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12. あなたがくれた安らぎに(中) |
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その安らぎは、人に癒しをあたえ 誰かの力となる その安らぎは… ときにだれかの不幸ともなりえる side リース ++ 何かに目覚めた瞬間 ++ 用は、諦めも肝心だということだ。 「ん〜。相変わらズ小っこいねぇぃ」 海軍本部に帰るなり、黄猿ボルサリーノさんに捕まった。 二ヶ月間、ガープじいちゃんの監督のもとエースと組み手をしたり、また風船やら谷やらのしごきをうけつつ、フーシャ村では楽しくすごさせてもらった。 平穏な日々は最高で。 訓練も海軍本部にいたときよりも緩やかで、これくらいならいいかとさえ思うようになっていた。 エースにはさらなる目標ができたとかで、そこからオレを奪回するとかで…相変わらず強くなんだ!と叫んでいる。 オレが海軍本部にいくよりも前のエースとは変わっていた。 「強くなりたい!」そう言うエースは、弱気そうな昔とは違って、目に強い炎を乗せて自らじいちゃんに修行をつけてくれるよう頼み、オレにも組み手をしてくれと頭を下げてきた。 弟の成長に驚いたものの、なんだか胸があったかくなって――とりあえず「航海術だけは絶対覚えたほうがいいですよ」っと、組み手よりも先に遭難防止策を叩き込んだ。 平和な日々。 穏やかな村での、のんびりとした環境。 だけどやっぱりただではすまなかった。 最近、なぜか嫌な予感がしていたため数日間は、獲物を狙う獣のように極力気配を消すようにして、じいちゃんから逃げ続けていた。 誘拐なんて前例があるので、寝て起きたら次の朝は見知らぬ場所だったとか…なりたくないので、夜ベットでは寝ないように心がけた。 だけどその日は夜ではなく、朝かたから事件は起きた。 村人総出の怒涛のかくれんぼの末、オレはやっぱりじいちゃんにみつかってしまい、とニコニコ笑顔の祖父に米俵のようにはこばれ、また海軍本部マリンフォードへとやってきてしまった。 永住予定が、約半年の本部外滞在だけとなって海軍本部へ帰還することとなった。 泣く泣く戻ると、おつるさんに「お帰り」と歓迎された後、その優しさと現状のむなしさにまた泣きたくなった。 あてがわれた部屋に行こうとして、廊下でボルサリーノさんと出会った。 背後から気配を消してずズかれ、そのまま抱き上げられてしまい顔に頬擦りをされた。 爺ちゃんとは違って痛くない。 痛くはない…けどしつこい。 「な、なにかようですか?というかくっつきすぎです!!あついあつい!!」 小さな身体を思いっきり腕を突っ張って逃れようと頑張るが、顔が少し放れる程度。 そのまま気にしない気にしな〜いと言われ、オレは部屋には戻れることなく移動することとなった。 ぬいぐるみでも抱くように両手で持ち運ばれ、気がつけば目の前には…これまたどこかで見覚えあるようなみごとなおかっぱ頭。 海軍本部マリンフォードの訓練用グランドにて、少し見覚えが歩けどそれよりも若い男がデン!と座っていた。 他には何もない。 訓練している者の姿もないので、不思議に思い、そのままどうするんだろうと首を傾げてボルサリーノさんを見上げれば、大丈夫大丈夫と頭をなでられ、少年と青年の間ぐらいの男の子の横に座らされた。 相手も座ってるけど。 …でかっ。 というより、オレが小さいのだろうか? 子供だからというのもあるけど、それでもやっぱりエースより少しチビだけど…。 横が大きいですよ戦桃丸さん! 「おぉ。オジキ。そいつか?オジキが気に入ってるって子供は」 なんと。驚きです。 うえぇ!?