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09. すべてが違う(中) |
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side リース ++ まだまだ青い果実 ++ 一ヶ月越えの航海を終えたリースです。 えーっと、未知と遭遇して、さらにはお友達にまでなってしまったオレですが、生きてます。 UFO以来か、規格外生命体との遭遇は…。 せめてあれが幽●と呼ばれるものではなく、ゴーイングメリー号みたいな子であることを願おう。 だって怖いじゃん!! まだ船の化身のほうが怖くない。 さて、現状を述べると一度はフーシャ村に戻れた。 『一度』はね…。 「なぁ、リース。リースってば」 現実逃避していたオレを呼び戻したのは、すっかり原作の面影が出てきているエースだ。 ゆるゆると波打つ黒い髪もやんちゃっぽいニキビ顔も…あぁ、一年で人って成長するもんだなぁと、オレはしみじみとしてしまった。 どうやらオレがじいちゃんに攫われたことで、エースは「あのじじいを倒すぐらい強くなってやる!」と修行を始めたらしい。 できればもっと早く大きくなって強くなって、オレが捕獲される前に助けてほしかったが―――あのつらい一年を思い出しホロリと涙が出たけど―――今はルフィを抱いているし、十分心の傷は癒されたので許すことにしておこう。 むしろ殴る蹴る怒鳴るなんて、そんな余力さえオレにはもう残っていない。 オレのおかげで決意したというのも微妙なのだが、エースも腕を上げたようでじいちゃんを見ても逃げなくなった。 ごめんよエース。 オレはあの人を目にしたら逃げたい。 だって現状を見てもそういうだろう!? 現状―― そういえば、なんでオレの服は濡れてるんだろう? 目の前の湖に飛び込んだのだろうか? よくわからないまでも、今、オレ、エース、ルフィは、小さな滝の在る湖のすぐ脇にいる。 「おいリース!お願いだから戻ってこいよぉ!!おぉいっ!!」 「ハハ……五歳児に一歳児を抱かせて、四歳児と一緒にサバイバルって…」 「リース!?」 あぁ、オレの魂抜けそう。 しかも、いま、ヒュンっていうか、ひゅるんって音したよね!? エースの悲鳴も聞こえるし、オレ、相当やばいかも。 説明すると、ただいまルフィを抱いたまま、エースと密林に放置され中。 フシャー村に帰るとエースが物凄く喜んで歓迎してくれたのが、いまとなっては懐かしい。 これでゆっくりできると、またいつかのようにじいちゃんを無視してルフィを村長の腕からもぎ取り、ぎゅぅ〜っと抱きしめ……その後エースに怪我のことで泣かれ、説明が済んだところで―――記憶がない。 気がつくとオレの腕の中にはルフィがいたまま、オレ達お子様3人はみたこともない無人島の上にいた。 ちなみにどうして無人島かわかったかというと、側に書置きがあった。 『親愛なる孫達へ 村長も忙しいというので、ルフィと一緒に置いていきます いつものように水とナイフは置いていく 子供でも暮らしていけるだけ食べ物がそろってる島なので安心せよ リースは自分の武器を使え これもまた強くなるための訓練じゃ! 助けを及ぼうとしても無駄じゃ無駄。ここは無人島じゃ! わしも用があるから迎えは一週間後じゃ 1週間後に迎えにいく それまでがんばじゃ! By ガープ』 最後に犬のマークがあった。 後の被りもののアレかと納得した。 犬…意外と可愛かった。 けど、物凄く隣の文字が憎たらしくて、すぐにその手紙は破いて捨てた。 「食べ物はあっても野生の動物に襲われたら死ぬわっ!!どこが安全だ!」 そうしてオレはしばらく呪詛という愚痴を吐きつらね、生い茂る木々の合間に青い空を見つけ…無性に人生がどうでもよくなってやる気が抜けた。 ぷしゅ〜と効果音がしそうだ。怒りなんてあっという間にゼロ地点へ到着し、さらに急降下し続けマイナスまでたどりつき、ついにオレはその場に座り込むと現実逃避をした。 その様子にギョッとしたエースが、オレの名を呼びながら肩を揺さぶったりしてくるがそれも遠くに聞こえていたほど。 幽霊とか、UFOとか…なんか色々とありもしないものとの遭遇に思いをはせている間に、ルフィがぐずりだしてそこでやっと本格的に我に返るという状況だった。 まったくあの人は本当になにをしてくれちゃってるのかな。 オレが相手じゃなかったら、本当にお前の孫達死んでるぞと密かに思った。 それを容易に想像できて、オレは年には似合わないほど大きなため息が漏れた。 「なぁ、リース腹減った」 「あ〜、うん。とりあえずこれでも食べて、それから作戦でも練るとしますか」 「うん」 ぐ〜ぎゅるぎゅるぎゅるぅ〜 凄い音共に、エースにクイッと服裾を引っ張られ、一瞬この小さな子が哀れでしょうがなくなった。 オレよりも小さな体をして普通の人の数倍食べる弟二人は、ひもじそうな顔で腹をすかせている。 