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04. 片手でもてるからって小さいって言うな |
ツバキから口をすっぱくして言われていた事は二つある。 迷子になったら、その場を動かないこと。 煙が体から出ている人には決して近づかないこと。 どっちも大事だなとは思う。 だけど、けむりな人が、もしあちらから近づいてきた場合はどうすれば…? :: side 爺さん :: とりあえず、はっきりしていることといえば、この一言に尽きる。 ――ツバキとはぐれた。 たくさんビルが並ぶ中、でていた露天の旨そうな物にひかれているうちに、ツバキがどこかにいってしまった。 ツバキは何かの品を見に行くと言っていたから、近くのお店か展示物でもみているのかもしれない。 ツバキは骨董品や古いものが好きだ。 だから美術館とかあるとすぐふらりと入ってしまう。 本来ならば、探しにいくよりここで待っていたほうが安全だろう。 大き目の目立つ建物の前でしゃがんで、迷子捜索隊による救助を待っているつもりだった。 しかしなぜか気がついたらすでに建物の中で、そこはどこかの美術館のような場所だった。 なぁにのぉ。 そこに「展示会場はこちら」と、大きく矢印があって、しかも開いている扉があったんじゃから。 開いていたらはいるよね?っという心理戦に負けてしもうたんじゃ。 どうみてもあの赤い矢印は自分を呼んでるようにしか見えないし。 ゆえにツバキも誘われて野次るの方にいるんじゃないかな〜とか思って、結局その場から動いてしまった。 その美術館は床一面が大理石で作られていて、顔が映るんじゃないかと思う程綺麗に磨かれていた。 あまり磨き過ぎるのもどうかと思うんじゃよ。 つるっつるすぎて、見事にこけた。 こけた勢いのせいか何かが落ちてしまったらしく、一瞬手に硬い物が触れ、更に耳元でシュッと風の擦れる音がした。 どうしよう。 美術館のものは大抵接触禁止な価値あるものばかりだろう。 壊したりしたらツバキに怒られる。 ツバキの給料で弁償できるものだといいんだけど…。 きっと無理じゃな。 慌てて起き上がってそちらをみると、床には硝子のように透明度の高い青色の綺麗な石で作られた亀が一体と…。なんで亀? それとっ、 小さな…………ち… ち、血付きナイフが転がっていた。 『どこからこれはきたんじゃ?しかも血がついておるし・・・』 ********** さて、突然だが、なぜか自分は見知らぬ人に荷物同然に抱きかかえられている。 どうしてこうなったんじゃったか? 新鮮な血がしたたるナイフに呆然としていると「よくも仲間を!」という声が聞こえて、なぜか突然現れたひと達に襲い掛かられた。 さらなる突然の急展開に、驚きすぎて動けなかったが、衝撃がくるのだろうと怖くなって慌てて目を閉じた。 目を閉じる寸前、一瞬視界のすみで何かがうごめき暗くなった気がした。 しばらくしてもなんの衝撃もなく、周りが静かになったこともあり恐る恐る目を開けると、そこには襲い掛かってきた人はどこにもいなくなっていた。 あの暗殺者のような人たちは消えていた。 ホッ安堵していたら、消えた襲撃者と入れかわるように、自分の背後からにゅーっと手が伸びて、そのまま抱きかかえられた。 片腕で自分を抱きかかえている人を見上げて少しびっくりする。 思わず感嘆してしまいそうなほど格好いい紳士た。 黒背広で脚が長くて、黒い髪とかすごくサラサラ。 ものすごく顔が整って、でも額に白い包帯(?)を巻いているのがアンバランスだけど、それさえもファッションの一部のような…… っで、 “けむりがモクモク体から出て” います。 これは、ツバキから近づくなといわれた人種だ。 そんでもって、物凄くモクモクしている。 それはもう、 “本の形” にでもなりそうなほどモクモクと…。 「......なにをした?」 意味が分からなくて首をかしげる。 目の前の人が助けてくれたのかと思いきや、どうもわしの方が何かしてしまったらしい。 きっと襲ってきた人たちは、体からあの “悪いことがおきる煙” を出していたのだろう。 だから相性の悪い自分とぶつかって、消えてしまったのだ。 まぁ、今回は周囲に血みどろ地獄絵図ができていないだけましだろう。 ワシにかかわると “煙が出ている” 相手だと、消えてしまうことはよくあるのだ。 「これはまだ…盗れないか」 その言葉と同時に、いまにも本の形になろうとしていたモクモクが消えた。 かわりに体を覆うように綺麗にユラユラと煙が揺れている。 なんか今まで見てきた中で一番綺麗な煙だと思った。 そして彼は戸惑うコチラのことなど気にもせず、落ちていた青い亀を拾うと建物をあとにした。 ――ふぅむ。なぜじゃ? なんでこうなる? そのまま “お持ち帰り” をされた自分はどうすればいいのだろう? |