- 「夢主3」の異世界旅行記 -
03. そういえば漫画ってなんだろ?
通り魔がきて、マンガのようにかわせたりふせげるのでは?とどうにかなるんじゃないかと思ったら、考えている間に刺されて死んで、ラブラブのまま死んだ両親同様の場所に行くのだろうと思っていたら、幽霊になってさまよっていた。
約一週間を幽霊として過ごしたとき、時代錯誤な侍のような格好をした死神が現れ、このソウルソサエティーなる霊界に送られた。
そこで新しく生まれるのを待てといわれたのだが、なぜか“産まれ”てしまった。
-- side 夢主3 --
この世界では時間感覚がないらしく、赤ん坊から歩けるようになるのはあっという間にすぎていった。
その間、母親らしき人にも乳母らしき人にも会うことはなく、オレ一人で育ったよスゲーとか思った。
あ、でもひとりじゃないか。
たまにものすごく悲しげな顔をした爺さんが顔をみせにきて、一生懸命オレのおむつ?を変えたりご飯を与えてくれたりした。
いや、こんなご老人だけに赤ん坊の世話をさせるこの家の人たちどうなの?って思っていたら、赤ん坊であるにも関わらz細かい事象を教えてくれた。
いわく。オレの力がつよすぎて、制御できない今、同等の力を持つおじいさんしか面倒を見れないのだとか。
わかったかい?ときかれアブゥ!っと返事をしようとしたら、瞬間ぷぅっとおならをしてしまい、それが返事となってしまった。
やだ照れる。
おじいさんはものすごい顔をさらにしかめて、しぶしぶといった感じに眉間に皺を寄せつつ下の処理をしてくれた。
赤ん坊なので体の制御が利かないんです!意志は通じてますが、いろいろお世話かけます!すみません!
ちなみにおじいさんとのやりとりで教わったのだが、ここは死後の世界なんだとか。
あれぇ?なのに「生まれた」って何それ。
オレ、あかんちゃんだよ。生まれたてってことだよね?
死後なのに生まれるとかどういうこっちゃ?
ま、どうでもいいか。
だって今生きてるし。生きてるなら生きてるってことだしね。それだけわかればいいよ。
さて。どうやら“送られる”はずの世界に、“転生”してしまったらしい。
生まれた先は、なんと死神を束ねる貴族の―――さらにトップ五大貴族の長の家。
「5大貴族として我が家は龍脈をまもりウンタラカンタラ〜」っと、爺さんが教えてくれた。
うん、うちの一族が霊力強い宇野は必然だっていうのはわかった。わかったけど、リューミャクってなにかな?
まずその説明をしてほしい。
当たり前のように専門用語で説明してるけど、こちとら生まれたての赤ん坊よ。
さあ須賀に意思疎通ができても専門用語とかわかりません。
リューミャクの字面さえわからないんだけど。
ちょっとおじいさんや、結局なにもわからないままにすごしちゃってるよオレ。
いいのかい?
いいってことにしておこう。
おじいさんのはなしによると、どうもオレの力が強いのは、貴族という血筋が原因らしい。これはのちに成長や寿命にもにも影響するようだ。
「へー大変ですね〜」と思いをこめてうなずけば、おじいさんは死神についても教えてくれた。
おや、どこかで聞いたことあるような話だな。生まれる前に聞いたんだっかな?
