飴 色 疾 風 伝
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07.卒業試験





 アカデミーに入って、嬉しいことにわたしは目立つ金色周辺と関わることはなかった。
原作キャラでわたしと会話をするのは、春野サクラくらいのものだろう。
彼女以外とは会う機会もなく、あまり口をきかずに終わった。
 ナルトは原作通りに派手ないたずらをたくさんしていた。
一番凄かったのはやはり、火影様の顔に落書きをしたことだろう。
わたしは思った。
四代目の顔岩にこそもっとやれ!と…。もちろん言いに行くことも、応援することもできずに気が付けばイルカ先生にロープでぐるぐる巻きにされてナルトはアカデミーに戻ってきていた。
 わたしは最終クラスで、ナルトたちと同じクラスになった。
かのイルカ先生とも仲良くなった。
しかしわたしはナルトと違って旧家連中とはそれほど親しくはないので、互いに偶然出会うか用がないと会話もしない。
まぁ、だからといって仲が悪いわけではない。
なんたってナルトとは、一緒に誕生日を毎年祝ってるほどだし。
ただ、はっきり言うと、わたしはバイトでほとんど時間がないので、友達が少ないだけだ。
それに原作にはかかわりたくないからな。
彼らとは、この距離感が丁度いい。








:: side 並風ミナモ ::








 っで。現在、目の前には、イルカ先生とミズキ。
ミズキに先生なんてつけるのは、まじめに先生をしている人々への侮辱なので呼ばない。

――これでわかるだろうが、アカデミーに入ったのが数週間前のことのように思い出せるが――あのときは迷いに迷ったものだ――実のところ、もう卒業試験である。


 ミズキの第一印象?
嫌いだ。
以上。
やつがこのあとナルトに殴られるとわかっていても、この手でボコらないときがすまないような胡散臭さ丸出しの奴だった。
自分の矜持がその存在を許せなかった。
というか、ただ単に、顔を見たら腹がたったのだ。
いかにも胡散臭いその笑顔に…。
だから卒業試験のとき、分身するときわざとコントロールを間違えてみた。
その分チャクラは減り、二体しかできなかったが問題ないだろう。

「分身の術!」

 現れたのは2体。
ひとりは今にも倒れそうで、ひとりはなんか姿形からしていびつだった。
なんか筋肉質真チョなのに腕だけに倍の筋肉が付いていて、あまりのバランスの悪さにか、歪な方な分身も酔っ払いように千鳥足でよれよれしている。
試験管の先生二人から微妙な視線が向けられ、イルカ先生は哀れそうに「最低でも三人は…」と泣きそうな顔で告げてきたが無視だ。
だってわざとだから。
まぁ、流石に、わたしもここまで変な奴等が二人も出るとは思わなかったけど…。

あの筋肉豪腕に殴られたらいちころだろうねと思う。

とりあえず。
じゃぁ、打ち合わせどおりよろしく。

心の中でひっそりと分身にエールを送る。
さすがはわたしの分身。わかってるね。
ひ弱そうな分身の片割れは、フラフラとイルカ先生の方へ向かっていき、ぶつかって先生に支えられていた。

これでイルカ先生を足止めする事はできた。
さぁ、残りはミズキだ。

殺ってしまえ。

もうひとりの分身がわたしの笑みとともに動き出す。
片方へ注ぐ分のチャクラを9割がたそいつに注いでやったので――うん、目に見えて暴走してる。

「「あ…」」
「うわぁー!!!な、なんでこっちにくるんですかぁ!」

 暴走した分身を見て、わたしとイルカ先生の声が見事にはもった。
ミズキは慌てている。
実際は、わたしの驚いたような表情の方が演技だ。
だけどそいつの動きを見たわたしもあまりの予想外なことにさすがに驚いた。
チャクラ量ともに筋肉のつきも多いせいか、わたしよりもあの分身足が速いし、殺気だった雰囲気が怖い。
なんか――でかい方の腕を振り回して、ミズキに迫っていた。
あからさまだけど、相手はバランスの悪い分身。
そのせいで自分の腕を支えようと動くたびに、あっちにふらりこっちにふらりと足はおぼつかず、結果腕を振り回す形となり、いかにも暴走していますといった状況だった。
ただ、その目だけがまっすぐミズキを捕らえていて、目の前にあるものを破壊しようとしているようにしか見えなかったから、分身君もかなりの演技上手だと思った。

 そういえば分身って所詮みせかけなんだよね?
この技は影分身みたいにちゃんとした肉体がない。
って、ことはあれだけチャクラを練りこんだのに、ミズキを殴れない気がするなぁ。
まぁ、いいや。
だってミズキだし。
突然のことに焦ったような表情をみせたミズキだけど、分身とわかってても絶対によけはしないだろう。
なにせ『いい先生』を演じているような奴だ。
彼ならきっとやってくれる。『慌てたフリ』をしてよけないハズだ。

てなわけで、さぁ、やれ。もっとやれ。

「ヒー!助けてくださいイルカせんせー!!」
「ミズキ先生!?って、ミナモ!いい加減消せ!!」
「えーでも。なんか言うこと聞かない」

 イルカ先生の側によると、へにょんへにょんの分身を消す。
ついでにあんだけミズキの醜態を見たからもういいやと、もう一つのまっちょな分身も消すことにする。
だって分身じゃぁ、ミズキ殴れないもの。
しかたないから、あとでナルトにボロ雑巾にされてこいと思って消した。

ヘロンヘロンな分身がボフンと消えた。

だけどね。
消えたのは一つだけ。

・・・うん?
本当に片方の奴、消えないんだよ。

「先生ぇ、分身って自分の意思で動くんですか?」

「「は?」」

先生二人の呆然とした声がして――

バキッ!!

