君は白でオレは黒
[有り得ない偶然] × ポケモン BW2



02. わたしの片割れ





はじまりは、仲の良い部活の先輩とデパートに買い物にいったこと。
そこでなぜか爆発が起こって「あ、わたし。死んだかも」って思うほどの衝撃が身体を襲った。
そして気が付けば、わたしは【モノノ怪】とよばれるアニメに酷似した世界にいた。

わたしのこと?
わたしの名前は――― )。

今度はトリップじゃなくて、突然生まれ変わった“わたし”の物語のこと、きいてくれるかな?





 side 女主人公な『夢主2』





怪(アヤカシ)ってよべる悪い存在があらわれて、師匠に「逝ってきてください」とあからさまな文字変換が間違った台詞と素敵な笑顔で送り出されて、オフダを手に泣く泣く妖怪退治にむかったはずだったんだけど。
逆にやられてしまいそうになって、「もうダメ!」と思って思わず目を閉じたら――

衝撃はいつまでたってもこなくて、恐る恐る目を開けたら、どこかの室内の見知らぬ天井を見ていたの。

体を動かそうとしても動かないし。
なんでだぁー!と気合で身体を動かしてみれば、目に映るすべてが大きく見えて、しかも自分の手はものすごい縮んでいた。

「ぁぶ!?(どういうこと!?)」

思わず叫んだら、変な声が出た。
気付いたら今度は赤ん坊だったとかありえないわ〜。ないわ〜って思った。
わたしはいつから、夢小説の主人公のようなオプションが付いたの。
そんなものあの爆発の時ってのはわかるけど。言わずにはいられなかったんだからしょうがないじゃん。

そんなトリップやら転生やらしちゃった『夢主2』こと、『)』といいます。

どうやらここはポケモンの世界らしく、それもイッシュ地方。
ゲームに関してはBWまでしか細かいことわからないけど、イッシュ編はアニメをみてたから、ある程度臨機応変も可能。
転生なんか初めてだけど、うん。なんとかやってるよ。

そういえば、今回はわたしに兄弟がいたの。
双子だから、ぶっちゃけわたしか彼のどっちが兄で姉なのかもわからないんだけどね。
ちなみにわたしは、その…生まれてすぐに、『』として自我が目覚めちゃったため、幼い頃なんてそれはもう羞恥地獄だった。
一緒に生まれたわたしの兄弟は、赤ん坊にしては静かだったけど、まったりと眠るのが好きな子だったし、平然と、そ、その…おかあさんからゴハンをもらっていたから、わたしとは違って前世の記憶も何もない普通の赤ん坊なんだろうって、一緒に生まれた男の子がうらやましかった。
せめて物心ついてしっかりしはじめたころに『』として目覚めたのなら、まだわたしは我慢もできた。
とにかくいい年した自我を持つわたしには、あの子供時代は耐えがたいものだったのはまちがいない。
早く世話をしてもらうような時期を卒業したくて焦っていたわたしは早熟だと言われたが、普通の子供らしい双子の兄弟は“普通の赤ん坊”のはずなのにわたしと同じペースでさっさとなんでもひとりでこなせるようになった。
そこでふと思ったのが、我が片割れの“名前”について。

「ま、まさかねぇ」

三歳ぐらいの頃、まさかとは思って、有り得るはずがないと、目を背けていたことが、実は正しくて、“それ”が真実なんじゃないかという結論に突然たどり着いた。
それは有り得ないことだと、横にいる子供は普通の子供だと信じていたけど――赤ん坊にしては穏やかな雰囲気を常に纏っているような気がしないでもないし、むしろもうお母さんやお父さんたちの言葉を的確に理解しているようなところが……すごく気になる。

だからわたしは思ったの。
彼もまた、わたしと『同じ』なんじゃないかって。

わたしは前世と同じ響きの〔〕という名前で、『』としての記憶も自我もそのまま継続して、ここに〔〕としてうまれた。
もしかしてわたしの片割れ君もまた“同じ”なんじゃないかと思ったのだ。
だってわたしの双子の兄弟として生まれた男の子の名前は、【モノノ怪】世界に行く前によくきいたそれと同じだったのだから。

疑問は核心になった。
だからわたしはあるとき決意した。
精神年齢とは比例せず、体に口調はひきづられるようでようやく単語からまっとうな言葉を話せるようになった。両親がでかけて留守のときをみはからって、ままよ!とばかりに、楽しそうにおもちゃで遊んでいた片割れに声をかけてみたのだ。

先輩、ですよね?」

おそるおそる尋ねたわたしに、わたしの片割れの彼は遊ぶのをやめてキョトンと不思議そうにこちらを見てきた。
その表情に“違ったか?”と肩の力を抜こうとした。そのとき――

「そうだけど。気付いてなかったの

「・・・・・」
?」

マジで先輩だったーーーーー!!!!!