エースのおなかに続き、ルフィの腹まで合唱を始めたところで、オレはこの現状を作り出してくれた存在に殺意がわいた。 帰ったら本気でじいちゃんに逆襲しようかと考えた。 ぐ〜 ぐ〜 ぐ〜 なんてこった。 ついには三部合唱になってしまった。 オレの腹じゃないのは間違いないから、いったいどっちの腹が2回鳴ったんだろう。 食材は現地調達しなければいけなかったのに、オレが呆けていたばかりに…。 殺意は捨て置き、かわりに少しでもお腹を満たしてもらおうと、土産に海軍本部で買った煎餅の袋をあけた。 脇でポリポリと音がする。 なんだかいつもと違ってちょびちょびと食べるエースの姿は、ハムスターとかリスみたいでかわいい。 「問題はルフィか」 もう時期に二歳とはいえ、歯がまだ微妙だけど…あのルフィだし。なんか普通に肉とか食べそうで怖いな。 しばらくは果物とかすりつぶしたのでもあげるか。 それにしても。危険な密林でうまく安全に一週間過ごすにはやはり万全の準備が必要だろう。 ルフィもいるし。 この面子ではまだ誰も力がないし、助けは…本当に期待できそうもないな。 こういうときぐらいは子供たちを心配して密かに見張り役の人間ぐらいつけておいてほしいが、そんな気配すらない。 いないというのはあれか?これは、オレが信用されている証なのだろうか? それとも忘れられてる? そう思ったら、もし見張り役いたら…とオレは笑った。 「いたらいたらでやつあたりしてたでしょうねオレ」 うん。いなくてよかったね見張り役。 でも、本当にどうしよう。 あ〜、まじで人の気配ないし。 でもあちこちから違う気配はする…ジャングルだし仕方ないか。 チラリとエースをみると、空腹すぎるのか煎餅がまずいのか、微妙に哀愁を漂わせてまだ一枚目ももそもそと食べているがやはり元気がないような気がする。 ルフィは体いっぱいで空腹を現している。さっきより泣き方が微妙だ。まさか食べ物の気配を察知したのか!? まだお前には早い。 さすがに煎餅は無理だ。 オレ?オレはもとから人並み以下、小食なもんで煎餅なんか食べたらご飯が入らない。 それに何時間か前かは忘れたけどちゃんと昼飯食べたし、まだまだ平気だ。 長兄としては、ここががんばりどきだ。 そこらの獣のうなり声に近い大きな音を立てている二人の腹を満たさねばならない。 めんどうでも、生き延びるためには、食が必要だ。 あっちの方にいるメチャクチャ殺気出してる動物…あれ、食べれるかな? こういうときサンジがいてくれるとなんでも料理してくれるのになぁ。 今度マキノさんに、ある程度食べれる物体の知識を教えてもらおう。 あと料理法も。 本部にいるときからずっと持っていたナイフを引き抜く。 鞘もとってと…。 「ご飯の保障はできないですから」 エースに断ってから、ついでのように気配のする方へと投げるとギャゥンと悲鳴が聞こえてドサリと音がした。 うん。倒れたね。 「わーすげー!今のどうやったんだ!!」 隣でエースが喜んでるけど。 …一撃で死ぬって。悪いけどどこにあたったの? オレの方がビックリ。 だってさっきの言葉も自分たちの方がご飯になるだろうなとしか思ってなかったから。 とりあえず今日は食べれそうな肉ではなくて、食べれそうな植物でもいためて我慢してもらおうと思っていただけだし。 当てるつもりはいっさいなくて、気まぐれに投げたけど、それだって手元にそれしかなかったからで。 だってあんな小さいナイフだよ? この世界の生き物は大概大きいし、凶暴だから、あれくらいじゃ死ぬとは思えないんだけど。 それにほら、今投げたナイフは五歳児が投げるんだから手裏剣より軽くて小さいんだよ。毒だってぬってないし!? オレ、気配は人一倍読めるけど、力あんまりないし、まず投球とかノーコントロールだよ(見えてないから)。 うん、なんか…ごめん晩御飯君。 「それにしても本当にリース強くなったなぁ!!一撃であんなでかい奴たおすなんて!!」 結局、先程の巨大生物は、トカゲでした。 心臓がとても河の表面に近いところにある生き物らしく、腹の部分以外はすべて強固なうろこに覆われている。 オレの小さなナイフでおなくなりになった理由は、弱そうなオレ達お子様ズにおそいかかろうと立ち上がったところを、弱点であるやららかい腹部分のそれも心臓にナイフが当たって即死したもよう。 なんだか哀れだ。オレ達が運がいいのか、トカゲさんが運が悪いのか微妙である。 しかも今はその肉が晩御飯用に調理中。 もちろんうろこはしっかりおとしてからね。 焼かれている肉を見て、これはドラゴンボールのゴハンが緑なピッコロさんに修行してもらっているときのあのトカゲを思い出すなとひそかにおもった。 ドラゴンボールでは、シッポを毎回ご飯にされてドンドン斬られていく大トカゲ。 同じような感じで、大きなトカゲがたおれていて、しっぽが現在火で焼かれている。 