『ザ・ロストタワー』
- N ARUTO -



05.ミミズク仮面現る!





 -- side オレ --





 シュン!
 風を切るような短い音が聞こえたかと思うと、突然何かが現れてだれかに身体を抱きこまれた。

「えっ!?」

 いまのはわかる。
いまの技は、時空間忍術だった。
里でも口寄せの術や、任具などの収納以外ではほとんど使われることのない、難しい術とされるそれ。
瞬身の術は、早く動いているに過ぎない。
そう考えると、いまのは瞬身の術じゃないとわかる。
空間を移動した。
この術は、自分にはチャクラがないから使えないけど、逆に使えるひとは少ないのだ。
それをやすやすと・・・。

誰だ?

 あんな高度な忍術を使うのは誰だろう?
父ちゃんなら確実になんらかの騒がしいオプションをつけて登場するので、絶対違う。
では、いまのは誰だ?
そう思って振り向けば、すぐ脇に、ミミズクの頭をかたどった仮面をつけた人間が、こつぜんとあらわれていた。
自分が知っている暗部の面のどれともと違うお面。
その仮面ライダーもびっくりなでかい面をした人物は、じっとオレの顔を見つめたのち、身体に回したままだった腕に力を込めた。
優しい腕になんとなく覚えがあるような気がしたけど、考える間もなく再び視界が一瞬ぶれた。
次の瞬間、オレの目前からチャクラ糸の檻が消えていた。
しかも今いる場所は、さっき倒れていた場所とも別の場所だった。
そこは傀儡たちの進入してきた穴にほど近い、天井を這うパイプの上だった。

 ・・・ぶっちゃけ顔を見ている余裕があるなら、「移動するよ」ぐらい声をかけてほしい。
突然視界がぶれたので、一瞬気持ち悪くなったよ。
はは・・・


 この間、わずか数秒の出来事。
ピンチを切り抜けたのは、難易度が高く扱えるものが少ないはずの時空堪忍術で・・・
さて。いったい今なにが起こっている?
オレが眩暈から立ち直って、周囲を見回し呆然とする。

 傀儡たちは攻撃対象が突然消えたことで、クナイを引きもどして、オレを探しているらしく周囲を見回している。
そこへ――

「部分倍化の術!」

 なんとなく聞いたことあるような声とともに、物陰から、別の仮面をつけた熊のような体躯の人影が飛び出してくる。
突き出した右腕は異様なまでに巨大化し、そのまま広げた手のひらで、手近にいた傀儡二体を背後の柱にめり込ませていた。

(わぉ。おみごとだってばよ!)

それからまったく間を置かず、さらなる仮面をつけた人物が、両腕を広げながら進み出た。

「忍法、蟲球!」

仮面3号がそう叫んだとたん、その人影の全身から、黒いもやのようなものが広がり始める。

あれとともにザワリと空間に響く音に、背筋に悪寒が走る。
アレって・・・まさか・・な。

 新たな敵の出現に気づいた<壱>の傀儡は、右腕の大砲を持ち上げ、相手を狙おうとしたが、動く黒いもやのようなものにまといつかれていた。
よくよく見ると、黒いもやはやはり、無数の蟲の集合体だった。
友人の油目シノの関係者であるのは、間違いないだろう。
容赦のないシノ同様に、あの仮面3号の方も容赦がなくやはり強い。
間もなく、蟲に襲われた傀儡はけいれんするように身じろぎしたかと思うと、突然、動きを止めて落下した。
 残るは<弐>の傀儡だが、右腕の長い爪を開き、高速回転させて蟲を吹き飛ばそうとしていたが、案の定、しばらく回転したのち、突然傀儡の爪は動きを止めていた。
傀儡はすぐに反対の左腕を持ち上げ、やはり爪を開いて回転させようと試みたが今度はまったく回転すらしなかった。
それからきしみ音を上げながら、ぐらりと傀儡の巨大が傾き、傀儡の隙間という隙間から、黒い蟲たちが這い出てくるのが見えた。

(ひー!!!きもっ!!)

 思わず全身に鳥肌がたった。
だってオレは蟲でも何でも大群が嫌いなのだ。気持ち悪くて。
だけどあれは友人と同じ術。蟲を嫌ってはいけないと、必死で自分自身に言い聞かせて目の前の光景を見る。
脳内でオレはお経のように、アレは気持ち悪くない。可愛いんだ。と、唱え続けた。
 オレは友人たちが使う術に酷似した技の数々を連発する二人の仮面忍者と傀儡の攻防をそのはるか高みから見下ろしていた。
でもやっぱり傀儡は、オレが遺跡で戦ったのより強くなっている。

なんだっけ?
そう、ここにきたとき、だれかとはなした――なにかの影響で、傀儡が強く・・・

はなした?
だれと?なにを?
さっきから本当におかしい。
たぶんおかしいのはオレ。

なにかを思い出そうとすると、逆にどんどん“それ”のことを忘れてしまう。


――あれ?なんであの傀儡あんなに強いんだっけ?


「なんだ?あの傀儡たち・・・・・・」
「龍脈のチャクラで、強化されているらしいね」
「え?りゅーみゃく?」

 なんだっけ、それ?
聞いたことがあったような気がしたけど・・・。
眉をひそめるオレに、ミミズク仮面の男が答える。
お面で声がくぐもっていたが、男だとというのはわかる。

顔を上げ、すぐそばでオレと同じように下を見下ろしている仮面男に目をむけた。

そういえば、こいつ・・・空間忍術をつかえたんだよな。
今の里に、それほどの業師って・・・父ちゃん以外に誰がいたかな?

って、いうか、いまさらだけどだれ!?


「助けてもらった礼は言うけど・・・・・・おまえ、何者だってばよ」
「きみは、木ノ葉の忍だね?」

 怪訝な顔をしていただろうオレに、男は仮面に手をかけ、額のあたりを見せるようにわずかに下にずらしてから、続けた。

「ボクたちも木ノ葉の者だ」

その言葉通り、仮面の下からあらわれたのは、木ノ葉隠れの里の額宛だった。
男はそれ以上正体を明かすつもりはないらしく、仮面をもとにもどした。
その瞬間、オレは思った。
あんなごっつい額宛をして、さらにお面までできるって――お面が馬鹿でかい理由が、今ならなんとなく分かる気がした。

それからミミズク仮面は、額宛とお面の重ね着?に呆然としていたオレの全身を見回して言った。

「早くその傷を治療しないと・・・・・・とにかく、どこか、安全な場所に移ろう」

 いわれたとき、意味が分からなかった。
怪我?
なんぞやそれ?
オレなんかよりもっと気にすることがあるだろ。
たとえば木ノ葉のマークはお面に直接彫ればいいのでは?とか――。

いろんなことがあって、頭がぱっぱらぱーになりそうだった。












波○砲の次は仮面○イダーか。
それにしても額宛の上にお面ってある意味凄いと思うのはオレだけだろうか?








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