君は白でオレは黒 IF2
[有り得ない偶然] ポケモンBW2 × XY






05. 君とは違う道
※キョウヘイの中身は、復活世界でXANXASだった夢主1です。口調がゲームとも違うのはご容赦くださいorz







 side サトシ





ミアレジムのタワーから落ちたオレたちを救ってくれた少年は、なんと記憶喪失だった。
自分の名前以外は何も覚えてないみたいで、手持ちのポケモンのこともまったく覚えてないときた。

あのあと病院につれもどされた男の子は、そのまま再検査を受けたが、頭にあるコブ以外の身体的問題はないようだった。
身体的には。だ。
問題は記憶の方にあって、彼は名前以外覚えてないようだった。
あのとき名前を呼んでいたはずなのに――彼は、自分のポケモンのことさえわからないしまつ。
病院に戻った後、彼のものらしい荷物を許可をえてあさり、でてきモンスターボールは2つ。
ボールをひらけば喜ぶポケモンたちがとびだし、【キョウヘイ】にかけよったのだが、当の本人は不思議そうに首を傾げるばかり。
再び落ち込んだリザードンと、それをなだめるピジョットという不思議な光景ができた。
それをみて、これはだめだと判断した医者が、プラターヌ博士をよんで、今度はポケモンやポケモン図鑑をもとに【キョウヘイ】の身元を確認しようとした。

そこでわかったことは、図鑑はイッシュ地方のものであること。
しかし壊れているのか、ポケモン図鑑は電源を入れても起動しない。
製造ナンバーから確認をとったが、該当する持ち主がみつからないこと。
しかも彼が持っていた二つのモンスターボールには、リザードンとピジョット。その二匹はカントー地方では普通にみれるが、イッシュ地方には生息していないときている。
さらに困ったことに、その二匹の〈親〉がこれまた違うらしい。リザードンは〈レッド〉。ピジョットは〈グリーン〉。それを示すように、彼らは首元にそれぞれの親を強調するような赤と緑のリボンをつけていた。
しかし彼らは忘れられても離れる気がないぐらいには【キョウヘイ】なついている。これは交換したのではないかとかという話題になった。

とにもかくにも、少年が名乗った【キョウヘイ】という名前は彼の持ち物のなにからもでてこなかったのだ。

なお、彼の鞄からは大量のタパーがでてきたというのは、これまた余談である。


「せめてトレーナーカードをもっていればねぇ」
「そうですねぇ」

そうでなくても図鑑が正常に作動すればそれだけでも問題は解消されたのだ。
とにもかくにも少年のこれからの処置をどうするかという話となり、だれのかわからないその二匹のポケモンを一度少年から離そうとしたらイヤイヤと首を振られるので、ポケモンはとりあえず少年があずかることになった。

「“親”も違うとなると、もしかすると彼は密漁者の一人かもしれません」
「彼がわるい組織の一員という可能性もなくはないけど・・・」
「ですが、それならポケモンたちがここまで彼になつくとは思えません」
「ん〜そうだけどねぇ。どうしよっか。しばらくこの研究所で」

『あの・・・』

「ん?」
『オレに旅に出させてほしいのですが』

自分を囲んで話す大人たちを見ていた【キョウヘイ】がふいに声を上げた。
その声はハッとするほど強い意志を感じるもので、手にはしっかりとなにかが握られていた。
まっすぐな瞳に思わず引き込まれそうになる。

『さっき荷物にあった“コレ”をみて、少し、思い出したんです。
オレはだれかに“これ”を渡さなくちゃいけないって。その誰かが〈だれか〉はわからないけど』

ギュッとにぎられた何かは筒のようなもので、氷のようなものに覆われていた。
その細いなにかを握る手に力が入るが、氷らしきものはピクリともしない。
氷じゃなくて、プラスチック?
わからないけど、今の彼にとってそれがとても大切なものなんだってことだけはわかった。

