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07. その覚悟は君が思うようなものではないけれど(下) |
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side リース ベシッ 払ってやった。 あぁ、そうとも。勢いよく払ってやったさ。 逆に包帯だらけのオレの方がものすごく痛かったけど。 だって、違うから。 伸ばされたじいちゃんの腕。 その手をとればすぐに海軍へご招待されてしまう。 ほしい奴にはたまらない魅惑の切符。 だけどそれ本当に違うから! オレの望みと違うから!! たしかに海軍の六式の、瞬間移動っぽいやつとか空を走れるのとか使えるようになりたいけど。 そりゃぁその招待状はとんでもなく魅力的だけど!! オレはただ『足が速く』なりたかっただけだ。 それが自分自身さえ守るためなんだけど…。 どこをどう聞き間違えたよ、じいちゃんや。 じいちゃんははたかれるとは思っていなかったらしく、オレに叩かれた自分の手のひらを呆然と見つめている。 その手がどれだけ温かいか知ってはいるが、今は無視だ。 呆然としている相手に向け、無言(たぶん無表情でした)でチョップをくれてやった。 ズビシッ! そんな効果音がしたような気がした。 もう自分の痛みなんかどうでも良くなってきた。 とにかくこの人には突っ込まずにはいられなかったんだ。 「オレがいつどこで海軍に入りたいといったんだぁ―――−!!」 「や。だって今強くなりたいって…」 バシ バシ バシ!! ミイラ人間のツッコミうけてみよ!! 「いとぉわぁっ!じいちゃんになにするんじゃぁ!」 「どんな悲鳴だそりゃ!!こっちの方が痛いわっ!!」 「はっ!そうじゃった!!怪我人がなにをおきておるんじゃぁ!!寝とらんかリースッ!!」 「あんたが変なこというから寝てられなかったんだよ!!」 と、今更思い出したとありあり顔に書いてあるアホ面の相手に怒られても、逆にこっちの我慢の尾がブッチンといっちまいましたよ。 ツッコミと同時にもういっちょチョップをくらわせる。 ベシ! 「オレは足が速くなりたいとは言ったが、強くなりたいとも海兵になりたいとも一度も言ってねぇっ!!」 本当ならさっき手をとるべきで、その瞬間は覚悟を決めたキラリ輝くように様変わりしたかっこいいオレがいるべきなのだろうけど。 残念ながら、ここにいるのはさらに神経が図太くなっただけのオレである。 ここはきっといいシーンンか、シリアスな顔を保つべきだったのだろうけど、人には時に譲れないものがあるってことだ。 オレの譲れないものは、一つ!! 平穏無事に老後まで静かに生き抜くことだっ!! だからもう一度言う!これだけは譲れない!! オレはいつ海軍になりたいと言った!? 殺し合いが常の海賊にもなりたくはないが、強くなりたいなんて一度だって言っただろうか? 答えは 否 だぁーーーー!!!! っで、じいちゃんともめているうちに、その騒ぎを聞いて駆けつけてきた医者にオレは鎮静剤なんてものを打たれた。 地味にイタイ。 じいちゃんはオレが海兵になることを拒否したので、医者をふっ飛ばしそうなほど興奮していたが、慌ててかけつけてきた部下の皆さんがたくさんじいちゃんにしがみついてくれたおかげでなんと沈静した。 それを見て夢うつつなオレは思ったね。 みんなぁ〜。ニャマゲってしってるかい? にゃまげににゃまげにとびつっこう♪ 日光江●村☆ ※実際ににゃまげにはとびつかないでください って、あれのようだったと。 しかもタイミングが悪く倒れたじいちゃんの上には「ひぃ〜」と青い顔をしながらも必死こいた海兵さんの皆さんがさらに上に乗っていくので、気がつけば床とデート中のじいちゃんの背には人間ピラミッドができていた。 「ガープさん!気を確かに!!」 「あ、あいてはお孫さんですよ!!」 「お孫さんケガしてるんですから!!」 