有 り 得 な い 偶 然
第5章 N ARU T0



33.ようこそMy下僕ズ





オレの性格がちょっとあくどくなった?
なるだろうな。
いろんな世界を転生しまくっていれば、性格もすれる。
環境で人は変わるもんだぜ。
そんなわけで、よ。
オレを楽しませてくれよ?







::: side 夢主1 :::







 オレがオレとなる原因だった事故で一緒に死んだ親しい友人――神崎 (カンザキ )。
その 神崎 なる少女が、大怪我をして異世界からこちらにやってきてから五日目。

 空気の換気よし。
点滴よし。
包帯の交換よし。
熱・・・ちょっと微妙。
傷の治りが普通の一般人より少し早い気がするけど。これはまぁ、いいや。

 木ノ葉病院に彼女を運び込んでから、まったくは目を覚まさない。
オレはまだ下忍だし、任務の合間にみにくるけど、ちょっとオレより年上に見えるのがうらやましい。
たしかにオレは今、12歳だけど、同じ事故で死んだ相方の方が年上に見えるなんて悲しい。
以前はオレの方が年上だったのになぁ〜。

ただの前世での後輩先輩の仲なのに。
毎日看病にきているせいか、サクラちゃんに年増好きとレッテルを貼られた。
おかげで過保護な父ちゃんが「まだ嫁はいらん!!」と暴走して、大変だった。
君の命がまだあるのは、オレの涙ぐましい努力のおかげだぞ。
あの金色を止めるの本気で大変だったんだから。

もう。本当に早く起きて、サクラちゃん達と父ちゃんの誤解を解いてくれ!!

〜〜!!はよ起きんかい!オレってば、まじで困ってるんだってばよぉ〜。
このまま君が起きないと、オレ泣いちゃうってばよ?』

 オレがここ数日恒例ののベットの横で嘆くということをしていたら、頭の上に乗っていたキューちゃんとコーちゃんが、「キュー」「ワン」と慰めてくれた。
二匹はオレの父親の暴走ッぷりを分かっている。
わかっているから、その二匹の慰めは、ココロに染みた。
本気で涙がこぼれた。

 さて九尾のキューちゃんがオレにくっついているのは当然だ。
じゃぁ、もう一匹は?そう思うだろう。
もう一匹は、五日前にと一緒にやってきた異世界からの化け物だ。
歪から出てきた化け物は、キューちゃんの力で思いっきり強引に封印を解いて、さらに強烈な封印をかけちゃいました。
ちなみに浄化済み☆
すっかりオレのパペット二号として頭の上にキューちゃんと一緒にのけている。

 あ、そうそう。
と一緒にいたい、アチラの世界の怪物の名は《狡(コウ)》という。
本来なら中国の玉山に住む神獣で、犬に似ており、豹のような模様と、牛のような角を持っている。
泣き声は犬のようで、これが現れると大豊作になると言われている。
しかしのいた世界で、この妖怪は人の念に取り付かれたようだ。
人を蹴落としてでも自分だけには富を。そう願った人間の浅はかな思念がこいつにとりつき、悪いもの――妖(あやかし)――となってしまっていたらしい。



「ん、ナル君。それどうしたの?女の子以外にも何か拾ったの?
普通の生き物じゃないみたいだけど・・・キューちゃんが生んだのかい?」
『ちがうってばー。ほら、異世界から女の子がきたときにいた悪い奴。
オレとキューちゃんで成敗して、もとのいい奴にもどしたんだってば。ちゃんと面倒見るって言ったら母ちゃんが飼っていいってー。
ちなみに異世界の妖怪だってばよ』
「なに!?そ、そんな危ないの捨ててきなさい!!」
『かあちゃ〜ん、父ちゃんがコーちゃん飼っちゃだめだって』
「ミナト。あんまりしつこくすると嫌われるってばね」
「そ、そんなのいや〜!!!絶対だめったらダメだ!!
よし!ナル君、しっかり自分で面倒見れるなら飼ってもいいよ!でもたまにはボクのこともかまってね」
『え〜。最後以外なら』
「そんなっ!?」

っていう会話のあとに、母ちゃんを巻き込んでオレが勝ち取った。
なのでこの動物は、もうオレのもんです。

 《狡》ことコーちゃんには、この世界にいることが可能なように、オレと口寄せ契約しちゃったもんね〜。
オレの本音を知っているキューちゃんだけが微妙な顔をしていたけど、だってほしかったし。

クックック。
異世界の妖怪(実は幸運を運ぶ瑞獣)な〜んて――物凄く面白いもの手に入れなくてどうするのさ。

だって、オレ、面白いものとカエルとモコモコフワフワしたものが大好きなんだ。
モコモコでかわいいし、しかもこの世界にとっては“変”なものなんだよ。
オレのいるこのNARUTO世界に送ってくれて感謝したいほど。
ありがとう神崎
さすがはオレの趣味を唯一理解してくれていた友だけはあるね!


 っと、感謝はするが――。
本気で早く起きろよ

君にはまずオレに謝罪をしてもらわなくちゃいけない。
ってか、サクラをどうにしかしてよ。
本気でさ。

オレの平穏をこれ以上壊す気かい
起きたらコーちゃん共々、オレの下僕決定。
オレのために働いてもらおう。

 そういえば、病院の治療代どうしよう。
まぁ、いっか。父ちゃん火影だし。オレも働いてるし。
これくらいの医療費ならたいしたことない。
でも医療費のかわりに働いてもらうって言えば・・・イイカモ。
そうすればなににせよ、オレの手伝いをしてくれるよね。

たとえば、父ちゃんを連れ戻したり、父ちゃんを引き止めたり!!

でも誤解は解いてもらうから。



 あ〜あ。
早く起きないかなぁ。











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君とその獣はオレのもの








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