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06.ここでそのフラグですか!? (上) |
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『』・・・普通の人には聞こえなかったり理解できない会話。テレパスやポケモンの声など。 ≪≫・・・夢主による筆談。 side 主人公 はーい。なぜかポケスペ世界に飛ばされちゃったオレ、レッド成り代わりことです。 本当はもうレッドの方が呼ばれなれてるんだけど、さすがにもうひとり『レッド』がいるからね。 そんなわけで今はレッドさんとゴールドと一緒にシロガネ山にいます。 海から山の温泉にテレポートしたと思ったら世界も越えてしまって、この山で修行中だったレッドさんとゴールドに拾われて一週間とちょい。 極度の方向音痴でもあるオレは、この7日程で何度遭難したことか。 あぁ、でも。長く一緒にいるせいか、ゴールド以外――といってもレッドさんしかいないが――にも、怖くなくなったし触れるようになったのはめでたい。 ミュウのくんは、最近はレッドさんのピカと仲良くなったようで、もっぱら二匹でよく一緒にいるのを目撃する。 そんでもってオレは、この世界ではポケモンに襲われることがないのでのびのび生きています。 相変わらず人見知りは激しいし、ポケモンもこわいけど、ここのポケモンたちはオレという存在に違和感を覚えても攻撃をしてくることはなく、逆に迎え入れてくれるのですごく安心。 この山のポケモンたちはみんなオレには優しい。 だから人里なんて降りたくないんだけど、最近レッドさんとゴールドがオレの方を見てはこそこそと町におろすべきだと話しているのを聞く。 人里なんて怖くて降りれるわけないじゃないかぁっ!! 思わずフシギバナのリーフくんをモンスターボールからと取り出して、二人の視線をさえぎる盾になってもらう。 リーフくんからは相変わらずの「またかぁい」という厭きれた視線がきたけど、頷くにとどめて初めの頃とは段違いにおっきくなったリーフくんの身体にしがみついて隠れる。 『ますたぁ・・・』 『無理!人里なんて行ったら死ねる!!』 『ますたぁ〜それは、ひととして、どうかとぉ〜』 いわれた鋭いツッコミにグッと言葉が詰まる。 でもさでもさ。怖いモンはしょうがないじゃないか。 最近まであのレッドさんにも慣れなくて、触れることさえできなかったこのオレが!どうして世界も違うしみたこともない人の群れにいかなければいけない!? 怖いじゃないか! そう思って首をブンブン横にふって「イヤ」をアピールする。 本当にイヤ。 ってか無理。 っが、しかし世の中やっぱり優しくない。 「ほら、いくよ」 オレがフシギバナを盾に隠れていたことで、対抗心を燃やしたレッドさんが同じくフシギバナのフッシーさんをだしてきて、あのリーフくんの巨体をあっけなくどかしてしまう。 それにヒィー!と悲鳴を上げている間に、いつの間に用意したのか、レッドさんとゴールドがすっかり旅支度を整えて待ち構えていた。 フシギバナのリーフくんじゃなくて、“グリーン”から借りていたリザードンのヒーちゃんにすればよかった!! だってラプラスやカメックスは、水タイプでもこの温泉地帯で出すのかわいそうだったんだもん!! でも今更後悔しても遅い。 オレは慌ててリーフくんをボールにしまうと、今度はゴールドの背後にべったりはりつく。 「さん・・・大丈夫ッスから、ねっ?」 オレの方が年下なのに、なぜかゴールドはオレを“さん”付けで呼ぶのをやめない。 尊敬する先輩によく似たやつにか、それともオレみたいな子供が苦手なのか、オレがゴールドにくっつくたびに、彼は居心地が悪そうで、彼はいつも遠慮があるような気がする。 だけどしょうがないだろう。あきらめてくれゴールド。 だってここが一番の(心の)安全地帯なんだから許せ。 オレにギュウと服をつかまれ背に張り付かれたゴールドは、相変わらず動けないと困惑気味だ。 