|
side 水泡の記録 ひろいひろい、果てしない海 その色を写した天も 果てしなく どこまでも広がる そこには水の変わりに風が広がる 『風の海』というのだそうだ だけど自分たちは地にあり続けるこの雄大な水の海に向け手をのばす 空にはなにも望まない 空に逃れたいと思っても、そこに広がる青色は自分たちに何も施してはくれなかったから 空に手を伸ばしても救いはなかった だれもとってくれなかった手―― だから本物の、水の溢れた海に願いをたくした ――全員で“かえる”と誓いを立てて海色の帆を張った いま、目の前には 本物の海が広がる雄大な“藍(アオ)”の世界―― はじめて仲間になったやつらのほとんどが死んだ 救いを 自由を求めて 空に伸ばした手は 光をつかむことなく 力をなくして いつしか地へとおちた だから自分たちは空へ希望を夢見るのを止めた 世界は海に自由を与えた 自分たちは風にはなれない 風の海にひとは届かない ならその風と大地をつなぐ 生命あふれる水のもとへ 海へ“すべて”をもとめて帆を広げた 帆には【かえる】という 自分たちの誓いと夢を描いた こどもだからと笑われようと なにができると問われようと 今のままではいられなかった 青空の下で たくさんの仲間を失った 仲間はもういない 海の上で たくさんの仲間を得た また仲間ができた 『海』は――絶望を与え ときに笑顔をくれた はてない“藍(アオ)”のなかで 小さな水泡は 波にのって遠くまで旅をする 水泡は弾けては消え 水泡は漣の流れとともにうまれゆく そうして やがて水泡は 巨大な“とき”という流れに飲み込まれていく 生まれては消えていく彼らが・・・ 夢見る泡が望むのは うたかたなる―― 希望(ミライ) 泡たちは望む 自らを押し流す巨大な波を―― それは儚い泡のみる夢 青い海の上 浮かぶ帆船に追い風が当たる 風は海へといざなうように藍色の帆を翻す 新たなる仲間をそろへて船は波をさいて進む 「おーい船長。それ以上前に出んなよ。おちんぞ」 「あぁ、大丈夫だ」 「なにが大丈夫なんだい!?落ちたら見捨てるから」 「能力者の癖に」 「こわい船員だな」 いまはみんな笑っている 空に 海に 青色に―― 「波が、時代を運ぶ」 いつもみる空の色を映した世界に 空に匹敵する深い『アオ』をみるたびに 笑いかける |