|
08.飴色の下忍班 |
|
わたしも花太郎もカナタも無事にアカデミー卒業試験をクリアした。 ナルトやサクラたちは、案の定そろって七班となっていた。 昼飯後に教室に集合したとき、次々と名前が呼ばれていく中で、早めにわたしの班員も呼ばれた。 自己紹介は別の場所でしようと上忍の招待で、教室を後にすることとなった。 安定のごとく、わたしがさまよっている間に、かなり時間を食ってしまった。 そこから自己紹介やらなんやらでけっこうな時間となってしまい、もう同卒の仲間たちはもう全員外にでているだろうと思っていた。 そのときなにげなく覗いた教室の中で、いまだ残っている三人組を目撃した。 ポツーンと誰もいない教室にこどもが三人。あわれな。 きっとカカシ先生に待たされているのだろう。 本当にご愁傷様である。 原作を読んでいるから知っているが、はたけカカシはいつも慰霊碑のところで過去を振り返っているので遅刻している。 わたしは思う。 遅刻するのはかまわないが、できることならそんな回想など、任務の前ではなく帰りにやれよと言ってやりたい。 「今日も無事にこの里に戻ってこれたんだぜ」と誇らしく亡き友人に、今日の出来事を語ってやれよと言いたい。 そうすれば何時間でも時間を気にせず親友さんといられるだろうに…。 なにより七班の子供たちがかわいそうじゃないか。 はっ!? もしかしてカカシは、擦れ違いが激しくて協調性のまったくないナルトたちの仲を自分が悪者になることでくっつけようと――そういう魂胆だったのか!? ならば何も言うもまい。 例え、その遅刻癖のせいで、依頼主まで待たせた挙句、里の信頼をなくしているとしても! そんなわけで、下忍第七班の話はひとまずおいておこう。 :: side 並風ミナモ :: わたしの班は、漫画には一コマも出なかった【第四班】となった。 ちなみにその数字を聞いたわたしの突っ込みは「死亡確定の班だな」というもので、それを聞いた隣人達の顔が引きつったのは疑問だった。 だって事実じゃないか。 四=死 なにより原作において、1コマもでない徹底のしよう。 脇キャラもいいところだ。 本当は四という数字は、我が家には大きく関係のある『四代目火影・波風ミナト』を髣髴とさせるので、そのたびに頭が痛くなるのだが、なってしまったものはしょうがない。 ここはあくまでわたしが妥協してやるのだ。 っが、しかし。 ここで脇キャラとして、下忍にさえなれないことだけは断固阻止させてもらう。 わたしはどうしても忍にならなければいけないのだ。 なぜならば・・・ 稼がなければ、生きていけないのだから!! 金がないと生きていけないというのは、どこの世界でも共通のことのようだ。 成績で組まされてしまっただけの集まりにすぎない第四班。 それでも使わない手はない。 偶然わたしと組むことになってしまった班員には悪いが、なにがなんでもわたしが中忍試験に参加できるまでは……ふふ。 この班員、誰も逃がしはしない。 そう。すべては昇格して金をより多く稼ぐためだ。 原作?そんなの知ったこっちゃない。 世の中金だ金。マネーですよ。わかりますか? 街の中で暮らしているとね、野宿さえももままならず、髪の毛をどうこうするにもお金がかかるんだ。 まったく。忍びだとか九尾だとか以前に、もう少し物価の方を安くしてはもらえないだろうか。 あ。○○商店で今日、安売りの日だった。 間に合うかな。 ∋(´・ω・)o/・*:..。o○☆゚+。*゚¨゚゚・*:..。o○☆゚+。*゚¨゚゚・*:..。o○☆゚+。* スリーマンセルの班決めは、とことん平等だった。 わたしは一般人出身だし、チャクラ量が一般人レベルしかない(っと、自分ではそう思っている。詳しいことなど知るか)。 ゆえに成績はいつも中の中。 それに対するわたしの班員は、みな成績が中の連中ばかり。 「れ、連中って…そ、それはひどいよミナモちゃん」 「だー!なんでまたお前と組まなきゃいけないんだ!!アカデミー卒業してまでお前の面倒なんかみてられるか!!」 「何を照れているんだ?