有り得ない偶然・花悲壮
-二人の入れ替わり日記-




短話A 海で寝る人投げる人・・・え?泳ぐひとは?



火『思うんっすが、これ海にまできた意味あるっすかね?』
清「さぁ?字が楽しそうだからいいんじゃないか?」

火『真さんもアザナセンパイもきっちり武装したあげく日陰から全く動いてませんが!?』





【 side 火神 成り代わり主 】





俺、火神大我成り代わりの零っていうんだ。
まぁ、オレのことはともかく。
え?TVに入り込めたり、異世界で無双しちゃったり、妖怪とかホイホイする奴の台詞じゃないって?
いや、俺のことはひとまずほっとけよ。

まぁ、何が言いたいかというと、原作に近い花宮真がいる世界に、俺の能力でまた遊びに来ているわけである。
メンバーは、俺の世界の宮地清志と花宮こと花宮字。
花宮字、このひとのことはよくわかってるとおもうけど、ザックリ説明すると、俺と同じ成り代わり転生者だ。 無意識の原作破壊神な身長の低い花宮さんってとこだな。あとアホ毛。
宮地清志さんは、字先輩の幼馴染みにして、保護者だ。

そんなメンバーで、この世界の奴らと遭遇してもばれないようにとおしゃれ筆頭職人な宮地さんに変装させてもらって、俺もついてきたわけだが。

やってきました――海。

こっちの世界は夏だったんですね。
つか、字先輩は変装しないのか。
他人の空似設定を貫き通すと。あ、はい。わかりました。



ところで、ずっと気になってたんだが。

火『なぁ、どうでもいいんだけど、なんで俺だけがお前らの荷物一人で持たないといけないんだ?』

花字「『だってお前一番年下だし』」

愚痴るように理由きけば、同じ声の同じ表情できょとんと返された。
さも当然と言わんばかりに、にじみ出るゲスさ。
ふつうこういう時は先輩の立場の者が、下の者を気遣うのでは?

字『なに言ってんだよバァーカ』
花「お前が一番体格いいじゃん」
字『適材適所だろ?』
花「弱肉強食だろ?」

花字「『ひ弱なオレたちになにさせるの火神君?(ニヤリ)』」

双子か!?
いや、同一存在だってのはわかるんだけど。つっこみたくなるぐらい挙動が同じすぎる。
しめし合わせたようなその同じ意味的な四字熟語とか、言葉をハモラせるのやめてもらえませんかね!!そのドヤ顔が一番きずつくんですけど!!
∈( ・ ´▽`・ )∋バァカwww   って、幻影がおふたりの頭上に見えたからな。

花「ところでさ、なんで海?あつい・・・」
字『いいじゃん海。オレは大好きだぜ。ロジャー爺様の故郷だ。それにな〜どうしてもあの青色といい波といい、見ると近づきたくなるんだよ海って』
花「お前って、変なもの好きだよな」
字『そうか?』
花「いや、だって熱いだけだろ。夏の海なんて。日差しがいてぇ。焼ける」
字『あー・・・うん。痛いな〜あれ』
花「だろ」
字『だな』

火『そう思うなら海に行こうなんて言うな!です!!』


頭にふわふわと翅をゆらす黒い蝶をくっつけ日傘をさしている花宮と、 大きな麦わら帽子をかぶった花宮が、独特の眉毛を「ハ」の字にして、夏は嫌だなと頷きあう。
思わずつっこんだら、大荷物を担ぐ俺に双子のような協調性を見せて二人の花宮が振り返る。

花字「『オレ皮膚が弱いんだよ』」

Tシャツに半ズボン、上着に薄手だけれど長袖のパーカーを着こんだ――まったく同じ格好をした、 まったく同じ顔の二人の花宮。 違うのはあたまにのっけているものと、髪の癖と身長くらいだろう。
その横を、明るい髪を黒に染め、伊達メガネを装備した宮地清志が、片手に布製の鞄を一つかついで並ぶ。
俺と宮地も髪を黒く染めているので、普段とは全く印象が異なる。

黒髪美形三人の後ろを、パラソルやイルカゴムボート(すでにふくらまし済み)と、 大きめのクーラーボックスを肩から二つ下げたおれが続く。

つまりこれだけの大荷物を持たされている身としては、海になど行く気がないなら、初めからやめてくれといいたいのだ。
だって、荷物重い。
まぁ、この火神大我の身体になってからはけっこうきたえたから、今回の荷物量が本当に無理というわけではなく、 まだ大丈夫なレベルではあるのだが。
重さはおれが長時間持ってギリギリのラインである時点で花宮コンビの頭脳が見事な演算をはじき出してのことだろう。だが、これ持ちにくいんだよ!計算して荷物持ちさせるならそこまで考えてほしかった。

花「皮膚、弱いって・・・あー、お前も?」
字『そう。めっちゃ日差し痛い』
花字「『だよなー』」

でしょうね!そうでしょうとも!!だって君たち、宮地先輩やうちの黒子より肌まっしろいからね! 病気疑いたくなるくらいヤバイくらい白い自覚ある!?

