++ 白澤さまは前世餅 ++
- リクエスト企画 No18 -



01. 口のきけない獣






【 side 夢主1 】






海賊世界の海賊王ゴール・D・ロジャーの魂とともに沢山の世界を転生している ) といいます。
よく二次元のお話にあるでしょう?
そう。まさにあれ。
転生者です。

オレははっきりいうと、前世の能力を引き継ぐタイプの転生者だった。

はじめの能力は、描いた絵に能力を与えること。絵がその能力の過程で具現化することだった。
その能力を得た後も転々といろんな世界に生まれては死んでを繰り返した。

墨の能力を持ったまま再び生まれたある別の世界でのこと。
そこでは次期太陽神として、狼のような生き物に転生した。
しかし地べたに寝そべっていた犬(父親)のしっぽを踏んで、すべって頭を打って死んだ。

次の転生では・・・。
運命の女神がミスをおかした。

今迄の力でさえ、数多く転生しているのだからその分年季がはいって、使い方次第ではそうとう馬鹿でかいものだった。
しかも前世は神様だしな。
なのに、女神ったら、なにを考えてか、《巨大な神力》を転生前のオレにおしつけてきた。
その力の大きさといったら、とある世界では、その世界の理さえも変えるほどの巨大すぎる力だ。

しかも女神はそこで聞き間違いをし、そのでかすぎる力をオレの声に連結したからさぁ大変。
オレがしゃべる声の大きさイコール力の放出量となってしまい、しゃべるだけで窓硝子にはヒビがはいり、砕け散る始末。 声のボリュームを上げれば、地面が割れ、地震が起き、津波がおきた。 叫べば世界が壊れるのではないかと思うほどの威力だった。

そんなオレがまたしても転生したよ。

だが、しかし。
考えてもみてほしい。
今迄は転生しても、前世での記憶も能力も引き続き持ち越していたオレだぞ。 つまり今回もまた前世の力も引き継いでいるわけで。 すなわちオレのいままでの能力+運命の女神からのギフト(という名の馬鹿でかすぎる神力)がもろに健在であるわけで。

そして何度も言うが前世の能力は、声ひとつで地割れが起きる破壊力を持つ。

これでお分かりいただけたことでしょう。
オレ、ただいま口聞けません。
正確にはきけないのではなく、世界のために話さないが正しい。

生きづらぁ。





長い年月をこの世界で行き過ぎたせいか、前世の記憶があいまいだ。
もとから記憶力があまりよろしくなかったぶん、今回はもう前世なんかないのとほぼ同じだ。
せいぜいが能力の使い方を覚えていてよかったというレベルである。

そんな霞みのようにおぼろげなその前世の記憶から、今度の世界は中華風なんだなぁとぼんやり思っていた。
ただし中華風とは言うが、そう思ったのは、オレがこの世界に発生してから数億数千年後のある日のことである。
そしてどうやらこの世界は、オレの前世の世界の地球とは別の平行世界のようだ。
だってあの世がある。
桃源郷やら極楽や地獄がある。
ちなみにオレは、その神々が住まう天界で生まれた。


アマテラスだったときは 狼の姿だったけれど、今回も人型を放棄した獣として誕生した。
今回は、角のはえたけむくじゃらの獣で、吉兆の象徴らしい。
そんで神様たちからは、白澤という種族名をいただきました。

いや、もうね。
こう何億年と生きていると、獣のままでもいいかなぁっておもうんだよね。
もちろん二足歩行だってできるし、人の姿にもなれるんだけどね。

実際のところ、オレが生まれた・・・というか、発生したのは、中国もまだ存在しない時代の白亜紀ごろで。
自分の出身地が中華風だなぁと世界とぼんやり思いはじめたのは、人間が生まれて数万と数千年後あたりに、あの世とやらが改革されて以降のことである。
そのあたりから、獣のままだと小回りが利かないから、人の手足をのぞんだら、あっさりなれたわけで。
まぁ、そんなはなしどうでもいいかな。



それからなんだかんだあり、我が国は日本のあの世とも交流を持つようになった。
国際交流万歳だね。


「白澤さまはとてもお体が弱いの。無理をさせてはいけませんよ」

国際交流の結果、うちの国の神様が他の国の神とかにオレを紹介するときに、いつのころからかおかしな名言が生まれた。

なんでオレ、体が弱いことになってんの?
え?しゃべれないから?
いつも寝てるから?

いやいや。それ、全部事情があんのよ。
ほら、オレが口をきかない理由は、世界が壊れかないからで。
寝てるのは、仕事が忙しくて疲れてるのとか。あとは昼寝!
本当に理由はそれしかないんだよ。

まぁ、オレがしゃべれない理由をしるのは、ごく一部の最上神にあたる天帝やら上の神々だけだ。
基本、他国のやつあてにも、オレに無茶させるの禁止とお触れがでているくらいだ。
そりゃぁ当然だよな。
へたにうっかりオレがしゃべったりしたら、それだけで世界が揺らぐんだから。

だから「白澤という生き物は、驚かすのもだめだよ」と、「超デリケートで繊細な生き物なんだから」と。そういうことにしておいたほうが楽だとおえらがたも判断しての結果らしい。


結果――周囲にオレはガラス細工でできている獣のように扱われている。

なんか勘違い具合が、おかしな方向にむかっている。それは現在もかわらず爆走中で、新しく生まれる神やあの世の住人にまで気を使われる始末。
おかげで基本的にあまりひとと関わらずにすんでいるが。
さすがにちょっとたまにさびしくなるんだよね。

しかもたまにひとをみつけたとおもえば・・・「白澤さまだ!話しかけちゃだめだぞ!話しかけただけで驚かれて死んでしまう!」っと、逃げられるし。

どこまでオレの噂はひねくれているのか、これはひどいとため息がでたもんだよ。
ちなみに。
そのため息のせいで、さらに勘違いした殿上人たちが、オレが病気だとかほざいて触れ回ったせいで、一時天界はパニックになった。
どんだけ勘違いが捻じ曲がればいいんだ。
あと間違ったうわさにビロンビロンとばかでかく広がり続けているこの尾びれは、いったいいつになったらなくなるのでしょうか。

まぁ、おかげでかなりまったりと日々を生きているわけだけど。
なんかいろんな意味で疎外感感じるし、ちょっと寂しいけど。
まさしく怠惰な日々に万歳だ。



そういえば、最近ではどこのあの世も騒がしく、現世もそうとう文明の利器が発達し、人間たちはせわしなく生きいそいでいるが、 天界のさらに辺境までは、さすがにその喧騒は届かない。
オレにあてがわれたテリトリーは、いたって時間がゆっくり流れている気さえする。
日々をまったり過ごせるって本当ステキ。
よき今世である。

あの世だけど。








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