有 り 得 な い 偶 然
第5章 N ARU T0



31.オレの時間と彼女の時間軸





海賊の世界に戻ったオレは、そのあと赤髪のシャンクスに助けられた。
死神の世界にいくすんぜん、オレを呼んでくれたのは、シャンクスだったらしい。
次元の穴に落ちたこと思っていたのだが、時間は少し薪戻り、オレは心臓を黄猿に撃たれる前に、反撃に出て無事だった。

あとはもちろん、助けたい奴全員助けた。

その世界ではオレは随分と長い時を生きた。
ああ、でも。
そろそろ優しい世界とはお別れだ。

どうやらオレは、またどこかに生まれ変わらないといけないらしい。







::: side 夢主1 :::







 こことは違う地球という世界で、オレ・・・否、わたし《》は産まれて死んだ。
死んだ原因は事故――とあるデパートの茶店でのんびり友人と話をしていたら、大きな衝撃音とともに眩しい光が窓の向こう側に見えた。
瞬間、割れるガラス。衝撃と熱波。そして周囲の悲鳴。
そんなパニックが突然やってきて、周囲が騒がしくなったのを境に・・・たぶん、わたしはそこで死んだ。
気がつけば赤ん坊として生まれていたから、間違いなく死んだのだろうと思う。
あの光と熱具合からいって、車が突っ込むとかではなく、たぶん何かが爆発したんだろう。
死ぬ寸前に考えたのは現世への未練でも走馬灯でもなく、そんな冷めた思考だった。

 生まれ変わった後、懸命に自分の状況を考え、動けない赤ん坊の身のため耳を色んな音や会話に傾けた。
まずわかったのは、わたしが転生した世界について。
自分が転生したのが、漫画で少しだけ読んだことのある【HUNTER×HUNTER】の世界に酷似していることは、幼い頃知った。
そのとき、わたしは男として生まれ変わったため、"わたし"ではなく"オレ"になった。
 次にしたことは、死ぬ寸前まで一緒にいた神崎 (カンザキ )という少女を探すこと。
もしかするとも生まれ変わっているかもしれないと思った。
その世界では、生まれた者は必ず登録される。
インターネットで彼女の特徴や名で探したが、存在はなく、むしろ自分と同じようにこの世界に来たかも生まれ変わったかさえも分からない。
さらには前世の記憶があったり、前世と同じ名をつけられる確立は低いと判断し、彼女を探すことは諦めた。

 オレこと新生《黒筆 (クロフデ )》は――男として生き、《念能力》なる不思議必殺技もゲットした。
それから【HUNTER×HUNTER】の世界で××年近くの歳月を過ごした。
しかしその世界はオレのことを嫌っていて、オレは世界からはじき出された。死んだってことだと思う。
 そうやってオレが死ぬまでの間には、原作は訪れなかった。
あと数年ばかり生き延びていたら、もしかすると【HUNTER×HUNTER】の主要キャラクターたちと出会えていたかもしれないが、それはまた別の話だ。


 そして――― 二回目の死。

 死んだと理解したオレが、次に目覚めたとき、そこは海に四方を囲まれた小さな島の住人としてだった。
オレはなぜか【HUNTER×HUNTER】の世界から、海と冒険と海賊の【ONE PIECE】世界に転生を果たしていたんだ。
 【ONE PIECE】で目覚めたオレは、まだへその緒のついた赤ん坊で、側にはオレを生んでくれたらしい女性が無残な姿で死んでいた。
そんなわけのわからない状態に呆気に取られていたオレが、無名のこの島をさらに存在しない島へと願ったのは三歳の時。
島の住民全員が死んだ。
その後、行き場をなくしたオレを拾って育ててくれたのは、あの海賊王ロジャーであった。
でも育ててくれたのはオレと同じ赤い髪のシャンクスだった。

 ちなみに【HUNTER×HUNTER】世界での能力はそのまま使えたのにはビックリだ。
おかげで海賊世界で《覇気》なるものを教えてもらったら、オレの《念能力》が強化された。