ったく。いたくなるならくるなよ。本当にもう。

清「あーやっぱマコトもか。うちの字もなー。色素がすくないのかね?日焼け止めを全身塗りたくらないと1時間後には全身大火傷状態。それがわかっていて字は構わず海に向かっていくバカだがな」
字『きょー兄、なぜにばらした』
花「あの痛みに耐えるとかマジで?バカなの?マゾなのか?」
清「バカだろ?」
字『バカですがなにか?』
火『ひらきなおりはやっ!?』
字『いや、瀬戸以上の天才であるマコが横にいるのに、自分の脳のなさを認めないのもあれじゃね?そもそもオレは勘で生きてるから、バカって事実だろ。
あと、あれだ。さっきの会話でバカを選択しないと、残りはマゾ。つまりオレは痛いの大好き人間ってレッテルを張られてしまう。それだけはさすがに避けたくてな』
火『あの一行にも満たない会話にそんな深い意味があるなんて誰が思うか!!』
花字「『あったんだよ』」
清「カガミじゃなくてレイ。こいつらと会話するなら、裏の裏の意味まで瞬時に読み取らねぇと揚げ足とられるぞ」
火『もういやだ』

自称バカと自他ともに天才なひとの会話のレベルが同じすぎてついていけないとか!!!
低レベルな口喧嘩をするくせに、その言葉の端端にふくまれた意味が奥深いとか。
どんな会話だ!





それから

火『キヨさん、あの二人なんで海に来たんですか?』

夏の海のビーチですが、さすがは花宮真が選んだだけあり、そこそこ空いていた。
もちろんパラソル砂に思いっきりぶっさし、持ってきたピクニックシートと椅子を広げた。
とたん、くつろぐお花コンビ。

なにくう?と、始からそうなることがわかりきっていたように宮地さんが、みずからパシられ。
俺なんかは準備できたから、シャツぬいで、海パンで・・・さぁ、遊ぶぞ!とおもったのに。
なにこれ?
なんで花宮二人は、パラソルの下で、本読んだりしてるの?
遊ばないの?
俺が苦労して持ってきた花さんの家から膨らましてきたビーチボールとかいるかさんとか・・・。

花「フハッそんなもんテメェーへの嫌がらせに決まってんだろ」

とても素敵な笑顔ありがとうございます。

って、なんじゃそりゃー!!!!!!!!!!!!!

花「いや、だってカガ、じゃなくてレイの顔が、誠凛のいいこちゃんそっくりで、青春してますって顔がちょっとむかついてマコペロ(てへ☆)」
火『同じ人物なんだからしょうがないでしょーが!!!!理不尽orz』
字『なーマコーやばいわ、オレ死ぬ。こんな日差しつらい背中ぬって』
花「ああ、終ったらおれのもやれよ」

さっきのおふざけはどこへやら。
ぬりぬりと物凄く真剣な顔をして、白い肌にさらに白くなれとばかりに日焼け止めを塗りあいっこしている花宮達。

本当にこのみため文系コンビ(中身バッチシ運動系外見詐欺師)は、なぜ海に来たのだろう。

落ち込んで砂浜にひざまづいていたら、戻ってきた宮地さんに苦笑された。

清「だーから俺がいんだろ。この優雅な生き物どもはほっとけ」
火『うう・・・キヨさん。あんたが神か!』
清「せっかくだからあそこのビーチボールやってる男連中全員轢いて来ようぜ!」

清「おいマコト、アザナ。俺ら遊んでくるから、お前らは大人しくしてろよ。レイみたいに人様をゲスッて遊ぶんじゃないぞ」
字『あまりにあつくて』
花「なにかやらかすような体力はないです」
火『ゲスどもが元気ないだとぉ!?』
花「褒め言葉ありがとう・・・なんていうかよばぁーか(ぐったり)」
清「うわーマコトがさきにノックダウンしたか。最近の日差しは暑いからなぁ〜まぁ、いいや。ほれ、帽子と冷えピタ。水分こまめに盗れよ」
火『さすがキヨさん。手慣れてますね!こんな猛獣先輩たちてなづけるなんて!』
清「アザナがいつもこんな感じだからな。っというか、アザナはロジャーさんに迷惑かけるなよ!」

びしっと指差し、頭に蝶をのっけた方の花宮先輩に宮地さんが、告げる。
簡易椅子に寄りかかってぐったりしてる方の花宮を心配するように側で顔をのぞきんでいた字先輩の頭上から蝶がふあわりととび、宮地先輩にまかせろとでもういうように上下にはばたくと、定位置のアホ毛のそばにとまる。

清「よぉっし!!じゃぁ、いっちょ、みせつけてやろうじゃねぇか!いままで俺がパイナップルを投下してきた分のこの腕力を!」
火『・・・せめてバスケで磨いた腕っていいましょうよ!』」



その後、俺らもまぜてくれてと、ビーチバレーイケメン軍団にからみ。
それはそれはさすがはあの花宮ズのお兄様とばかりの悪人のごとき顔つきで、宮地さんは敵を圧倒的な力でもってねじ伏せていった。
俺?俺は思わずひいた。
一人で五人をたおす悪鬼のごとき形相とか、さすがバスケ有力高校出身とか、そんなのどうでもよくなるぐらい、なんか対戦相手がかわいそう
漫画の主人公レベルの実力を持ったイケメンが本気で挑んでくるんだぜ。こわいこわい。
同じチームなのになにもしなかったとか。
思わず空を見上げて、バスケしてーなーとか思ったりする余裕があるくらいだった。












火『あ、アザナセンパイが男に絡まれてる』

清「・・・てっめっ!人の弟にてぇ出してんじゃね!!!!!!」

手にしていたビニールボールが語速球のパイナップルのように勢いよく飛んでいき、 パラソルの下でもめていた人物をねらいうちしたのだった。

なお、ここままですっかり強敵として仲良くなったビーチバーレやっていたやつらは、哀れなナンパ男を見て爆笑していた。
あんたら、宮地さんにおびえてなかった?え?拳で語らえば友情が芽生えるの?
青春ですな(遠い目)



とりあえず、そのあと泳いで、くって。時間が許す限り楽しんだ。
花さんズ?かれらは一部軽傷をおい、後日霧崎の仲間たちに絶叫されていました。

おしまい。





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