花宮字と刀の出逢い4 (三日月編) |
※時の政府事情。審神者について。刀剣男士と霊力について。などにいろいろ捏造設定あり!! <こまかいこと> 花悲壮の花宮は複数の前世もちである! ※すでに二ケタ分は転生しているが、↓は必要な個所だけは抜粋 ・【大神】チビテラス 成り代わり ・【銀魂】土方十四朗 成り代わり ・【家庭教師ヒットマンREBORN!】XANXAS 成り代わり ・【黒子のバスケ】花宮真 成り代わり --------------- <三日月宗近 の場合> 月「俺の名は三日づ・・・」 花『フハッ。よろしくな三日月』 月「す、すま・・・いえ、失礼いたしました。申し訳ありません。どうか刀にもどしてくだされ。場違いでした。帰らせていただきたく」 近侍として山伏国広に手伝ってもらい花宮は適当に素材を詰め込んで、霊力を注ぎ込んだ。 現れたのは青色の天下五剣――三日月宗近だった。 そうして彼の霊力を注がれ鍛冶場で目覚めた三日月宗近は・・・ 土下座をした。 * * * * * 花宮字というのは、転生のしすぎで、すでに記憶容量が限界値に達している。 なにせ、花宮は魂だけで数えるのなら、平安刀さえ鼻で嗤えるほどに、この場にいる誰よりも長生きである。 そうして得た花宮の知識は豊富であるが、現在において新たなことを覚えるというのが苦手となり、花宮の記憶力はすこぶる悪い。 おかげで彼が興味のない知識は、その場で花宮の脳内から消えてしまう。 審神者になった花宮には、刀剣男士の知識は皆無といってよかった。 そもそもサポートとしてこんのすけという生き字引がいるのだ。覚える必要がなかったといってもいい。 ゆえに当時の彼に、レアとか、珍しいという概念も知識もなかった。 そのため、刀剣男士の引き当て度合いや、説明書に乗っているようなことは、すでに花宮の中から抜け落ちていた。 大まかなことしか覚えていない(覚える気がない)花宮は、そんなわけで歩く説明書ことこんのすけととともにその日は鍛刀していた。 こ「いいですか花宮様。前回は山伏様を鍛刀するのが目的だったため、詳しい方法を説明できませんでしたが、all50からはじめるのが普通なんですよ。その次に350くらいと、徐々に資材の量を増やさねば、鍛刀にまわす資材もなくなってしまいます」 花『じゃぁ、オール350で』 こ「いいですね。それでは前回は使えなかったので、これを使いましょう』 花『わるいな前回鍛刀したの一か月以上も前で』 こ「花宮さまの場合は事情が事情ですから仕方ありませんよ」 花『えーっと、説明をもう一度たのめるか?』 こ「はい、このこんのすけめ、承知ですよ。では、まずこれです。これは手伝い札といいまして、鍛刀の時間を短縮でき・・・ん?」 花『へーそれは便利だな。四時間またなくていいのかー』 こ「んんんん?!」 己の勘だけをたよりに、好きな数値分資材をなげこみ―――でた数字は「04:00」。 この段階でこんのすけは、有り得ないとばかりに顔をゆがめ、幾度もその数値を確認してしまった。 こ「ま、まぁいいでしょう。ではこれを」 こんのすけは“みないふり”を覚えた。 花『世の中便利になったもんだ』 こ「・・・それは花宮様が時の政府に圧をかけてださったおかげですね。少し前までは、最初の資材以外、札もなにもなく。審神者のためのものは配られませんでしたからね。 札の説明の途中でしたね。その札は霊力を圧縮しいっきにこめるので、鍛刀時間が短くなると同時に、普通より純度の高い霊力がおくられることとなります。そのため普段ではあまりでにような刀剣様がいらっしゃることもあります」 こんのすけの指示通り手伝い札を使えば、一気におのれの中にあるなにかが炉へ流れていくのを感じる。 勘だけが取り柄の花宮はといえば『ふむ。こんなもんだろう』と、どうやらうまく鍛刀できそうなことに満足そうだった。 そうして見ているまに、鍛刀時間の数値が減っていき―― 花『なるほどなーこんな感じか。これは人によっては一日に何度も使えるものじゃないな』 こ「ええ。ですから手伝い札はまだギリギリ数回使用が大丈夫だとしても。富士札などとよばれるもっと多くの霊力を持っていく札には、できるかぎり審神者に使わせないように、値段を跳ね上げることであまり審神者が手を出せないようになっています。