だけど・・・これがよくなかったんだろう。

影と影を行き来できる移動能力が、レベルアップしたせいで暴走。
本来なら、指定された座標以外の場所へはいけないはずなのに、次元も時空も超えて、別の世界にトリップしてしまったのだ。


 三つ目の異世界。
そこは、なんと【BLEACH】の死後の世界町だった。

 また漫画かよ!とツッコンだのもむなしく、オレは【BLEACH】について詳しく知らなかった。
主人公が死神代行をしていることぐらい。
しかもここは"オレ"が"わたし"だったころの地球によく似ているので、派手な外見のオレはやたらと目立ったし、 冒険世界の住人であったオレとその世界における常識がいまいちずれていた。
そんなオレを助けてくれたのは、あの神崎 (カンザキ だったんだ。

やっと会えた彼女は、外見が少し変わっていた。
だからはじめは、彼女がだって気付かなかった。
でも会話をして互いを認知。
そこで彼女もオレと同じように、色んな世界を渡っていたことを知った。


 はあの事故のあと、転生ではなくトリップという形で【モノノ怪】なる世界にとばされ、薬売りの弟子をして生活していたらしい。
薬売りという役職のくせに、なぜか妖(アヤカシ)退治が本職だったらしい。
そしてそのあとにゲームでも有名な【P4】の世界で、主人公に成り代わって事件に挑戦していたとか。
事件解決をしたことにより、今度は転校という形でこの【BLEACH】世界にトリップしたそうな。

いわく、戸籍とかそういうのがなぜかあって、自分宛に常に振り込まれる銀行口座があって……
そんな生活の保証がされているのが、一番困惑したそうな。
トリップ特典!やったー!ラッキー☆ …程度に思っておけばよかったのにね。


 オレは頭を使うのが根本的に苦手だから、のように生活の保証とか気にしないだろうな。
なにがなんでも生き残れる保証!
ずばり、オレの順応力の高さだけど、それで生き残れそうだとは【あの事故】の前から"わたし"に対しては周囲からいわれていたことだ。

 そんなこんなで、あっちにいっては生き延びて。こっちにいっては原作破壊をして…
いろんあことをしてから、オレは【BLEACH】世界から無事に【ONE PIECE】にいるシャンクスの元に戻ることができた。



 【ONE PIECE】で、今度こそ。オレは寿命を迎えたんだ。
だけど次に目が覚めたとき、オレは暗闇の中。
誰かのお腹の中で、また生まれ変わったのだと理解したのは、そとから聞こえてくる言葉から・・・


そう、このときオレは自分が【うずまき ナルト】に成り代わったのを知った。





 【HUNTER×HUNTER】→【ONE PIECE】→【BLEACH】→【ONE PIECE】→【NARUTO】
なんだろうこの英字タイトルの羅列は?

まぁ、英字はともかく、うずまきナルトに成り代わろうとも相変わらずオレはオレらしい人生を歩んでいるのであります。

 ちなみにオレが成り代わったナルトは、母方の血が濃く、髪の一部が赤くメッシュだ。
しかも実はチャクラがない。
一般人の上くらいにはあるのだが、忍者としてはやっていけないほどで、どれだけ修行してもチャクラが増えることがなかった。
結果、九尾のチャクラを借りてやっと忍術を発動できるというきわどい状態である。

 ちゃっかり新しい母の腹にいたとき、つまりは生まれる前から、九尾とは和解済み。
なのでこの世界では、原作のように九尾事件なんてありませんでした。
うっかり――しかも完全にオレのミス――で、天敵たる"うちはマダラ"が死んでしまったので、ナルトの両親も健在だ。





 オレがいるから、原作とは全てが変わった【NARUTO】世界。
運命からハズレ、かなり暴走しまくった世界に――ある日、来訪者が訪れた。



 オレはその女の子を見て口端を持ち上げる。

『やぁ。久しぶり』





 すべてが捻じ曲がった世界に、歪んだ空間から、いびつな獣と共に異世界の少女はやってきた。
少女の名は――



『おはよう。



…』











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クスクス......
目が覚めた君は“いつ”の彼女なのかなぁ?








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