32.親友が来た |
どうやらオレと君の、
トリップ時期や転生サイクルとやらは異なるようだね。 ん?そうかい。 君は知っていたか。 そういえば、【BLEACH】世界でそのようなことを言っていたね。 さぁて。 今回の君はいつの時代の君か。 ::: side 夢主1 ::: オレ、は死んで生まれ変わったら、念能力というファンシーな能力を使う人々の世界に生まれた。 っで、事故に巻き込まれて死亡。 次にたどり着いたのは、海賊達が世界を旅しまくるそんな冒険世界。 【0NE PIECE】――そんな漫画の世界で、オレはウハウハやっていたら、何度か時空の歪みに落ちた。 そこでは転生人生のきっかけとなった事故にオレと一緒に巻き込まれた友人“神崎”がいて、養ってもらったり、原作破壊をしてきたりと色々した。 最終的には【0NE PIECE】世界に戻り、そこで寿命がつきた。 寿命っぽい死に方だったし、もう人生満足したからいいんじゃね?とか思っていたら、また転生した。 生まれた先は、忍者の世界【NARUT0】。 しかも忍五大国。木ノ葉の隠れ里。 〈うずまきナルト〉として生まれ変わったオレは、原作とは違ってうずまき&波風な両親も健在の世界で、日々オヤバカさを炸裂中の父,波風ミナトをなんとかあしらいつつ人生を送っている。 ちなみに忍者にあるまじきことに、オレのチャクラはない。 ないといっても一般人より毛の生えた分くらいはある。 普通なら修行したら増えるんだけど、成り代わりなオレが普通じゃないんだろう。 どんだけ頑張っても増えなかった。 なので九尾のキューちゃんに力を借りて忍者をやっている。 《のう、ナルト。向こうで歪みが起きておるぞ》 『時空間忍術?どっかの忍かな?』 今日も超過保護具合を発揮してついてくる金色な父をなんとかまきながら下忍任務を終えた帰り、頭の上で人形のようになっていたキューちゃんがピクリと耳を動かしてすぐに何かに反応するように遠くを見つめていた。 オレは本物のナルトや神様に特典をもらえた人間でもないので、実のところチャクラがほとんどない。 修行をしても増えなくて、コントロールだけは抜群だけど力はキューちゃんが全面協力してくれている。 『オレが一人で大丈夫だと思う?』 《さての。ただ酷く異質な匂いをまきつけておることは間違いないのう》 『ま、いいや。オレがいくってばよ。いざとなったらキューちゃん助けてね』 《承知した》 そんなわけでキューちゃんをいつものように頭にのせて、えっちらおっちら里の外れに向かう。 そこは森の中。 キューちゃんの様子からも、【HUNTER×HUNTER】世界で鍛えたオレの察知能力にも敵らしい敵の反応は何もないのでかまわず進む。 『ああ、なるほどだってばよ』 《ナルト?》 ついた先では、前世のときに感じた“未知の生物”と同じ瘴気にも似た悪質な気配を纏わせた光が、チカチカと赤く、青く光りながら森の空間をぐにゃぐにゃと歪ませていた。 《なんじゃこのくささは》 『くさい?あぁ、たぶんそれ瘴気のことだってばよ?異界に漂う悪しつなチャクラの塊とでもいえばわかる?』 人間一人がとおれるほどの歪みが大きく揺れ、ドスンと巨大な音をたてて、オレの目の前に体長が3メートルはあろう豹のような生き物がドスンと落ちてきた。 しっぽはふさりとしていて、吼え方は犬のようにワンワンと鳴き、斑紋はヒョウに似て、頭には牛のような角がある。 見たことのない赤い光がその異形の物体に絡みつき、相手は動けないらしく口から泡を吹いてまであらがうようにもがいている。 その側には傷だらけで血まみれの少女が一人倒れている。 歪は二つの塊を吐き出すと、まるで何事もなかったかのように姿を消してしまい、森にはもとの静寂が戻っていく。 その光景を見て、口端が持ち上がる。 『面白いなぁ。でっかい豹かぁ。ヒョウのくせにシッポはふさふさで泣き声は犬。頭には角が生えてるし。ジンもいないこの世界だからな。オレが相手してやるよ』 前世ならば、オーラを使う能力でこういった未確認生物をよく相手にしていた。 そのときの高揚感――ではなく、巻き込んでくれた悪友(ジン)への恨みを思い出し、つい口調が前世のそれに戻った。 