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02. だって女の子がほしかったんだもん |
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<side ガープ> 一番初めの孫は絶対に女の子だろうと思っていた。 むしろ息子でうんざりしていたので、初孫ぐらいは女の子がよかった。 なにしろ自分の孫だ。誰よりも可愛いく、間違いなく将来美人なるだろう。 きっと嫁に似て花もよく似合うはずじゃ。 可愛い声で「おじいちゃん」と呼んでくれるだろう孫の将来像を想像して、“花の冠”という意味で『リース』という名を考えていた。 だからそれ以外の名前なんか考えなかったし、生まれたと報告があってかけつけたときふわふわな桃色の服に身を包んだ赤ん坊を見て、“そう”だと確信した。 間違いなくこの赤ん坊は、望みどおりの女の子に違いないと思った。 まだベットの上に寝ている嫁に許可を取って赤ん坊を抱き上げる。 その瞬間パチリと目が開かれ、赤ん坊は泣くでもなく、つぶらな瞳を限界まで見開き不思議そうにきょとんとしていた。 あまりの可愛らしさについ頬ずりをしてしまった。 「あぶぅ〜。きゃ!きゃぁ〜」 それから気がつけば息子の嫁が「あらあら」と笑っていたが、赤ん坊はもっととでも言うように目を細めて嬉しそうに笑って手を伸ばしてきた。 か… 可愛い。 初孫という負目を抜きにしてもかわいい。 それに普通赤ん坊というのは怪獣と例えられるほど騒がしく良く泣くが、この子は随分と静かで理知的な目をしている。 これが女の子というものか。 かわいさも息子と比べると百倍増しだろう。 「お義父さん、そのこはリースっていうのよ」 しばらくするとナイショ話をするかのようにこっそりと、息子の嫁が赤ん坊の名前を教えてくれた。 楽しそうな、嬉しそうなクスクスとした笑みに、なんて幸せな光景だろうと胸が温かくなった。 リース。それはワシが考えた名じゃが、どうやら採用してくれたらしい。 嬉しいことこの上ない。 そうして生まれた子供はリースと名付けられた。 【わけあり一年後】 あとでわかったことだが、リースは男の子だった。 名前…。 言わなければばれないじゃろう。 ワシは墓場までそれを持っていくことにした。 |