[有り得ない偶然] P4 × TOA



15. 癒しか爆弾か
※「」…TOA世界の住人の台詞   『』…トリッパーの台詞





 side P4主なのにティアな『夢主2』 





ようやく。
本当にようやくだ。

微妙でしかないが、世界の理から物語はずれ始めた。
これなら徐々にではあるが、ルークを救うこともできるかもしれない。
やっとローレライに約束した原作破壊に一歩近づけたかな。

そう思って考え込んでいたのがいけなかったみたいだ。




キャー!!おねがいどいて!いいえ!むしろたすけてぇ〜!!!



ぐしゃっ
「ぐはっ!」

六神将や、パーティーたちを感慨深げに見ていたら、どこからともなく声が聞こえてきて――。
上から?と声の出どころを見上げたところで・・・


物凄い重力が感じて、私の意識は黒に飲まれた。
その衝撃の後、最後の最後で顔に何かぐしゃりと生っぽいものがオマケのように降ってきたけど。いい匂いがしてお腹が、場違いにぐぅ〜って鳴ったけど。


え?
イマノナンデスカ?





**********





目が覚めたら土下座した女の子が傍にいました

なんてデジャヴ――





牢屋行きがボッキリ折れたか?と思いきや、大きな叫び声と衝撃とおいしそうな匂いと共に私の意識は途切れた。

なるほど。

どうやら目の前の土下座している彼女が原因らしい。
どうりで体の節々が痛いはずだ。
てか、空から降ってきた人の下敷きになって死ななかったのはギャグ補正?ロレ様補正?あの衝撃で死ななかった私に拍手を。だれか。
既に死亡フラグがたってたけどね。

『不可抗力とはいえ申し訳ありませんでした』
「いえ、怪我ないので大丈夫ですよ。どこか痛めてませんか?」
さんの、貴女のおかげでまっったく!ありませんから。大丈夫です!』
「そ、それはよかったです。ところでどうして空から」

『それなんですが…』

彼女の名前は 十六夜 遠那 (イザヨイ トウナ) というらしい。
遠那ちゃんに尋ねたら、彼女も戸惑っていて。
そして彼女から困惑気に告げられた単語に、私は頭をフリーズしかけた。
否。一瞬とはいえ確実に固まった気がする。

「な、並盛町…」

私の知る日本で聞いたことはある。ただしマンガの中で。
そもそも並盛という町が地球のどこかにあるのを自分が知らないだけかと思った。思いたかった。

そう。彼女の一言を聞くまでは――


『こちらに大人のわたしがいなかったですか?実は十年バズーカというのにあたってしまって』

彼女は間違いなく別世界の漫画《家庭教師ヒットマンREBORN!》世界の住人だった。
恐らく向こうの主人公たる沢田綱吉達の事情を知り、そして原作の近くにいる一人に違いにない。

なんだか、ややこしいことになってきたなぁ。
原作を変えたのはいいけど、もしかしてこの世界には彼女以外にも転生者とかトリッパーがいて、次々に来たりとか……しないよね(汗)

思わず遠くへ意識をとばしたら、「ハッ!これはお師匠様と同じ症状!?大丈夫ですか!しっかり!」と、顔を真っ青にさせた彼女の声が聞こえた。

彼女の師匠って・・・


苦労してるんだな。





**********





簡単に言おう。
遠那ちゃんが降ってきたことで、鉄壁防御を誇っていた私が意識を失い、形勢が逆転。
役立たずパーティメンバーたちが、集まってきた神将やらダアトの連中につかまり、遠那ちゃんも含めて牢屋に入れられたらしい。

彼女はどうやら一般人らしく、なにかできるかと問えば、若干のイタリア語と料理(しかも菓子のみ)ぐらいだという。
イタリア語って…さすがは《復活》世界の住人。

どうやら彼女はここが十年後の未来だと思っているようで、そのお師匠様というのをさがしたいのだとか。
うん。無理だね。
ここは彼女のいた世界でもければ、私には彼女を元の世界に還す方法もわからないし。

まぁ、彼女が《復活》世界の人間であることはこの際おいておこう。

しかたないのでしばらくは行動を共にしてもらうことになった。
なにより、遠那ちゃんは本当に一般人のようだし、しかも《TOA》をしらないし、トリップなんて望んでいなかったみたいだし。
こんな子をこの危険な場所――タルタロス以外もすべて危険な世界だけど、今はタルタロスが一番危険――に一人で放置なんかできない。



そうして牢からでるべく、話の流れは再び原作通りに戻ることとなった。
ジェイドの鶴の一言で、「骸狩り」が始動される。
そのとき遠那ちゃんの「え?骸さんを狩るの?」という発言は、たぶん某パイナップル頭の幻術使いのことだろうが、この際それはもう完全に聞かなかったことにする。



そこからは想像どうり、敷き詰められた荷物を動かせと……。

ああ、懐かしいな。このシーン。
ゲームやってるときは、あの上から口調のメロンと眼鏡には腹立ってしょうがなかったけ。

「じゃぁ動かしますか――」

私は考えるのをやめて思考の淵からあがって復帰し、荷物をどう動かそうかと腕まくりをして、一歩進み出たところで

「駄目だっ」『だめですっ!』
「え?」

ユニゾンする二つの声…ルーク様と遠那ちゃんだ。
あまりに突然叫ばれびっくりしてしまった。

「ここは俺がやる!」
「ルーク様?」
「お前ばかりやらすわけにはいかぬぇだろ。大体、さっきまで寝てたんだからおとなしくしてろっ」
『そうですさん!るぅくん、私も手伝わせてくださいっ!
そもそもさんが寝込んだ原因はわたしにあるんですから!』
「おぅ!よろしくなトーナ」
『ハイ!』

