有 り 得 な い 偶 然
第3章 0NE PIECE



14.不可抗力





 やばいです、爺様。

なんというか・・・
その


いろいろと、やっちまったようです。







::: side 夢主1 :::







 ちょっとちょっとちょっとぉ。なんです、これ?
どうやら今度は世界に嫌われたわけでも拒絶されたわけでもないようですが、異次元らしき謎の空間に揺蕩ってるオレ。

 今回は嫌われたわけじゃないのはわかるんだけど、現にオレが情緒不安定で錯乱したあげく能力暴走させて《黒姫》の穴に落っこちたのが悪いですからねぇ。
自業自得と言いますか・・・
まぁ、なんかあればあの世界に戻れる気がするので大丈夫だと思うんだけど。


 どうでもいいけど、さっきまで心臓に穴開けてそこから血をこぼしていた人間とは思えないぐらい、痛みも何もないんで、いっそ死後の世界かなと思ってしまうほど周囲には何もないです。
でも心臓部分には相変わらずぽっかり穴開いていて、自分の身体が気持ち悪いです。

 ねぇ、なんなのこれ?
ほんとうになに?
どういう状況?
だれか説明くれよ。


「メェ〜〜。よばれてきてやったんだから喜べマスタ〜」

 心の中で叫んでいたら、とても懐かしい声と衝撃が。
生前オレが能力で作り出し、現在は存在すら忘れていた羊のぬいぐるみが、腹にタックルしながら突如目の前に出現しました。
ゴフッってなった瞬間、口から赤い飛沫が出たが、異空間らしくそれは闇にまぎれて消えてしまう。
そういえば今のタックルも、痛みはすぐに消えた。
この空間ではそういうものなかもしれない。

「そのとおりめぇ〜」
『…オレの心読んでます?ヤエンさん』
「ここでは全部ただもれめぇ〜」

 しゃべる黒羊のぬいぐるみこと《夜宴》に言われ、げんなりする。
ここはやっぱり華麗に涙をこぼしながらのお別れのシーンだと思うんですが?前回の涙も感動も何もないな。
そうつっこんでやれば、《夜宴》は当然だと笑った。

ぬいぐるみに鼻で笑われるってどうなの。
なんだかとっても傷ついちゃったよオレ。

 オレがホロリと心で涙を流していると、この毒舌羊「鼻たれの泣き虫野郎は死んでも治らないメェ諦めるメェ」とぬかしやがった。
 生前からこの《夜宴》物凄く口が悪いんです。
もともとはオレの話相手にと能力で生み出したのだが、そのまま知能をつけて、こうして呼んでもないのに現れては毒を吐くようになった。
だからワンピース世界では、あまり具現化しなかったのに。


・・・・・そういえばなんで、よんでもいなのに具現化している?


「そんなのマスターを死なせないためメェ」
『は?いや、イマサッキ、オレ、死にましたよね?』
「死んでないメェー。と、いうわけで、これから世界を一個壊しに行くメェ!そうしたらマスターも気分すっきりで、情緒不安定も治るだろうってロジャーが!なので行くめぇ!」

 どこへ?むしろロジャーって、爺様がなんだって!?
意味が分からん。
というか、このやろう、説明する気一切ないな。

「そんなもんナイメェ。じゃぁ、ますたー」
『あん?』
「死ネめぇ〜!!」

『はぁ!?なんだそれ!?』

死なせないためってさっき言わなかった?
むしろ――

『てめぇ、さっきと言ってること逆じゃねかーよ!!


「うん☆死んでこい、マスター」

『いや、人の話聞けよ!』
「めぇ〜めぇ〜。ヤエンは羊だから人間語わからないめぇ〜」
『いま、しゃべってんじゃねーかよ!』
「きこえないメェ〜」

 ドン!とメェメェ笑う小さなぬいぐるみのような黒羊によっこらせと抱き上げられ、オレは暴れることさえできず、そのまま「よっこらしょ」と投げ捨てられた。
それは見事に。
そしていつの間にかあったのか、穴に放り投げられたのだった。



まじでなんだこれ!?


せつめいプリーズ!!!!!








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