有り得ない偶然 Side2
++ モ.ノノ怪++
02. 落書き帳、それは乙女のはじらい
「さんの時代には、随分と 便利な物が 出来ているようだ・・・」
「へ?」
-- side夢主2 --
パラッと、薬売りさんがおもむろに拾ったのは一枚の紙―――現代のルーズリーフだ。
今夜泊る部屋内で私の周りは一面紙だらけ。
その殆どが薬売りさんから習った薬の調合や薬草のメモ。
その見直しをしている最中だった。
(あ〜、また散らかすという悪い癖が・・・っ)
薬売りさんは私がやらかした惨状には触れず、畳に転がってるペンや紙に興味を持っていた。
「和紙とは また違う丈夫で、様々な材質の紙。
すぐに書ける便利な筆・・・しかも 染粉を用いた沢山の色筆まで。
滲みにくく乾きが早いのも都合がいい」
「―――確かに便利ですよね・・・」
(・・・一般の人は、こんなに書き物とか持ち歩かないだろうな)
絵を描くのが好きな私は、普段から大きなバックの中にらくがき帳を常備している。
しかも、トリップ直前は仕事後に同じ趣味の先輩と会う予定だったから、スケッチブックにルーズリーフ。
ペンもコピックやらカラー用として色々用意していた。
まさか、用意したこの大量な物が別の目的として有効活用されるとは、その時の自分は当然思わなかったけど。
(うん。調合とか書いたルーズリーフが学生時代の授業ノートみたいだ。これは)
で、理科のノートに近い。
「本当に さんの 持ち物には 興味がそそられる」
そう言ってチラッと、バックに下げた携帯に目を向け、笑みを浮かべる薬売りさんを見てふと思う。
(この人なら、教えたら携帯やデジカメの操作を即座にマスターしそうだ)
確信もないのに、何故かそう感じた。
(・・・らくがき帳が新品で良かった)
まだ何も描かれていない紙をめくり安堵を吐く。
丁度使い切った【前らくがき帳】に薬売りさんやハイパーさんの姿が多く描いてあるという―――本人には絶対に見せられない羞恥なものであったことを。
(モノノ怪が大好き故の結果なんだけどね・・・!)
それが似てる、似てない―――はたまた絵が上手いか下手なんて関係ないと思う。とにかく見つかった時に自分が恥ずかしくなるのは間違いないのだから。
「絶っ対見せらんない」
・・・実は一枚だけ薬売りさんを描いたイラストがファイルに入っていたことをすっかり忘れていた自分だったりする。
そして悲鳴を上げるような事態になるのもまた後日。