うん、みんな顔青いよ。 でもそこまでして助けてくれてありがとう。 オレは礼を述べようとしたけど、その前に薬が効いてきたせいか眠気がやってきた。 目を必死に開けようとするけど重くて。 そのままうとうととしていたら、ベット脇にいた医者が今はお眠りなさいと優しく髪をなでてくれた。 ふと視界にい入った髪に違和感を持ったが、そこまでだった。 優しい手。 このぬくもりが暖かすぎて―――カクンといっちまいました。 じいちゃんも目が覚めるまでずっとオレの傍にいて疲れていたんだろう。 オレの意識が吹っ飛ぶ前に、つぶされながらガーと鼻ちょうちんをだして寝こけている姿を視界の恥に見つけた。 どこかで 「「「寝たー!!」」」 なんて、漫画にありそうな見事なハーモニーが聞こえたが、もう限界だ。 結局オレとじいちゃんどっちに対しての雄叫びだったのかはわからない。 けど、問題はそこで終わりじゃなかった。 オレはあの騒動以降、夢と現実をいったりきたり、痛みに目を覚ましたり、熱がすぐにでたり…ほとんどもうろうとして日々をすごしていた。 次に目を覚ました時、オレの髪は最後に見たとき同様に真っ白になっていた。 はえかわれば治るといわれたので気にはしなかった。 別に若白髪はいやだけど、染めれば済むじゃんっとそういう感じだ。 そ れよりも怖いのはじいちゃんだ。なにをするかわからない。 おかげでじいちゃんは、あの日以降すっかり病院には立ち入り禁止を食らっておとなしくなっていた。 だけど、オレたちは気付かなかったんだ。 あれが、嵐の前の静けさだということに。 オレがなんとか起き上がれるようになったころ――あの人はついに行動に出た。 リハビリがてら身体を動かし、食べて、動いて、話して寝て―――いつものように次に目を覚ましたら…。 しかしそこは、オレの知らない場所だった。 出入り禁止を食らっていたはずのじいちゃんが、いつの間にか忍び込んだじいちゃんに攫われ、オレは気がつけば船の上。 慌てて甲板へ出てみれば、すぐ目の前にはなんとあの海軍の文字がでかでかとかかれた要塞のような島!! どこだここはぁーーー!!! 内心でパニックになっているこっちの心情を一切気にもせず、甲板にいたじいちゃんが振り返った。 「おお。やっと起きたなここは…」 いえ、言わずともわかります。 あのいかにも和なカンジな天守閣、何度か漫画で見たきがする。 あれがある海軍。 しかも島丸々ひとつ海軍関係の施設。 そうなればここがどこか言わずもがな。 ここって… 「海軍本部っ!?」 「よくわかったのぉ。さすがわしの孫!!」 じいちゃんの口をふさぎたいと思った瞬間だった。 もうイヤだこのひと。 なに、怪我人を軍に連れてきてるの。 そもそもオレがここにいるということは、やっぱりオレは海兵にならないといけないのか!? 間違いなく怪我人にも容赦しなそうな特訓とか訓練が待っていそうなんですが… なぜだ!? なぜ、オレはこんなところにいるのでしょうか? ★。、::。.::・'゜☆。.::・'゜★。、::。.::・'゜ side ガープ リースが船に興味があったのを知っていたので、ちょうどいいと思って造船場へ船を取りに行くついでに連れてきた。 長旅に疲れたのか、造船場についたはじめのうちリースは室内で茶を飲むか寝るかしてすごしていた。 それもやがてトッテンカンという音に誘われるように外に出てきた。 ただ町の中を歩く分には問題ない。けれどリースは、造船上の方ばかり気にする。 しかたなくそこまで連れて行くと、案の定、船大工たちにイヤな顔をされた。主にわしが。 あげく孫のリースまでこっちを白い目でみてきたので、突然気持ち悪くなって咳が出てしまったようじゃ。それで慌てて視線をそらした。 ん?まてよ。気持ち悪いでは、咳はでんか。 まぁ、じゃぁ突然風邪をひいたということで。 ともかく、そのすぐ後にタイミングよく蒸気船が到着し、周囲は一気にざわめきと好奇心につつまれた。 