誠凛と秀徳の試合が終わった。
だけど二連続の試合に疲れ切ってはいるものの、会場に長く残っているわけにいかない。
そんなわけで、完璧に動けない俺は、ジャンケンで負けた黒子によってひきづられるように歩いた。
雨も降ってたし、黒子ひきずるし。
左半分がドロドロになった。
ついたお好み焼き屋で、黄瀬と笠松にあってドウセキすることになって、少ししたら、こんどは秀徳の、緑間と高尾がきた。
はじめは俺たちをみたとたん不満そうにした緑間が「帰る」ってまた店を出て行ったけど、すぐにトップウ(?)と雨がすごすぎて戻ってきた。
そんなわけで、いま、黄瀬、黒子。緑間、俺。の四人で相席中だ。
原因は、高尾ってやつが、ここにはじめ座っていた笠松を連れて行ってしまったから。
緑「・・・」
黄「・・・」
黒「・・・」
俺「・・・」
会話がない。
どうすんだよこれと思っていたら、黒子がお腹すいたからなにかたのもうと声をかけてくれて、少し場が和む。
会話がしやすくなったからか、黄瀬もくわわり
黒「とりあえず何か頼みましょう。お腹すきました」
黄「おれ、けっこうお腹いっぱいだから、いま食べてるモンジャだけでいいっす」
緑「よくそんな・・・」
緑間と黄瀬がなにか言ってるけど、まぁいいや。
俺も腹減ったわ。
メニューを借りて、食べたいものを探す。
うん。これにしよ。
俺「…いか玉、ブタ玉、ミックス玉、たこ玉、ブタキムチ玉。あと」
黄「何の呪文っすか、それ!?」
緑「頼みすぎなのだよ!!!」
黒「大丈夫です。全部火神くんがたべます」
そうそう。俺の分だっての。
なんでお前らにやるって話になってんだよ。
そもそも黄瀬と緑間は、二人ではなしてたんじゃないのかよ。
なんで文句言われんのかね俺。
とりあえずいっぱい頼む。いっぱい焼く。いっぱいく食って、言っても足りるかな?
まぁ、八分目ってとこか。
さっさと食べ終わった黒子がうまくひっくり返しているので、食っていればタイミングよく次が焼けるのでありがたい。
もくもくとソースやマヨネーズ、青のりをかかえて食っていれば、緑間が「一度負けた相手に・・・」とか、俺たちといて笑っている黄瀬を睨む。
けどそれに黄瀬は、ニヤリって感じで笑った。
黄「当然リベンジするっスよ、インターハイの舞台でね」
なんかそのまま小難しい話になって、黄瀬と緑間、黒子は、目がどうだとか言っていた。
目が変だと、練習をたくさんするようになるのか?
しかも昔がどうとか、あの頃はみんながそうだったとか。
バスケが好きかとか勝ち負けがどうとか。
みためどおり、緑間ってやっぱり、頭いいんだろうな。
俺にはさっぱりだ。
っていうかさ、
俺「おまえら考えすぎだろ。楽しいからバスケやってんじゃん」
キセキってのは、とことんめんどくせーやつらだ。
お。このお好み焼きうめぇな。もぐもグ。もうちょっと青のりがほしい・・・。
緑「なんだと!?なにもしらないくせにしったよ・・・」
ベチョ。
うっわー・・・。
なんか緑間が俺の言葉に切れたんだけど。いやきれようとしたんだけど。
高尾たちの席からお好み焼きが飛んできて、ベチョリって、緑間の頭にヒットした。
あーあ。もったいねぇ。
っていうか、普通におこるよなぁ。怒るよあれは。
緑「とりあえずその話はあとだ。高尾ちょっといいか?」
うん。いっとけ。頭の上のお好み焼きは捨てて来い緑間。
そのまま高尾をつれて外にでていった緑間。
あとから扉の向こうから高尾の悲鳴がきこえたよ。なんてクレイジーだ。
帰ってきたのは緑間だけだった。
緑「火神。一つ忠告してやるのだよ」
席に着くのかと思ったら、どうやら帰るらしい。
荷物を整え始めた。
俺「ん?」
緑「東京にいる 〈キセキの世代〉 は二人。おれと、もうひとり。
そ、その・・・な、名前をよぶのもはばかられる男だ。
決勝リーグであたるだろう。そしてあいつはいろんな意味でお前と同種のプレイヤーだ。決してお前のペースを崩されるな」
同種?
俺「よくわかんねぇーけど。そいつはそうとう強ぇんだろう?」
それなら楽しみだとばかりに、なにげなく立ったままのオレンジジャージな緑間に聞けば・・・。
なぜか見上げた相手はピキリと音がしそうなほど固まっていて、眼鏡が白く曇るほどにダクダクと汗を流していた。
え?なんだよそれ?脂汗なの?冷や汗なの?
