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06.深淵を覗き見る |
世界は一度崩壊した。 輝く一等星は消え、新たな世界が築かれた。 けれど、その真実を知る者は・・・ いや、失礼。星が壊れたなんて話は、無粋だったな。 事実を知っているのは、七番目の精霊たひとり。 それで十分だ。 小さな夕焼け色の始祖の隷長を精霊へと変えた乙女――ユリア。 けれど彼女はただの人であったがために、力及ばず、精霊の願いはゆがんで未来に届けられた。 そんな未来の世界。 世界を凛々しく染め上げる輝く一等星は、もう空にはない。 この世界、名をオールドラントといった。 ========== side 記憶を持ちし者達 ========== 空を見上げて、そこに浮かぶ幻想的なまでにキラキラと光を反射して浮いている譜石と音譜帯をみあげ、 そこから世界にむけて響いているような見事なまでの鐘の音色に耳を傾け、 “世界を見守る者”が今日も元気そうなのを確認し、少女は満足げに微笑んだ。 「ふむ。今日も“あやつ”は元気のようじゃな」 「ワン!」 今は旅の相方となっている青い毛並みのライガが、少女言葉に反応する。 横で犬よりも老成したような理知的な瞳をむけられた少女は、 人懐っこくシッポをふってすりよってきたライガに自慢のおさげを揺らして頷く。 「ワンワンワン!」 「ああ。そうじゃな」 まるで少女自身も魔物の言葉を理解しているかのようで、 ライガの吼え声のあとに柔らかく瞳を細めて少女はライガの頭をなでる。 「おぬしもそう思うか。ならば今日は晴れじゃな」 「クゥ〜ン」 「なに。“あやつ”の調子と天候は関係ないじゃと。いいのじゃー!うちの気分なのじゃ」 「クゥ〜ン…」 少女が胸を張って告げると、空から降り注ぐように聞こえていた音が変わり、風が彼女の髪や衣服をゆらしていく。 甘い花の香りを乗せたそれとともに、懐かしい“名”を呼ばれたような気がして、少女はよすのじゃーとくすぐったげに笑う 「ほらラピード。“あやつ”に笑われてしまったぞ。間違っているのはおぬしじゃ!今日は晴れじゃよ」 「くぅ〜ん」 「ちがう?そんなことはないのじゃ。“あやつ”も応援してくれていた!」 少女はニカッと笑うと、どこから取り出したのかおでんを片手に、走り出す。 「冒険家に国境は関係ないのじゃー!!!!!」 「わふっ!?」 「いくぞラピード!“あやつ”をさがすのじゃー!っと、ユーリもな」 その後。 呆れたような表情のライガをひきつれ、国境の兵士をなぎ倒して森の中を突き進む小さな冒険家が目撃された。 「おぬし、うちにほれたのか?じゃが、残念ながらうちの趣味じゃないのじゃ」 「わふっ!!!?」 森にいたはずの少女は、次にとある港の漁用の網に、タコの魔物とともにひっかかって発見された。 それをとめられなかった青色ライガは、まるで人間のように驚きの声を上げて、少女の代わりに漁師たちに謝罪をしていたという。 |
ND???? 《パティ・フルールサマ》 が “記憶持ち”とでかけた 港で 網にかかっておられました |
ND???? 《ラピードサマ》 が “世界”に 転生をおはたしに なられました |