つまるところ、この彼。実は以前の世界において、わたしの部活の先輩だった女性の魂が入っているようだ。
ちなみに彼女はあの爆発で死んでしまい、転生を繰り返しているとか。
もう何度か男も女も犬も猫もポケモンも妖怪にも成り代わったとかで、仙人の領域に精神が突立つしていた。
どうりでわかれたときの先輩と違って大人しいと思ったよ!

結局、互いに前世と同じ名前であったせいか、この世界に生まれてすぐに先輩はわたしがあの人の後輩の『』だと気付いていたらしい。
確信に至った理由をきいたら勘とかオーラの色とかいうから、相変わらず常識外の人である。

そもそもオーラの色って…なに?ってか、見えるものなの?
――こちらでは“波動”というそうな。
え。そんな説明いらないです。


「先輩はあの日々が苦痛じゃなかったんですか!オムツとか!そ、そのそのご、ごはんとか!!!」
「いや?子が育つためには母親の母乳は必要だろう?赤ん坊の身体では動けないのだから、上だろうが下だろうがだしたものの処理もしてもらうしかないだろうし。それがどうかしたのか」
「わ、わたしが!言いづらいことを!!ハッキリ言いいやがった!!」

羞恥ってないのかあんたには!

「ない。そもそもお前を含め大概の大人でさえ子供に見えるのに、いまさらだな」

普通は大人になればなるほど、あの子供時代を繰り返すことにためらいと羞恥心が出る気がするけど。
でないんですねぇアナタは。

「っていうかあのねっちょりした性格で、雄たけび連呼しまくってた、あの先輩がすごいドライ!!」
「ドライって、そうか?自分のことになるとあまりわからないものだな。
そもそもオレってば、もともとは犬だったときもあれば、鹿なときもあるし。電子精霊だったり、忍だったりマフィアだった時もあるからなぁ。が思うのと、根本的な価値観が違うんだろう。
オレの場合は、“生きる”ためならば、どんなこともためらわない。そういう生き方をしてきたから。
授乳なんて“生きるため”に必要なこととしか思わないんだが…。はそうじゃないんだろ」
「納得。ああ、らしい。らしすぎます、先輩。やっぱし人外として生まれたことあるんですね」
「そういえば〔〕は、赤ん坊の頃、やたらと泣いたりぐずったりしてたっけなぁ。特にかママンからご飯をもらったり、おしめかえるときか。あれは“そういう”ことか」
「いやぁぁぁー!!!!大声で言わないでぇぇ!!!」

みられてたみられてたみられてた!!!
ってか、このひと、もう人間じゃなくなってる!
思考回路も人間でもなければ子供のそれでもない。

お手上げです。





――そんな子供らしくない会話をした三歳の夏。

さらにビックリな情報を聞きました。

「なぁ、。…せっかく兄弟としてうまれたんだから“それ”はやめてくれないか」
「それ?」
「『先輩』よび。
XANXASでもいいけど。できればとよんでほしいかな。オレも『』じゃなくて〔〕って呼ぶからさ」
「わー。先輩、本当にずいぶんクールな性格になりましたね」
「まぁ、長く生きてるからな」
「ん?ってか、いまなんて?ザンザス?え?もしかしてあの【リボーン】のXANXASですか?」
「ああ、前世では綱吉たちにザン兄ってよばれてて。…あ。えーっと、いまのはうっかりいつもの調子で自己紹介をしてしまっただけで…」
「“ザン兄ぃ”!!おいしい呼び方ですね!」
「え。結局そっちに決定!?オレ、いま、お前の兄弟の〔〕なのに?そっちなのか!?」


人外だけじゃなく、先輩は漫画の世界の住人でした。
あ、これからは『先輩』じゃなくて〔〕と呼び捨てにすることを誓わされました。










■『夢主1』
・《有り得ない偶然》転生主
・男主人公成り代わり
・ひとつ前の世界は【復活】。XANXAS成り代わり
・自分が不幸に見舞われると周囲はラッキーフラグが立つという不幸体質
・すでに何十回も転生を繰り返しているため、精神は仙人域(色々と達観していたり)
・性別とか種族とか凌駕しちゃってる意味不明な人
・年上のヒュウの頭をなでたり飴を与えたりするのはもうデフォ
・フワフワしたものが好き
・151匹時代が大好きで、カントーフェチと呼ばれている
・前世イタリア人であったため母親を「ママン」とよぶ

■『夢主2』
・《有り得ない偶然》トリップ主
・女主人公成り代わり
・ひとつ前の世界は【モノノ怪】。薬売りの弟子
・魑魅魍魎、モンスター、妖怪、怪などのホイホイ体質
・今回で二回目の異世界横断
・夢主1が死ぬ前は、彼女の後輩だった
・ゲームとかアニメとかの世界だと思って、人生を楽しむことを決めたひと
・旅立ちは十歳だと思って救済の頃から準備をしていた

■ヒュウ
・BW2のライバル兼幼馴染み
・双子にまきこまれている
・夢主1に頭をなでられることを悪くないと思っているため、放置している
・めんどうみがいいが、苦労性
・手先がとても器用
・妹を大切にしている









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