レッドさんはいつまでも駄々をこねるオレをみかねて、ゴールドの背後から引っ張り出そうと腕をひっぱってくる。 「ほらー!!お前はそれでももうひとりのおれか!!」 『レッドはレッドでもポケスペではなくGB編の主人公ですぅー!!』 ブンブンブン!! ぐぃーっとひっぱってくるレッドさんに勢いよく首を振る。 両手が塞がっているので、会話は通じていないが、心の底から“レッド”違いだと本気で思う。 それに人間不信な三重苦のオレが、あなたたち以外の人間と会うなんて無理ですから!! その後、あまりのオレのヘタレ具合や遭難率の高さに、やはり山ごもりさせるのは無理と判断され、せめて人里ですごすべきだと説得された。 そんな不毛な戦いを始めて早2日目。 一週間の間に彼らにオレはどれだけ迷惑をかけたか。 わかってはいる。わかっては、いるんだ。 でも野宿には慣れてるし!!なによりこっちのポケモンはオレに優しいから木の実とかある場所教えてくれるし、本当に大丈夫なんだよ!! いや、たしかにオレはすぐに迷子になるというか、その・・・方向音痴だけどさ。 だけど人里!? そっちの方が無理だ。 「おれさ、いまこいつと修行中だから・・・家あいてるから!! 山が好きなのはわかったから、せめておれの留守の間住んでていいから、オレの家でいいから人里で暮らそうぜ!山を降りよう。 それにいざというときのために、おまえのことは博士やグリーンにも頼んでおくからさ。な。だーかーら!はなれろ!!」 「そうっすよさん。ただでさえ迷子になりやすいんすから!!」 「そうそう。おれらがきがきじゃないんだって。 エイが迷子になってたり〜とか、ポケモンに襲われてないか。とかすごくきになるんだ! だから!なっ!!!」 「ってかたのむから離してくれっすぅ〜!!ああ、俺の服が!服がぁぁぁぁぁぁぁァァーーーー!!」 《わ、わかってはいるけど・・・無理だぁー!!!》 二人の必死の説得。 あまりに正論を付いてくるそれに口答えはできないが、無理な無理と頭を抱えてうずくまる。 たしかにオレは彼らとあってまだ七日程しかたっていない。 その間に何度迷子になったかわからない。 現にオレが今持っているポケモンたるリザードンなんかは、そんな迷子になったまま帰ってこないオレの居場所を常に把握できるようにと幼馴染みのグリーンに持たされたものだ。 決着はやっぱり力が弱いオレが負けた。 オレとゴールドの間に入ったレッドさんにより、無理やり掴んでいた服をから引き離された。 そのあと、レッドさんが、これ以上駄々をこねるなら、ひとつ勝負しようといってきた。 《賭け?ってなにをするわけ?》 「ん〜簡単なことさ」 メモに走り書きをして思わず首をかしげる。 そこで言われた言葉にギクリと肩が揺れる。 もしこのまま強行軍でオレを里へ連れて行っても、極度の人見知りの影響であばれたあげく、そのまま森に逃亡して道に迷うだろ。――っと。 ぶっちゃけいかにもそのとおりのことになりそうで、オレはいたたまれなくなる。 横ではピカさんがレッドの言葉に「あぁ、あの遭難具合は凄かった」と物凄くしみじみとした風な表情でこちらをみつつ盛大に頷き、くんが「知らない奴を見てビビって走り去るとか、間違いなくやるよね君なら」とか笑っている。 二匹のピカチュウのせいでよけい肩身が狭くなる。 そこまで“迷子”をみんなで強調しなくてもいいと思う。 「ってなわけだから。“納得”してもらってからを連れてこうと思う」 「それが“賭け”っすか・・・」 《どうやって?》 「勝負っていったらポケモンバトルしかないだろ」 なにをばかなこと言ってんのみたいな顔でみられた。 賭けだから勝負。勝負イコールバトル。 そんな連想ゲームみたいなことで、なぜかオレはポケモンバトルをすることになった。 待て待て待てぇ!!なんでそこでバトル!? 「先輩。、さん・・・が、めちゃくちゃ「なんで!」って顔してるんすけど」 「うん。それくらいおれにもわかるよゴールド。