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17. 元使用人の帰郷と召集令状





 side 『夢主1』





 そろそろバチカルでの土壌改善も進んだろうし、オレ好みの野菜たちをあちらに植えたり量産しようと、シェリダンで品種改良した野菜の苗木を袋に積めた。
「ちょっと実家の畑が気になるから帰る」とノエルたちに告げて、苗木をかついでバチカルに向かった。

 『ガイ・セシル』になりかわってから毛先以外斬らずに伸ばし続けた髪は、ここ二年間で髪が腰近くまでのびた。
『ガイ・セシル』の身体とはいえ、中身がオレに変わった時点でこの肉体はとまっているとおもわんばかりにゆるやかにしか成長しない。
だから原作より背も低いし若い。
しかし『ガイ・セシル』であることは変わらず、オレはできるだく原作『ガイ』に似ないように、苦肉のさくとして髪を伸ばしていた。
痛む先端をぬかし、二年切らないでいたら、あっというまで腰近くまでのびた。
オレとしては邪魔でしょうがないのだが、オレの髪を気に入ったノエルによってしっかり手入れされている。
 今日もノエルにいじくられた金髪は、こだわりぬかれた両脇にお団子二つ。そこからふさぁっ〜とツインテールになっていて――どこのセーラー服の美少女戦士だといわんばかりである。
だが、残念なことに、オレはセーラー服ではない。
オレならではの戦闘服であるのはかわらないが、しょせんツナギだ。
 油まみれに、ツナギ姿のオレを、ファブレ邸の人間たちがみたらドギモを抜くもかもしれないが、今シェリダンにはこれしか服がないのでいたしかたない。

 今日ファブレに帰宅するとはいえ、いまのいままで好きなことばかりしていたわけではない。
前世の影響ですっかりワーカーホリックぎみのオレが、自分がまかされた仕事を中途半端に放置していられるわけがないのだ。
なので出家とはいえ、実際にはちょこちょことバチカルに戻っては、ベルちゃんやクリちゃんと熱血白熱論弁バトル(+たまに拳)を繰り広げていたりする。
このあいだなんか、アニメをひろめてやった。
あと、カメラ技術を広めたので、ルークの写真集が出てた。
確実に隠し撮りだとわかるが、みんな可愛いくとれていて、実はいまちまたでNo1んお売れ行きを誇っている。
No2は『とあるメイド』というペンネームで名乗る女性が描いた、恋愛小説が話題だ。
もちろん。その双方ともに、その印税の数割はファブレ邸に換金されている(作者たちの承諾は得ている)。
プラント事業も調子が良く、この間、ベルちゃん、もといインゴベルト陛下に直談判して、プラント計画に関してマルクト皇帝から許可を得れるように書状をかかせた。
おかげでマルクトとキムラスカの国境うんぬんをぬきにして、二つの国の流通が徐々に良くなってきた。
耕耘機もいい調子だし、ベルシェリ連合では、一人の利用の飛行機も手掛け始めている。
別件では、「世界初を目指して」音素にかわるカラクリやら歯車を動員した動力による装置を開発中だ。
ぶっちゃけ原作どうのではなく、これらはすべてオレの趣味が発展したものである。

 今回はたまの『ぎょぎょ!?ガイさん陛下に突撃!襲撃+案件をこなしてこよう☆』という定例イベントではない。
なんとうちのクリムゾン坊ちゃんから、召集令状が届いたのだ。
そこにはルークが攫われたことが書かれていて、思わずオレはアゴがかくんとはずれたね。
予定では、原作開始前に一度ファブレ邸に戻って、事前にティアの襲撃を準備万端で待ち構えて迎え撃つ予定だった。
それがどうだ。
オレがシェリダンで油にまみれている間に、すでに原作が始まっていたと言うではないか。
慌てたオレは、その手紙がいつきたかも確認せず、ノエルに「帰る!」と告げて、大切な苗を持ってアルビオールmini009(しょせん二人乗りが限度の飛行機の9号機)をとばしてもらったのだった。

そんなわけで、帰郷します。










実家というか発生場所はファブレ邸――