不祥事をもみ消すのが好きですからね。
なので“改定案”をこと細かく出させていただきました。そのために、一時期ゲートを分解しましたが、うちのこんのすけがうまくごまかしてくれました。さすがです。

誘拐、拉致、説明不足、援助なし、戦争、娯楽がないから。
などなどなど。
言ってもきりはないぐらい、審神者への対応が最悪だった。
そもそも戦国後の日本人をつかまえて、刀で戦争しろとかバカのたわごとにしか聞こえない。
実際に血を見たことがある者がどれだけいる?実際の戦場を体験した者が。実際の戦争の作戦をたてられる者がどれだけいるというのだ。
お前らが血を浴びて戦場に出ろ!!と言いたくなるほどだ。

だからブラック本丸とか増えるんだ!
――という、各年代ごとの統計も作成済みで、政府にコピーをたたきつけましたが何か?
なんでコピーって。捨てられても何度でもプレゼントできるようにと、それといつこういった資料を作成したか。送付したかという証拠保存です。
もみ消すプロの政府なんか信用しないたちでして。

結論からして、それが功を奏し、年がら年中付喪神どもにとらわれてる人間の図――はなくなり、とある時代以降は現世からゲートをひらいて行き来が可能となった。
おかげで学生審神者は、普段は学業を優先することを許可され、緊急時のときのみゲートをひろげるという方法がかなった。

審神者になってくれと一般人に依頼する政府には、審神者候補生に最低一年の教育時間をもうけさせ、必修とさせた。
でなければオレの二の舞。困惑する審神者によって世界はあふれてしまう。
その教育期間中に、熟練の審神者のもとで1カ月ほど実戦を経験させることで、意味も分からず審神者が戸惑うことがないようにもした。

さらに五振りという初期刀の基準は、そもそも無意味であると撤去され、審神者として学ぶ研修の間に鍛刀の練習をする。
その際に顕現した刀が、初期刀という扱いになった。

これでオレのように、適当に10分の説明で本丸にポイなんてされるような審神者はいなくなった、あるいは激減したことを祈ろう。
審神者もたったひとりでわけもわからず見顕現の刀一振りと狐一匹と、本丸に放り出されることはないだろう。

ここでオレは政府にさらに条件を突きつけた。
まず審神者になった者を神隠しよろしく誘拐するのではなく、きちんと命のやり取りがあることを家族本人双方に伝え、 家族にも許可を得てから勧誘すること。
審神者の家族には、政府からきちんと謝礼金を支払うこと。
審神者は仕事である。ゆえに審神者にも給料を払うこと。
これらすべての条件を政府に飲ませた。
まぁ、そこまでいくのに十年かかったわけだが、そもそも現世と時の政府が管理する時間軸は流れる時間が違うので、 オレのいた現世ではまだ2、3年しかたっていないらしい。
元の時間軸と肉体は同じ流れを刻むことは判明しているので、オレは高校卒業した時から容姿は全く変わってない。
この肉体時間の流れが元の自分がいた時間軸と同じ時間を刻んでいるため学生が翌日には老けていたなどという違和感が現世では起きないのである。

そうやって、いろいろと対策案と実現可能なプランをレポートにして出し続け―― 抵抗されまくったあげく「日本の国ごと滅ぼされたくなったから言うこと聞けよ」という脅しのもと、 審神者に対する扱いの改善を政府に要求し続けた。



――とか。
政治的な話は、どうでもいいか。


今年、うちの本丸に、審神者見習いが派遣されることが決まった。
期間は安定の一か月。

ちなみにオレの本丸は、もともと小規模本丸である。
主軸は早いうちにきた、七振りをメインにまわっている。
そこから上記に記したように、時の政府をいじりたおすので忙しく、あまり鍛刀やら出陣をしてなかった。
そうこうしている間に、本丸がオレが閉ざされた空間であるがために、オレの霊力がパワーアップ。 何代か前の神様だったころの前世の影響が爆発し、本丸全体が“神域化”してしまった。
おかげで、短刀がこない。ドロップしてきたら刀が折れるなど。少人数運営のままで行くしかなくなった。
鍛刀でたまに刀がきても、鍛刀数値が4時間。