ゲフ!!


呆然としていた隙を突いて、わたしの分身がミズキを懇親の力で殴っていた。
ミズキはつぶれた蛙のような声をあげて、吹っ飛んでいった。
わたしの分身は満足そうに勝利のポーズをとっていた。

あぁ!あのポーズは、前世のわたしが一度はやってみたいと思った『あ○たのジョー』の勝者が片腕を天に向けて上げるやつではないか!?
やるな。
さすがはわたしの分身だ。

それよりも…
さっきバキっていったよな?

「あれ?実体がある?」
「ま、まさか“影分身”か!?」
「いやいや先生よ。わたしはそのなんとかって術も術式もしらないんだから違うだろ?
分身といえば“分身”の術しか知らんし、印も間違わずに“分身”のはずだ」
「あ…いや。たしかにそうなんだが…」

 試験管としてみていたはずのイルカ先生なら知っているだろう?
それにあれはたしかチャクラの消費が激しすぎて禁術に指定されていたはず――っと、原作ではあったが。
なぜわたしが使えたのかは謎だ。

「先生。あれはなんだったんだ?」
「“影分身”か。…まぁ、簡単に言うなら実体のある高度な分身だよ」
「なら、なぜわたしができた?しかも違う術式で」

そう尋ねればそういえばと答えが帰ってき、結局二人で首を傾げてしまった。

 分身にやられて目を回したミズキをよそに、わたしの分身は満足そうに親指を立てて「グッジョブ!」とわたしに笑顔をむけるとドロンと消えた。
彼女が消えたことで、わたしの中に彼女の感情が融合する。

「…なんかあのヘラヘラ顔が気にくわなかったらしい」
「……試験…どうするか?」
「ミズキ先生はどうするんだ?」

 まさか影分身だとはわたしも思わなかったけど。
ミズキが本当に意識がないのは、感覚でわかる。
生徒の一撃でノックダウンて…。
お前、ちょっと油断しすぎだ。

そう思ってミズキをあきれた視線で見つめていたら、背後にいたイルカが卓上にあった額宛をくれた。

「ミズキ先生の事は俺がやっとくからいいよ。お前は“影分身”をやったんだ。十分合格だよ」
「…あまっ!?」
「!?せっかく合格にしてやったのになんだその態度はー!!!」

 結局、イルカ先生に怒られた。
そのあと、ミズキは頬をはらして試験を遣り通したという。

ハッ。ざまぁー。



 ついでにゆるいイルカ先生に、額宛のお礼と称して、背中に鉄板をいれるよう助言しておいた。
西の森には入り口付近に傷薬になる薬草が群生していたような・・・

まぁ、その辺はいいか。
どうせ傷の手当もせずにそのままラーメン屋にいけるだけの体力があるのだから。





 その日の夜。
ついに原作軸が始まった音がした。

「うるさい!!ひとのうちの屋根を大人数で通るじゃない!!」

屋根に穴が開かなくてすんでよかった。

 大人数が屋根の上を走る――そんな惨事があったあとの翌日、父は、家の補強をしようと言い出した。
しかしそれに必要な大体の額を計算して顔を青くして倒れていた。
母は、大量についた足跡を見て、この程度ならお金はかからないわねと、腕をめくって雑巾で拭き始めた。
わたしは火影様に文句を言いに行く途中で、ナルトをみつけておめでとうと告げた。
ナルトは額宛を大事にしまっているらしくいつもと同じようにゴーグルをしていたが、「どうして知ってるんだってば?」と首をかしげた後、それでも嬉しそうにニッシッシと笑って――「ありがとう...だってばよ」と言っていた。
少しは疑問に思えよと思ったけど、これがナルトだ。
純粋で眩しい笑顔が、始まりのときを告げた。


太陽のような金色の時間のはじまりだ。





 ついでに三代目火影へ、「スケベ」とだけ書いた無名の手紙を送りつけて、ピンポンダッシュのごとく逃亡してやった。

帰る途中で、またもや迷って、なぜか木ノ葉暗部の拷問・尋問部隊隊長 森乃イビキとであった。
どうやら暗部の管轄地域にまで迷い込んでいたらしい。
どんだけ凄いんだわたしとか思った。
そこでミズキをみたが、すぐに悲鳴だけ残してどこかへ連れて行かれた。

…みなかったことにしよう。

 拷問・尋問部隊の一員だと思われる見知らぬ暗部の人に、家の近くまで送ってもらえた。
市場とか目立つ場所でいいと言ったのだが、何度も本当に帰れるの?と尋ねられ、そのたびに逆方向に行こうとしたので結局家が目の前に見えるまで送ってもらう羽目になった。

無事に家に着いた。
忍ってすごい。











2010.08.04. 改
2014.04.05. リンク復帰

ここで暴露。
実はミナモ本人は気付いてないだけで、かなりのチャクラ量を持っています。
なにせ日々“変化の術”を使っていれば、いやでもチャクラは増えます。
ミナモが気付いてないだけで、始めから量も多かったんですよ。
だから気付けば、もっと忍術を使えるようになるはず。
ただしナルトほどチャクラはないので、影分身も一体が限界かと・・・

まだまだ続くミナモクオリティー〜








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