[有り得ない偶然] 復活 → TOA



16. その時、歴史は動いた?





 side 『夢主1』





 ガイです。
一年半ほど前に、オレが発生した家を出家しました。
 とはいえ、そのあともまだキムラスカにいたりする。
なぜって、キムラスカ以外にこの世界にはマルクトしか国がないためだ。
ならばトウダイモトグラシとばかりに、キムラスカ国内にいるわけだ。
亡命もしてないのだから指名手配の書類が回ることもない。
 出家先はシェリダンだ。
場所の選択のは理由としては、『ガイ』ではないがオレは機械いじりがすきなのだ。
正確には、いくつか前の前世で電子生命体として誕生したことがあるせいで、数字や機械と相性がいいためだ。
この『ガイ・セシル』の肉体に憑依したあともあってか、相も変わらずオレは、機械仕事が得意であった。
なのであの出家騒動以降は、シェリダンあたりで譜行作成に携わりながら、腰を落ちついたわけだ。
 機械は好きだ。そしてオレがガイとはいえ、原作そのものの『ガイ』として見られるのだけは嫌だった。
運がいいことにオレが成り代わった時点で、成長はいわば止まったも同じ。
服装も性格も違う士、『ガイ・セシル』と同じ存在とみられることはないだろう。
けれど奴と同じ顔で、奴と同じ髪型をするのも嫌だった。
整形は怖いし、というかこの世界にそんな技術はないのだが。化粧とか嫌だしで、結果髪型をかえることにした。
もちろん服は目覚めたその日から、『ガイ・セシル』とは異なる衣装を着ていた。
 『ガイ』って信じられないよな。自分は特別だとでも思っていたのか、使用人のくせに、ひとりだけ私服だったんだ。
護衛騎士だから?だからってあのスパッツパッツンはありえない。
 かくいうオレは、いまはシェリダンにいるせいかツナギが多い。
ギンジとは仲良くなった。
けっしてピッチリタイツやパッツパッツ前髪パッツンしてない。
 そんなこんなでオレがファブレ邸で目覚めてから二年。
のばしに伸ばし続けた髪は、すっかり背中まで伸びた。
『ガイ』のように髪がツンツンしていないのは、オレの髪をいじくるのを毎朝の楽しみとしている少女がいるからで、おかげですっかり前髪も長く、全体的にサラサラストレートヘアーだ。
さすがに長いと毛は邪魔なので、作業中などはひとつに縛ってしまうが。

「ガイさん。いつも仕事熱心ですねぇ」

 オレが片手間に譜行の資料を読みながら、やっかいになっている家の皆様分の朝食の支度をしていると、なれた仕草でオレの髪を嬉ししそうにいじくるノエルが話しかけてきた。
今日のご飯のメニューは何ですか?と問われ、「爺さんとギンジが徹夜だったからかるいもんだよ〜」とかえす。
野生がたっぷり入ったコンソメ風スープに、といた卵をいれ、ふたをしてパンの準備をする。
 オレの料理の腕はファブレ邸でも評判はよかった。
たまたまシェリダンで、飯の支度をするかわりに泊まらせてくれと宿をたのんだのがこの原作キャラの家だった。
そのままアストンじいさんと意見が合い、思わず機械ネタで燃えているうちに住みこみで 働くこととなった。給料はがっぽりファブレからもらえるのでことわり、住居と寝床の保障の代わりに、料理を彼らにふるまうこととなった。
 ちなみに第七音素の実験中に汚れた第七音素が発生した。いわば瘴気である。
面白半分に色なことを試していたら、《め組》が参加。
気付けばそれの中和装置や封印解除の鍵となるもの。振動測定器やらが出来上がっていた。
原作のことを考えればこれはあるに越したことはないので、そのまま研究は続いている。
 同時にアルビオールに関しても開発は進んでいる。
現在はアルビオールも二台確実に仕上がり、さらに鳥をみならった小型の(一人か二人乗りの)飛行機が作成された。
そもそもが、しょっぱなから馬鹿でかい大型の飛行艇を作ろうしている時点で要領が悪いのだ。小型の物から始めるのが妥当であるはずなのにな。
そんなわけで、『誰も成し遂げたことのない、世界で初めての科学者になろうぜ!』と持掛け、煽った結果――噂のベリシェリ連合の間では“音素を一切使わない革新的技術”の準備が着々と進んでいる。
 オレの出番は、万物の根源を見れるオレの目を極限まで利用して、アルビオールをより軽く、さらにオレ好みのデザインへとかえた。
どうだ!タルタロスのようなズドンとしたでかっぱらなんて、めじゃねぇぜと―――― 趣味に生きるオレは日々生き生き油にまみれている。

 ガイのおもかげ?髪と目の色ぐらいしかないかねぇ。
髪長いし、ノエルがいつも髪の手入れしてくれるからサラサラだし。
そもそもオレが憑依した段階でこの身体の成長は遅くなっている。ピチピチの永遠の19歳だ。
原作より若い十代の成長発展途上だったガイに憑依したので、たぶん原作になったときルークより身長があるかはかなりあやしい。
あとオレ女性恐怖症じゃないから。むしろマフィアは女を大切にするもんだと言われて育ったし、それ以前から、女性には優しくしないといけないと叩き込まれているので、女性には年齢関係なく笑顔だ。


「ガイさん今日の髪型お完璧ですよ!はい鏡。ここでこうして、こっちであみこんで、まんなかからたらしてみましたー」
「おー。あいかわらずノエルは器用だなぁ。さんきゅー」
「あ、ガイさんガイさん!きいてくださいよ。今日、昼間なのにきれいな流れ星が見えたんすよ!」
「へぇー。ノエルは何かお願い事したのか?」
「もちろんです!アルビオールがちゃんと飛びますようにって三回!」
「あー。そうだよな。やるならいまのシェリダンの願いは全一致でそうなるよな。オレは複葉機が好きだからそういう一人乗りベースの小型飛行機が作りたいけど。それはこのアルビオール後にあたらしいエンジン技術の案だして…イエモンさんたちもに手伝ってもらうべきだよな。あれ」
「そうですねぇ」

「おーいノエル。あっき、なんか音素測量機に異常が…って。あ、ガイさん。今日もあいかわらずきれいっすね〜」

「ん?おはようギンジ。綺麗とかうざい。髪はノエルの趣味だ。
今日はほら二回目の大会があるから、できるだけまとめてもらってんだ。飯できたからアストンの爺さんも呼んできてくれ」

 料理をおえそれをテーブルに並べ終えたところで、ギンジが一つの紙束を持ってやってきた。
どうせ町のどこかで、誰かが譜業でもミスったんだろうってことで、音素以上はスルーされ――


「今年もやってきましたー!譜業大好きたちの熱いバトル!!
燃えろ炎!くたばれローレライ!!第二回【治癒術は使うな!暑苦しさに打ち勝て大会 】を開催いたします!」

――この日。
シェリダンでは、ベルケンドとシェリダン合同による厚さ比べに障害物競走がくわわった究極の大会(第二回目)が降り広げられた。
 それは参加者の性別年齢は問わず譜術による消えない炎でもって、常に温度が保たれたサウナのような熱帯地獄で、障害物競走を行うというものだ。

 そのころ、どこかの誰かが、悲鳴を上げていようが頭を押さえていようが、残念がらそのときのシェリダンには関係がなかった。

大会の優勝者はベルケンドだった。
負けたシェリダンは、さらんに燃えたらしい。










トキハモドッテ
原作開始時のこと――