そのシッポの先端は、エースの腹の中に入っていこうとしている最中。 オレ…ごめん。食べれません。 気持ち悪いとかじゃなくて、そこら辺にあった果物を食べたら腹が満たされてしまったので。 エースはまだまだ食べられそうだ。 じいちゃんもそうだけど、本当にこの一家は良く食べるなぁ。 オレ、そういうところなんで似てないんだろう? 違うところは似てるらしいけど…。 まぁ、いいや。 まっとうな人間らしくていいじゃないか。 エースはモグモグと口を動かしつつまだこちらをほめている。 早く早く。とその目が明らかな期待を含んで、オレの次の言葉を待っている。 う〜ん。そんなにキラキラした目で見られても困る。 だって、あれは偶然だし。 この際、はっきり言ったほうがいいよな。 ここで尊敬されても困るし。 「なぁリースってばぁ!おれにも教えてくれよ!!あのスパン!ってやつ」 「え?ごめん。あれ、偶然」 「は?」 正直に言ったら、エースの顔がびっくりって感じになって動きが止まった。 いや〜、いつみてもこいつのこんな顔は面白い。 じいちゃんもそうだけど、どうしてこうも感情豊かね。 純粋だね〜。 「えーと。ジャングルって危険なわけですよ。 それで長兄として弟達を守ろうとしました。 脅し程度のつもりで、たぶん足を狙ったつもりだったんだけど…なんでか直撃してたんですよ。晩御飯君も運がない。かわいそうに」 そんなわけでそれでトカゲ君は晩御飯になったわけです。 う〜ん。これって、可愛い弟の夢を壊すことになるのか? まぁ、オレがほとんど見えてないのは事実だし。 そりゃぁ、間違いの一つや二つ…ねぇ。 「……」 「あ、言ってなかったですか?オレ。ノーコントロールですから」 「うぇっ!?なにそれ!?それって下手したら俺たちが死んでたってことじゃ!!」 うん。死んでたね。オレによる不可抗力のせいか、あのトカゲに襲われてたか。 まぁ、生きていたからよしとしよう。 「だからはじめに言ったじゃないですか。『ご飯の保障はできないですから』って」 「あれってそういう意味なの!?リース怖っ!!」 なんて恐ろしい子と、どこかの漫画のように小指まで立てたポーズでエースは震えているが、事実は事実だしね。 今回は赤ん坊のルフィもいたので、作戦としては【刃物で脅して敵を遠ざける】予定だった。 それがなぜか運よく晩御飯までありつけただけで。 オレ、いつからこんなに活動的な子になったのかな? ああいやになる。 なんでこんなところでサバイバルをしているのかな? だってやっとあの奇襲地獄から開放からされて、オレはだらけてでも生き延びるられる新天地フーシャ村に戻ってきたはずだったのに。 また、死に掛かっているような気がする。 このジャングルにいるだけでもいつ死亡フラグが立ってもおかしくない位置にいるのに、さらには身を守るすべさえ知らない1歳児(もうすぐ二歳)付き。 どう考えても普通の子供なら三人とも死んでる環境。 どうしてこうオレに身近には危険しかないんだろう。 ハァ〜。 じいちゃんのアホ。 ++++++++++ 島での一週間はハードだった。 サーベルタイガーに追いかけられたり、木に登ったり。 釣りをしていたら、こないだのサーベルタイガーとなぜかお友達になれたり。 海の水をろ過して作った塩でもって、肉とか魚を料理をしてたら、エースに誉められたり。 食べられそうな果物を見つけて、見よう見真似で料理なんてものをしてみたり。 寝る前は、二人で星を見上げながら、離れていたこの一年のことを話し合った。 甘い果物ではジャムを作ってみた。 乾燥させると粉っぽくなる実をみつけた。 それで粉の料理に挑戦したけど、お好み焼きには遠く白いクレープみたいのができた。 エースには好評だった。 そうしてジャングルの猛獣たちをやりすごしたり、「うぉー!!」とか「ぎゃぁ〜!!」とか日々何度も叫びながら過ごしていたら吃驚することがあった。 驚いたこと。 やっぱりルフィが肉を食べた。 えぇ!?その塩漬け、そのなさそうな歯で食べちゃったの!? く、果物で我慢しようよ。 エースがじいちゃんそっくりの馬鹿笑いをしていた。 とりあえずルフィは赤ん坊でも食べっぷりは原作とまったくかわらなった。 「これで…ひとつ心配がなくなりましたね。 ただ逆に、赤ん坊なのにいいのかっていう疑念は生まれましたが」 「歯が丈夫そうだよなルフィの奴」 「エースとどっこいどっこいだと思いますよ」 「そうか?」 おいかけ、おいかけられ…そんな野生生活が始まって4日目。 剣捌きではなく、包丁捌きがうまくなった。 謎材料による料理のレパートリーが増えた。 サーベルタイガーは、食糧を供給してやったら、強い敵からも守ってくれたり、一緒になって逃げたりしてすっかり意気投合して仲良しになった。 っで、 おめでとーオレ。 この修羅場の中で、なんとか生き延びているうちに誕生日が来た。 ついに6歳になったよオレ。 