彼は言うなりその場で膝をつくと、焦るように、けれどやり遂げないといけないのだと強い意志を乗せて、プラターヌ博士たちにむけて土下座をした。

『身柄もわからぬ自分がこんなことをたのめるとは思っていません。
ずうずうしい願いだともわかっています。
だけど!急いでいたはずなんです!オレはたくさんのひとたちからたくされた“想い”を〈彼〉にとどけないといけなかった。
だからっ!オレにトレーナーとしての権限をください!旅をさせてください!
〈彼〉がだれかは覚えていなくてもこのカロスにいることは間違いないんです!お願いします!!』

突然土下座した彼に驚くものの、彼の切実な思いは感じていた。
不安そうにリザードンとピジョットが、彼の側に歩み寄って頬を摺り寄せている。

「顔を上げてくれるかい?えっと、とりあえず【キョウヘイ】くんって呼ぶよ?」
『はい』
「僕はプラターヌ。このカロス地方のポケモン研究者だよ。
だいじょーぶ。君が悪い子じゃないのは、その二匹をみててもわかったから。
うん!よし、僕が君の保証人になるよ。
だから【キョウヘイ】くんは、必ず君の望みを果たすこと!
ただし、毎日必ずかかさず僕に君の状況を報告するのも忘れないで。いいね?
それが守れるなら、僕は君にこのポケモン図鑑を渡すよ」



それから医者とジュンサーさん、プラターヌ博士の許可を得て、【キョウヘイ】もカロスを旅することになった。
そのときに博士から新しいポケモンをと言われたらしいが、手持ちの二体で行くと断っていた。

「あ、そうだ。サトシくんたちもこれからカロスリーグをめざすっていうからついていったらどうかな?サトシくんならいろんなところをまわるだろうし」
『え。イヤです』 
「「・・・」」

プラターヌ博士がイイコト思いついたとばかりに笑顔で告げたのだけど、即答だった。
それに固まるおれたちなどめにとまっていないかのように、【キョウヘイ】はピジョットとリザードンをモンスターボールにしまい、それと手にしていた〈謎の筒〉ごと、ごそごそと鞄にしまいこむ。
その際に、旅に必要なものを確認するように、鞄の整理をしていたとき、鞄の中からみてくれの鞄の容量をこえる多くの空のタッパーがでてきたのがちょっと気になった。

「え、えっと・・・それはどうしてかな?」
『お言葉はありがたいのですが、オレには時間がない。ハズ。
人の旅に付き合っているよりか、一人でいきます。っというか、なんというか・・・そこのサトシくんとやらと一緒にいると、確実にトラブルに巻き込まれて、あげく寄り道とかいっぱいしそうで・・・先に進まなさそうなので遠慮します』
「そ、そうかい」
「たしかにこの短期間でもすでにサトシくん、そうとう事件に巻き込まれてるよねぇ。急いでるんなら仕方ないか」

ロケット団のせいですとは言えない。
おれの旅立ちの日からついてきているので、かならずこの先にも会う可能性がある。イコール、事件に巻き込まれる。なんて言えない。
たしかにたくさん迷惑かけられてるけど、オレもポケモンにたよらずむってぽうにタワーに上るなんて真似しちゃったし。
いままでの別地方でのことも思い出すと・・・。
強くは言い返せなかった。

『数刻前、ポケモンのために後先構わず身を投げた人をみれば・・・間違いなく無理だと判断したまでです』
「はは。そうまで言われちゃぁなぁ。あたってるだけになにもいえないわ」
「ぴぃかー(うわぁ〜、あたってる)」



そんな別れと、ふたつの旅立ちの日。





―――とはいっても。
おれが聞いた話だと。
そのあと、キョウヘイはしばらく通院をしながら、博士のもとでお世話になっていたらしい。
結局、キョウヘイがミアレシティを旅立ったのは、おれたちが街を旅立ってからさらに先の話だった。








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