19.わたしの時間軸と先輩の時間 |
どうも。神崎(カンザキ) です。 先輩を探しながら、薬売りの師匠と旅をしていたのですが、怪退治のさなか次元の亀裂に突き落とされ、その後【NARUT0】の世界とか旅しちゃったわたしです。 このたびわたくし、は、金色の忍様方の時空間忍術で、異世界に飛ばされまして。 どうやらまた別の世界にたどり着いてしまったようです。 今度は 死神 世界かよぉ!! ::: side 夢主2 ::: わたしの人生は24年までで、人並みだった。 抜きん出た何かもないけれど、十分幸せで楽しい生活。 まさか・・・・小説や漫画でしかないだろう経験をこの身でするとは露ほど思わずに。 その全ての原因は、デパートで起きた事件だ。 そのとき一緒にいたのは、部活の先輩であり友人であった () さん。 その彼女と、楽しくお茶をして、話しをしていたら、何かが起きたの。 なんだろう?でも。今から思えば、爆発したんだと思う。 初めて知る大きな音と光―――足元が崩れる感覚。 そこから記憶はない。 * * * * * 一番目の世界。 目を覚ましたわたしは、知らない天上の下に、自分の荷物ごと寝転がっていた。 正確には、治療をされてる最中だった。 「大丈夫ですか?」 「は?」 「変わった服ですね」 「えーっと、あなたも随分と変わっていますね。その、薬売りさんの、コスプレ?ですか?」 「こすぷれ?なんですかそれは?たしかにわたしは薬売りですが」 目が覚めた。 寝っころがっているわたしを上から見下ろしている人物は、見事なまでに薬売りの衣装を着こなしていた。 彼はまさに―――アニメ【モノノ怪】の薬売りさんがそこに居て・・・。 トリップ。 俗にいう夢小を好んで読んでいたから、わたしは自分の状況を簡単に理解し、妙に納得をしてしまった。 でもそのとき若干なりと混乱していたのは間違いない。夢を見ていると、今いる現実を認めずに、一度その場ですぐに意識を手放したものだ。 そして次に目を開けた時も現実は変わらなくて、そんな状況の中、あることに気付いた。 事故当時、同じ場所にいたはずの 先輩が、いなかったのだ。 薬売りさん曰く突然大きな歪みの気を感じ、そのほうへ辿ったらわたしがたおれていたという。 他に人がいなかったか尋ねると、この場以外に似た歪みを感じなかったと言われた。 つまり先輩は一緒ではなかったということだ。 時間経過ごとに、そこが現実だと感覚で理解する。 先輩を探すにもこの世界じゃ携帯は役に立たない。己の足しかないのだ。 しかも、厄介なことに歪みの余波か、わたしは“モノノ怪を視認し実体化させてしまう目”と“モノノ怪を惹き寄せてしまう体質”を持つようになってしまった。 つまり、モノノ怪ホイホイ(嫌な名前…)状態。 薬売りさんは、そんな状態のわたしを旅へと誘ってくれた。 以降、目的は絞られていた。 元の世界に帰ること。 先輩を見つけること―――それを目的した旅をした。 正直、あの事故で自分や先輩の扱いも気になった。 家族はどう思った?行方不明扱いか? でも、それを知る手段もなく…考え込んでも答えが見つからないので止めた。 そして、前に進むためにも薬売りさんに己を守る術を請い、弟子として御札(アニメの黄色いやつ)の作成や使用法。薬の作成扱いなど学んだ。 それから3年半―――転機が訪れる。 いつもと同じ(と言っていいのか?)ように、スーパーな金色さんがモノノ怪を斬る。 いつもと違ったのは、モノノ怪《狡》が最後に大暴れをし―――わたしまで次元の穴に引き摺りこまれたことだ。 スーパーさんの動きも止まらずそのまま狡ともどもわたしは渦に呑みこまれた。 スーパーな金色さんと薬売りさんが、「大丈夫」といったのを聞いた辺りで意識はプツリ。 * * * * * 二番目の世界は【NARUT0】。 そこで望んでいた再会を果たす。 その世界には――――ナルトの姿をした先輩がいた。 どうやら、あの事故でわたしはトリップ。先輩は転生をしたらしい。 しかも時間軸がズレているらしくわたしにとってはあれから3年半しかたっていないのだが、先輩はすでに何十年もの人生を経験し、男になったり女になったり成り代わったりと、他の世界でも転生しまくっているらしい。 色んな世界で何度も人生を全うしきったって――どんだけ世界に順応してしまうんですか!?とツッコミたくなったけど、所詮は先輩だ。 彼女なら性別転化とかトリップとか・・・もう何でもありなきがして、彼女ならどこでも生き抜くこともありえなくなはないだろうと思えてしまった。 それからは先輩に案内されつつ、【NARUT0】世界でしばらくのときを過ごした。 