エースが朝からいつもより多く魚を釣ってきて祝ってくれた。 うん、これでオレはついに23歳(精神年齢)か。 振り返ってみてもこの六年… はは。すっかり人生やり遂げたような気がするよ。 特に去年一年ですべて終わった気がしたな。 ――年、とったなぁ。 喉がかれてるのは、きっと獣とのおいかけっこで悲鳴を上げすぎただけじゃなさそうだね。 じゃぁ、体が痛いのは筋肉痛や擦り傷のせいじゃなくて、年かぁ…。 なんか……いやな誕生日だな、おい。 年をしみじみと感じていたその日の午後。 オレが更なる絶望を感じる直前のこと―― エースと喧嘩した。 その延長で、エースが言った言葉に腹が立った。 「…そうやってルフィばっかりかまうんだ!」 「だって、まだ状況理解してない子供ですよ?このまま放置はできません」 だってルフィってば勝手に出歩くし、さまよっては迷子になるし、動物に食べられかけてるし… さすがに放ておけないじゃないか。 「いいよもうリースなんか!! オレだけどうせ本当の兄弟じゃないし!!どうせ海賊の子供だ!!」 その言葉にハッした。 エースは自分で言った言葉に傷ついているのか、本当に泣きそうだ。 あぁ、そうか。エースは知ってたんだなと思った。 どうして自分だけ名前が違うことも。 父親が誰なのかも、なにをした奴なのかも。 原作ではいつからエースが、ゴール・D・ロジャーのことを知っていたかは詳しくは触れていなかった。 けどきっと自分で気付いたんだ。 周囲の言葉や態度で…。 まだ5歳なのになお前。 いまからもう、ロジャーのことをその小さな背で背負っていくのか。 「リースなんか嫌いだ!!」 「なっ!?」 ……だからといって、それはないだろうマイブラザー? めんどくさがりやのオレが、せっかくお前の負担を半分背負ってやろうと言おうとしたのに、それかよ!? 「このドアホー!!」 買い言葉に売り言葉だ。 思わずカッとなって殴ってしまった。 下から上へ、エースのあごを狙った左ストレートが見事に決まった。 けれどさすがエース。赤くなった顎をおさえつつすぐに起き上がった。 「いてー!なにするんだよリース!!」 いやいや。エースくんよ。普通ならそこは脳震盪を起こしていてもおかしくないんだよ。 弱い力でもあごからの衝撃は、脳を揺さぶるのだから。 まぁ、エースだし、あのガープじいちゃんのしごきを受けたものとしてそこはスルーさせてもらおう。 むしろ見てみぬ振りするからね! それに実は、オレも痛かったです。 でもまずはこの怒りをぶつけてしまうことにする。 「オレの大切なもん否定されてだまってられるか!!」 ”あのとき”じいちゃんがオレをこの世界に引き戻してくれなかったら、この世界で生きようとは思わなかっただろう。 だから今、オレはこの世界で懸命に生きている。 オレはオレを引き止めてくれた家族が死ぬほど大事だ。 その家族って――なにもじいちゃんのことだけじゃないんだよ。 なぁ、エース。 だって、オレたち家族だろ? 「このひねくれものめがっ!! オレがいつお前を無視した!?いつ家族じゃないと言った? オレはエースが大事だ!! オレがどれだけ苦労してここまで戻ってきたと思ってる!?この一年ずっと脱獄を謀ってはつぶされ潰され…どんだけエースやルフィに会いたかったと思ってるんだ! オレはおかげでホームシックになったぞドアホ!」 本気でさびしかったんだからな!! 突然癒しを奪われて!!逃亡計画は防がれるし!! それに―― 海賊だからって……なんだよ。 ――それって『拒絶』だよね? リースとして生まれてからオレは、ずっとエースを家族だと思ってた。 それがその一言で、否定された気分だった。 「誰の子供だって関係ない!でもお前がオレ達に嫌いっていうな!! その言葉はお前自信が、オレたちを拒否してることになるんだよ! なんだよぉ…なんだよもう、コンチクショー!!」 ちゃぶ台がほしいね。 気分は湯のみごとひっくり返した気分だ。 それに海賊の血が嫌なら、もっと嫌な血があることを教えてやろうじゃないか。 「血が繋がってるというならオレはあのガープの孫だ!!」 「は?」 「血ならこっちのほうが濃い!!」 ドーン!といってやったさ。 『海軍の英雄』の孫なのにどこが不満なんだと、文句あるか!といわれたら、分身の術でも使って100回は「ある!」と言いたい。 だってガープだぞ!あのモンキー・D・ガープだぞ!! そんでもって孫ラブな激過保護なあのじいちゃんだぞ。 痛いんだぞ。死にかけるんだぞ。 「オレなんか愛情表現の仕方間違ってるあのジジイの孫だぞ!!いつも殺されかかってるし!」 絶対じいちゃんの方が、ロジャーより性質タチが悪いといつも思うし、むしろ断言できる。 夢と希望を世界に振りまいたロジャーより、妄想と正義感でもって何かすぐに自分で話しつくって過激な行動を取る奴の被害のすさまじさ!?(しかもオレ限定) 「アホやバカ発言は許す!