その話は、死神についてで。死神は霊界と現世の魂のバランスを護る調停者であり、霊力が強いとお腹が空く。逆に霊力がないと空かないなどあるらしい。
なお貴族出身者は、必然的に他の死神より長寿で霊力が高いのだという。
そこでオレだ。
オレは産まれたときから貴族のトップのさらにはその直系にして、次期後継だから――と、その言葉だけで納得してしまうようなでかすぎる霊力を持っていたらしい。
つまり異常な量ということだ。
しかもそれがどうやらいびせいちぃ王室杖ているらしいと、おじいさんは判断したようだ。
なお、その巨大すぎる力のせいで、産まれたてのオレがはじめての産声を上げると同時に、霊力が爆発するように広がったらしい。その霊力のあまり圧力にやられ、気の弱い者は気絶し、霊力の弱い者は心臓が止まりかけたらしい。それほどの衝撃を受け、倒れたり、意志が強く霊力もそうとうの者たちでさえ、その場に立っていられなかったという。
ゆえに乳母もつけることも出来ずオレの霊圧にある程度は耐えられるお爺さんが世話をせざるを得なかったらしい。
お爺さんが顔をしかめていたのは、その霊力に耐えるために顔をしかめていたにすぎないと気付いたのは随分後のこと。
おならのせいばかりではなかったようだ。
ちなみになんとこのお爺さんが一族の頭でした。
そんなひとが、オレの世話をしてくれていたらしい。
なおこの話を知ったのは、オレがうまれてすぐの頃。たぶん言葉を理解しているのをいち早く察したんだろう。
べつにおならでお爺さんにアクションをとって、自我のアピールをしていたわけでだんじてない。
そして次期当主としておじいさん以外ともコミュニケーションをとれるようにするために、霊圧をどうにしかしろといわれた。
そうだね。次期当主だと人との接触は重要だもんね。
なるほどね。オレが生まれたての頃に「抑えなきゃ」と思っていたのは、オレのばかでかすぎる霊力に対しいてだったらしい。
起きているときは無意識にそれを押さえ込んでいたようだが、オレの意識がない間はもろに垂れ流しで、お爺さん以外は本当に近づけなかったとか。
ご苦労様です。
ご老体にムチ打たせて世話させてごめんね。
よぉーし!ではやるぞ。
おじいさんの寿命を延ばすためにも!
そんなこんなで、霊力を抑えようと思ったら――なぜか
簡単に出来た。
おおー。
こりゃぁいけるんじゃね?
霊力操作ってこんな簡単でいいのかな。
体内に霊力をためる。そのままある一定量以上はもれないように、その霊力の方向性を内へ内へと向ける。
それからは、やっと人が近づいても平気になった。
ちなみにオレが生まれたてで周囲の状況が手に取るように分かったのは、生物には必ず生きてる限り霊圧が微弱ながらもあるそうで、その霊圧というのを無意識に感知していたことが調べてわかった。
そんでもって、霊力操作が完全に安定するとおじいさんはオレをつれて離れをでて母屋に戻った。
そこからおじいさんの望みどおり、人と接するようになった。
中には父親らしい男もいたが、瞬きを一切せず男はいつも同じ言葉を吐いては去っていく。
面倒は見てくれなかった。
その男が暴力をふるってくるわけでもなく、いつも愚痴のようなことをぶつぶつ言うだけでかえっていくので、幽霊だと思ことにしてスルーすることにした。
でもまぁ自分は赤ん坊なので、気にもなりませんね。
だって、ほとんど寝てすごした。
だけど生まれながらに自我があったからか、おとなしい子供として扱われた。
あ、それはあってる、自我があったので無意味にオンギャーと叫ぶ必要性がなかったんだよね。オレってなんていい子なんだろうね。
さて。死神はこの世界と現世の魂を護る存在であるが、貴族以外のほとんどの者たちは元は死者であった者が多いのだとか。
彼らの誰にも前世の記憶を持つものはいないし、例外もないらしいので、オレは自分に前世の記憶があるのを黙っていた。
そうしたらかなり長い年月がたち、気がつけば前世のことがあいまいになっていた。
漫画でもそういう不要な記憶が消えていく設定アルアルだよね。わかる。
霊力の封印が完全に無意識のオート操作になったのはそれからまもなくのこと。
同じ頃、オレの母が死んだらしい。
はて。『はは』ってなんだったけ?思ったら『家族』のことらしい。
父と同義のものらしい。え。父ってあれだよね。目ぇ、かっぴらいて赤ん坊のオレを上から覗き込んでいたやつ。
家族ってああいうのを言うのか?こわいなそれは。
なお、こういう情報は一般常識というらしく―――うん。確実に前世でも知っていて当然の言葉だよなきっと。
オレは忘れたけど。
そろそろボケたか?
それから一般常識というのを、本を見て知識として学んでいくうちに、お爺さん以外の家族なんて会ったことないことに今頃気付いた。
いや、父らしい人はいるんだけどね。あのひと会話がなりたたないからちょっと生き物としてスルーしたい。
そうなるとあと家にいるのは使用人だから家族とは違うんだよねぇ。
『家族』ってなんだ!?