キラキラっとした目で「やるぞー!」「おー!」と意気込む二人は、互いに17歳だと言っていたが、こうやってテンポのよい二人がそろうと、どことなく年齢より幼いこどもが二人いるように見えて、思わず笑ってしまった。
それにどうしたと二人に問われたが、なんでもないと私が言葉を濁したせいか二人は顔を見合わせて首をかしげていた。
その様がやはり二人を全体的に幼く見せる。
ああ、なんか癒しだこの二人。

「お前もだぜ、ジェイド」
「私ですか?年寄りにやらせるなんて酷なこと言いますね」
「なにおう」

トリップなんて経験しまくったせいか、精神年齢が上なせいか、ジェイドのその言葉ではないが、二人の子供たちのやり取りにほのぼのとしていたら、なんだか私は孫を見守るおばあさんの気持ちが今ならわかってしまった。
いやいやでもね、私、そこまで年取ってないから。
そうだよ。つねに十代から二十前半までで麦価の身体だったんだから。中身が年取るなんて・・・・・・そんなのいやだなぁ。

『青いひとは…それほどのお年には見えないのですが。
あ、でもお爺様やお師匠様もかなりの童顔でした!みかけで判断しちゃダメですよね。ごめんなさい』

・・・本当に彼女の言う“お師匠様”って何者なんだろう。

「雪国の人間は老化が遅いのですよ」
『そうなんですか?でもそれって言い訳にはならないと思います』
「…それは、なんの、ことでしょう?」
『ひととしてはどうかと思います。
イタリア人は紳士の国。我々ボンゴレは、女、こどもを大切にする。と、リボーンさんが言っていました。あの暗殺部隊のみなさんだって、女性にはとても優しいです。
どうして年だからって、さんより力があるように見えるのに、手伝おうとしないんですか?
そりゃぁ、わたしはあなたたちとは全く関係はありませんし、さっきであったばかりで手を貸すなんていやでしょうが。
もともとの仲間なら、少しぐらいさんをいたわってあげるべきですよ。
聞いてれば戦闘も全部彼女にやらせっぱなしなんでしょう?それって…ちょっと、女からしてみては幻滅です』
「…なんですって」
「ちょ、ちょっと遠那ちゃん!(ひー!正論だけどジェイドが怖い…)」
「トーナすげぇ」

本当ならいつもどおりのたわいないたわごとで終わるはずだったジェイドの「誰が手伝うかよ」発言。
それが、空から降ってきた女の子ひとりによって崩壊しようとしている。
ぶっちゃけかばってくれるのはうれしい。
私もいい加減疲れてきてたしね。
でも。
でもね!
だからといってあのジェイドにケンカ売るような真似――いや、たぶん、出会って間もなくてあの陰険眼鏡のことを知らないから言えるんだろうけどさ。
あ、いや…それともヴァリアーなんてのの側にいれば必然的に、殺気に慣れていてもおかしくないわけで……彼女、いろいろと鈍いとか?

どちらにせよ、遠那ちゃんの言葉に、ジェイドがメガネをギラリと輝かせて不機嫌そうに告げた言葉に、殺気を感じ背筋に悪寒が走った。
…のは、私だけだったみたいだけど。

そして彼女は、そのジェイドのいら立ちを若干浮かべた真紅の瞳をまっすぐと見上げて、とどめとばかりに言った。

『人として。ましてや現役の軍人なら誰よりも力があるんじゃないでんです?』

その鋭い指摘に、ジェイドも私もルークも唖然と言葉をなくす。

き、貴重すぎる。なにこの子。
イイ!!

自分がルークを支持する偏った人間である以上、この《アビス》を知らない彼女の反応は、おそらく殺気に慣れてさえいなければ、まっとうな一般市民の反応なのだろう。
それをきっちりこのジェイドの嫌味や見下した態度を前にしてなお言い切れる度胸があるのは、さすがに一般人ではない気がするが。
新鮮な意見に思わず私は涙しそうになった。

ジェイドが研究者出と知らない遠那ちゃんからの意見は新鮮。
日本じゃ『軍隊=自衛隊』の感覚だと私は思うんだけど、そこはさすがマフィアが跋扈する世界の少女!

『見たところ、身体に問題あるわけでもなさそうだし。
あっても問題ない特殊な部隊にいるようにもみえないし。暗殺を専門とするなら黒い服でしょう?
…“それ以外”なら、【大佐】というのは大抵訓練された軍人ですよね?
まして大佐(その地位)にまで行くなら普通に暮らす同年代より余程鍛えていると思うんですけど』

(確かに鍛えていそう)

「残念ながら、私は頭が専門でしてね。
……指示をしますから、その通りに箱を動かしてください」

ジェイドは言い返せないのか、ずれてもいない眼鏡をくいっともちあげ、あざ笑うかのような笑みを無理やりはりつけ、先程の荷物を示した。
うわー。こいつあれだけ言われて手伝う気がないとか…。あ、遠那ちゃんが何か言いたそうな顔してるわ。
でもジェイドにしては、まさかの妥協案じゃないのかね。
だって「やれ」とだけ告げて、後ろの方で笑っているよりは、幾分かはましだと思うよ。
なんたって相手はあのジェイドだもん。
嫌味の権化。

それにしても遠那ちゃんの意見は、あの大佐も予想外の変化球らしい。
原作《TOA》のパーティメンバーをみると、一般人こそ常識があると思ったのは、きっとわたしだけじゃないはず。










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やばい。いろんな意味でヤバイ。
空気が固まってるんですけど(汗)
ああ、でも、遠那ちゃんって癒しだわ〜…いい。








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