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side 主人公 ひろくてひろくて、どこまでも続いていそうな空 海の色を写したようだといわれるそれは 建ち並ぶビル郡にさえぎられ 狭く切り取られている そこには空を灰色に塗り替えた ひとのエゴが広がる 『灰色の空』しか オレの目にはいらない だけどひとは宙(ソラ)に夢を見て手をのばし続ける 本当はこの空も海と同じ色をしていたのだろう 青いあおい、カナタへと 空に手を伸ばして ひとは飛ぶことを望む 大地から離れることこそ自由だとおもい―― だからいつしかこの空が汚れてしまったのも気付かずに ――オレは遠い昔、田舎でみた色を追いもとめる 手を伸ばす 顔を上げた先にあるのは “蒼(アオ)”を忘れた世界―― 空を見上げるのは癖だった それは夏休みに田舎のばあちゃんの家にいったときに見た青い青い空を、 この都会の中に探していたからだと思う 都会の空は灰色で それでも人は自分たちで定めたレールの上を歩いて行く オレが生まれた国では、それが当たり前だった どこまで続くかわかっているようで、わかっていない道 だけどそのレールからでることは『異質』とみられたから、“みんな”といれるように、不安定な平均台の上を歩き続けた 一生懸命両手を広げて せまい平均台の上をやじろべえのようにグラグラ歩く そのレールがとても細いと気付かず、人々はするすると歩いて行く だけどオレは細さに気付いてしまったため、両手でバランスを取らないと歩けない 下を見るとあまりの細さに落ちてしまいそうで… 上を見て歩く 都会の空に色はない 幼いころに見たあの深いほどの青色は、霞んで薄れている 摩天楼のようなビルに阻まれて空の広さはわからない わかるのは、空の高さだけ こんな空でも その『蒼』を眺めれば――少しの元気と ときに笑顔をもらった この狭い箱に区切られた“蒼(アオ)”のなかで オレはどうやってあの空を掴もうと 空を仰ぎ見る 世界からぬけだしたいわけじゃない それでもなにかに抗いたい気もする すがりたいのだとも思う 結局ながされるままに オレはほかのみんなと同じように かわらず世界のひとりでいるのだろう そう おもっていた 未来はありきたりなものなのだと―― みんなと同じだと 確定された つまらない灰色だと うたがいもしなかった それこそ不確定なものだと気付かずに ――だから 本当は 心のどこかで もとめていたんだろう 太陽さえも 夜の月にさえも なににも負けない 空さえも取り込むような そんな青さを―― 「昔さ、田舎で見た空がすごく広くて青く見えたんだ」 その蒼は海を写した色だという いつのまにか オレは空を見ながらさがしていたようだ そして ・・・ み つ け た いつもみる海の色を映した世界に 海のように すべてを包み込んだ深い『アオ』をみあげるたびに 手を伸ばした |