そんな重大ミスに気づいてしばらくして、まるでオレの心を察してくれたかのように、生まれてから始めて『父親』が呪詛以外の言葉を言った。
眉間にしわがよっていて険しい顔をしていた。
学校にいけといわれた。
実力を見せよとかいわれて適当に「はい。父上のご期待にこたえられるよう・・・」うんぬんと答えてみた。
いや、そこまで長くはしゃべってないかもしれない。
おじいさんのお友達以外の理解者がおらず、あまり会話をしてきてないので、話し方も忘れたかもしれない。
えーっと、学校なぁ。
このときはたしか5,6歳ぐらいの見た目だったときだっ多様な気がする。
はい。学校です。
オレは貴族のボンボンながら、死神になるための学校へ行きました。
あ、まちがった。貴族だからこそ、この世界では職業に就き身を粉にして働くべきという概念があるらしく、死神の養成学校に通うこととなったんです。
そこで斬魄刀とうというのを死神が持つといわれた。
立派に隊に配属される死神はみんな“浅田”ではなく、その斬魄刀をもって大活躍中であるとか。
じゃぁその“刀”はどうやって手にいれるかというと、その辺のことはたしか気まぐれに読んだ本に乗っていた気がする。
え〜っと。なんだったかな。
そうそう。刀と対話をして名前をどうとか。
大変だなぁとかおもっていたら、さっそく精神世界という話になった。
刀と対話するためには、まずは精神の鍛練からと、座禅と瞑想ということらしい。
精神世界とは自分のうちにある世界で、そこで斬魄刀と対話をするとかしないとか――
「ん?」
自己解釈になるが、精神世界ってのは、結局は夢のことだよな。
ってことは、もしかして『あれ』か?
いつも真っ白な雪景色が果てしなく広がっているあの夢のことだろうか?
あそこはいつも同じ光景で、あまりに広くていつも迷子になるのだ。
そのたびに「おまえはあほかー!」と叫びながらお助けマンよろしく白い子供がどこからともなく走ってきて、たすけにきてくれるというあの―――夢か?
そういえば夢っていうのは深層心理の表れで、そのひとの願望やらなんやらがあらわれたものだとか。
「・・・・・・」
オレの願望は迷子になることなのか。
なにそれ意味わからん。
それとも迷子になるほどオレはいつも何かに困っていたのだろうか?
あるいは考えるのを面倒がっているのがあの何もない景色として現れてしまったとか?
いや、それはないだろう。何もないというには語弊がある。あそこにはいつも雪が降っているし。
オレの夢の中では、いつも雪は地面に触れるととけずに燃え尽きる。
いっぷう変わってはいたが、たぶん雪で間違いがないだろう。
はて。雪って燃えるものだったけか?
そもそも雪って下から上に振るものだっただろうか?
オレが居る地域は、気候が安定しているせいか、生まれてから一度も雪など見たことない。
でも一度だけ。オレが生まれた日は雪が降っていたらしい。
その雪は積もる前に消えてしまったらしいが、オレもみたかったなぁとか思った。
そこでちょうよいタイミングで先生が質問はあるかときいてきたので、手を上げてきいてみた。
雪は燃えて、雪は地面から上がっていくもののはず。違ったら恥ずかしい。
「精神世界では雪は燃えるのでしょうか?むしろ雪って何ですか」
瞬間。教師がびきりとかたまった。
おっと、いけね。おじいさんがお前に常識はないから気をつけろとと言っていたんだった。
そうなの?これは非常識な発言だったの?
ねぇ、先生、その反応なに?
回答教えてくれよ〜。
あっれぇ〜。もしかして常識云々の話ではなく、オレの精神世界がヤバイのか?
あまりにやばすぎるからか、先生かたまっちゃった?
だって普通は、雪は上から落ちてくるものでしょう?そう辞書に載っていた。だから天地が逆だから空に雪が上がるんだと思ってたんだけど。
だって夢の中なら何でもありなきがするし。
あれ?やっぱりなにもおかしくないよね?どこがおかしい?
あぁ、でも青く澄み切った空に向かって、昇っていく雪って綺麗だよねぇ〜。
そんなこと言ったらきっといつも見る夢の白い子には、もっと常識を!とかおこらるんだろうけどさ。
いやいや、常識言うなら正直という正しい回答を教えてくれよ。
学校での話・続!
模擬剣から真剣になった。
そのときみんな浅田というのを持たされたけど、自前のでもいいという。
「ああ、じゃぁこれで」と、どこからともなく刀を出す。
本当にどこからともなくである。
ゲームであっただろう?「物体を音素として分解して体内に取り込んで外に出すときに再構築。コンタミネーション」ってやつ。
「さぁ、お邪魔虫は消しましょうか」って前世でやったゲームの某陰険メガネ擬似軍人のまねをしてみる。
え?コンタミネーションしらない?
そもそもゲームってなんだろう?
オレもしらない。
それに実際は再構築じゃぁないよなこの刀って思う。そう、ずばり良く分からないのだこの刀は!