オレ、ボルサリーノさんに…き、気に入られてるんですか!? 「はじめまして〜リースと申します」 「おう。わいは戦桃丸。世界一ガードの固い男だ」 本当にあの台詞を言った! うわーうわー。原作キャラ万歳! ニッと笑って手を差し伸べられたので、そのまま握手をした。 さすがにここまでは…かたくないようで。 手はとっても柔らかかった。 じいちゃんよりやわらかくてやさしい。でもオレよりも遥かに大きなその手で頭をなでられた。 なんというか、ボルサリーノさんよりこっちになぜられてた方が癒される。 「おじき…おっきい甥子さんですね」 「オジキと呼ばれても、本当においっこか、おじかは…どうだろうねぇ〜」 ふと気になってボルサリーノさんに戦桃丸との関係を尋ねてみたら、う〜んと少し考えたとこっちをみて秘密だよぉ。っと、そっちの方が楽しいだろう。と、言われ、そういえば原作でも詳しくはでていなかったなと頷いた。 なるほど。 ボルサリーノさんが秘密主義、もとい楽しいことが好きだからそういうことは秘密なのか。 脇でまだオレの頭をなでていた戦桃丸が、あきれたように「オジキ…」なんて呟くのが聞こえた。 それから、意外と戦桃丸さんがかまってくれるようになった。 ほら、ここって子供少ないから。 子供っぽいかまいかたしてくれる人なんて今までいなくて、抱き上げるときも肩に荷物のようにもたれたり、歩調なんかこっち無視だし。 おいかけっこって、アレは追跡訓練って奴でしょう?まちがいなく。 しかもその他にやるのは、奇襲奇襲奇襲。 あとは外での遊びっていう名の全て訓練。訓練訓練訓練…。 できるだけ若い部類だと、下っ端過ぎて『ガープの孫』という代名詞に踊らされて、こわいのか近ズいてもこない。 そうするとやっぱり少ないわけで、お子様相手って言い切れないことしかしてこない他の大人たち。 そこへ現れた戦桃丸さんは、まさに癒しだった。 “たかいたかい”と称して、力の限り投げられることもなく。 側に戦桃丸さんがいるときは、奇襲されない。 なのでゆっくりできる。 しかも無理やり訓練とかされないので、側で本を読んでいても誰も文句を言わない。 たま〜に手合わせを頼むときがあるけど、そういうときは手加減をきちんとしてくれる。 手加減――今までじいちゃん(それもはじめの方だけ)以外は誰もしてくれなかったことを普通にしてくれる。 歩くときは手をつないでくれるし、歩調合せてくれるし、いざというときは肩車してくれるし…って、なにほだされているんだ自分!? 「飴、いるか?」 「いります!」 飴くれるし…。 うん、いい人だな。 あまりに普通でいい人過ぎて、いつだか泣けたのは秘密だ。 最近、地獄の訓練から逃げるべく、方法を編み出した。 これも戦桃丸さんのおかげで心にゆとりができたからだろう。 まず、イヤな気配が近ズいたら即逃げる。これは基本。 次は誰々が呼んでいると、大将連中の名前を言えば、その名前の威力に相手がひるむ。その隙に逃亡。 小さい身体を利用して、気配はできるだけ消すようにして隠れる。(オレは獣。オレはハンターだ。などと暗示をかけてみたりする) 本を読みたいときは、庭や人気のないところを探す。 けれど人がいたらすぐにわかる位置を確保する。 なぜってもちろん逃げるため。 ビバ!戦闘回避!! しかしそこで諦めてくれるような奴ばかりではないのでやっかいだ。 しかもオレ自身の身体は見ての通りお子様なため、力や体力がそれほどあるわけじゃない。 なのに相手さんは、こちらの体力などお構いなしだ。 そこでオレはある秘策を思いつき、最近では“オレ自身”で対処しなければボロボロにされることもないと気付き、自分の周囲に罠を張るようにした。 もちろん奇襲&憂さ晴らしにやってくる変人用だ。。 