有 り 得 な い 偶 然
第4章 B L EA C H



25.穴の向こう側の空





 前世での後輩であり、親友だった、 神崎 (カンザキ ) にひろわれた。

 はちょうど浦原さん家のうしろのアパートに住んでいたので、彼女が学校にいる間は、オレは楽しく浦原さんとお茶をしたりしていた。
これで原作介入にならないか!?とか、《夜宴》に訴えてみたが首を横に振られた。
もっと馬鹿でかいことをしないとだめらしい。
むずかしい。







::: side 夢主1 :::







 そんなこんなで日々、浦原さんにあづけられたともいう状況なオレです。
すっかり雨たちと仲良しです…って、外見とは違って子供じゃないんだけどなぁ。
まぁ、いいか。
 っで、この世界では一文無しで服も着ていたものしかなかったが、そこはそれ。
。ではなく、浦原さんにお世話になっている。
オレは一枚も服とかなかったんだけど、雨(ウルル)ちゃんやジン太からお古をもらった。
かわりに可愛い二人の子供たちや浦原さん、鉄裁さんに、着物や浴衣を作ってあげた。もちろん我が相棒であるにも女の子用の浴衣を縫ってあげた。
いやぁ〜。さすが浦原商店。店というだけあって、布まであったのはビックリだ。
いったいどこから仕入れてるのか気になったが、まぁ、彼らが喜んでくれたので良しとしよう。
 今年の夏祭りは楽しみだなぁ。
 ん?ルキア救出前の夏祭りといえば、たしか黒崎姉妹とおやっさんが隣町のお祭りに行くとか、 ボッハハハと笑う変なやつとかくる時期ではなかっただろうか。
ああ、そりゃぁ楽しみだ。
ただしオレはいかないぞ。
だってオレ、生前から“視える”人ですからね。
いっぱいなにか“いそう”な病院跡地なんかいくかよ。
祭りにはいくがな。


 それはそれは。まだ物語の序章にすぎない穏やかな日々のこと。
これはまだルキア救出編前。
浦原さんと黒崎一護が出会っていない―――そんな日々。



―――だったはずなのだが。





「先輩。これは一体全体どういうことですか?」


というか、すべてアナタの責任ですよね?


 ただいま果てしない暗闇の縦穴を落下中。
原因たるオレは、一緒に落ちているから冷たい視線を向けられる。

『わるい!本気でわるかった!!まさかあれぐらいよけられないとは思わなかったんだ!』
「“あれぐらい”って!?根本的に先輩と同じにしないでください。わたしは一般人ですから!!」

 極普通の高校生の制服(ただし男装)に身を包む彼女に、彼女の訴えに、物凄く申し訳なくなる。
オレが転生したように、あのはじまりの事故に一緒にいた彼女は、その身一つでいろんなところをトリップしまくっているらしい。
逆にオレはその事故のせいで死んでしまったので、肉体を失い、転生生活を送っている。
つまり生まれ変わって肉体も強化されたオレとは異なり、は本当に本当の一般人なのだ。

 はじめのオレが生まれたのは、H UNTER×H UNTERの世界で、原作よりも何十年も前に生まれた。
だけど世界に嫌われていたオレは、原作が始まる前に、世界から排除された。
たぶんあの世界にはオレの痕跡一つないだろう。
それぐらい世界に嫌われていたのだと知っている。
 次に生まれたのは、0NE PIECE世界。
最低な島で生まれ、そこへちょうどやってきたロジャーに助けられ、彼らの仲間になった。
ちなみにに拾われる寸前まで、その世界にいた。
今回は世界に嫌われたわけでは泣かなかった不慮の事故だったとのことで、この世界でやることがすんだら戻れるらしい。
なお0NE PIECE世界の時間軸は、エースがマリンフォードで処刑されかかっていてみんなで乗り込んだ――そんなところだった。
 その頂上決戦の最中、情緒不安定になったオレは能力を暴走させ、このBLEACH世界に飛ばされた。
そうして運良く(または運命的にか)、この世界にトリップしていた前世での親友『神崎』に拾われたのだ。

 そしてオレはというと、日々0NE PIECE世界に帰るべく、BLEACHの原作破壊をはかろうと、タイミングを見計らうべく主人公のストカーをしていた。
それがついににばれてしまい、あげく怒られてしまった。
しょうがないので逃げようと能力を発動して、《黒姫》に頼んで空間を飛ぼうとした。
だけどその前に、説教してくれたに報復をと思い、軽いちょっかいのつもりで足を引っ掛けたら――よけずに見事につまずいた。
そのまま地面に衝突しかけた彼女に慌て、とっさに支えようと手を伸ばしたとき、オレの能力は発動していた。
そのときすでに空間移動の準備が整ったらしくオレたちの足元に、突然ぽっかりと黒い穴が開いたわけで。
そのときオレの腕の中にはがいて…

――― 一緒に落ちた。

そして冒頭に戻るわけだが、問題が発生している。

 普通なら一瞬後にはオレは、指定した空間に出ているはずなのだ。
それがいまだに落ち続けている。
たぶんこのBLEACHの世界には、現世とか虚界やらソウルソサエティーだか、次元が分かれた場所に別の次元が存在しているため、それの磁場か何かの影響でオレの能力が歪められたのだろうとは思う。
 そんなわけで座標不明。
次にこの穴から出たときどこにでるのか想像もできない。