オレがどこからともなく取り出した刀について説明しよう。
生まれてしばらくして、だれかに呼ばれた気がしたから何とはなしに、空中に手を伸ばしたら突然空中にあらわれた。
そのときオレは生まれて数日の赤ん坊で、キャッチするなんて出来るはずもなく、そのまま重力に従ってふってきたそれに押しつぶされて泣いたといういたい思い出あがる。
ご飯の準備をしに来てくれたおじいさんがどかしてくれなければ、もっと激しく泣いて霊力操作が乱れていたかもしれない。
それ以降、あの刀はオレが望めばすぐにでるようになった。
勿論消すのも自由自在だ。
やっぱ“コンタミネーション”か?
それとも漫画であった錬金術で生み出されているのかもしれない。
錬金術!なんてかっこいいんだろう。手をおがむようにパンとすると何かいろいろ出てくる話だろう?
その漫画にでてきた某国家錬金術師と同じ何かを代価に分解&構築でうまれたものかもしれない。
なら等価交換で何を支払っているかが凄い気になるな。
っていうか、漫画ってなんだっけ?
この世界にはゲームも漫画もないからポンポン知識はわいてくるけど、いまいちそれが何かさえわからない。
ひとまず前世で、そういうものがあったことしかわからない。
そういえば最近夢の中の子が、改名したらしくやたらと名前が長くなっていた。
めんどうだからいつもあだ名で「花樹翠」って呼んでるけど、なんとなくこの刀をその子の名前で呼んでしまうのだ。
どっからあらわれたかさえさっぱりわからないようなあやしい物体と同じ名前をつけてごめんねとか思うけど、それ以外おもいつかないのだからしょうがない。
それにしても斬魄刀という刀は意思の疎通を行うというからには、しゃべるのだろうか?
興味あるけど、顔つきだったらどうしよう。
どっかの小説だか漫画だかアニメに登場した「渋谷が有利で原宿が不利な男にもてても〜」と冒頭で語って言いた「まるのつく魔王様」の剣のように、恐ろしげな顔がついていたらいヤダ。
悪趣味すぎる。
それなら死神になるのいやだなぁとか思う。
だってさ。たとえばだけど「かわいいおんなのこ」が、それは世にも不気味な顔のついた日本刀を持っていてふるう・・・まではかっこかわいくていいだろうが、
その刀が「ヴ〜」とか「あ゛〜」とか地獄の底からきこえてくるような今にも死にそうな声を出していたら、と考えてみなよ。
なえる。心の何かがスンってなる。
それ絶対呪われてるやつ!!!って自分なら叫ぶな。
あとは、女の子を見てはでへへと形相を崩す刀とか、やだその変態を装備するなんて。
想像してみなよ。
いやすぎるだろう?
はっ!まさか“それ”を狙って、死神は全員が斬魄刀をもつのかだろう?虚だかなんだかっていう敵のやる気をなくすため!?
そうだよな〜。もともと虚といえど人間だったのは変わりない。ってことは精神攻撃も有効!?
そこまで考えての斬魄刀システムだったのか。死神すげぇ!なんてえげつない。なんて奥がふかいんだ。
ならオレも負けてられないな。いつかは誰よりも奇抜で、だれよりも虚に精神的苦痛を与えられるほどの魔剣を手に入れなくちゃ。
あ、魔剣じゃなくて斬魄刀か。
* * * * * * * * * *
ある日、とある人に尋ねられました。
「お前、斬馬刀はどうした?もはや、まだだせないのではあるまいな?」
とかきかれてそりゃぁ、頷くしかない。
なにせ、オレの斬魄刀さんは、ただいま鳥の姿でお空を華麗に飛びまくっているので。
あいつが分裂でもしない限りは、刀としてはいまはだせるはずがないのだから当然である。
あ、そうそう。ちゃんと学校で学んだので、斬魄刀が魔剣でないことも理解したし、顔もついていなかったのを理解したよ。
そして気づいたら実体化しちゃいましたうちの子。
そして鳥になったんですよ、はい。
っというか、おじいさんにきいたところ、赤ん坊の時に突如オレの上に降ってわいてでたあのどこからでてくるか不思議な刀こそが斬魄刀だと教えてもらった。
つまり学校でアナンダから出たわけではなくてすでに、赤ん坊のころに斬魄刀取得していたというおちらしい。
目の前の人にも身内のだれにも言ってないけど。
え、だって聞かれてないし。
っで、今回「斬魄刀は散歩中で手元にはいない」という意味でうなづいただけなのに、そうしたら座敷牢みたいな狭い部屋に引越しを命じられた。
あれあれ?これはもしやまだ霊力がもれていて棄権物扱いされてる?