だけどどうせ海賊の子供だとか、嫌いとか言うなっ!!」 だって子供は親は選べないんだからどうしようもないじゃん。 オレ、祖父を選びたいよ。 でも無理なのがわかるから、それにその親から出ないと自分という存在が生まれないのも理解してるから。血とかさ、実はどうでもいいことじゃないかなって思う。 大切なのは、血じゃなくて、生まれてきて、その後の人生をどう過ごすかだ。 そりゃぁ、近親結婚はさすがに遺伝子的に危ないからさ、それを防ぐためには血を知るのは需要かもしれないけど、オレ達の間には血とか海賊とか関係ないことじゃないか。 「エースのアホ」 ――そんなこと言うなっ!!って。 将来ルフィが聞いたら同じ事を言うだろうな。 ルフィなら怒鳴ってさ、必死になってくれて、きっと誰よりもほしい言葉をくれるんだ。 うん、そういう子になるように、人の心がわかる子になるようちゃんと育てよう。 いや、むしろこの言ってもわからないアホには、ぜひのびるその腕でもって怒鳴ってやってくれ。 エースのこの問題はさ、ルフィ後は任せるよ。 お前がオレとエースのただ一人の弟なんだからさ。 オレはエースの兄。兄ちゃんは弟をしかるのが役目だから怒る。 だけど兄ちゃんは弟を守るもんでもあるんだ。 だからエースの弟であるルフィから怒られたら、オレが言うよりもっと威力があるよね。 だからさ… 「そんなこと言うなっ!!」 きたるべき“いつか”のかわりにオレが今言ってやる。 だからいつか、ルフィも言ってやってよ。 そんなこと言うなっ!オレは弟だー!ってね。エースが嫌がっても言ってあげてほしい。 そのときまだ血のことで悩んでるようなら「家族だこのやろう」ってさ。 ――ルフィは唯一エースが守りたい弟君。 大切な家族だ。 家族っていいよな。 そんでもって、オレはエースの兄ちゃん。 だけどそれだけじゃない。 オレとエースは、じいちゃんという同じ敵を相手にする戦友で、ライバル(なんのだ?)だ。 兄弟だけど血が繋がらないから、親友にだってなれる。 家族じゃぁそうはいかないんだよ。 だから繋がってないからこそ、そっちの方がお得なんだとオレは思う。 「本当には血がつながってないからこそ、家族にも親友にだってなれる。 そっちの方がお得じゃねーかよ!! オレが女だったら嫁にだっていけたぜこのやろう!! それのどこが不満だ!!」 「え!?嫁?なんでそこで嫁!?ってかリースならい、いらない!」 「うっせー!!」 オレが嫁だと嫌なのか!? オレがヒッキー希望なのが悪いのか? ま、まさか。一生を独り身で過ごす気なのか。 なんて未来も夢もない人生だ。 そんなのダメだぞエース。 「ルージュさんの願いを知らんのかー!!!」 彼女は未来を望んだというのに、幸先悪いなもうじき五歳児よ。 ん?いけね。エースは知らなかったけ。ルージュさんの言葉。 まぁ、いいや。 「そもそも長兄にむかってなんて口の悪さだこのドアホウめ。兄を敬え」 なんか今、オレじいちゃんの台詞、無意識にパクッタ!? いやいや、じいちゃんも「実の祖父を敬わんかー!」ってよく言うけど、まねしたわけじゃないよ!! 似ていないからね!! 「バカエース…」 別にルージュさんに頼まれたから、彼女と守ると約束したからとかじゃない。 彼女はエースっていう『未来』を夢見ていた。 それを叶えるために命まで賭けた。 それだけでもエースがどれだけ愛されてたのかわかるだろう。 お前は愛されて生まれたんだよって、誰かこいつに教えてあげてほしい。 それに「血がつながってないから」…そんな言葉で、家族だと思っているオレ達を否定してほしくなかった。 オレもルフィもじいちゃんも村長もマキノさんもさ、エースのこと大切だよ。 だから…オレのことも認めてよ。 オレ、もともとこの世界の人間じゃないし。壁つくられるとよけい悲しくなる。 っで、振り返ったオレは固まった。 さっきまで非常に腹が立っていたので、言いたいことをひたすら言いまくった。 そうしたらエースはうなだれてしまい、しょぼくれてしまった。 やばい、子供をいじめすぎたか!? でもオレが嫁だと嫌だって言われてオレ傷ついたし……てぇっ!おれぇ!!なんでそんなわけわからん話になってるんだ!! とにかくまずは謝らなければ。 「え、エース?」 オレの呼びかけに反応するも、ピクリと肩を動かしたきりで、エースはそのままふるふると肩を揺らしている。 な、泣いてる!? ひぇ〜!!そこで落ち込まないでくれ! ここは謝るでも喜ぶでも怒るでもいいので、ガツンと言い合おうじゃないか!!そのつもりで意気込んでいた矢先にコレだ!? こ、こ…こど、こども相手にオレはなんてことを!! どうしよ〜。 こういうのは苦手なんだよ。 なぐさめる?とか。 オレが慰めてほしい子だしね! 「その。あれですよあれ!! ひ、ヒゲはすばらしいんですよ!!とくに白くて三日月形のは!!ほら月に願い事をかけるといいって言うじゃないですか!