『え〜っと…聞くけど、は空を飛ぶとか、崖から落ちて地面にたたきつけられても死なないぐらい体を強化するとか、スーパーサ○ヤ人になるとか、空中を浮くとか…そういったことできる?』
「なにげに高い場所から落ちること前提なのはなぜ!?」
『え。だって、こういうパターンは常套句のようになりつつあって。
念には念をとね。それにもし本当に空に放り出されて、がなにもできなかったら、オレ救いに行かないと。
水の中とか地面の上なら足があるからお互い自分で対処もできるけど、普通の人間って空飛べないからね〜。あ、それともルフィみたいにのびるとか?』
「ないです!」
『じゃぁ、やっぱ落ちる警戒はしとかないとね。本当にどこに出るか分からないからな』
普通は飛べないし、腕が伸びたりしないんですよ!普通はね!」
『わり☆オレ漫画の世界の住人で』
「は〜…。まぁ、いいです。こうなったら一蓮托生です!かならず助けてくださいね」
『OK!』

…と、意気込んだところで、突然視界がまぶしい光に包まれた。

「わっ!?え。きゃぁぁぁぁぁぁぁーーーー!!」
『あぎゃ!?』

 あ、後の悲鳴がオレです。
さすがに突然でびっくりしたもので、思わずなんか変な悲鳴がもれましたが気にせず。



でたのはやっぱり、空の上でした。



 突然落下先の足元が輝き、放り出されたのは――やはり見事なまでの青空の中。
横からはの絶叫が聞こえる。
ああ、やっぱり空の上かよとのっびりと思っていたら、突然目の前に黒い羊のぬいぐるみのようなものが姿を見せた。
 大きさは某携帯獣のピ○チュウぐらい。
 《夜宴》―――オレの能力より生まれた《念獣》という生物(仮)であり、こいつはめちゃくちゃ自我が強い。
しかも今回オレがこのBLEACH世界に来た元凶である。
作り主であるオレでさえ、実はこいつが何を考えているのかはさっぱりだったりする。
 こんな空中の真っただ中で現れるなんて、落ちた時はぐれたら大変。やれやれと思って夜宴へと手を伸ばしたが、パシンと手を叩き落としやがった。
そのシルクハットに燕尾服をきた黒い羊さんは、オレとの状況を一瞥すると――


「死ねぇマスター」


 ひどい。ひどすぎる。

 口が悪いのはオレがそう設定したわけではなく、こいつが誕生してからずっとこんな感じだ。
まぁ、自分の具現化した能力に何を言われても心は傷つかない。
人に言われたら気付くけど、オレの能力で作った羊だ。自分が自分に言っているようなものだ。
うん。なんだか泣きたくなるけど、問題はない。
ないはずだが

「このまま地面に頭をぶつけて、つぶれて死にかしやがれメェ〜?」

 ・・・この子怖い。
むしろ泣いていい?
オレ、嫌われるような何かした?
土下座でもしてこの羊さんに謝りたくなった。
なにをって、しるかよ。

「っで。またか、メェー」
『う。うん、まぁ、そのあれだ。うん。まただ』
「毎度毎度、よくもまぁ空にざひょうをきめれるこったで」
『指定なんかしてねぇーっての』

 空中から落下中とは思えないほどいつものとおりの会話に、隣にいた(いつのまにか悲鳴がやんでいる)から物凄い殺気を向けられた。

「和んでないで、いいからたすけろ!!」

 ごもっともです。
さすがの夜宴も彼女の鬼気迫る雰囲気におされたのか、すぐに頷きオレの手を取ってくれた。

『いくぞ《夜宴》』
「リョ〜カイメェ〜」

 オレの能力は、水分を墨に変えること。
まぁ、ぶっちゃけていうと、描いた絵が具現化する。
用途に応じて具現化した絵は、その要件を終えると消えてしまう一回ぽっきりの微妙にお手間がかかる能力だ。
実際、細かい設定はまだまだあるがここでは省かせてもらう。

 ここは空中。さすがにこういう状況では無理だし、戦闘時はすぐに具現化しないといけない。
そのため絵が描けない場合を想定して、自分の墨で腕やらに刺青を施している。

 左手はぬいぐるみのような夜宴の腕をつかんでいる。
その左腕には幾何学的なパーツが組み合わさり模様のようになった刺青が彫られている。
そのうちの一つ、端に違う幾何学模様で縁取られた四角いデザインのものに右手で触れオーラを流し込む。
オレの能力で生まれた墨がオーラに反応して青く輝くと、刺青からふわりと黒い何かが浮かび上がる。
腕にはもう四角い幾何学模様はなくなっている。
具現化した四角い物はふわふわとそれはとんでいき、落下中のオレとの足元に移動する。

『即席魔法の絨毯とかどうよ

 ポスンと黒い絨毯の上に落下したがきょとんとしているのに、オレは口端を持ち上げて笑った。
そのときのオレはさぞや悪人面であったことだろう。











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今がいつかって?
この世界に来てからどれくらいたったのかな
オレがカレンダーなんかみるわけないだろ自由人なんだから
お子様は働く(バイト)もできないんだよ(笑)
だからただのぐうたらりん♪プー太郎でごめんよ
インターネットでなら年齢は関係なから、好き勝手やってるけどね
さぁて。この世界はどこで、どこの時間軸なのやら
壊していいと言われると遠慮しないでいいから――いやぁ、たのしみだねぇ








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