崎穹識の日常
- 復 活 × 零 崎 -



01. 穹色の回想





 はじめて“零崎”――“殺し”をしたのは、母親と一緒にいたときだった。
人ごみの真っ只中。
殺した相手が誰だったかなんて知るはずもない。

「偶然が重なっただけ」

死んだ人は、本当に運がなかったんだ。


 だって。
おれは理由なく人を殺す殺人鬼。
息をするのと同じように殺すことで生かされる『零崎』だから。

『零崎』――それは性格や趣味、人格なんて後付されたものとは程遠く、いうなれば本質だ。

“そういうもの”。
その言葉こそが『零崎一賊』にはふさわしい。

だから偶然が重なり、ひとが命を奪われた。
いいや。



ころしたのはおれ――





 


―― side 名のない穹色の零崎





 


おれはべつに殺したかったわけじゃない。
だって相手のことも知らないし、本当なら殺す理由もない。
なによりまだ四歳の子供になにができるというのだろう。

本当ならば――だ。

だからこのとき、自分に誓った。
「ここから押せば死ぬ」「これを刺したら死ぬ」「これで殴れば」とか・・・。
無意識にそんなことを考えてしまうけど、決して実行しないようにと。

『おさえよう』と――

息を殺すように
その“衝動”を自ら殺すことで。

おれはオレとして生きる道を選んだ。

だって。

いつでも殺せる。そんな目で家族を見てしまう自分がどうしようもない存在と理解しているから。
優しい人を怖がらせたくなくて。
側にいたかったから。



 うん。おれさ。
お母さんもお父さんも大好きだよ。
それに人間って大好き。




 だからね

商店街でもらった風船のひもが、細いワイヤーのようなものであったとしても、それを持っていたオレにぶつかったのがあなたであったことは――本当に偶然。
「こんなやつ程度ならすぐに殺せる」

 それがオレの導いた答え。
ときに感覚は、感情や思考をうわまり、気が付けば体が動いていたコトだってある。

それと同じ。

ごめんなさいは、言わないよ。
だっておれはただ“息”をしただけなんだから。
ぶつかったあなたが悪い。
でもあなたの周囲の人にならあやまろう。

悲しみと恐怖を与えてすみません。


 それが【零崎穹識】という存在。
それが おれが見続けることとなるおわりの初日だった。








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