それに…」 ―――何を言ったかは忘れた。 とにかく元気付けようとワタワタしていたら、エースはいつの間にか笑っていた。 どうも彼の話によると、彼は泣いていたのではなく、喜んでいたらしい。 なんじゃそりゃ!? それじゃぁ、あれか!今、オレが頑張って笑わそうとしたのは無駄だったと!? 「もうだめだ。欝だ」 クラリときた。 このまま倒れてしまおうかと思ったが、エースがいまだにニヤニヤしてるのをみてカッと頭に血が上った。 頭に血が〜って、今日で何度目だ? オレの神経よくもってるな〜。キレすぎて血管まで切れたらどうしようか。 あはは、笑えねー。 内心呟いた自分の冗談に、顔が引きつった。 エースも笑ってる。 オレ、頑張ったのに無駄で。これじゃぁ寒い冗談を一人で言い続けてる悲しいおっさんじゃないか!! もう石になりたい。 オレのことは兄ではなく、通りすがりの村人A…じゃなく、もっと目立たなそうなCぐらいにみてくれ!いや、ぜひともポジションチェンジしようぜCさん!! 「うわー珍しい!リースが照れてる!!」 「っな、わけねー!!」 照れているわけじゃねーっす。 あまりのことに「腹が減ったんだこんちくしょー!!」なんて騒ぎながら、オレは近くにあった草を切ってさっさと先に進む。 別に…さ。 本当にお腹がすいていたわけじゃぁないさ。 まぁ、いろいろだよ。いろいろね。大人心は複雑なのさ。 運がいいのかな? エースにからかわれる前にと必死こいて逃げていたら、美味しそうなきいちごの群れをみつけた。 オレは目の前にあったきいちごをやけ食いした。 だってお腹すいてるって言っちゃったし。 そうしてるうちに、追いついたエースに発見され笑われた。 結局その周辺は果物の宝庫で、その日はここで一晩を過ごすことになった。 オレは照れ隠しで、とってきたきいちご(本当は後でジャムにしようかと考えていた)をエースと競争するように食べた。 「あれ?リース…それ」 「なに!?」 いつの間にか本気で食べていた。 突然声をかけられ声を荒げるほどには… あれぇ?オレなにしてたのかな? いつの間にかきいちごに夢中になっていた。 脳みその中では、食べながらこの実を何か別の料理に利用できないかと考えていた分、突然のそれには驚いた。 「や…今食べたのだけ、なんか色が青かったから」 「青い?」 「なんか、ブルーベリーみたいで…ん?違うや。もっとこう奇麗で。青いビー玉みたいで……」 なぬっ!? いつだろう?そんなもんを食ったのかオレは!? でも口の中にビー玉みたいな硬い感触はない。 エースの見間違いなんじゃないかと思ったとき、あますっぱくておいしかった口の中に突如不快な味が広がった。 「うえぇ〜…」 「り、リース!?」 「まずっ…」 美味しかったきいちごまでその味に支配されてしまい、口の中にあったものをあわてて吐きだしてしまうほどにはまずかった。 水をがぶがぶと勢いよく飲みほしてもなかなかまずさがなくならない。 そこで自分が吐き出したものの中に、たしかに青いものがあるのに気付き目を見張る。 きいちごの粒の間に、変な模様付きの青いきいちごがありやがりました! たしかに。奇麗な色合いだなぁ〜。まるで陶器のよう… でもこれってどうみても 「あ、あくまの…」 あまりのまずさにか、ありえないものを食べたショックにか、オレはその青い欠片を見て気を失った。 たしか――悪魔の実というのは、一口で効果があり、二口目以降はただのまずい実になるのだとか…。 やばい。 食ってしまったよ。 食ってしまった!! あの悪魔の実を!! これで二度と泳げなくなったーーーーー!!(もとから泳げないけどーー!!) しかも確実に平穏からまた遠ざかったし!! ってか、悪魔の実が誕生日プレゼントとかありえない!! 今日がなぜオレの誕生日なんだぁ〜とか呪いたくなった。 いや、生まれた日はこのまずさと悪魔の実には関係ないか。 それでも呪わずにはいられない。 平和を望むオレに悪魔は笑いやがった。 さよなら、オレの穏やかな生活。 いやいや、諦めるのはまだ早い。 オレがただでさよならなんていうと思うな。いつかみてろよ悪魔め。 オレはお前になんか負けない! かならず自分が望む平和を気付いて見せるからな!! そんでもってお前以上の呪いをお前にかけてやる! なんか今日のオレついてない。 きっと人生で一番ついてない気がする。 特に悪魔の実…。 それにしても… 「まずっ」 どうやらオレはあまりのまずさのせいで気を失ったらしい。 ってか、これなんの実だよ!? ++++++++++ 目が覚めたら知らない天井でした。な、展開にはならなかった。 なにせまだ一週間もたっていないので、相変わらず無人島の中。 青空教室ですよ。 もとい雨風をしのぐためにつくった洞穴の中の仮宿です。 二日目にオレ達を襲ってくれたサーベルタイガーさんが、快く譲ってくれた宿です。 「……」 「…」 「……ぶっ!!!」 