有り得ない偶然 SideW
++ 序 章 ++




第4話 生き残るための技術と一つ目の世界



トリップしたら薬売りさんがいたので、そのまま助けてもらい、ついでに弟子になっちゃいましました☆
はい、そんなわたしこと『神崎零』です。
ただいまギリギリしながら、お師匠である薬売りさんを包帯でぐるぐる巻きに絞めているところです。





-- side夢主2 --





この世界、あのアニメ【モノ〇怪】に忠実なようで、わたしが折るバンを言い渡されている間に、何度か原作に沿った展開があったみたい。
土産話のように今日はどこに行ったとか教えてくれる薬売りさんの話の中に、あからさまに原作の話が混じっている。
とはいえ、原作は10作もないので、お分かりの通りまだ2回ほど原作が紛れ込んでいた程度だ。
だからといってこれはない!
今日は【化猫】のエピソードだったらしく、このお師匠様ときたら怪我をして帰ってきた。
帰ってきて傷だらけの手に、キシャー!と猫のように声を上げてしまったわたしは絶対わるくない。

『おのれぇ!わたしのお師匠様のきれいな手になんてことを!!!』

怒りに燃えていてら、お前のほうがあやかしのようだからやめなさいとつっこみをくらった。
壁にでも投げつけられたのか、お師匠様の頭巾を取ったら頭の横側に大きなこぶまであった。若干血までにじんでた。
もうギリィ!ってするしかないと思うのよ。
ハイパーさん!!!こいつもっと怒ってやってくださいよぉ!!!
わたしの叫びにお師匠様の剣がカチカチと口を開け閉めして音を鳴らした。
これは「もっと言ってやれー」というあとおしでしょうか。そうとっておきましょう。

お師匠様お手製の傷薬を、お師匠様の背負子から無断で引っ張り出してぬりぬりして、包帯で覆った。
え。お手製の自分の薬でも塗りたくっているかと?なぜ他人製の薬なんだと?
なにせ、まだまだわたしには売れるような薬が作れないので!!!

自分のことでも悔しくなってギリギリしていると、薬売りさんから思い出したように「そういえば」とゆったりと声をかけられる。

「傷薬に効く薬草と、必要な手順と、効能は?」

はい、きましたー!突発的などっきりオクスリテスト!

え、えーっと。傷薬にはヨモギ。あとゲンノ、げんこつ?いや、げんじのしょーこだ。を、すりつぶして・・・

『ヨモギ、げんじのしょーこをすり潰した汁を擦り込むことで抗菌作用が働き、化膿を防ぐことが出来る!ですよね!?』
「正確にはヨモギやスカカズラ、ゲンノショウコです。源氏の将校は関係ありません。
他にも綺麗な水でしめらせた栗や柿の落ち葉などは絆創膏代わりに使えますよ。あとは、椿などの油の多い植物の種を潰し煮ることで油を分離、その油を傷口に付けることで止血効果もありますね」

ひとえに傷薬といっても回答はひとつではないのが難しい。
おかげで日々パンクしそうになりつつ、お師匠様に薬学の勉強を教えてもらっている。
けしって夾竹桃=毒しか覚えてないわけではない!
あーたぶん、この夾竹桃は毒って、原作の【モノ〇怪】知識から来てる気がするわぁ〜。
実物の薬売りさんは、さすが実際に薬を売るだけあり、かなりの薬学知識も豊富だ。
あと、退魔の仕方。

両方教わってるんですよぉぉぉ!!!!

つまりめっちゃ大変。
元の世界でセンパイがいつも“ナニカ”をみていたんで地味にガクブルしてたけど、相変わらずわたしにそれを“視る”才能はない。
でも祓う才能はあるとかで、退魔の剣は(一族秘伝なのでと断られた)くれなかったけど、術式を叩き込まれている。

「視えなくとも理が判明すれば、あやかしはあちらから姿を見せますよ。そういうものです。いや、なに、わたしも視えやしませんので。だからこそ天秤がいるんです」

師匠いわく、視えるほうが稀で、変なのだそうだ。あるいはモノノ怪と縁があるか。
退魔の一派の薬売りさんがたも複数人いるらしいですが、どの薬売りさんも視えてないそうです。
そういえば、【怪 a〇akashi】verで薬売りさんも言ってたな。 「みえないから、物の怪との距離をはかるために天秤がいる」と。
なるほど!センパイはやっぱり何かおかしかったんだ!チョー納得したわ。

「貴女には祓う力があるので十分やっていけます。そのうち天秤さしあげますよ」

わーい!視えなくてもいいんだ!
祓える力があるなんて嬉しい!原作の薬売りさんみたいにお札をババババ!ってはりつけるのやりたい!

なんて思っていたわたし、ぬるかった。
現状、ヒーヒー毎日言っていて、マジ悲鳴もんの修行をつけられている。
座学が薬学で、運動が術訓練…みたいな状況!
学校で学んでいた時よりもきついと思うのはなんでかね。

お札をかくのも大変だし。
自分の分だけでも、デザインが細かすぎてきついのに、我らが薬売りさんは一回のお札消費量が半端なさすぎる!!!
なおこの世界に印刷機なんて都合の良いものはない。
あと霊力をこめて書かないと、術が刻めないそうで。当然木版印刷とか却下でした。手書きです。
手書きヒィーン!!!手が痛いよー。
あ、でもいっぱいかきまくったせいで、いまでは間違わずにお札をかけるようにはなった。それだけはよかったって思う。

以前、疲れすぎてうたたねしたら謎の文字を書き込んでしまい、そこからなにかゲテモノがでてきたんだよね。
いやぁあれにはびっくりした。すぐお師匠様がお札を燃やしてくれたおかげで、事なきを得たけど。
大変だった。
あとめっちゃびっくりしたし、怖かったので、心臓がバクバクした。
もうああいう怖い目にいあいたくないから頑張ってる。

そういえば【〇灯の冷徹】っていう漫画で、描いた絵が実体化する…なんだっけ?式神をつくってんだっけあれ?
絵をかくのは好きなんだけど、ああいう式神とかつくれないかなぁ。

お師匠様に聞いたら、できるにはできるそうだが、【夏〇友人帳】ででてきた式神のように、紙人形でしかないようだ。

『・・・ふぅ〜む。それは、それでアリでは?』

かっこよさそうと思ったのいけなかった。
修行がめっちゃくそ増えてしまった。


力のこめかたってなんですかぁぁ!!!!!!



あ、そうだ。
そういえば【化猫】を祓ったてことは、しばらくしたらお師匠様は【海坊主】に遭遇するのか。
海座頭っていうあやかしは、そのひとのこわいものをきいてくるらしい。
お師匠様の怖い物ってなんだろうね?

「え。わたしの怖いものですか?そんなもの・・・」

お師匠様は、遠いところを見ながら白紙の紙の束をスッとこちらにみせるように渡してきた。

『え?』
「このお札すべてに術式書くのが本当にきつく…いえ、こわくて」

こぎれいな顔をした師匠様の顔が珍しくゆがんでおりました。
え、これガチですやん!?


その後、わたしとお師匠様と、ハイパーさんとよばれる神儀という退魔の剣をヒトガタにして、めっちゃ書いた。
書きまくった。

そしてすぐ消費された。

ああ、これはたしかにきつい。
わたしも遠いところを眺めてしまいました。

――霊力も注いでくれるプリンターのある世界に行きたい。









夢主2が一つ目の世界で、薬売りの弟子になりました---ただいま執筆中…。








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