じいちゃんのような奴らに攻撃されればすぐに吹っ飛ぶ身体は軽すぎ、攻撃をさばくためには腕力が弱く衝撃を緩和している間に次が来ていつもボロボロ。 そこで考えたのが、“自分で手を汚さずにやってしまおう”という、いつだかじいちゃんにジャングル放置されたときにやった【迎え撃つ】という手法。 運がいいことにここには武器やら材料は山のようにある。 薬品がほしければ、科学班に言えばいい。 以前科学班で一度薬品をくれといったら、使い方を聞かれ、そんな使い方もあるのか〜と言われた。 それ以降薬品の使い方を報告する代わりに、ほしいものをもらえるようになった。 能力者対策もおかげでできている。 海楼石と海の水とかで、いろいろと。 落とし穴の下には本当は針山でも置いておきたかったけど、海に直通コースにしておいた。 能力者なら沈むからそれだけでいい。 戦桃丸さんと仲良くなったのも良かった。 戦桃丸さんは、科学班とも縁があるようで、使い方さえきちんと報告すればほしい材料を気軽にくれるし、武器を運ぶのも手伝ってくれる。 なので、戦桃丸さんはオレがどこにどんな罠を張っているか知っている。 知っているけど、うっかりで口を滑らせられるけど…もちろんそこも想定済み。 おかげで今まで以上に変人が罠に嵌る。はまる。 狩られる立場の獲物が、牙向いて狩る立場になった瞬間を思い知ればいい。 サクッ!ブチッ!! 「ぐわっ!!なんだこの縄は!」 キン!キン!キン!キンッ!ザスッ!「ぐはぁっ」 本を読んでいたら、どこかで草を踏む音がして、あぁ、あの辺の仕掛けが発動したんだなと思った。 いつものお礼です。降り注ぐナイフ。 だけどそこは計算済みだ。 足とか手しか狙わない位置だから、重症になることはないはず。 「ぎゃぁ〜!!」 ――ペラリ。 ズボッ!!「ぎゃふっ!!」 ―――ペラリ。 「まだまだ甘いな。やはり子供。こんな罠…ぎゃぁ〜!!!(三重トラップ!?)」 ――――ペラリ。 ズボ!「ちっ。こんな穴」バキッ!!バキバキッ!「ええ!?(二十底!?)しかもふけぇ〜〜〜〜〜〜・・・・・…」バッシャーン! あぁ、今、誰か海へ直通の下水に落ちたな。 それにしてもいい天気だ。 こういう日はゆっくり寝るに限る。 本を日差しよけにしてオレは寝ることにした。 一度フーシャ村に帰ったのも良かった。 “オレの癒し”が手に入れたのも良かった。 おかげで心にはゆとりがたっぷり。 そんなわけで、いままでの逆襲といきましょう。 体力なくてもなめんなよ。外見子供、頭脳は大人!なオレを!! これで海軍にいても自分の目標通り、穏やかな日々が送れそうだ。 願わくば、この幸せな日々が老後まで続きますように…。 まぁ、むりだろうけどさ。 「科学班と合作のトリモチ作戦です」 たくさん変人を捕獲できましたよ。 これなら海賊も簡単に捕まえられそうですね。 もちろん海兵も簡単に… ニヤリと口元がつい緩んでしまって、おつるさんに報告書を出しにきていた海兵が悲鳴を上げて逃げた。 失礼だな。 「はぁ〜。あいつに似てるんだか似てないんだかわからない子だね」 おつるさんにため息を疲れた!? それ以前に、あなたが示す『あいつ』とはじいちゃんのことでしょうか? え〜?どこが似てるのさ。 外見は…まったく似てないよな? どこがだ!? わからん!!! 罠という手段を思い出して以降、おつるさんが呆れたようにこっちをみるようになった。 ボルサリーノさんが、なぜかさびしそうにこっちを見ている。もちろん無視。 戦桃丸さんの横は気が楽なので、いれるときはそこで本を読んだり昼寝をしたり。 じいちゃんは罠にかかる人間を見て楽しそうにガハハと笑っていた。 センゴクさんは「なんてやつらだ」とオレとじいちゃんをさらに同一視するようになった。 