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05. 彼岸の彼方へとぶ |
side ガイ成り代わり『夢主2』翌日はジェイド&ピオニー陛下経由で、城に再び招集をかけられたオレは、嫌な予感がして、騎士服の上にいつものコートを羽織っていった。 宿の前で待っていた案内役だというフリングス少将は、温暖な気候であるマルクトにもかかわらず厚着なオレに、不思議そうに首をかしげていたが、「諸事情だ」と告げれば、深く問うことはしないでくれた。 内心歯ぎしりして、雄たけび挙げつつ地団駄でも踏みたい気分だった。 事情を知るルークが背後で困ったように苦笑を浮かべていて、フリングス少将へのあのこの態度が一瞬乾いた笑顔をはりつけるなんてものに変わってしまったのは仕方ないことだろう。 とルークを伴って案内されたのは、昨日とは別の部屋だった。 そこで待ち構えていたのは、長い金髪をツインテールにした青色の瞳の… 「ガイ様〜!お会いしたかったですぅ!!」 と、盛大に語尾にハートをつけたトリップ少女・徹野 姫愛子(トオノヒメコに、出会いがしら早々飛びつかれた。 瞬間、背筋にぞわわわと鳥肌が立ち、朝からコートを着込んできて正解だったと思う。 右腕に張り付いて頬釣りまでしてくる少女にげんなりしながら、もう慣れたそれを無視していれば、ルークが困惑気なフリングス少将に事情を説明していた。 憐みの視線が複数くるのに泣けた。 それからしばらく。 待ち時間が30分をこえたあたりになってきてから、 「もう!おっそ〜い!!向こうが呼んだのに!!まだなのぉ〜」 「アニス。もう少し我慢しましょう。きっとすぐよ」 「そうですわ。もうすぐきますわよ。だって本物のルークとこのわたくしがいるんですもの。そうですわよねル、いえアッシュ!」 「フン」 「そうだよね!王女様をまたすわけがないよね!アニスちゃんうっかり〜」 「そこのレプリカ女!ボクのガイ様から離れなさい!」 「…私は彼に触ってないし近寄ってもいません。あなたこそ離れたらどうです?ベタベタベタと。うっとうしい」 「ちょ!そこの貴女!私と同じ声で変なこと言わないで!!誤解されたらどうするのよ!」 「…っるせぇ」 「ガイも大変だな」 聞いただけでわかると思うが、一番最初に癇癪を挙げたのがアニス。 それを慰めているのがあティア。わけのわからない理論を振りかぶっているのが、ナタリア。なぜか当然とばかり嬉しそうに胸を張って鼻息を立てたのがアッシュ。またアニス。 そして今度はこちら。 オレの腕にしがみついたままの夢愛が、オレの横に大人しく座っているにいちゃもんをつけ始め、それに対して口を開けば、同じ声で本物のティアが騒ぎ出す始末。 ティアとが同じ声なのは当然。 ここではティアのレプリカと言っているが、は別の世界のティアをのっとったのだから、声も体系も同じなのは仕方がないことだ。 服装や髪形でしか判断できないのも当然。 うちのは性格がいいので、微笑めば誰をも魅了してやまないモナリザのようなティアのに、なんで自分を陥れるようにキンキンとおかしなことを叫ぶのだろうかティアは。 だからこのティアは、同じ顔したと比べると般若のようだ・・・と、実はルークが言っていた。 だろうな。 オレも同感だ。 めんどくさいことになりそうだから絶対言わないけど。 もういやだ。 むしろ騒ぐのはかまわないから、オレにくっついたまま真横で騒がないでほしい。 耳がいいたい。 子どもの世話にも騒ぎにも【復活】世界にいたから、慣れたつもりだった。 いやいや。でも、こうも大人の外見で中味が子供のやつらの世話なんかしたことねぇーよ。 みんな外見も中身も子供で、彼らはきっちり十年を経て成長していったのだ。 あ。もうだめかも・・・ そろそろオレの魂抜け出ちゃいそうだよ。 側でルークがオレの名を呼ぶ声が聞こえたが、ふわ〜っと体が軽くなったような錯覚がしたときにはもうその声も耳に届かなかった。 あ〜・・・マジで魂跳んだかも? 疲労で。 あはははは・・・死んだはずのアリアとユニとγの姿見えるなぁ。 川の向こうんで手を……って、お、綱吉じゃねぇか。久しぶり〜。 え?なに?あっちにいっちゃだめって? でもほら、ユニがまってるし…。 あれ?待ってない?こっちくるなって言ってるって?そんな馬鹿な。 だってオレはあの川の向こうに行かなくちゃ・・・ 『どこにいこうとしてるの!?待って!それ渡っちゃだめだガイぃーーーーーー!!!!???』 |