って顔より目が物を言うような」 そりゃぁ、人間ですからね! 感情がないはずないでしょう!! ってか、そのバトルってなに!?オレVSレッド&ゴールドタックなんて無茶なこといいませんよね!? 《無理です》 とっさに2対1でのバトルの光景が浮かんで、必死にその妄想を打ち消すように首を横に振る。 そのまま話が進まないうちに、急いで紙に言葉をつづって、二人につきつける。 だけどレッドさんは不思議そうな顔をしただけで、これまたイタイとこをついてきた。 このひとって本当にのほほ〜んてしてる風なのに、日常の些細なことさえちゃんと見てる。 さすがは『戦う者』と称された――ポケスペ主人公だけはある。 オレと同じ色の目は、すべてを見透かす目。 目敏い彼はオレがずっと隠していたモンスターボールに気付いている。 「たしかもピカチュウ以外にポケモン持ってるよな?」 「え。さんってピカチュウ以外にポケモンもってたんすか・・・知らなかった」 「みせてもらったことないけど・・・戦えないわけじゃないだろ?」 《まぁ一応は・・・》 「なら、おれたちが勝ったらはおとなしくおれの家に住むこと!おれ、またはゴールドが負けたら・・・う〜んどうしよっか」 「ここで「の自由にしていい」っていう言葉だけは言っちゃだめな気がするのはなんでっすかね〜ハハ・・・」 「・・・それはおれもゴールドに同感」 《じゃぁ、オレが勝った場合の条件は?なしってのはダメだから!!オレにばっかり不利益な条件なんて・・・ずるい。それじゃぁ勝負じゃない》 「だよな。あ〜えっと・・・」 結局、はったもんだの末。オレが勝った暁には、ひとり旅の許可を得た。 ただし連絡は必須。 “あっちの世界”のグリーンもだけど、みんな心配しすぎだ。 母さんや伯母さんなんてオレが連絡しなくてもまったく気にしてないほどだよ。 たまにかかってくる母さんからの電話なんか「レッドのお金また使っちゃたごめんね〜」とか「パソコンに、よさげな道具いれといたからね〜」とか、ひとの貯金を勝手に使って勝手にパソコンに何かしてくれちゃってる(いい意味ではない)・・・そんな感じだし。 ましてや本当はひとりで大丈夫なんだ。 だって十歳の頃からそうやってずっと旅をしてきたし、むしろピカチュウに変化しているくんがそろそろ本来の姿に戻りたいんじゃないかという思いもあったから。 結局条件を呑んだからには、やることになったバトル。 今更気付いたけど、この世界にきて始めてのバトルだった。 よくよく考えると一週間。これほど長くポケモンバトルをしなかった日はないんじゃないだろうか。 やっぱりオレは、この世界が好きだ。 ここでならオレは意外と平穏無事にに生きていけそうだし。 まぁ、寂しいから絶対に、元の世界へ帰るけどね。オレ。 そして。 バトルの話がどうなったかというと―― 『ええー!!なんでレッドさんじゃなくてゴールドと!?』 なぜかゴールドとオレの試合ということになった。 まぁ、ゴールドとレッドさんのコンビ対オレっていうような、2対1よりはましなんだけどね。 審判はレッドさん。 試合方式は六匹ずつで、入れ替え有りで、先に六匹倒れたほうが負け。 だけどそれはやばいと思います。 なぜって、ここがポケスペ世界でレッドさんとゴールドがシロガネ山で修行中ということは、つまりゴールドは“レッドを倒すほど”には程遠い実力で、まだそれほど強くはないということ。 っで、ぶちゃけていうと、オレの方は三年前にはすでにポケモンリーグ優勝しちゃってます。 さらにそこから毎日ポケモンが襲ってくるし、挑戦者がひっきりなしにくるしで、ほぼ毎日バトルづくし。 ごめんなさい。こんな人見知りで人身&ポケモン恐怖症なオレですが、さすがに三年前よりはるかに強くなってしまってます。 マジです。はい。 どうしようかとチラリとくんをみると、ニヤリと笑っていた。 それに一瞬背筋が寒くなる。 あいつ殺(や)る気だ!! せ、せめてくんが、鬱憤晴らしと称して暴れだす前にとめなくては! そう思って、必死にペンを走らせる。 