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04. 暴君という自分の世界の王 |
side 『夢主1』基本的に今のオレは人のために動くほど気力はない。 面倒ごとは嫌いである。 働かなくても家は金持ちなので問題ない。 人間と会話するのも実はいやだ。 だってこの世界の住民は会話をすると必ず一度は予言という言葉を口にする。 うざい。 それで人間と話したりあったりするのがいやになったので、叔父上の外出禁止令はありがたかった。 なにせ屋敷の住人は決して、余計なことをしゃべらないからだ。 それにオレがどこかで寝ていても何も言わずに運んでくれる。 人間嫌いにまでおちいったザ☆ヒキコモリ現在進行形!なオレとはいえ、我が家ではほとんど誰かが何かをしてくれるので生活が楽なのでよしだ。 そんなヒキコモリのオレ。 「サン。相変わらず顔色悪いですよぉ」 「大丈夫だってオレ夜型で昼は寝てしてるし。ただここのところなんか眠らせてくれない奴がいるんだよ。住んでる国が違うくせにやたらと押しかけて来るんだよ髭が。おかげで寝不足で」 「ヒゲってことはじいさんか?」 「年寄は大事にしなよ。お年よりはユリアの次によりすばらしい生き物だからな。彼らは知識の伝道師さ」 「・・・」 本物の年寄りならな。 そのやってくる元凶というのが、どうもまだ三十歳にもなっていない若年寄なのだからたまったもんじゃない。 オレはいま下町の酒場で、髪の目立つ色を隠して働かせてもらっている。 なぜそうなったかといえば、なんとびっくり。書物庫のいくつかある隠し通路のうちのひとつが、やたら傾斜があるなと思っていたら、貴族の住む地域を越えて下層階級にまで繋がっていたのだ。 そして通路に設置されていた棚には黒色の鬘がありました。 黒い、かつら…王族しかいねぇだろ髪隠すなんて!!ぶっちゃけ誰だこの抜け道掘った王族は!?と思ってしまったほど。 なんにせよ、素晴らしいまでに計算しつくされた抜け穴で、入り口は本に埋まってわかりづらいし、中には変装用具(ちょっと古い)があるし、出口は下町の酒屋の裏の路地。 見かけは袋小路だが、実は壁ではなく抜け穴の扉とか・・・おちゃめすぎる。 そんなわけで、初めて外に出たとき、戸惑うオレを拾ってくれたのが、酒屋のおかみさんだった。 そんなわけで髪は黒い鬘(といっても古い物らしく少し色が落ち墨色のように変色している)をつけ、名を―――名を聞かれたとき偽名がとっさに思いつかず前世の名前を偽名として―――【】とつけて、おしのびでオレはここへよくやってくるようになった。 ちなみに下層階級地域で宝石や高価な品を換金した、それこそすぐに素性がばれる。 なのでオレは近くの酒場で雇ってもらうよう頼み、そこで料理人として働かせてもらっているのだ。 とはいえ、未成年なのであまり深入りはさせてもらえないが。 どうなんだろうそこのところ。 ********** 十歳までの記憶はないが、それ以前の生まれる前の記憶がそこそこあるので、いろんな意味でただの若者ではありえないけど。 とりあえず予言?なにそれぇ?くそくらえ。 オレはオレの好きなように生きる。 貴族?満干全席で太ってしまえ。脂汗が出るようになったらこっちくんなよ。 剣?まかせろ。護衛でも引き受けられる自身あるぜ。髭くんな邪魔。 人のためにがんばって。だとぉ? 無理。有り得ない。ヤル気なし。 自分のためだけさ。 だってオレ甘やかされて育ったからね。自由が好きだ。 外見十七歳。中身七歳。なのになぜか経験豊富。でも、自分がやりたいことしかやるきはない。 こうして金を稼ぐためにひそかにアルバイトなんかしているのもすべて自分のためで、本当は屋敷で引きこもっていたいんだ。 そうでなければすべてのしがらみを無視してみない振りしていいのなら、旅にでる。 空気のいい静かな場所で隠居しよう。 予言という戯言が聞こえない場所がいい。 料理はできるからきっと生きてけるさ。 ああ、笑顔でウェイターってだるい。 そろそろ貼り付けた笑顔がはがれそうですよおかみさん。 はやく隠居したいなぁ。 ナタリアよ。がんばってよい子を産むのだぞ。オレに王族的な何かを求めるな。 たとえ会いに行っても料理を作ってもてなすんじゃないぞ。 子供にはきちんとコックの料理を食わせるんだぞ。じゃないと跡継ぎがなくなりまたお鉢がオレに回ってくるだろうが。だからだめだ。 そうでないならしっかり治癒術をマスターするんだ。 子供がお前の飯を食って早死にしないように極めるのだぞ! オレにはかけがのない夢がある。 叶えたくて叶えたくてしょうがない夢。 それは・・・ ――オレは軟禁生活から開放されたら即隠居する。 アデューだ。 ま、そのためにはまずは金だよな。 |