赤犬サカズキさんは「あんな子供に負けるなんて、だから犯罪者が増えるんだ」と海兵たちをひきつれ鍛えなおしだとしごき始めた。 罠もしばらくすれば効果を出し始め、余分な力を使う訓練(奇襲ともいう)はしてこなくなった。 変わりに「あれくらい超えてみせろ!!」という誰かの発言のせいで、“オレへの襲撃”ではなく罠に自ら挑む更なる変人が増えた。 海兵の皆さんも大変そうだ。 うん。やればできるもんだね。 悪魔の実、オレの場合はあってもないようなものだけど、それがなくてもなんとか平和を確保できそうだ。 問題は海楼石やら、海水を大量に使う罠は、自分も微妙に弱るという問題点だけ。 まぁ、普段からゴロゴロと寝てるだけから、弱ってるようには見えないだろう。 これでだらけられるし、能力者だってこともばれずにすんで一石二鳥だろう。 それにしても能力というのは使わなければ、それはそれで意外とばれないものだった。 自然系ロギアじゃなくてよかった。 あれは身体そのものが『現象』になってしまうから。 きっと打撃攻撃で身体が飴のようにぐにゃりとなる人みたいになって…訓練再開初日で間違いなく、絶対すぐにばれていただろう。 あぶないあぶない。 ある意味、身体を戻せないとか…変な能力でよかったのかもしれない。 いやね、一番は食べないことだけど。 さすがにね〜食べた後にそれは無理だし。 きままに使い方を覚えていくしかなさそうだ。 しばらくは悪魔の実じゃなくて、罠でいこう。 ++++++++++ ハッピーかい?と某ばあさんに問われたら、ノリノリでイェーイ!と頷ける。 そんなオレの更なる不幸。 罠をかいくぐる人間が出始めた。 さすが海軍。 海賊や悪魔の実の能力者とやりあうだけある。 裏の裏を読んだオレの必死の作品が…。 引っかかる率が減っているのもイヤになる。 「なんでこんなところに!?」 だって、そこのトラップヒモぐらいみんなすぐよけるんだもんよ。 だからヒモをよけてふむだろう位置には落とし穴を設置。 それさえもよけようとすると、よけて足を着いた地面からは重さによってわなが発動! 俺の能力(こういう地味作業の時に使う)でうまく掘り返した地面の後を隠し、わっか状のロープは見事獲物を捕獲するとしまって、あっという間に宙吊りの刑。 これなら力のないオレでも、ぜんぜん力が要らないからね。 体重が重いほど勢いよく引き上げられる網とかもあるよ。 「「「ぎゃぁ〜!!!」」」 ちなみに、一人が引っかかると、どこかで別のトラップが作動します。 なにぶん体力のある海軍さん相手ですので、そこもきちんと計算して何段階も意表をつくものを用意させてもらっています。 なのに、それさえよけるって…。 しかも楽しそうだし!! あれか、サカズキさんが奴らを鍛えなおしたせいなのかこれは!? 「やめてくれ〜」 「うぎゃー!!」 なんか悲鳴が聞こえるけど…。 あのですね。 君達が俺を放置してくれたら、なにもしないんですよ。 誓ってね。オレは戦闘向きじゃないからね。 「そもそも勝手に飛び込んでるのはあなた達のほうじゃないですかぁ〜!!」 そんなわけで。 逃げてます。オレ。 なぜって、背後からは目をギラギラとさせて「うぉ〜!!」と後を追ってくる数人の海兵たち。 なぜ?なぜ、オレを追う!? しかも手に何持ってるのか聞たい。 武器か?武器なのか!? よせよ子供に。 それともオレへの恨みか!? オレがわな仕掛けまくったから? それならイヤだ。けど、武器を持っている理由がわかった。 逃げよう。 何かよくわからないけど、側にいたら危ない気がして逃亡。 手には、ついさっきまで読んでいた本をしっかり持って。 お菓子は…見捨てた。 あとでおつるさん、くれるかなぁ。 最近甘党になってきたオレの日々。 |