オレのイトコではなくともゴールドはやっぱりゴールドで、いい子なんだ! こんないい子に怪我をさせるわけにはいかない。 このバトルが免れないのなら、せめて強いこと間違いなしのレッドさんとバトルした方が安全だ。 《レッドさんじゃないんですか?言い出しっぺはあなたじゃないですか》 「あ〜。だってって弱そうだし」 そんな・・・そんな外見だけで、なんかいろいろ判断されちゃってる!? そうこうしているうちにウキウキと目を輝かせるレッドさん。 すっかり準備を整えてキューをかまえて、よろしく!と爽やかな笑顔を向けるゴールド。 その肩にはいつのまにか、パムのエーたろうくんまで戦闘準備をしていて、楽しそうにキキキと笑いながらはしゃいでいる。 『え〜・・・』 いいのかなぁ。本当にいいのかなぁ。 うちのくん。本当はレベルがいつも規格外で数値測定をするたびに機械がエラーおこしちゃうような子で、しかも本当はピカチュウじゃなくてミュウなんだけど。 ちなみにそんな規格外なくんを抜かせば、オレのポケモンは、オレに非常に過保護なのしかいないんだけど・・・。 いいのかなぁ。 しらないよ。本当にどうなっても、しらないよ。 ってか、保証しないよ。 なにせ規格外と過保護しかいないわけで、ついでにいうと過保護たちはオレのいうこと聞いてくれるはずもなく、彼らは勝手に戦っちゃいますよ。 それでもいいの? 念のため二人にもうしわけなく思ったので、最後にもう一度だけたずねてみた。 怪我しない保証できないんだけどぉ〜。 たぶんレッドさんとオレなら互角かもしれない。あんまり自信ないけど。 この一週間を見ている限りでは、ゴールドとオレでは差がありすぎる。 だからといって最強のトレーナ+その弟子という二人組みと戦いたいわけじゃないよ。 むしろこっちの世界のポケモンリーグチャンピョンであるレッドさんと、戦いたいはずはないけどさ。 たしかにレッドさんと戦うよりは、ゴールドだけの試合の方が断然ましだけどね。 だけど・・・今度は、イヤとかそういうのじゃなくて“危ない”と思うわけだよ。 だれって。オレじゃなくて、ゴールドが。 《本当にオレはゴールドと戦うんですか?》 レッドさんじゃなくて? レッドさん、オレ、ゴールドの順に交互に指さして首をかしげる。 二人はオレのアドリブをきっちり読み取ってくれたが、そのとおりだと頷くのみ。 しまいには「さぁやろうぜ!」と楽しげな師弟たち。 ああ、もう。こうなったらどうしようもないじゃんか! なんで今ここにいる奴らはポケモンも含めて危険思考なバトルジャンキーどもしかいないんだ。 とにもかくにもこの世界に来て、オレは、はじめてバトルをすることになった。 しかもこの世界ではじめてのバトルの相手が、オレの世界ではイトコにあたるが、こっちではまったく関係ないゴールドとか笑える。 どうしても戦わなくてはならない状況らしい。 なら、しかたない。 オレも腹をくくろう。 それにこの勝負にはオレの自由がかかってるしね。 なにより成長したごっくんそのものだろう目の前のゴールドをみて、無意識に笑みが深まる。 目の前に居るのは未来のゴールド。 これは予行演習だとでも思っておこうかな。 オレがゲーム世界のレッドである限り、やがて訪れる金の主人公との戦いの――。 今はまだ幼く、旅を始めたばかりのあの子。 その彼と本気でバトルする日がいつかやってくるのは必然。 “そのとき”は絶対に長袖を用意して、完全防寒服で行くと決めている。 シロガネ山での戦い。 なら、その序章として、こちらの“君”と拳を交えようか。 うん。たまにはオレも強気でいかなくちゃね! だってオレは仮にも“レッド”だからさ。 「本気でいいぞ。こっちのゴールドはおれが鍛えたからな。そんじょそこらの奴とはちがうぜ!」 「はい!レッド先輩の期待を裏切らないようがんばるっす」 威勢がいいナァ〜。 なら―― 『そうですか・・・。では、オレも』 本気でいかせてもらいます。 --------------- つづく・・・ |