ついでに殺気がもれてしまったようで、頭の上にいた九尾がキュゥンと小さく鳴いた。 目の前では苦しげにうめいていた化け物が、ついには白目をむいてヒクヒクと痙攣している。 まいったな。 【0NE PIECE】世界で教わった覇気はいわば自分の気を技として昇華したもの。 さらには別の世界で自身の気(オーラ)を技にする《念能力》と呼ばれるものを身につけていたオレの場合、習った《覇気》に《念能力》がブレンドされている。 つまりオレが出す殺気はそのまま浴びれば、気が狂うだけでなく死にかねないほど凶悪なものだ。 《たのむからお前はむやみやたらと覇気を使うんじゃねー!!》な〜んて、前世の親父&仲間らに何度どやされたことか。 お前の存在が物凄く凶悪だとまで前世の親父殿にいわれたほどだ。 その殺気がついもれてしまったようだった。 『しまった。つい憎っくきジン=フリークスのことを思い出したら《覇気》がもれたってば』 《ナルト〜。今のはやばいじゃろうて…あんなもの。もらすんじゃない》 『う〜あ〜…ごめんってば。いや〜ついね。つい前前世での強烈な出来事(UMAとの追いかけっこ)を思い出したら腹が立っちゃって』 《つい、でやるな。里の忍が騒ぎ出すじゃろうが…》 『ん〜っと…エヘ』 さすがに今のはオレもやばいと思うので、笑ってごまかしておいた。 そうしたら頭上でキューちゃんのふわふわな手で頭を叩かれた。 すんません。その姿じゃ迫力ないです。というか、肉球がきもちいです。 さてと。この瘴気をまずどうにかして、このけもっこ異形もなんとかしないとね。 あとあそこで倒れてる着物の女の子もね。 かわいいこだといいな〜。あ、オレ。ちょうど医療忍者だから助けちゃいましょう。 それにしてもなんであの子はこの瘴気のなかで、気絶しているとはいえ平然と寝てられるんだろう。 ・・・解剖して正体を暴く? ん〜どうしようかな〜。 『ところでこの瘴気か、あの化け物さ。キューちゃんの炎で燃やせない?』 《死体ならともかくあれは生きておるし…》 『そ。じゃぁ、あの化け物オレがもらうってばよ!!口寄せ契約してオレが飼う!!』 《・・・あんなげてものをか?》 『そう。あんなものを!』 顔をしかめるキューちゃんは無視して、さっさと契約印――の前に。 気絶している化け物の側に近寄って、施された封印の術式を見やる。 近づいて分かるのは、これは弱い生き物だということ。 尾獣と呼ばれるそのどれよりも弱い。 そして何より前世にいたゲテモノ生物達より遥かに弱く、人の強い念や想いが集まってできた生物のような雰囲気を感じる。 いわば複数の人の気配だ。 それをもとあるべき姿に戻そうと赤い光が、異形を取り囲んでいる 封印の一部だと思われる赤い光に触れればバチッ!と音がして小さな火花が出る。 瞬間流れ込んでくる映像。 ――派手な衣装を着た男の姿が変わり、それによって抜かれる退魔の剣。 『なるほどね。“彼女”はあのあとあっちの世界にトリップしてたわけか。オレと会ったときと時間軸がずれてるな……本当に面白い』 異形の側で倒れていた少女が誰かわかった。 オレが転生人生を歩むきっかけとなった事件のとき、一緒にいた後輩《神崎》だった。 彼女はオレが死んだ事故でトリップしてしまい、【モノノ怪】の世界にとばされたあと薬売りと呼ばれる男の弟子になったようだ。 この異形はその薬売りよって封じられようとしたが、最後の足掻きにあい弟子たる彼女を巻き込んで逃亡。そのせいで空間が歪み――ここへきたと。 『世界を超えたことで時間軸、さらには封印式が歪んで不完全なものとなってしまってる。ならばオレが新しく作り直してやろう』 どうやらオレの面白人生にさらなる楽しみができたようだ。 さぁて。九尾さえも封じ込めたオレのオリジナル忍術、くらえばいいよ。 そうしたら、ゼヒ、オレの友達になってくれよ。 否、下僕決定だよ怪物君。っと、前世でのオレの可愛い後輩さん。 よろしくたのむよ二人(一人+一匹)とも。 -------------------- その子は〈同じ事故〉に巻き込まれたはずの親友だった・・・ |