今はそこそこ人数いるけど、この本丸の古参メンバーは、以下七人。
山姥切国広
堀川国広
和泉守兼定
山伏国広
三日月宗近@
鶴丸国永
鶯丸

他の刀は――。
岩融、三日月宗近A、 小狐丸(小)、 石切丸、 小狐丸(大)、 江雪左文字、 三日月宗近B、 一期一振、 三日月宗近C、 三日月宗近D、 にっかり青江、 愛染国俊、蛍丸、明石国行、太郎太刀。

うち小狐丸は、一匹は亜種とよばれるあれだ。サイズがおかしい。
小狐丸以外にだぶってる奴は、三日月宗近が×4といったところだろうか。
そういえば、人数に三日月ツッキーズを含めていなかったが、・・・うん。あれは、まぁいいだろう。

たまに鍛刀も試すんだが、4という数字が出ると、三日月のだれかが発狂して炉に水をかけてしまうので、三日月は5振り目でとまった。
こなくなったから、うちの本丸では、相変わらず本数が増えない。
ちなみに青江、愛染、蛍、明石、太郎は、ブラック産にして、この本丸の神域の重圧に打ち勝った数少ない仲間である。

じつは、短刀や脇差が愛染以外いなくて、一期一振が物凄いしょんぼりしていて 、オレもでかいやつらばかりでコンプレックスしげきしてきてイヤで、頑張って鍛刀しまくった時期があった。
結果、惨敗だった。
短刀は一本も出ることなかった。
しかも頑張れば頑張るほど、なぜか三日月がでるので、三日月がいっぱいいる。
三日月人口が五をこえたあたりで、顕現はさせず鍛刀数値が「4:00」の刀は、その後すぐに連結してしまってる。
これ以上ご老人の面倒は見たくありません。


そんなわけで三日月が複数、というか三条が異様にダブルことが多いオレの本丸は、ぞくにいうレアオンパレードである。


はじめはレアなんてしらなかった。
どうやらうちの本丸の刀剣男士は、基本レアと呼ばれるような刀ばかりらしいと知ったのは、こんのすけの絶叫で知った。
短刀がほしいと何度願っても来ない。
おかげで一期一振りの恨みがましい念が、たまにオレに向けられる。
解せぬ。

しかも短刀だけでなく、普通によく出るという刀剣男士がこない。
山姥切国広も二回目とか、まったくない。
1:30。もはや憧れの数字である。
おかげで刀剣男士のコンプリートを目標としているだろう審神者の仲間にはなれそうもない。
コンプリートとかナニソレ?絶対無理wwwwっと、三日月が三人になった時点で、笑いに笑って、収集という考えはやめた。
学生時代のオレの言葉を借りるなら「優勝なんか目指してないんだよ!」と言ったところだろうか。
レアばっか。
そりゃぁ、あまりの引きの悪さに、早々にあきらめもつくというもの。


そんなわけで、最近の気分は隠居爺だ。
そんなタイミングできたこの「審神者見習い研修」。
驚きが薄れ、最近はもっぱらオレと縁側にいた鶴丸が、その言葉に目を輝かせたほど。

本来五年以上審神者をやっている者が、見習いを受け持つ。
そういう風にヤレ!と政府を脅したのはオレだが、ついにオレのもとにも来たかと思った。

オレの本丸はみんな仲良しだから、最近流行りの見習いによる乗っ取りとかはないだろう。
まちがってもこのにぎやかな本丸がブラック認定されることはないだろうし。
だって庭人は虹が出るくらい清廉潔白であるぞ。