せっかく同じ班になったのだから、もっとかまってくれ。 そしてわたしの素晴らしさにときめき、ひれ伏すがいい」 「お前をみてトキメクはずないだろう!!ってか最後のはなんだよ!?」 「・・・ミナモちゃぁん・・・」 「ひれふせというのは冗談だ」 っと、このやり取りからわかるように、わたしの班員は、常に成績が並の上と並の下をいく二人。 “花太郎”こと鈴木一太郎と、山田カナタの二人の友人達だ。 花太郎は中の下。 カナタは中の上。 そしてわたしが中の中。 これで班として組まれない方がおかしい。 わたしとしては、幼馴染みとアカデミーで一番の友人の二人と組めたのは運がいい。 何らかの二次創作小説とは違って、イレギュラーなわたしという存在がナルトの班や原作の下忍班に組み込まれることはなかった。 万々歳だ。 そんなこんなで、ただいまわたし達は、全員そろって並レベルの集合体――第4班として、団子屋に招待されている。 我等の担当上忍が、自己紹介だけだから仲を深めようと考えたらしい。 もっぱら彼の趣味と言うのもあるようだが…。 「はじめまして〜。え〜っと、僕が君達第四班の担当上忍になったわけだけど、これから仲良くやっていこう」 なにやら上忍が話しかけてきた。 しかし上忍のおごりらしい笹団子と緑茶が来たところで、ガツガツとくらいつくカナタ。 遠慮気味に苦笑した後、丁寧に手を合わせていただきますと線目をヘニョンとたらす花太郎。 わたしは笹をとりながら、笹でくるむという意味で同じなのだから、もっと『身』になるチマキとかの方がよかったと…ついため息がでた。 それぞれが違う反応を見せることに、上忍は花太郎に近い苦笑を浮かべた。 「えっと・・・そ、それじゃあ自己紹介でも……「わたし達についての書類は貰ってるはずだ」…じ、自己紹介必要なさそうだね。アハハ」 キッパリ、ハッキッリ言った。 すると言葉をさえぎる形になってしまったが、まぁ、そこは諦めてもらうしかない。 それにしても、事実を言っただけなのだが、なぜ泣く? 書類は持っているだろうに何で自己紹介を求めるのだろうと首を傾げていたら、本当に泣きそうな顔で上忍は乾いた笑いを浮かべた。 それに花太郎がやたら同情的だ。 どうもこの上忍、全体的に情けない。 ひょろりとした上に、ガキに慰められている様は信用できない。 このままではわたし達は中忍試験さえ受けられないのではないだろうか? とにもかくにもその上忍は、マンガでは見たことない奴だった。 この気弱っぷりからもわかるとおり、よほど影が薄く、作者様の脳内にもいないような脇役なのだろう。 「えー。えーっと…そんなわけで、君達は互いのことを知ってるかもしれないけど、僕は君たちの事は書類でしかしらないわけで。 ほ、ほら!交流を深めるためにも…ね?」 冷や汗を流しながら、バタバタと手を振って慌てたように言い募る上忍。 しかもこれまた原作のカカシ先生同様に、自己紹介を求めてきた。 演習は明日からで今日は顔合わせということらしい。 先生はなんか必死に、言いつのっているけど総無視。 チラリと時計を見る。 時間があまりない。 今日は七班以外は早く終わると踏んでいたので、3時から八百屋でバイトを入れていた。 しかし我らが担当上忍は、どうも挙動が怪しい。 花太郎よりもビクビクしていて。 みてるこっちがイライラするような奴だった。 「自己紹介か…。だが、名を名乗るなら自分からするのが礼儀だろ?」 「あ、そ、そうだよね。ぼ、僕は “モブムラ エイタ”。 えーっと見てわかる通りとりあえず上忍です。 あと、ですねぇ。好きな物は笹団子と緑茶。桜の花とか紅葉が好きです」 桜に紅葉か。先生はどうやら“散る”ものが好きらしいな。 ここは空気を読み、さすがのわたしもツッコミはいれないでおいた。 「嫌いなものは…えーっと黙秘で。ほら忍はあんまり素性ばらすのはよくないですしね」 言いつつも、伺うようにチラっと一度だけ上忍の視線がこちらを向いた。 わたしの同意でもまってるのか? だが、たしかに。それは最もだ。 素性をばらすのは忍としては得策ではない。 