「いい加減笑うんじゃねー!!」 「だって、リースそれ…ぎゃー!はらいてー!ひーっひひひひ!!!」 オレが食べた実の効果とその使えなさにエースは笑いっぱなしだ。 まずさによる失神から目が覚めて、早速、自分が何のみを食べたかの調査をすることにした。 そのときは、リースは顔を引きつらせて逃げた。 今は笑っている。 オレは正直、泣きたいよ。 食べてしまったものは仕方ないと、なんの実か確認しようと考えていると、突如エースが悲鳴を上げた。 なにごとだと思っていると、自分の身体を見ろといわれた。 持ち上げた手をみて自分でひいた。 「きもっ!!」 なんと服の間から威見える腕に、赤い斑点がたくさん浮き上がっていた。 なんだかどこかの伝染病みたいだ。 それをみて何かを考えていたらしいエースがウキウキと挙手した。 「わかったー!仮病がつかえるようになる『ケビョケビョの実』だ!」 「んなもんあってたまるかー!!」 「じゃぁ、『ケヌケヌケの実』?ほらケビョウとケヌって発音が似てるし?」 「毛がぬけてたまるかー!!ってか、いい加減仮病から離れろ!!」 で、怒こっている間に、斑点は斑点じゃなくなった。 なんだかふくれて、つぶみたいに…キモイ!! 腕に実がなった!! いや、腕がこわれてく!! 怖…じゃなくて壊れてるよ!! どうなったオレ!? なにがおこったんだ。 壊れて、壊れてこわれてコワレコワ……なんか実になりました。 「ってか、まじできもっ!きもぉーっ!!!!!」 手に葡萄のようなものがなりました。 あまりの気持ち悪さに、何かを考えるより先に思いっきり腕を振ってしまい――ザーと音を立ててオレの腕はいくつものビー玉のようになって落ちた。 「なんじゃこりゃー!!」 これはもしかしてスナスナの実だったのだろうか。 でも砂より粒が大きいから違うだろう。 それにスナスナの実は今の時期ぐらいならもう食べた人がいるんじゃないかなぁ。 ワニっぽい黒いひととかね。 とりあえず腕を戻さないといけないなぁと思い、ろうそく人間とか、砂人間の姿を思い出して、自分の意思で戻らないかなと気合を入れてみた。 う〜ん?どうやればいいんだろう。 なかなか戻りません。 「オレの腕―!!」 小さな粒となってしまったオレの腕達。すこぶる気持ち悪いです!! それよりなかなかもどらないなぁ。 どうしたもんかと考えて、何か条件が足らないのかもしれないと思った。 条件で一番初めに思い出すのは、マネマネの実。 マネマネの実は左右の手を順序良く触れる必要があった。 また自然系ロギアの能力者は自然物そのものに身体を変形させることで火や砂を自在に操る。 動物系ゾオンの能力者とて姿を変えるのは自分の意思だ。 超人系パラミシアであるバギーでさえ必要なときに分裂し、バラバラに体が分裂していても感覚はしっかりとつながっていた。 それはつまり能力の制御を自分の意思でしているということであり、同時に能力を発動するためのなにかがあるということ。そしてこれは推測だが、能力者は自分があやつるものにきちんと“動かしている”と手ごたえをもっているはずだ。 一度死んだら戻るというヨミヨミの実を抜かせば、きちんと何かしらアクションを起こせるはずだ。 ましてやどんな姿になっても、手ごたえが少なからずはあるはずなのだ。 それが一切返ってこない。 戻らないなんて事はおかしい。 「なんでオレの意思で動かないんですかね? しょせんは水や炭素、アンモニア、石灰、リン、塩分、硝石、イオウ、フッ素、鉄、珪素…そこらで売っているようなものでできてる分際で、なんて面倒な」 悪魔の実の力だろう。変化した腕をきつくにらみつける。 「かなり安上がりなものできてるくせに」 なんで主にさからうんですか? お前、オレの腕だろうと腹立ち紛れに踏み潰したい衝動に駆られる。 むしろ感覚が自分にないのだから、潰しても問題はないんじゃないかと思い立ちあがる。 よし、踏み潰そう。 そう思った。 オレはただ平凡に暮らしたかった。 ただ、穏やかな生活を望んでいただけ。 なのに…。 「次から次へと…」 オレの腕なんだからなぜ逆らうのか?やはり悪魔の実というくらいだから悪魔が宿ったか。 どうしてこうオレの周りには、オレの些細な夢を壊そうとするのかわからない。 腕がなきゃ何もできないというのに。 ただの固形物の融合体でしかない腕。今はビー玉のようなそれでさえ、自分の邪魔をしているようにしかおもえなくて腹が立った。 一瞬、自分の腕なのに。自分の腕だからこそ。悪魔の実ごときでその変なものと化した腕に殺意が湧き上がった。 その殺気に危機感でも覚えたか、突如ビー玉たちが磁石に引き寄せられる砂鉄のごとく一斉に動き、再びオレの腕は元に戻った。 そのとき、本当に一瞬だったが、何かをつかんだようなそんな感覚がした。 今はその感覚は感じられないが、腕が戻ったので怒りも随分引いた。 「はぁ?」 