わたしからしてみれば拾ってくれたという恩もあり、せめて仕事をして少しでも返せたらといいと(ついでに自分の生活の保証がほしくて)先輩に職の斡旋を頼んだ。 先輩はすぐに、職業を紹介してくれた。 行き場のないわたしは彼女の紹介で仕事を得ることができた。 まったく分からない世界で、衣食住込みで雇ってくれるというのだから喜んで受け入れた。 そんな中、里の一部(下手するとそれ以上?)は、わたしと先輩の関係を誤解していたらしいことが後に判明する。 始めの頃はその誤解を解くのに奔走したり、先輩の現在の両親という方に「嫁はいらん」と怒られたりした。 はっきりいって嫁ってなんのこと!?とか本気で思った。 先輩の助言でそのあたりはスルーしたけど・・・ 驚いたことにここは【NARUT0】世界でも、先輩がナルトとして成り代わったため話がずれているらしく四代目火影夫妻が生きていていた。 ほかにもいろいろ原作とはちがった道を歩んでいるらしいがそこは割愛し、一番キャラが歪んでいたのが原作では死んだはずの波風ミナトさんだったとだけ告げておこう。 なにせこの世界のミナトさんは凄い。 予想を上回る息子溺愛者だったりして、その影響が木の葉の一部の原作キャラ達の人格を崩壊させていた。 【NARUT0】世界での日々は――なんだか、忙しない毎日だった。 っが、しかし。 そんな生活も半年で終わる・・・ なぜならば先輩と四代目親子の派手な攻防に巻き込まれてしまったのだ。 わたしはまたトリップした。 ここでわかったこと。 大概、わたしが異世界へいく転機は外部による衝撃、しいていうなら巻き込まれ系らしいということ。 * * * * * どっかの金色親子による喧嘩という名の愛情コミュニケーションに巻き込まれ、気づいたら私は見知らぬ部屋の中にちょこんと座っていた。 手には先程まで持っていた、良く効く塗り薬の缶が入った紙袋。 どうやら無事に転移はされたようだけど――本当にココどこだろう? 「火影様とナルトのばかぁ・・・。なんで街中で忍術合戦やってるかなぁ。うううぅぅ……逃げろよ自分。本当自分の馬鹿」 傷だらけのナルトな先輩に声をかけたらそのまま拉致られ、いつのまにか四代目火影とナルトの時空間忍術の餌食になっていた。 あの場にいた先輩たちに説得され、しかたなく時空の亀裂に自ら飛び込んだのだ。 次の瞬間には、私はここにいた。 「って、え?なにこれ?」 しかし、落ち込んで下を向いた時自分の衣服の変化に気づき唖然とした。 「…せ、制…服?」 忍や暗部が着る着用するほうでない、“現代の”高校生らしい制服だ。 黒地に、白のソックス。傍らには学生鞄。あ、靴は玄関に置いてある。 それにくわえ、改めて周りを見渡すと、窓から見えた光景に目を見張る。 (まさか…戻って来れたの?!) 頭に過るのは“元の世界”の可能性。 なぜならば、窓の外には、随分と久しぶりにみるコンクリートジャングルがあったのだから。 だが、すぐに何故制服なのかが疑問が浮かぶ。 部屋の中をあされば、簡素な机の上に神があるのが目に留まる。それは転入届だった。 それの封筒の住所や定期などから、ここが自分の家だと理解する。 同時に家の裏手に、浦原駄菓子屋あって・・・ そこまできてようやく理解する。 戻ってきてない! むしろここ危険な世界だ! 3度目のトリップ先はなんと【BLEACH】だった。 う〜・・・―――気持ち悪い。 笑ってられたのも最初のうちだけ。 【NARUT0】世界のハイテンションな余韻がなくなれば、あとにのこるのは疑問。 それが私がこの世界に来てからまず浮かんだ言葉だった。 何故、私名義の学生証がある? 一人暮らしとなっているが家族は? 自分の所持品もそのまま部屋に置いてある謎。 この用意されたアパートに最低限の家具しかなくても備えられている時点で誰のだと聞きたくなった。 だが、何度学生証やポストの表札を見返してもこのアパートが自分の住居だと示していた。 【モノノ怪】も【NARUTO】も私単体で飛ばされても扱いは外部だった。 二つの世界とも、ぶっちゃけ戸籍がなくとも流れいくまま生きていけなくはない世界観からだろう。 だが、今回の飛ばされた先は平和で限りなく私が生きた世界に近い――現代の日本だ。 現代の懐かしさに、それでも私が住んでいた場所も家族も友達も居ないのは涙目になったが だからこそ、現代社会には戸籍や身分証明がなければ生活が出来ないという柵がある。 就職どころかバイトですら身分証明は必要だ。流石に前二つの世界の経験はこの場では活躍しないだろう。 「あ、携帯充電出来た」 何年ぶりだと言う携帯は、やはりあの時のままだ。 (まだ電池残量があるうちに師匠と写真撮って良かったな。