まぁ、カカシとは違って、好きなものを言っただけましか。 そのときわたしは気付かなかった。 モブムラ上忍やわたしの視界から離れた場所で、班員の男子が二人、こそこそと話をしていたのに。 どうせ気にするほどでもないだろうけど―― 「(ねぇ、カナタ。先生頑張ってるね)」 「(だな。言わないのは正しい判断だよな。じゃないとミナモに脅されるネタになる)」 「(やっぱ上忍なんだね〜)」 「(…お前、今なにで判断した?)」 「(え。そりゃぁ、ミナモちゃんのグサグサくる会話をかわせるかかわせないかだけど?)」 「(ハナ…それ何かが間違ってるから)」 「えーっと…あの、三人とも?」 「なんだ?モブムラ先生」 「え。先生?って、やっと認めてくれたんですね! じゃぁ、じゃぁ、僕の話、ちゃんと聞いてくれてたんですよね!?」 「聞くも何も自己紹介なら。紹介された話を聞かずしてどうする?」 好き嫌いを聞けば十分。 初対面での自己紹介なんてこんなもんだろう。 なら、手っ取り早くわたし達もすましてしまおう。 「自己紹介だったな。わたしはミナモという。 嫌いな物は自分の苗字。と、数字の4。 あぁ、そうだ。先生もわたしのことは名前の方で呼んでほしい」 横で納得したようにウンウンと頷くのは、わが幼馴染みの花太郎。 さすがはわかっているな。 そうさ。わたしは苗字と『四』という数字が嫌いなんだ。 「ほんと、ミナモちゃん。その二つは相変わらず嫌いなんだね〜」 「っでだ」 「なっ!?かぶせられた!!ミナモ、お前人の話無視すんなよ!!ハナがかわいそうじゃねーかよ!」 「時間がないんだ!!」 「「「はぁ???」」」 「…というわけで、あっちは花太郎。あれはカナタ。 演習は明日からだな?ならもう帰ってもいいか?いや、わたしは帰らせてもらう」 「え!?そ、そんなちょっともう少し話をナミ…じゃなくてミナモさん!!」 「バイトだ!!」 苗字を呼ばれそうになってとっさに睨みつけたら、一瞬モブムラ上忍の動きが止まる。 わたしの苗字を呼ぼうとしたな。 ……もう先生なんて呼んでやらん。 時計を見るとさっきよりも進んでいる。 本当に時間がない。 バイトがあるんだと要件だけ告げると、わたしは四班の仲間を無視してバイト先に向かった。 ☆*:;;;:**:;;;:*☆*:;;;:**:;;;:*☆*:;;;:**:;;;:*☆*:;;;:**:;;;:*☆*:;;;:**:;;;:*☆ 結果からいうと。 市場には――たどり着けなかった。 時計を見て、独学で覚えた――というより、教師やいろんな上忍によって覚えさせられた――口寄せの術で、忍鳥をよびだし、八百屋のおやっさんに「たどり着けそうにない」という謝罪の文を書いて届けてもらった。 現在。 なんか暗くてジメジメした広い場所にいる。 どこだろうかここは? そういえばさっき小石に躓いたら、突然目の前に穴が開いてわたしはそのまま落っこちた。 どうやら地面が陥没したらしい。 忍たちは忍術とか使って土壌をよくあらすから、こんなところで地盤沈下が起きるんだ。 自重しろ、不思議技を使いまくる忍どもめ。 わたしがおちた穴は、そのまま下へ下へと続いていた。 縦穴はしばらく続き、やがてどこかのパイプに合流した。 土の中からパイプの中に場所が映ってもわたしは転がり続けた。 なぜならばパイプの中は斜面になっていたためだ。 そうしてごろんごろんとパイプの中を転がりながら、移動していたのだが。 ふいに足元の方から光が漏れた。 出口か。そう思うが、勢いのままわたしは落っこち続け、少しの土と一緒にパイプからなにかの建物の中に吐き出された。 「ぬわっ!!」 吐き出された場所はけっこうな高さがあった。 慌ててクナイをふるって速度を落とすが、結局は落ちたのには変わらなかった。 こういう時は、体を鍛えて忍術を学んでおいてよかったと思う。 だけど体があちこちイタイ。 こんなこともあろうかと常備していた打ち身薬(手製)を取り出し、塗っていると―― 「だれだ?」 聞き覚えのある声が聞こえた。 |