なんで今更オレのいうことを聞いたんだ? どうして粒たちは腕に戻ったのだろう? 何が起きたのかさパリわからない。 エースには「悪魔まで黙らせた!リースすげー!!」とか、なんか誤解だかあってるのだかわからないことでほめられた。 ちなみにそのあと、再び粘っても気合をいれてもあの気持ち悪い現象はおきなかった。 せいぜいが、病気っぽい斑点が出るか消えるかぐらいだった。 ……いったい。なんの能力さこれ? 「なぁリース。おれ思うんだけどさ」 「エースの考え付くのってさっきから仮病のことばっかりじゃないですか」 「それって『ツブツブの実』じゃないのか?きっとそういう名前だよコレ!」 「…」 たしかに、さっき一瞬だけど、腕が粒になったね。 でも赤い斑点を見る限り『ブツブツ』って感じだけど。 いや、どっちの名前もイヤだけどさ…。 どちらにせよ気持ち悪いし。 エースはニカッと笑うと爆弾を落とした。 「リースってばいつも『ぶつぶつ』言ってるから! そんな粒だかわかんない斑点みたいな能力になるんだよ。 だから『ブツブツの実』じゃなかったら『ツブツブの実』。ドーヨ!!」 エースはいいアイディアだといわんばかりに、胸を張っている。 かわいいな、ちっちゃいこ。 可愛さあまって、憎さ百倍とはこのことだね。 ぶつぶつ呟くから、ツブツブの実とかありえないんですけど。 それは本気な発言なのかと、拳が揺れた。 きれる前にと必死に条件反射のような腕を押さえ、無理やり顔に笑み浮かべたことでひきつったがそのままエースに尋ねかける。 「それはジョークですかエース?」 「いんや。マジ」 エースはニッシッシと未来のルフィを思わせる楽しそうに笑い、オレは世界が沈没しそうなほどどでかいため息をついて、穴の隅のほうにいかせてもらった。 ちょっと悪魔の実というのを試してみる。 試してみる試してみる試してみる試してみる試してみる試してみる試してみる試してみる試してみる試してみる試してみる試してみる試してみるためし…… 何も起きません。 いろいろ考えてみる。 考えて考えて、試してみるも何も起きない。 いい加減、腹が立つのも通り越し泣きたくなってきた。 「聞いてよ。オレ今日誕生日なんだよ。なのにまずいもんたべちまうし、しかも悪魔の実だし。なんか使えないし。本当は命からがら逃げてきたんだよ。なんかオレを鍛えようとするおっさんに満ち溢れた世界で…生きてけないと思ったさ。だからフーシャ村に帰ってきたのに、感動の再開もよそに即ジャングルに放り投げられるし。ありえねー。しかもルフィまだ1才だよ。まだうまく動けないんだよ。オレ怪我したんのに。すぐなおるってじいちゃんそっくりって医者に言われたんだよ。いやだ〜いやだ〜。ってか、じいちゃんいつから頭の上に犬乗せるようになったんだろな。オレ家かえって寝たい。安眠…いい響きだな〜。ってか、寝るゆとりもなくサバイバル。そこら辺の猛獣と友達なった。ハッ!笑えねー。ってかさ、オレあそこまで動くこじゃなかったと思うんだよね。なのになぜか一生懸命になってさ。きいちご食べまくったし。新しい料理のメニュー考えてみたり。そうしたら……」 土臭い壁と話していたら、サーベルタイガーさんが逃げ出した。 いいよ、いいよ。 オレのことはほっといてよ。 エースが「ほらやっぱり『ブツブツの実』じゃん」と腹を抱えて笑っていた。 その間、オレはやっぱり疲れ果てて、地面に転がって壁と話ながらこの先どうやって地味に生きようかと思った。 悪魔の実の能力者ってさ、みんな目立つんだよなぁ。 どうすべきか。 はぁ〜。もう考えるのも面倒になってきた。 寝よう。 願わくば、変なもんを食ったのは夢でありますように…。 明日がフーシャ村のベットの上から始まりますように。 まぁ、無理だろうけどさ。 【後日談】 『悪魔の実』辞典を読んで画然とした。 あった。 ―――学術名称:ブツブツの実 本当に『ブツブツの実』だった。 さらに下の能力説明を読んで、本気で泣いた。 最近、とことん涙腺が弱くなった気がする。 【学術名称:ブツブツの実】 ※後の能力者により、名称変更により改名。【ツブツブの実】となる。 一度だけだが粒になれることもあり、改名を許可された。 ・青いきいちごのような実。 ・他の自然系の実は際限なく、砂や炎などをだすことができるが、それも不可能であるため超人系と断定 ・食べた人は名前の通りぶつぶつと愚痴が増える ・身体の何処にでもぶつぶつとした斑点をだせるので仮病に役立つ ・身体から離れた粒はあやつれない ・身体を粒に変えられるが、一度身体を粒状にすると二度と戻らない特殊な実 「ようするに使えないと…」 ヨミヨミの実より使えないのではないかコレは? 仮病ってどんだけよ。 ついでに食べたら、死亡確率みたいな能力ってなに!? 二度と戻らない…。 …オレ、今、なんで腕がついてるんだろう? もう、頭がおかしくなりそう。 ってか、もうなってるな。 もう、やだ・・・ |