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- 「夢主3」の異世界旅行記 -
04. お団子の味は遠の昔に忘れた


空腹をわすれて、「お腹がすかなくなる」ことに気づいてからどれくらいたっただろう。
誰かが。
どういった感情でかは忘れたが、憐れんで食べ物をさしいれしてくれたことがあった。
何度かそういうことがあったけど、あの“だれか”はどうなったのだろう。

でもすっかり食べることを忘れたこの身には、固形物なんかのどを通らなかった。

そういえば、最近おじいさんに会ってないなぁ。
差し入れしてくれる、おじいさんの部下って人以外はここに来ないからしょうがないかな。

ところで食べるという行為をかんがえてもいなかったから、すっかり忘れちゃったけど。

もらったお菓子はずいぶんたってしまった。


・・・・・・・この世界、賞味期限って大丈夫なのだろうか?





-- side 夢主3 --
 



ある日屋敷に子供が迷い込んできた。

その子供の霊圧はかなり高くすぐにばれてしまうんじゃないだろうかとおもったが、オレのいる離れは霊圧封じがほどこされているから、 ここにはいりこんだなら家のものにばれることはないことに思いあたり放置していた。

「なあ、あんた」

まさか話しかけてくるとは思わなかったので、最初はびっくりしたものだ。
オレに話しかけてくる人なんていないので、誰に声をかけたのだろうときょろきょろしていたら、お前だお前!っとつっこまれた。
そういえばここにはオレしかいないのだった。
そりゃぁ、声をかけた相手はオレなのは当然か。

「どうかした?」
「どうもこうも。いや、そんなにガンミされたらさすがに気になるから」
「だって見るものないし」
「いや、だからって見なくていいし」
「そういうもの?でも動いていると目に入っちゃうからしかたないよね」

うんうん。仕方ないと思うんだ動くものが何もない空間でごそごそと動いていたら、イニシャルGかとおもってみんなも気になるよね?
ああ、こわい。こわいよG!ここにはいないといいなぁ。

そういえば本に動物と仲良くするにはまず餌を与えなさいってあったような。あれはナントカ飼育の方法とかかいてあったのを図書館で見たような・・・おっと。図書館という単語はこの世界にはないから、これも前世の記憶だな。
たまに前世の記憶がひょいと出てくるから、現実の話なのかわからなくて困ってしまう。
まぁ、いい。

そう、そう。ここにおいしい?おいしいってなんだっけ?まぁいいか。賞味期限がとっても怪しいたべものがあります!たしかおまんじゅうという名前だったはず。

なんで日本人もこの死神世界の住人も物に「お」を最初につけるんだろう。
日本人って不思議〜。
イミフってやつだね。



って、考え込んでいるうちに、すぐそばからぐぅぅぅ〜!って強烈な音がした。

これは!?まさか空腹というやつでは!
おおお!ずいぶん久しぶりにみたよその現象!!

「おなか、すいてるのか?」

オレはほとんど霊圧を封じてるからそれほどお腹は空かず、常にぼぉーっとしただけの生活で、しかも運動さえしないのでこれまた腹が減るはずもなく、横にあった饅頭をボロボロの子供に手渡した。

バクバクとくらいつく子供をニコニコみつつ・・・・・・・・・・・






ごめん!それ賞味期限やばいかも。





賞味期限が何かわからないながらも、そう思って冷や汗を流していたのは秘密だ。







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