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02.友達 |
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※注意 ちょっとだけ「ブリ−チ」ネタがでます。 :: side 並風ミナモ :: 「まって、まったミナモちゃん!そっちじゃないよー!!!」 「ん?ではどこだ?」 「おまえら、こっちだ!!」 「なるほど。アカデミーは向こうか」 「ってぇ!そこの女!!そっちじゃねーっての!!」 ズンズン森の方へと進もうとする黒髪の少女をみて、バタバタと二人の少年が駆け寄り慌てて引き止める。 「ほら!いそげ!!時間ナインだから!!」 「ふむ。ここはどこだ?」 「だからアカデミーじゃねぇから!!」 わたしは生前から極度の方向音痴だった。 今、おかしな道へ足を踏み外そうとしたわたしをどん底から救い出してくれた(冗談でただの迷子だ)のは二人の少年。 気弱そうな線目の少年は、機知の友。 小さいながらもある隣の薬屋――その跡取り息子である少年は、わたしにとっては幼馴染みとも呼べる存在である。 彼には、わたしは小さい頃からいつも助けてもらっている。 実際のところ、彼がいないとわたしはどこかに辿りつける自信がない。 例え『木の葉』の里の中とて、市場にたどり着く前には迷うのだから…。 そんなわたしの救世主。線目で穏やかな雰囲気の少年の名は【鈴木一太郎】という。 “一郎”なのか“太郎”なのかどちらかにしろといいたい。 なぜなら、一太郎だと、まんま前世の世界にあったパソコンのソフト『一太郎』を思い出すからだ。 一郎ならば、前の世界で人気野球選手の『鈴木○郎』氏のことがどうしてもちらつく。 やはり、どちらかにしろといいたい。 ゴロがわるすぎるではないか。 いかにも私的な事情だが、ややこしいことこのうえない。 そこでわたしは彼に会った瞬間言ったのだ。 「この際、花太郎と名乗れ!」と。 なぜ『花太郎』かというと、地球にいたころ週刊ジャンプで連載されていた≪BLEACH≫というマンガに出てくる“山田花太郎”に、【鈴木一太郎】は似ていたのだ。 名前も、そして性格も彼は“山田花太郎”を髣髴とさせたからだ。 違うのは目が線であることぐらいだろうか。 そうして、それ以降わたしは【鈴木一太郎】を『花太郎』と呼んだ。 しかもどうしたわけか。それが定着してしまい、今では彼の両親までも“花太郎”か“ハナ”と彼をあだ名で呼ぶようになった。 少しだけ彼には申し訳なく思えたが、それはそれである。 さて。二人目の少年は、まったく知らない奴である。とだけ言っておこう。 幼馴染みと共に、わたしを迷子への道からひきとめた髪も服も目も茶色の猫目少年は、今朝であったばかりの同期(になる予定)の少年だ。 彼もまた新入生で、アカデミーに向かっているところだったらしい。 名前は…… なんだったかな? 茶色の印象が強すぎて少年の名前を忘れてしまったが、たしか地味なくせに山も何もかもどこかにぶっ飛びそうな名前だったはずだ。 たしか…… サトウ…一郎だったか?いや、違うな。一郎はハナの方だ。 もっとこう服と同じく茶色っぽくて、『カ』がついたような…。 カ…ってことは、『枯葉』だったか? そうか!思い出したぞ。 『ぶっ飛びそう』というのは、“においたちそう”という意味でのぶっとぶに違いない。 枯葉で連結されるニオイ。あるじゃないか。 イチョウだ。 イチョウの葉が落ちるとき、銀南がにおうんだよな。 ん?だが、まてよ。そうすると頭文字に『カ』がつかない。 では違う名だな。 ……もっと変な名前だった気がしないでもないな。 そしてどこか飛んでいきそうな感じだったはず。 山もぶっ飛ぶ――茶色、ねぇ。 地球の日本での知識において、平凡な生では『鈴木』『サトウ』…。 ん?そうか苗字は確か『山田』だ。 平凡そうで“山も吹っ飛ぶ”と思ったのだから、佐藤や鈴木姓に近い種類で山がつくのは『山田』しかない。 名前は…えーっと。か、か、か…軽い? カルイ?カルタ? っで、茶色くて…におう? そうか!!カレーだ。 少年はきっと山田カレーというのだ。 いや、まてよ。たしか三文字だったから…カレーいや、カレイか。そうに違いない。 なんとも、まぁ。地味というよりもおいしそうな名前だ。 この世界は子供に随分と面白い名前をつけるのが習慣らしいから、これもまた普通なのかもしれない。 「よろしく。少年改め、山田カレイ」 「って!てめー!!!おれの名前は彼方だ!カ・ナ・タ!!だれがカレーだ!!」 「ん?それはすまん」 まぁ、そんなわけで。迷子のわたしを救ってくれたのは、原作キャラとはいっさい関係なく名前さえ出てこない脇役の脇役達だった。 これでわたしの学生生活も穏やかにできそうではないか。 アカデミー入学初日。 友達ができた。 2010.07.28. 過筆修正 2014.03.26. リンク復帰 |