なんなんだよその態度。
話題を振ったのはおまえだろ。
緑間がおかしいんだけどと俺の正面に座る〈キセキ〉 の一員でもある黒子と黄瀬をみやれば、ふたりも顔を青くして固まっていた。
黒「・・・青峰くん、ですか?」
黄「・・・あ、あお・・ふ、ふらいぱん・・・こわ・・・コワイコワイコワイ・・・」
緑「・・・・・・」
俺「なんでそんな固まるんだよ」
なるほど。さっき緑間が濁した名前の 〈キセキの世代〉 のひとりは、《アオミネクン》というのか。
勉強とかは嫌いだけど、これくらいは覚えとこ。
だけどそのまま三人の〈キセキ〉 は動かない。
黒子なんかは手にしていた箸を落としたのも気づいてないのか、そのまま固まり、アレ以降言葉を発しない。
黄瀬のやつは、そいつの名前を黒子の口から聞いた瞬間から挙動不審になり、目に涙を浮かべてそのまま視線をあちこちにむけている。
じゃぁ、緑間は見上げれば・・・こちらもなんかやばい。なんか天井を見てる。
こっちみやしねぇ。
もう一度黒子をみるが、さっきと同じ形のまま固まっている。
凝固して固まるあいつらに、そんなすさまじい奴なのかと思えば、チラリとこちらに視線を向けてくる緑間と視線が合う。っが、それもまたすぐにそらされる。
ずれてないはずの目がの位置をやたらと直したり、くもってもいない眼鏡をあわててはずして、せわしなくふいていたりし始める始末。
まるでこっちと視線を合わせたくないみたいだ。
俺「なんだよ」
緑「こ、これ以上、あいつにかんして言えることはないのだよ」
俺「は?あんなふりかたしといてそれかよ」
緑「だが・・・これ以上話してたら、やつがここにきかねなだいのだよ!ほらよく言うだろう "噂をすると何とやら" と!まさに奴はあれだ!こ、これ以上は無理だ!!」
黒「・・・はっ!?すみません。ちょっと違う世界に行ってました。えーとなんでしたっけ?このお好み焼きがおいしいって話ですよね?ブタ玉追加しますか?」
俺「いや。ちげーから。っで、 《アオミネ》 って」
黄「か、かかかかか」
俺「あ?《かかかか》ってなんだよ」
黒「黄瀬くんは、火神君をよぼうとしているのでは?」
黄「そう!そうなんだって!か、火神っち!おちついて!おちついていこう!!そうだよ!いまはお好み焼きの話だから!ほら!おいしそうに焼けてるし!!!」
このあわてようはなんだ?
俺はただ、いつか対戦するだろう 〈キセキの世代〉 について、聞きたかっただけなのに。
俺「ただ 《アオミネ》 ってやつのはなしを」
緑「おれはこれで失礼するのだよ!高尾っ!!」
高「え?なにしんちゃ・・・ちょ!ちょっとまって!!!」
黄黒「「「逃げた!!?」」」
俺「・・・・・・」
なんなんだよ。
おれはただ 《アオミネ》 ってやつのことを知りたかっただけなのに。
緑間なんかついに高尾の分の荷物まで持って、金だけおいて、さっさと外で待っているであろう高尾をつれ去ってしまった。
その際に黒子と黄瀬が声をそろえて絶叫したことで、緑間はよっぽど 《アオミネ》 ってやつのことをはなしたくないんだってわかった。
だけどそれじゃぁ、ナマゴロシもいいところだろ。
〈キセキの世代〉 はひとりひとりが強いんだろ?
気になるじゃねぇかよ。
だから同じ 〈キセキの世代〉 であり、 《アオミネ》 ってやつとチームメイトだった当の本人に聞いた俺はわるくねぇよなぁ?
俺「なぁ、 《アオミネ》 って帝光中の 〈キセキの世代〉 って奴なんだろう?どういう」
黄「わー!!!お、おなかいっぱいになったからかえらしてもらうっすねぇ!!じゃじゃぁね黒子っち!!!お金ここにおいてくから!!センパイ!帰るっすよ!!!」
黒「あ!ずるいです黄瀬くん!!」
なんで俺が 《アオミネ》 ってやつのことを聞こうとすると、キセキの奴らは脱兎のごとく逃げ出していくんだ!?
せめて黒子から聞き出そうと思っても、黒子までものすごい勢いで首をそむけて視線をはずす。
なんなんだよ!なんだっていうんだ!!!
《アオミネ》 ってそんなにやばいのか!?
すっげぇ、気になった。
【後日談】
店から出たときに、黒子が自分そっくりな犬を拾った。
なぜ!?
それも犬!?
やめろぉぉぉぉぉ!!近づけるな!!!!いやだぁーーー!!!よるなぁっ!!!!
部室で飼うことになった犬は、テツヤ2号と名付けられた。
アニメ第13話「信じてました」
アニメ第14話「そっくりだね 」 より