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02. ゲームスタート |
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ポケモン一匹も連れずひとりの少年が、草むらへ入っていく。 赤色がトレードマークの少年は、ガサリと茂みが鳴ったことでそちらに振り返り、あらわれたコラッタと一緒に同じように首をかしげた。 少年の大きめの赤い目が、不思議そうなコラッタと見詰め合っている。 それからしばらくして、 「おーい、まてまつんじゃぁ!!」 少年がコラッタに手を伸ばそうとしたところで、白衣を着た老人が慌てたように駆け寄ってきた。 そのまま老人は呆然としている少年の腕をつかむと草むらから飛び出し、あとからポケモンが追ってこないことを確認するとほっと肩で息をつき少年を見やる。 「あぶないところだった!草むらでは野生のポケモンがとびだす! こちらもポケモンを持っていれば戦えるのじゃが…」 そこで老人は赤色の少年が、自分の孫の幼馴染みの少年であることに気付き、なんだレッドかと呟く。 レッドとよばれた少年は名を呼ばれてコクリと頷き、何か用かと言いたげにオーキドをみやる。 その表情は相変わらず感情で変化することはなく、言葉を発さないレッドにオーキドは一瞬だけ顔をしかめるが、思い出したようにポンと手をたたき、再び彼の手を取った。 「そうじゃ!ちょっとわしについてきなさい」 オーキドの記憶の中にあるレッドという少年は、幼いころから感情を見せることはなく、室内からめったに出ないような子供だったため、小さな町とはいえあまり彼のことを知っているものはいない。 それが五歳のときに病にかかって、それ以降彼は外に顔を出すようになった。 研究が忙しかったのもあるが、オーキドも孫と同じぐらいのレッドの存在を認識するようになったのはそのころからだ。 やんちゃなグリーンとよく一緒にいるものの、レッドが笑顔で笑ったところなど見たことはない。 話すことも感情を見せることもなく、なにを考えているのかはわからない。 わかるのは、彼の母親ぐらいだろう。 レッドはのんびりと木陰で本を読んでいたり、ひなたぼっこをしながらポケモンと戯れていることが多い。 研究所に遊びに来れば、自然とレッドに惹かれるようにポケモンは集まってくるのだ。 オーキドはその光景を思い出し、先程のコラッタも同じだったのだろかと、彼とポケモンの戯れを微笑ましく見守った。 この子は、だれよりもポケモンの気持ちがわかるのではないか。 それが当然のようにレッドの側にはポケモンが集まる。 いつか彼は立派なトレーナーになるだろうと、オーキドはレッドを誘って自分の研究所へと戻った。 「じーさん!まちくたびれたぞー!」 研究所につくと三体のポケモンたちの前に、つり目の少年がオーキドを待ち構えていた。 レッドの真逆な元気な性格の孫をみて、オーキドはこの二人ならばと… 十歳の旅立ちの祝いにポケモンを二人に手渡した。 |