デジカメも充電したいな) 画像フォルダには師匠である薬売りさんと金色さん、加代ちゃんなどが残っているのに安堵した。 残念なのは電池が切れて【NARUTO】世界の人たちを写せなかった点だ。 あとは、電波はあっても異世界故に家族達誰からも連絡が取れないのが寂しい。 …判っていたけど! 「…【NARUTO】世界のコンセントが同じ形だったら写真も取れたんだろうなぁ」 ひとつまえの【NARUTO】世界では、ナルト姿な先輩と再会出来たから、【モノノ怪】の時みたいな不安はないけれど・・・。 今回はちょっと不安。 でもこの世界にくるまえに、先輩が「大丈夫」って何度も念を押して言ってくれたから。 それを信じてみようと思う。 それにあのときのナルトな先輩の言葉を信じるなら、ここで暮らしていれば、また先輩には会えるみたいだし。 どうやら今回の世界では、はじめからポジションというか、衣食住やら住民票やらすべて準備されていたらしかった。 学校も指定されていた。 名前はわたしのまんまであったが。 トリップした後、戸惑っていたのだけど、このままやっていこうと決意する。 だけどね。 一つだけ言いたいことがあるんだ。 はじめに、見下ろした自分の服装やら何やらが変わっていたでしょ。 言いたいとこってそこなんだよね。 なんかさ。 なんかね。 制服がおかしいんだよ。 「だれだ!!わたしの制服を男物にしたのは!!!」 そんなこんなで、現在、わたしは転校生として一護たちのクラスへ転入した。 男装の転校生とかナニソレ!? 間違えたデすまないよ学校!!! 薬売りさんのところで散々おとこ扱いされてきたのに、またかよ!って思った。 主人公達と近いポジションに、ファンとして喜んでいいのか判らなかったけれども。 とりあえずよろこべばいいのか、男装というところに泣けばいいのかわからなかった。 * * * * * そして・・・ 時は少しだけ流れる。 ここで有り得ないような二度目の奇跡が起こる――それは《再会》。 今、目の間には、どこかファンタジーチックな和装に身を包む赤い髪の少年がいる。 わたしは思わず、その姿を見て笑ってしまう。 鮮やかな赤色の髪 12、3歳ほどだろうこどもらいしい幼い姿。 いかにも現代日本ではコスプレじゃないかと疑いたくなる派手な和装。 着ている服は違うが、わたしはその少年を見たことある。 漫画でだが・・・。 その漫画の名は【ユ●ドラシルの果実】――その物語で登場した御子神というひとのアバターの姿に、目の前の少年は瓜二つなのだ。 「先輩も的確なヒント出したなぁ」 思い出すはナルト姿の先輩の言葉――。 ――やがて君は“もうひとりのオレ”と出会うだろう―― そのときはわからなかった言葉の意味。 だけど今ならわかる。 〔ねぇ、。いつかまたオレと再会するようなことがあったら・・・“そこにいるオレ”を助けてあげてよ。 きっと周りの迷惑考えずバカなことやってるくせに、自分が衣食住もなくてピンチなのも理解してないだろうからさ。 そうだね。見た目は今のナルトのようなオレと随分違うだろうな。 どんな姿って・・・“その時代にいるキミだけが知っている”漫画のキャラクターそっくりなんだ。詳細は今はまだ言わずにおくよ。だけど絶対君なら判るはずだから―――そのときは“そっちのオレ”のこともよろしくね〕 未来のことだと宣言しつつも、すべては語らず曖昧なことしか話さなかった先輩。 けれど、あの大胆不敵な笑みは確信そのもの。 先輩が言っていたのはこのことだったんだと、今だからこそわかる。 さて、一護にストーキング中の彼女・・・否、彼に声をかけるか。 まさか予想外な男の子の姿。わたしの知っている先輩は女の子で、そして赤メッシュのナルトだ。 また彼女が転生していたら、そりゃぁ、今度も男の子という可能性もあるわけだし、姿が違うのも頷ける。 だけどわたしの中に間違っていたらどうしようという、そんな不安は不思議となかった。 「【NARUT0】世界で親身で世話してくれた数々、今度はわたしが返しましょう」 ピョコピョコと真っ赤な髪をゆらして走る子供を追いかけながら、なぜか無意識に笑みがこぼれた。 「お久しぶりです先輩」 振り返った先輩の驚いたような黄緑色の目と・・・視線が合った。 わたしはおかしくなって、思わず笑ってしまった。 -------------------- ふふ、先輩。 あなた、さっきまで【NARUT0】世界でナルトに成り代わっていたのに、こんなところでなにをしてるんですか? ここは死神がたくさんいる世界ですよ。 “今度”はわたしが貴方を案内する番ですね。 まかせてください、先輩。 |