船に興味を持っていたリースのことだから目でも輝かせているだろうかと思いそちらをチラリと見ると、「えいがいがいにも実在してたんだ」と何かわけのわからないことを言っていた。 “えいが”ってなんじゃ? 「蒸気船もあるんですね…」 リースはいったいその知識をどこから得るのか。 蒸気船を知っていたことにも驚いたが、まさかその仕組みまで知っているとは驚きだった。 「いいよなあの船。凄く早く走るんだぜ」 「あなたも船大工ですか?」 「おう。いつか俺もあんな大きくて早い船を作ってみてーぜ」 「早く…ね。でも蒸気船はスクリューや水車部分に当たる一箇所を崩せば必然的にエンジンが停止するので、物凄く手間をかけているわりには沈むのもあっけないでしょう。 ほら中身の大半が鉄製なぶん、木船より重いでしょうし。 帆船の方が航海士とよい帆を利用していればより早く、そして海賊に襲われてもそうそう沈みはしません。 木は水に浮くんですよ。鉄よりは長くね。それには木に含まれる空気が……となり破片でも……」 驚いた。 船大工と引けをとらないその知識にも目を見張るが、なにより驚いたのは、リースが蒸気船を一目見ただけで理解したこと、そして船の構造自体珍しいためまったく船大工たち以外には口外されていない船の仕組を詳しく知っていたこと。 本だけで得たにしてはその知識は、あまり知られていないことのように思い考え込んでしまった。 リースはたまに変なことを言う。 それと同じぐらいの確立で、あのこ自身がなにをしても知りえないようなことを言う。 それはときに予言のように未来のことを示唆し、ときに5歳の子どもが知りえない過去であったりした。 それでもその言葉の隅々には、自分たちを気遣うようなそんな労わりを感じ、強く聞き返すこともできないでいた。 ぶっきらぼうで、けれど人との繋がりを大切にする小さな子供。 子供とは思えないそれも、不思議な言動もなにもかも…リースだから。 『リースだから』 彼を相手にする者はいつもその気の抜けた雰囲気や、子供にしては丁寧な彼の雰囲気に飲まれてしまう。 もしもリースがいつもの不可思議な言動を取ったとしてもそのときには、なぜか『リースだから』それだけで納得できてしまう。 そう思わせる空気を自然とリースが作り出している。 それすら才能といえるだろう。 孫の奇妙さ…より、可愛さを自分の中でつらつらとあげていると突如悲鳴が上がった。 いつのまにか思考の海につかりすぎて、思考がずれていたようじゃ。 何事だと思っていると、先程港に到着していた船がそのままとまらずに動いているのを目にした。 あわてて駆け寄り船の動きを止めるべく船に穴を開けるが、その程度では蒸気船の動きを止められない。 ん?蒸気船を止める? なんだかそれはついさっき耳に挟んだような。 たしか――そう。 リースが、車輪がどうとか言っていた気がする。 車輪を止めればエンジンが停止する その言葉を思い出し、後ろのほうを見るとたしかに車輪が勢い良く回転して、頑丈な先端部が島ごと町をえぐっていた。 必死の思いで船の暴走を止めた。 孫は、リースは無事かと、ドッグに戻ると、今度はリースが暴走するように駆け出していた。 その先に何があるか理解し血の気が引いた。 やめるんじゃっ!! そう呼ぶ声もリースには聞こえないようで、何かを叫びながら…倒れ掛かるマストの下へと、あの子は果敢にももぐっていった。 そこには五人の人間が動けずにいた。 後から走ってきた自分では間に合わなかったであろうそれ。 リースが飛び込んでからやっと気付いた存在。 けれど身体が小さいリースだったからこそ、倒れるマストの影にいた彼らの存在に逸早く気付いたのだろう。 リースは小さな身体を最大限利用して突撃するようにしていっきに二人を影の下から追い出し、次々と子供、男、船大工...と助けていく。 だが、間に合わなかった。 わしの手もリースには届かなかった。 いままでにないほどブチリ!と大きな音がして、それと同時になんとか傾くにとどめていたマストがついに折れた。 