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06. “どっち”が本当の彼女? |
side ルーク
今、俺は生まれて初めて、外の世界にいた。 記憶を失くす前にはでたことがあったのかもしれない。 それでも“俺となった俺”には外の記憶はない。 だから始めてと同じ。 あの閉塞された屋敷からでて、そこにあるものすべてが、何もかも見るものすべてが新鮮だった。 これが―――『誘拐』でなければ、もっと感動しただろうに。 ――そのすべてのキッカケとなった女、ティア・グランツ―――に視線を向ける。 俺はこのがよくわからなくて、とても不思議でたまらない。 襲撃犯で、事故とはいえ誘拐犯のはず。 なのに襲撃理由を問い質すつもりが、向こうから猛烈な謝罪の嵐で毒気抜かれた。 襲撃理由も聞けたし、バチカルに着いたら如何様にも好きに処分しろと言うわ・・・。 は自分のしたことを理解して、それの償いをしようとしている。 それから、おかしな話だが、は全身全霊で俺を護ろうと奮闘している。 万が一の護身として木刀は持っていたままだが、がミスしてないため、木刀が活躍した場面は今のところねぇ。 戦闘外は俺の疑問にも普通に答える・・・下手すると襲撃犯というのを忘れそうになるほど俺は気を抜いていた。 ―――バチカルに着けばが罪人として裁かれるというのが憂鬱になるほどには (だから違和感があるんだよな) ファブレ邸に侵入し、“ヴァン師匠を襲った”ときと、“今の”がどうしても結びつかなかった。 今居るなら、多分・・・もっとやり方は鮮やかで、確実に実行していると思う。 なにより、あの馬鹿げた襲撃を選んだというのが信じられない。 (てか、あんなに謝るならやらなきゃいいんじゃねぇの? ・・・つぅか。そういや戦い方も“あのとき”とは、まったく違ったよな) なんで襲撃の際にあんなちゃっちいナイフとロッドでヴァン師匠と戦ったんだ? 外を知らないとはいえ、俺でもわかるぞ・・・『あれ』で殺すのは無理だろう。 ましてや相手はヴァン師匠だ。傷さえ負わすのはムズイだろうに。 俺は当時の彼女の装備から、こいつは典型的な後衛型で、動きから見ても接近戦は不向きだと思い込んでいた。 だけど、タタル渓谷からエンゲーブまで、彼女が前衛も戦えると知った。 その証拠に、エンゲーブの店でロッドから早々ソードへと変わった。 (超振動で再構築されると、戦い方まで変わるのか?・・・まっさかぁ、なぁ?) だが、同じロッドをつかうにしても、扱い方が違った。 ソード扱えるんなら、最初から剣戟にすればなら勝率があったはずだ。 (ましてやペルソナを使えるんなら・・・あのヴァン師匠も危うかったんじゃねーのか?) ――― ○月△日 “ティア”と“”がよくわからなくなる ――― 結論は出ない。 ますます疑問は増えるばかりで、俺は書いていた日記を閉じて寝た。 |