[有り得ない偶然] 復活 → TOA



18. 元使用人とファブレと





 side 『夢主1』





 政務?
そんなの知ったことかと屋敷を飛び出したはいいもの、やはり自分がまかされていたものをほっぽりだすだけの甲斐性がオレにはなかった。
むしろ引き継ぎしたあとが問題で、この世界にはザンザスのときのように、オレの意を組んでくれるスクアーロのような部下がいない。
よって、残してきた企画が、オレの思い通りに動いていないことを知り、しかたなくファブレに戻ることにしたのが出家してから一ヶ月もたっていないある日のことだった。
おかげさまで不定期ではあるものの、それ以降ちょくちょくファブレ邸に顔をだすはめになり、出家というよりは、長期出張に頻繁に出かけていてなかなか会えない――程度の認識になっている気がする。
 坊っちゃまことクリムゾンは、オレがファブレに帰るたびに「いくなー」と諦めわるくまとわりついてくる。おかげでオレは日々腰にクリムゾンをくっつけて屋敷を右往左往するはめになる。
シュザンヌ様は「仲良くていいわね」と微笑ましそうにそれをみつめていて、以前よりか度胸も精神力もつき、顔色も体調もいいようだ。
サフィールはクリムゾン坊ちゃんにその譜業知識をかわれ、さらには医師としてのオレの助手と偽って潜入させただけあり、信頼を置かれている。
しかもシュウ医師がいないときなどしっかりシュザンヌ様をみてくれていたようだ。
今ではルークの家庭教師をこなし、その教養の高さと医療知識から、執事の次に使用人たちからたよられている。
サフィールがこの二年で一番の出世株――そう言うと本人は嫌がるだろうが――だろう。
オレが屋敷に戻った時は、たまに白光騎士団の隊長と手合わせもする。
弟子志願者は面倒で断ったが、メイプルな三人組にはいつも用事をいいつけたり、つかいぱしりにしたり、あのダアトの旅以降オレの私事に付き合わせてばかりいるので、彼らにはわびとして稽古をつけてくれと言われれば断らず教えたが、実用的でなければ意味がないからと容赦はしなかった。
そうして彼らはメキメキ実力を挙げていき、気付けば白光騎士団長を三人で追い越していたのには、びびった。
たまにルークも混ざるが、あの子はクリムゾンから様々な武器の扱いを実戦を想定して教わっているとのことで、会うたびに強くなる。
クリムゾンはなぜかオレにやたら甘えたがる坊っちゃんだが、軍人としても武人としても彼にまつわるその噂に違わぬ武才を持ち合わせていたらしく、教えれば教えるほどスポンジのように吸収していくルークの武術はクリムゾンの努力の甲斐あり、メイプルズに劣らないほどにメキメキあがっていく。

 そんな感じでファブレと外をいききしていているうちに、陛下(主に側に豚がいないの時に会いに行っていた)やルークともよく話すようになった。
もちろんルークに関してはとても親しみがわき、しだいに原作どうりにルークを見殺しになどしたくないと、このオレが思うようになった。
 だから始めはまったく干渉する気はなかったが、原作を変えることを決めた。
変えることで死ぬはずのひとが生き、逆もあったとしても…変えると決めた。
だからその年の始めにはクリムゾンに、栗色の浸入者が来る前にオレがそいつを捕らえることを告げた。
多分そろそろかもしれないと現行犯で捕まえようとファブレに帰宅する予定でいれば、オレが自ら足を運ぶ前にルーク誘拐の文字が書かれた召集令状がシェリダンに届いた。





『ねぇ、ど・い・て☆』
「そ、それはできない!」
『そうか。ならば、可哀そうだがお前ごとその門を解体するが』
「ひ、ひぃっ!だ、だが、ここを通すわけには」
『……』

 ――アルビオールmini009に乗って、バビューン☆とやってきましたキムラスカ。
オレの発生地兼実家(?)でもあるそのファブレ邸の前にて、オレは困った状況になっています。
もう少しすると、オレのこめかみに青筋が浮かびそうです。
なぜかというと門番がいれてくれないのです。
とはいえ、呼び出されたのはオレだぜ?
オレってば客よ。
というか、ここが実家に等しいんですが。
入れないと外回りで行った政務の後処理とか報告できないし、仕事できないし、自室でやすめないじゃん。ほこりまみれになってそうで気になるのに。
ルークに久しぶりに会って癒されたいし。むしろ癒しが必要でしょう今のあの子には。
それなのに。
なぜに、ここまで必死に門番に追い払われようとしているんだオレは。

 不機嫌です。
いっそのこと言葉通り、アルビオールの整備用に担いできた巨大スパナでもって、目の前の門を破壊して侵入しようかと思うほどには、この問答が続いている。

 クリちゃぁ〜ん。オレの坊ちゃん。たかが数か月顔を出さない間に、門番の頭が固くなったんですけどぉ。
ってか、オレの顔を知らないってどうなの?
そんな新人に、門まかしていいの?

あ、そうだ。オレの顔を知ってる騎士か、メイド呼べばいいんだ。
そうしたらいれてくれるよね?










ファブレ邸に到着するも・・・
アンタダレ?とお互いに思っていることでしょう。