巨大な樹でも倒れていくような錯覚がおきる。 樹のせいでできた影の下から、男が一人飛び出した。 だけどリースはいない。 「リース!!!」 ドォォン!!! 今までとは違う大きな土煙。 わしの声はそれにかき消され、続いて絶望的な光景に拳を握った。 握った拳が一瞬ぬるっとしたがそれを無視してマストへ向け拳をそのまま振り上げ、地面に横たわる柱を粉砕し、破片をどかし、リースがいただろう場所を探す。 いた。 運良くマストの直撃は免れたようだったが、大きな破片が当たったのだろう。 小さな身体は赤くボロボロだった。 「り、リース…」 初めての孫。 だれよりも可愛くて、守ってやろうと必死になった。 だけど自分では守りきれず、大人のような表情を見せる一面、こんな小さかったのだと、その痛ましい姿に改めて思い知らされた。 どうやら身体のどこも千切れてはいないが、腕が折れているのはわかった。 意識もなく、口元に手を当ててもほとんど息をしていなかった。 慌てて医者の元へかつぎ込み、そのままリースは集中治療室で何日も過ごした。 医者は重症ではあるものの身体の一部を切断するようなものではないと言ったが、今夜が峠だといわれた。 なんとかリースの死は免れたものの、そのまま意識は戻らず何度も何度も熱を出した。 熱が下がった時には、リースの弟たちやわしやドラゴンに似たリースの黒色の髪は色を失い真っ白に色が抜け落ちていた。 医者が言うには恐怖からくるものだろうということだ。 髪の色ぐらいでリースの命が助かるならと、孫の無事を祈り続けた。 それから一週間リースは寝たきりだった。 何度か危ない状態が続き、手を握って「いくな」といい続けることしかできなかった。 『海軍の英雄』と呼ばれようと、自分の孫一人救えない自分自身が恨めしかった。 どうすることもできなかった。 それがなんともいえない苦虫をわしにかませた。 ひいてはかえる波のように不安定な状態が続いてから、やっとリースの容態が落ち着き、仕事もあって長く病室にいられなくなったころ。 いつものように病室にのぞきにいったらリースが起きていた。 慌てて医者に報告に行こうとして、リースが泣いているのに気付いてやめた。 なぜ泣いているのかはわからなかった。 ただ痛むであろう包帯だらけの腕を酷使してまで、顔を隠すように、歯を食いしばって静かに泣いていた。 扉から聞こえたのは、「悔しい」という小さな小さなかすれ声。 しかしリースは医者を呼ぶ前にまた意識を失い丸々一日眠ってしまった。 そのまま目を覚まさないのではないかと不安が震えになった。 やがてそれも杞憂に終わり、リースは事故から8日後にちゃんと目を覚ました。 リースの目がしっかり覚めるまで――その間ずっとそばにいた。 椅子をベッドの脇に置いて、助けられなくてごめんと…目を覚ましてくれと、その手を必死に握った。 医者はもしかすると目覚めないかもしれないといっていた。 けれど今度こそ、目を覚ました。 それだけでここ数日のどうしようもない衝動は収まった。 目覚めたリースは、部屋の中を一瞥すると自分の状況を的確に理解したらしく、小さくため息をついていた。 それは小さすぎて…もしかすると本人さえ気付いていないようなものだったのかもしれない。 まだ手を握っていたが、この様子ではわしがいるのにも気付いてないのだろう。 「オレ、ついてねー」 そんな自嘲的な呟きが聞こえた。 やはり気づいてない。 それより、なぜそんな言葉がこの子の口から出るのだろう。 何が?どこがついてないんだ? 死にかけたところを命を取り留めただけましじゃというのに。 それをつきつけたら、驚いたようにこっちをみたリースと眼が合った。 リースは小さく笑って、そっと手を握り返してきた。 それが無意識かどうかはわからないが、ほっと乾いた唇から安堵の息が漏れたのを聞いた。 先程とは違う、安堵のため息。 それに目を丸くしていると―― 「オレ逃げ足がもっと速くなりたいです」 事故のせいか、リースは自分から強くなる覚悟を決めたようだった。 