有 り 得 な い 偶 然
第5章 N ARU T0



34.目覚めのとき





『さすがにこうも転生しまくってると性別とかどうでもよくなってくるけどね。
だけどこれはないと思うんだわ。
うん。さすがに大蛇丸と仲良くなるぐらいだったら、まじもんの女を彼女にするわっ!!!
え?君が彼女のふりしてくれるの?
すでに寝てる段階で、うちの父にカノジョ容疑を賭けられ殺されかけていた君が?』
「・・・・・・」
『っで?どうなの?やりきれるの?』
「ごめんなさい無理ですぅ〜」

『わかってるなら』


だれか助けろ。







::: side 夢主1 :::







 異世界から神崎がきてから一週間目。
みはからったような期間をかけて、ぴったり七日目に彼女は目を覚ました。
オレは彼女に早く色んな誤解を解いてほしくて、目が覚めたら一番にサクラちゃんに合わせようと、日々甲斐甲斐しく病室に通っていた。

おかげで――
里のみんなにさらに誤解を招いたけどね!!



 目が覚めた彼女は、ぼぉ〜っと天井をみたままだ。
なんとなくどっかのテレビのように「知らない天井だ」とか考えていそうだったので、それを遮るように声をかけたら視線がこっちにきた。

『目、覚めたってばよ?』

 やっと目を覚ました少女にニッコリ笑いかける。
すると少しの間をおいて、がびっくりしたように目を見開いた。

あぁ、驚いてる。驚いてる。

 オレの姿をみて“ナルト”と声を上げようとしたようだったが、七日も飲み食いしていない喉は辛そうだ。
しかも異世界に来るときの影響だと思われる怪我を負っていたのだ。
昨日やっと熱が下がってきたところだし。
きっと身体もだるいだろう。
無理は体に良くない。

っと、いうかね。これ以上症状を悪化させてほしくないんだよね。
いろいろとさ。

里中に誤解を解くという役目もあるんだし・・・


「なる・・・っ・・!!」
『あ〜、今声を無理に出さないほうがいいってばよ。
大きな怪我して、熱出して五日以上寝てたんだから』

正確には七日だ。


 やっぱり目の前に突然ナルトがいたらじゃびっくりするよね。
どことなく――
【NARUT0】の世界に来ちゃったよ!どうしよう!!
――みたいに、はなんかどうでもいいことを色々と考えてそうだ。
聞くのも面倒だから笑顔で無視しておく。

 何か話してるうちに、またが、お前はビックリマークを擬人化した存在かとつっこみたくなるような表情を見せた。
ココロが読めるの!?
そんな表情。
ちがってさ。君、考えてることが全て顔に出てるから。
オレが少し呆れた視線を向けると、前世のままの神崎の顔で――彼女は呆然とオレを見た。


 そういえば、オレが『黒筆 (クロフデ )』のとき《BLEACH》世界で出会ったときの彼女と今のはなんか容姿とか色々違う気がする。
オレにしてみれば時間がたちすぎて忘れかけていたけど、今の彼女は“わたし”と事故にあったときそのものだ。

なるほど。
時間軸がずれているんだろうな。
オレが《BLEACH》世界に行ったのは過去のこと。
だけど今目の前にいる彼女にとっては未来のことなのだろう。

なら、君と小さな姿の赤髪のオレは、いつか未来で出会うのは必然。
まだそのことを言う気はないけど、いつか小さなオレと出会った君は今みたいに驚くんだろ〜な。

あ、今、驚かれたのは、オレが“ナルト”の姿だったからか。

それでも、どんな姿であれオレ()がの前に現れたら、彼女はきっと驚くんだよね。



 それにしても・・・彼女はまだオレが誰か、そして原作のナルトとの違いにも気付いていないのか。
ただじぃ〜っとオレの顔を見てくるからには、なにかしらオレというナルトに違和感を持っているようだけど。

・・・・うん。バラすか。

オレにも都合があるしね。


「ん?このメッシュは【NARUT0】原作にはないやつだってば」

 オレの特徴ともいえる目立つ黄色の中の、赤い前髪をつまむ。
そう、オレは原作のナルトとは違う。
どこがって血の濃さとか?
だってオレが成り代わったナルトは、『うずまき』の血の方が濃いから髪の毛の一部が赤いメッシュだ。
さらにいうと常にプリティーなキツネのぬいぐるみ(実は九尾)を持っている。
最近ではワンって鳴くプリティー人形モドキが一匹増えてるけどね。
いや〜この二匹、人外魔境の生物だから、餌代とか排泄の面倒を見なくていいからお手軽でいいよ。
さらにオレにチャクラくれるしさ。

ハッハッハ。そんな“うずまきナルト”って――違和感丸出しだろう?



「此処はの知っている【NARUT0】の世界とは少し――だいぶ?違う世界なんだってばよ」

 オレの発言に、相変わらず理解していないようで目をパチクリしている

「あ、そっか。気気付いていない?―――“私”だよ」

「へ?」

 だれ!?ってまんま顔に書いてあるよ。
やんなっちゃうな。
オレがこんなにつくしてるのに・・・。
さびしくて泣いちゃうよオレ。

「おやおや。まだわかんないのかい?
君と同じ地球出身で高校美術部先輩兼、悪友のつもりの相棒さ」

オレにとってはだけど、大昔のはなしを持ち出してみた。
君と“わたし”が高校生だったときからの縁は、向こうの世界で死んでからそれほどたっていない君にはわかりやすく、けっこう心臓にくるだろう?
オレの今の心境を少しでも味わえばいい。
里のどこかにいるだろうサクラちゃんや父ちゃんのことで、オレは心臓がドキドキ。
またサクラちゃんが変な噂を広げてたらどうしようとか、父ちゃんが今の俺達の光景をこっそりどこかで見てたらどうしようとかね。
もう実は今だって、そのせいで心臓がバックンバクンいってるんだ。
だから君も少し驚くといい。
そう思ってニヤリと笑ったら、やっと彼女の脳にまで言葉が届いたのらしい。
案の定、物凄い驚いたような顔をして、今にも叫びそうだ。

ああ、驚いてる。驚いてる。
でも少し疑ってるな。

ならば――最終奥義だ!
秘儀《絶対他人には知られたくない隠れオタクな貴方のステキ情報暴露》の術!!

『なんなら君と作った丸秘二次創作ネタや、HP内容やオリジナル小説の話するけど?』
「せっ!ぐ・・・っ」

『あーあ。いわんこっちゃない』

最後の術の威力に負けたのかな?
うん、えげつないだけなく、衝撃もさぞやハンパないだろう。
オレでもそんな裏秘密暴露されたくないよ。
あまりにほごほと咳き込むので、少し申し訳なくなってその背中をさすってやる。

いや〜、でもさ。驚いている君を見て、なんだか少しだけスッキリした。

君のようなノリのひとがオレは好きだよ。
この世界は、オレがつっこみにまわらなきゃいけない立場ばっかりで、サクラちゃんとか父ちゃんとか母ちゃんの料理とか・・・・。



ははは。
少しだけ・・・

穏やかさがほしいな〜とか思ったり・・・もオレだってするんだよ。


 だから早く元気になれよ
そんでもって

早く、できるだけ早く!

オレにかけられた誤解を解いてくれ!!











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可愛い女の子が口説けないじゃないか








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