っというわけで。
娯楽が向こうからやってきました。
喜んで迎えますよね。


花『よし!やろうども、見習いを迎えるぞー!』

「「「「おー!!」」」」







* * * * *







総勢22名。
これくらいならどこの本丸も似たようなものだろう。
そうして迎えた見習いは、思っていたのと違った。

一言で表すななら――

コ「!?お、おおきいでございますー(涙)本当ならココ、いえ小狐丸もあれくらい(滝涙がドバァー)」
狐「ココマル・・・泣くでない。お前は小狐丸ではなく、ただのココであろう!気をしっかりもつんだ」

そう。なんと現れた審神者見習いは、袴がツンツルテンとなってしまうのではと思ってしまうほどデカかった。
「審神者様、見習い様がいらっしゃいましたよ」とこんのすけが声をかけてきて、 彼に案内されて、みんなでくつろいでいた居間に直接とおされたのは、巨人と呼べそうな長身の青年。

彼を見て、大きい方の小狐丸の肩にのかっていた、小さい方の小狐丸ことココマルが泣いた。
小さなココマルを肩に乗せていた小狐丸などは、元が同じ分霊である為か、ココマルに連動して涙ぐんでいた。
お前はでかいだろ!?

しまいには二人そろって泣き始め、そんなを2人を苦笑して慰めるのは、我らがおかん山伏国広だ。


そして、ひとついいだろうか。
この見習い、でかいだけでない。
なんと―――

花『なんだお前か』
火「どーもここでは“火凛”と呼んでくださいwwwセ・ン・パ・イ☆」

このフレンドリーさでおわかりだろうが、彼は審神者になる前からのオレの知り合いである。
むしろ今世で生まれるよりも前からの、前世からの知り合いというべきだろう。
彼の正体は、転生仲間の神崎零。
もとい火神大我成り代わり主だった。

かわいそうなことに、どうやらこいつも霊力ありと判定をくらって、審神者に選ばれたらしい。
もちろん国に誘拐なんてことはされなかったようで、親御さんからの許可も得ているれっきとした審神者見習いのようだ。
彼は去年から見習い講習を受け、いまようやく実戦訓練に移行したために研修にきたのだとか。
あまり老けてないところを見るに、現世とこちらの時間逃れが違うのだとわかる(オレの容姿は十年たっても高卒のまま変わってない)。

火「あれ?そういえば先輩がここにいるってことは、審神者になってたんですね〜。お久しぶりです。
数年前から国家転覆をたくらんでそのまま姿をくらましたっておばさんが言ってたのに。こんなところで会えるとはびっくりっす」

どうでもいいけど、火神によると、どうやらオレは行方不明扱いになっているようだ。
しかもその理由が、国家転覆とは――いや、うん。一概に間違ってるとは言えないような。そのとおりのような?
母さん、よっぽど国に対してご立腹だったんだろうなぁ。
もちろん国家というか、時の政府にいちゃもんつけまくったがために、こうして審神者見習いという習慣ができたんだが。
ん?って、ことは、転覆はさせてないにしても立派に未来の国家を制圧しちゃった?

・・・・・・ま、いっか。


花『まぁ、いい。
ようこそオレの本丸へ』





うちの本丸に見習いがやってきた!
が、しかし。
知り合いだった。
どう対応しよう?――というオチ。















【オマケ】

火「っていうか、それ、客を迎える態度ですか?」

ようこそ〜とでむかえたはずなのに、なぜかじと目をむけられる。
まぁ、理由はわかるけどな。
わかるからこそやっている。
ぶっちゃけ、こんのすけが事前連絡なしに、みんながくつろいでさなか突然やつを連れてきた。
見習いを迎えるために掃除をする暇もなければ、身だしなみを整える暇もなかった。
ついでにいうと、口の中に入れた饅頭さえ飲み込む時間がなかった。
ごっくんと茶で飲み干した後、手にしていたものを彼の目の前で掲げて見せ、ニヤリと口端を持ち上げる。

花『なんだ。お前も饅頭たべたかったのか?』

研修生とか関係なく、広間で全員そろって、まったりできたての饅頭を囲んでだべていた。
だってこれがうちの本丸の日常なんだから仕方ないじゃないか。








←Back U TOP U Next→