【 君は別の世で生きる 】
〜海賊世界〜



02.異端者の能力と決意





ちゃんとあなたの仲間にしてください。
あなたの傍で、息をすることを許してください。
そのためなら――

この力をあなたのためにふることも、厭わない。








side [有得] 夢主1








オレは“患者”として、この船にの連れられてきた。
そりゃぁ、精神を病みまくっていて、脱水症状に、拒食ときている。 どんだけ看病が必要か、考えなくても想像しやすいレベルだ。船長は医者だし、そうなったらポンコツなオレは患者として扱うのは正しい。

患者だから。
とはいえ、相変わらず船から出ない状態で、ただ飯食らい。
ある程度理性が戻った段階で、さすがにそれは、いかがなものかと思った。

せめて前世の能力が使えないか、それで面倒を見てくれたハートの海賊団に恩は返せないかと思った。

自分が着ていた羽織には、蝶と鯉の墨絵が残っていたから、その能力が使えないか試したことがる。
絵は名前を呼んだことで浮き上がり実態を得た。そのことで、まだ能力は健在だと判明した。
ただし体力はこどものそれだったが。

少しでも役に立てればいいと、能力(水から墨を作り出す→能力を与えた墨絵が具現化するなど)を使って、ひとまず情報収集からはじめた。
だれも黒い蝶がそこらを飛んでいても気にはしないだろう?蝶の絵を具現化して、この先の島の情報をひろってきたりした。
外敵に備え、得意の気配察知をフル活用して、海王類や海賊などに遭遇しない様に注意をうながした。

少し経った頃には、〈覇気〉の訓練にも付き合った。
そのあとは、〈悪魔の実〉とオレの能力を組み合わせることができるかなど、実験を重ねた。



いつもだれかにべったり(主にローに)くっついっているオレは、体がちまくてなかなか以前のような体力はなかったけど、前の世界の能力を駆使して、必死に彼らについていった。船の中だけだけどね!

だって、いるだけの迷惑しかかけない奴なんて、海賊には邪魔だろう?
いつ捨てられててもおかしくないんだ。

だけど、始めてオレをこの世界で認めてくれた人にだけは、邪魔だと思われたくなくて。
側に居たくて。
この世界のひとの役に立てたなら、世界に捨てられないだろうかとか、いろいろバカなことを考えて。

オレが今後もひとりにならないように、傍にいたいがために、彼らを死なせないように。

――オレは迷わずこの世界で、別の世界の力を使った。



しばらくして、親睦を深め、実力を見せて、ようやくハートの海賊団のクルーたちに仲間として認めてもらえて――死ぬほどうれしかったのを覚えてる。
まだ精神は不安定で、船の外にもあまりでれなくて、まだ“患者”の領域を出ていないけれど、クルーとして仲間として認めてくれた。

そのとき「欲しいものあるか?」と聞かれて、一番最初に思いついたのは、ツナギ。
成長期だから、ツナギはすぐに着れなくなるっていわれたけど、みんなの仲間にしてほしくて、おそろいのツナギをねだった。

なぜか、ベポ(の服ではなくベポじたい)に似た白いふわっとしたタオル生地の、シッポのついたツナギだった。
しかも帽子ももらったが、これまた白いモコモコ(船長のによく似ている)。ただしクマのような丸い耳付。
どんだけお子様扱い!?
ベポがよろこんでたからいいけどさぁ。





ひとりになると、色んな意味で怖いので、オレはたいていいつも側に誰かがいる。
ローが洋服の裾をつかませてくれないときは、ベポにはりついていることが多い。
ちなみに船長の場合はジーンズにはりつくか、コートのすそをにぎらせてもらっている。
ベポの場合は――某○ブリのトト●にこどもたちがだきつぐがごとく。ベポの背中に全身で張り付いていますオレ。


だって一番そこが温かいんだ。
だれかの温もりが側にあると、“生きてる”って思えるんだよ。















船の看板にはよく出るんだけど、たまに海軍と遭遇するわけだよ。
オレはすぐ隠れるけど。
だけどね。この前、たまたまみつかっちゃった。

最近オレ、海軍から「小熊」って呼ばれてるんだけど!!

ついでにベポが母熊だと思われてるんだけど。
ベポってオスじゃん!!
いいのかなぁ?って思うけど、オレとしては、“オレ”という存在がばれないのであればいいかなって思ってる。


とりあえず。
がんばッて!ベポおかーさん!!(笑)








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