日に何度も鍛刀させないために初期段階で炉を二つまでにしているのも、そういった事情から制限をかけるためです。 花宮様が堀川様と兼定様とともに時の政府に乗り込んだことにより、毎日鍛刀必須という無謀なノルマがなくなったため、現在の審神者様方は自分のぺースで鍛刀することが可能になりましたね。このおかげで審神者様が鍛刀のためだけに霊力を消費して死ぬということもなくなりましたし。 まぁ、炉を増やしたいと申請があった場合は、もちろんその方の霊力の量を確認させていただいてから許可を出すのです」 花『懐かしいな。一か月前の話とは思えないな。ところで――』 花『なぁ、こんのすけ』 こ「なんでしょうか?」 花『でてきた刀が、突然土下座した場合のマニュアルってないのか?』 こ「・・・・・・・・・・・かのかたは天下五剣が一振り三日月宗近様でございます。先程おつげした“めったにでない”珍しい刀剣筆頭様でございます」 案の定、鍛刀の数値が示していた通り、顕現されたのはレア度が高い刀。 美しい桜と鈴の音をたてて、舞うように優雅に青の衣を揺らし、うっそりと開かれた目は三日月が刻まれている。 その刀は、三日月宗近であった。 花宮は知らなかったが、そうして現れたのはレア度がハンパナイ刀ナンバーワンである。 こ「二度目の鍛刀で、極のレア刀をひきあてるとは・・・」 こんのすけは見ぬふりをしていたのだが、やはり目の前には天下五剣がいる。 しかもなぜか土下座をしている。 もうこんのすけは自分をごまかすことができず、現実を突き付けられ唖然とするしかなかった。 土下座されてるのはなぜ?と花宮にとわれようとも、自分が知るか!と叫びたいこんのすけであった。 横で助手をしていた山伏国広が、そんな口をあけたまま閉じられなくなっているあわれなこんのすけをそっと抱き上げ、なだめるように頭を撫でる。 こんのすけはキュンとばかりに優しい山伏国広の大きな掌に頬を擦り付け、ただの狐のふりに徹した。 三日月宗近は、刀剣男士として名前を名乗ろうとし、そのまま動きをぴたりと止めた。 そしてニッコリと笑う花宮を目のあたりにし、そのまま勢いよく土下座をし、ガタガタと震えだした。 目を開き、己が主をその目に映したとたん、三日月はすべてを理解してしまったがための土下座である。 かの神にさからうべからず。 さすが平安刀。 さすが自称じじいである。 一瞬にして、花宮字の素性を把握したようだった。 月「貴方様のような御方がなぜこんな下々の」 花『なんだ。ひとめでオレの内側にあるものがわかるとか・・・つまらん』 山「つまらんと言ってやるな主。普通はお主が天照大御神だとすぐに察せられる者などおるまい。平安時代はたしか、人とあやかしの距離が近かった時代。つけくわえるならそこからさらに千の年月を生きた刀ゆえ、三日月殿は主の正体に気付けたのであろうよ」 ガラっ! 堀「あっるじーおわった?わー天下五剣ゲットなんてさっすが!」 切「主、今日の夕餉はてんぷらがいいのだが」 ふいに勢いよく部屋のふすまがひらかれ、花びらまみれの堀川国広と、土のついた人参とかぼちゃをかかげた山姥切国広が入ってくる。 それに花宮は『玉ねぎはどうした』と首を傾げ、「兼さんがいま掘ってる」と山姥切国広がしかりと頷く。 仲間たちの会話を聞き、山伏国広が嬉しそうに笑顔を浮かべ、こんのすけが「わたしにもぜひ」とおかん山伏におねだりをしている。 了承の意として、山伏国広はこんのすけの頭をなでた。 っが、しかし。 月「お前たち!!言葉遣いをたださんかっ!!この方は我ら付喪神ごときが触れ合えるような御方ではないのだぞ!!」 これが日常であるのだが、それをしらない顕現したての天下五剣は顔を青くして、うわさに聞いていた介護老人はどこへ行ったとばかりに強く声を荒げる。 堀「アハハハ!兼さんみてみて〜。三日月さんてば、うちの兄弟たち以上にまじめだよー」 兼「そwwwそれはご苦労なことでwwwぶっw」 月「御方様を愚弄するか!?」 堀「いや、ちがって。なんていうのかな〜。ねぇー兼さん」 兼「だな」 堀「だって元から僕と兼さん、主の刀だし。転生してもついてきちゃったから、神気がすごいとか相手の方が上位神とかwwwもう慣れてるっていうかwww」 兼「そうそう慣れだな。