そりゃぁやばい。
前述したとおり、オレの霊力が少しでも漏れると、世話をしてくれる人や家族にも悪い影響しか与えないから面倒極まりないのだ。現に、家中でいまも腫物扱いされてるしね。
そうしてオレが訂正を入れるよりも先に、あっさり引っ越しはおわっていた。
いや、早すぎだろ。事後報告はダメだと思います。
そして、いいですか。
引っ越ししたからといって血のつながりがきれたわけでもないので、ご飯くださいよー。
そう。いつのまにか食べ物も与えられなくなっていた。
なぜだ?
あ、だけどね。問題なくオレは育ちました。
それこそ、なぜだ?
わからないけど。死神だからですかね。
謎ですが、育ちました。
この世界での空腹という概念は、現世の人間のそれには当てはまらない。
まず「お腹がすかなくなる」ってことは「霊力がない」ってことらしい。
なるほど。飢えさせてオレから霊力放出をおさえるためだったのか!?知将だな。
え?ちがう?
あ、そっちではなく、オレのコントロールがうまくいってるのね。
どうやらついに霊力が少なくおなかが〜まで行くほどに、オレの霊力コントロールは上達していたらしい。
でも。あれなんだよね〜。おかげで食事を運んでくるひともこないし、赤ん坊じゃないから乳母さんとかも必要ないわけで、遊びに来てくれる人が居なくなって暇になった。
といっても外に出るわけでもないし、なんか本とかいっぱいくれるし、勉強はきっちりやれといわれてるし家庭教師みたいなのがついてるから完全に暇というわけでもないけどさ。
話し相手といったら鳥の姿の相棒だけ。
でもこの相棒凶暴で、鳥の姿で不満に思うことがあるとすぐオレのことをつつくんだよ。この身体は普通の人間より強いらしくつつかれたぐらいじゃ痛くもないし怪我ひとつしないほどがんじょうなんだけど、やっぱり微妙に痛いからやめてほしい。
しかたないんでオレは精神世界に直接赴いて、鳥ではなく「ひとがた」の「花樹翠」と話をする
「花樹翠」は精神世界では人型だからつつかれることはないが、手が出る。
あーあ。なんでオレの斬魄刀のくせに、こいつはここまで暴力的かつ説教が長いのか。
むしろ小姑かよって感じなぐらい口うるさい。
小姑が何かは覚えてないが、ほら、漫画どかで嫌味な口うるさいおばあさんが出ていただろうきっとあれだよ。
「そうか!鳥の姿なのは、小姑のように口うるさくぴちぴちさえづるからか!だから「花樹翠」は鳥だったのか?そうなのかー」
『ちげぇっ!!てめぇがすぐにこの精神世界で迷子になるから、空からさがしやすいように鳥の姿をしているだけだ!現実世界につれて帰るとき羽があると便利だからに決まってるだろ!』
ほら、説教が始まった。
長いよ。うんピーチクパーチクきこえてきた。だから鳥なんだな。
そういえば。いつも人型であれ、綺麗な鳥のツバサが現れる。あれってオレのためだったのね!?
精神世界も斬魄刀もその持ち主の心の現れ。
だから『本当はお前が自由になりたいと願う願望かもしれないぜ』といわれたことあるけど、それならそれでいいんじゃないかな?オレがとびたいってことだろうし。そう言ったら、変なやつと自分の阪神たる斬魄刀につっこまれた。
『翼イコール自由ってふつうは想像するもんなんだよ』
「え、っ空をトベラたら気持ちがいいよねって話だよね?・・・あ、ちょっとまって。翼なくてもオレら死神って普通に空飛べるじゃん!?え、オレの斬魄刀なんで翼あるの?」
『・・・やっぱりお前変人だよ』
と。斬魄刀に大きくため息をつかれた。
ふむ。わからん。
あ、そういえば、こういうときはイミフっていうんだって漫画にあったな。
「イミフ」
『・・・おまえ、それ意味わかっていってるか?笑顔で胸張って言う言葉じゃないぞ』
「いや。なにかに「そう言え」ってかいてあったきがするからつかってみた」
『は〜』
ため息をつかれた。うちの斬魄刀ちょっと感情豊かで面倒くさい奴だなぁ。
そういえば、結局のところ、漫画ってなんだっけ?
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