そうだなと思った。 風船やジャングル、谷落とし程度では、リースの実力はあがらないだろう。 たぶんフーシャ村にいても同じ。 わしがずっと側にいられればいいのだが、それは不可能だ。 それは今回のことで実感した。 誰かが側にいなくても自分自身で生き延びるための強さが、この子には必要だ。 「海軍に入れ。今よりももっとすぐに強くしてやる」 いつの間にかほぐれていた小さな手。 その手をもう一度取るため、手を伸ばした。 強くなりたいなら、この手を取れ…と。 だけど返ってきたのは、「ありえないこいつ」みたいな目をした無表情な孫の姿。 ひどい!こんなにじいちゃんが真剣なのに。 そう思っていたら、無言で白いものが振り下ろされた。 痛そうな顔で、相手が包帯人間と貸した腕を振り下ろしたのだと気付いた。 怪我が酷くなるととめようとしたが、その前にリースがぶちぎれ、いつものマシンガントークがはじまり、つい言い合っているうちにわしまで熱くなってしまった。 しまいにはついいつもの癖で殴りかかりそうになったところで、部下に押さえつけられて―――寝てしまった。もちろんわしが。 まぁ、ひとまずリースを傷つけずにすんでよかったよかった。 だが、その後医者にリースの見舞いに行くことさえ禁じられたのは腹正しかったので、病院の前ですねてみた。 かわいくねーですといろんな奴らにつっこまれたのは、わしとて傷ついた。 それで喧嘩両成敗となったが、あのときのリースの涙と言葉が忘れられない。 悔しいと言っていたリースは、自分さえ守れないことに悔しがっていたのではないだろうか。 心の中では強くなりたいのではないだろうか。 だからわしは、ある程度リースが歩けるようになった時点で、あいつを鍛えるべくとある計画を実行に移した。 医者からはリースの外出許可をもぎ取った。 リースはすでにフーシャ村に「すぐには帰れない」と連絡をいれていたので、奴の弟たちにわしから連絡せずとも大丈夫だろう。 まったく問題ない。 いざ、海軍本部ヘ。 強くなりたいというリースの側にわしがずっといて助けてやることはできん。 いい方法はないかと思い、海軍にリースをいれるのはいいことかもしれないと思った。 可愛い孫を海賊にはさせたくないし、息子みたいな革命家なんて不良にもなってほしくない。 まぁ、あやつはあやつで連絡だけはたまにしてくるから、まったく&一切してこないリースよりそこの部分は可愛くもある。 っが、やっぱり、初孫の方が可愛い。 本当はエースも海軍にはいっていれば、奴の子供として世界を敵に回すこともないだろうが…まぁ、今はリースじゃな。 強くなりたいのなら、やっぱり海兵になるのが一番いい。 わしは眠るリースをつれて海軍本部へ戻ることにした。 あそこならわしでも相手ができるし、暇な奴らも大勢いるから時間が空いた奴はリースの相手をしてくれるだろう。 たぶん黄猿あたりは、あれで甥っこがいるからリースのことも可愛がってくれるじゃろう。 とりあえず――。 クザンにだけはリースを会わしたくはないな。 なんだかクザンとリースを会わせたらうちの子がダメになるような気がするし…。 「おう、みえてきたな海軍本部」 リースとわしを乗せた船が、重々しい島影をとらえた。 甲板で潮風に当たりながらそれが近づくのをみていたら、船室への扉が開き、小さな子供が姿を見せた。 目の前に現れた巨大な要塞のような島などみたことがないリースには、はじめてみるそれは驚きだったのだろう。 包帯に覆われていないほうの大きな左目が今までにないほど驚きを表していた。 そんなリースに誇らしくなって、自分が所属する場所をみせるつもりでここがどこか教えようとした。 しかしリースはそんなわしの言葉をさえぎって正しい答えを先に述べた。 「海軍本部っ!?」 よくわかったなぁ。と思ったが、やっぱりリースらしいと思った。 うんうん。それにしても嬉しそうだ。 やっぱり強くなりたかったんだなと思った。 |