俺達は主との縁がそこそこ長いwwwからwwwぷっwwwあ、あるじのま、前髪がいつからV字だったとか、 それを笑いのネタにするのもwwww」 伏「いや、普通は三日月殿が正しいと思うぞ」 切「兄弟、兼さん。お前らが異常だとしれ」 花『どうでもいいよ。もう神様やめたしな。 ってなわけで、三日月。もうオレの正体分かってると思うが、位まではわかってないよな? 一応名乗っておくと、オレはアマテラスな。大神というやつもいるが。まぁ、豊穣を司どっていた。 とはいえ、さっきも言ったが、過去形だ。今はただのひとだ。 ちょぉーーーっとわけありで転生して、“とある”江戸時代に〔真選組〕の土方とすごして、 今世の学生時代はバスケ選手として活躍してた。バスケってのは・・・あーまぁ、おいおいな。 現在は審神者としてお前らの指揮官的な役目を与えられてるんで、まぁ、そうおびえずここの審神者として仲良くしてくれ』 月「あ、あまて・・・(気絶)」 元一級神天照大御神の後継であったチビテラスだった花宮字の魂は、神として生まれたときから転生してもなお変わらずその神気をまとったままだ。 それゆえ本人が抑えていたり隠していたりすると周囲にはわからないが、神の端くれである刀剣男士、しかもそれ相応の年月を置いたものには隠していてもその神気の強さがよくわかるらしい。 顕現した三日月は、自分よりはるか上の神の気をめのあたりにし、そのまま気絶した。 後日、生真面目な彼は、本来の三日月宗近とは違ってまじめな性質だったようで、世話をされたい側であろうが、「大神の刀剣として恥じぬ行動を」っと日々精進をこころがけ、本山伏国広に本丸の運営について聞きながら、某噂のシュメイトアラバ〜のごとく身を粉にして働くようになった。 その結果、聞き分けのない笑い上戸二人と、すぐに鬱モードな布団子と化す初期刀らにふりまわされつづけ、三日月宗近はすっかり面倒身のよい厳しい父親のようになった。 そしていつしか世話されじじいは、ハイスペックな世話焼き爺様と進化し、 これ以降本丸に増えていく刀剣たちの面倒をかって出ることとなる。 月「なぜ大神だとみな気付かないのだ」 切「いや、もう気付いていてもあきらめてるというかなんというか・・・気付いたり叫んだり口外しようとすると殺気向けらるし。それを浴びるぐらいならもう見て見ぬふりをした方がいいとでも思ったんじゃないか」 伏「というよりもだなチカ殿。お主ら平安刀とは違い、他の刀剣たちは若い。神々と縁のない時代に生きる者たちゆえ。 それゆえ見ただけでは、隠された主のお力がわかる者はおらんということであろう。拙僧もキリもそうであるしな。あやつらのことは少しは大目に見てやれ。 ほらチカ殿、そのような小難しい顔をしていては若い奴らが怯える。饅頭でもくうてその皺をほぐすがよい」 その本丸の縁側では、小難しい顔をして新しい仲間への教育方針を考える三日月と、それを横で苦笑していさめる山伏国広の姿がよく見られるようになるのだった。 影で古参メンバーが彼らをおかんとおとんと呼んでいるのを新しい刀剣たちが驚いた顔をして聞き、やがてその名でよばれるようになるのは・・・もうしばらく先のこと。 * * * * * 「三日月宗近うちぬけが多いゆ・・・神!?」 『あ、“また”三日月でた』 「主よ。そろそろ重複刀剣所持の許可申請を出すことを薦める」 「あちゃー“五人目”の三日月も、誕生と同時に泡吹いて倒れちゃった・・・この三日月気絶騒動って、もう恒例かな?」 「ふん。同じオレとは思えぬ不甲斐ない。これは先が思いやられる」 「チカ殿、厳しく育てすぎるとまた“2番目”のお主の様に怠惰な性格になるやもしれぬぞ」 「あはははwww大丈夫だよ兄弟wwwうちの本丸には飴のおかんと、鞭なおとんがいるからね」 「それよりこの三日月宗近どうする?またチカが育てるのか?」 『却下だ。チカが育てると極端な性格になる。鶯あたりにたのむよ』 それから月日が流れ、久しぶりに短刀を行った花宮が見たのは、見覚えのありすぎる数値。 鍛刀時間が再び「04:00」と表示された瞬間、こんのすけと花宮はゲンナリとした顔をし、目くじらを吊り上げた五人目の三日月が「させぬ!」と声を上げて炉の火を消したのだった。 以降、その本丸で三日月宗近が顕現することはなくなったとか。そうでもないとか。 |