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06. 転がってはまってすっぽぬけて流れ着く |
幻影旅団の団長クロロとわかれたはというと―――。 は木箱の中で、大量のリンゴにまみれておぼれていた。 :: side UNKNOWN :: そもそも何があったかというと―― 究極の方向音痴である自覚があったはクロロにつれていかれても抵抗して逃げ出すことのほうが自分の身が危ないと判断し、おとなしくされるがままに運ばれていた。 しかし偶然わきを通りかかった荷車からのびていたコードが偶然にも足に絡まり、そのままクロロの腕からコートだけをのこしてスポンとひっこぬかれた。 はそのまま引きづられるかと覚悟をしたが、すぽんと抜けた勢いで吹っ飛び荷台の上のリンゴの中に落ちた。 運が良かったのは、が小柄な身体であり体重も軽かったことと、(無自覚の)念能力という力に守られていたため、リンゴが衝撃でつぶれるようなことがなかったことだろう。 そうでなければ今頃は、文一文無しであるはずのは、傷ついた出荷物を引き取る羽目となり借金まみれになっていたであろうからだ。 はそのまますぐに箱から出ようとしたのだが、ふたがずれているのに気付いた運送屋に唯一の出口を閉められてしまい出れなくなった。 その彼が、荷箱から発見されたのは、クロロとであった展示会場のある町から少し離れた場所の店に納品されるところで果物にまぎれてだった。 しかしそこでさらに困ったことが起きた。 電話番号のかかれた迷子札もなくし、携帯も持ち合わせていなかったは当方にくれていた。 気のいいおじさんが同情のまなざしでもってをみつめたあと、商品の(少し傷んでいる)リンゴを一つにもたせた。 ここはハンター世界。 この世界では人に無償で手を伸ばすような物好きはいないのだ。 だからそのときのリンゴは、厄介ごとを持ち込むなという意味もあっただろう。 ただしいろんな意味で達観してしまっているにしてみれば、なにをどう勘違いしたのか。 その行動一つでさえ「いいひと」という枠付けの中に入ってしまっていたが。 本人たちにしてみれば、みていてこっちがなんともいえなくなるような―――迷子になって、殺されそうになって、さらに人攫いにあって、荷物に引っかかって荷箱の中から出れなくなった―――たった一日視にしては経緯のあまりの不運さを聞けば、さすがに立て続けの不幸を恐れたというだけだ。 役所かハンターが通う情報屋あたりを訪ねるといいと地図を書いて手渡した。 直に金をいくばくか手渡すこともなければ、自分から進んで案内するわけでも、面倒をみるわけでもない。 それは彼らが本当に気がいいわけではなく、自分に来る厄介ごとを恐れた厄介払いである。 嬉しそうな当人はまったく気付くことはなかったが、ここが強者しか生き残れないハンター世界においては当然の対応だっただろう。 その後、は迷いに迷った挙句、たどり着いた。 しかし途中で階段を踏み外し、そのせいで道を一本それて別の店に入り込んでしまっていた。 さらに運の悪いことにゴロゴロと転がり出たは、口をあけていた廃棄処分予定のコンテナの中にズボッとフィットしたのだ。 そうしては誰にも気付かれず再び箱にしまわれてしまった。 そのまま箱の山はコンテナに載せられ、飛行船でもってゴミ捨て場へと捨てられた。 落下した先には鉄屑や、古びたコンテナ等様々な物がごったに積み重なって放置されていて、衝撃で箱が開いた時、そこは毒が空気中を漂う鉄屑の山上だった。 困惑するをよそに――― 【流星街】は彼を迎え入れた。 |