ここまできたらぐれたくもなるさ
- 名 探偵コナ ン -



08.元電子精霊でも一般常識は存じています





『その手と、その足は、武器だ。
武器を手にしたからには、相手から殺されてもいい覚悟がなくては―――他人に手をだすべきじゃない』





 -- side オレ --





ここまでの話をまとめると、きちんと9時には帰って来いといったのに兄が戻ってこず、すっごい真夜中に縮んで戻って帰ってきた。
そうして江戸川コナンが誕生した。


コナンは縮んだ勢いのまま、そのままちゃっかり蘭のもとへ世話になろうとしていたので、最初は事件に巻き込まれたくなくて、そのまま帰ってくんな。と思って、毛利家へいけばいいと言った。
だけどふと思ったんだよね。

蘭ちゃんは腹が立つぐらい今時にはいないおとぎ話の中のお姫様のように純粋なイイコだから、小さな男の子とだったら普通に一緒にお風呂ぐらいはいりかねない。
まったく。面倒見がいいのもほどほどにしてほしいものだ。むしろうちの兄が縮んでコナンになったからと甘やかす必要はない。

っと、いうわけで、身内から変質者がでるのはまずいと思い、兄を口でののしって探偵の家にいかせないようにした。

『いい歳した男が、女の裸を見たいとぬかすか。最低だな』

さげずんだ目で新一を見ていたら、「だ、だれがそんなことするか!」と怒鳴られた。

顔が赤い。なるほど、想像したのか。もう説得力ゼロだぞバカ兄。

とりあえず兄が元のサイズに戻った後が死ぬほどくそ面倒くさいので、やつを毛利蘭の家にはいかせず我が家にすませることとした。


この時点で原作が変わっているが、コナンがいなければ起きない事件も多いだろうからよしとする。
他人にかまってるような気分ではなかったともいう。なんかいろいろめんどくさくて。

やることは多い。
工藤新一が高校にたいしての休学申請。っと、留年について。
あと江戸川コナンの戸籍について。
醜聞が悪いので小学生を日がな一日中家に置いておくわけにはいかないし。
どうやって黒の組織をじわじわ嬲り殺すように、ぶっ潰してやろうか。とか。
いつコナンを抹殺して、いかにして工藤新一としての姿を取り戻すべきか。
新一を心配する毛利蘭に、新一の不在をどうごまかすか。
工藤新一が手掛けた未解決の事件の処理とか。解決済みの事件の被害者加害者へのアフターケアとか・・・。
などなど。

ちょっと頭痛くなってきたので、細かいことは工藤夫妻にお願いするとしよう。

高校に関しては、探偵だからとどこかの漫画のように融通されるはずもなく、 ある日程が過ぎた場合は留年してもらうと連絡がきている。 レポートを出したらゆるされるなんて、そんな二次創作の妄想じみたものも当然あるわけもなく、課題提出は必須。 これは必須であって、課題が素晴らしいから留年を見合わせるというものではない。
それを告げたら新一の顔が引きつった。
こちらの警告を無視して縮んだお前が悪い。自業自得である。

もちろん工藤夫妻には新一が縮んだことは報告済みで、しばらくして、新一の否、江戸川コナンの偽造戸籍と転校届と子供服が送られてきた。
工藤夫妻は本当に何者なのだろうか。


今回、毛利探偵事務所にコナンをやらなかったのは、実をいうといくつか理由がある。
はっきりいってもういい年した大人なのだから毛利小五郎には、少し自分で物事を考えてもらいたかったのだ。

実際言っちゃ悪いが、原作において毛利小五郎は本当にアテウマキャラだと思うのだ。
オレからすると、彼はあまり探偵には向いてないと断言できる。刑事には向いてはいる気がするが。
なので、推理なんかできないことを自覚した方がいい。
下手をすると彼のせいで、たくさんの無実の人が捕まってしまいかねないのだ。 警察は誤認逮捕の痛手をおうし、被害者の方は心に傷を負うだろうし、誤りであったにせよ“警察に捕まった”というレッテルははられるのだ。 その心の傷は計り知れない。だからこそ、軽々しく犯人あて推理ショーはやめてほしい。
毛利小五郎は、自分にもできないものがあるのだと、自分自身を見つめなおし、自分を理解するのも時には必要だとおもう。 なので、毛利小五郎の高い鼻をさらに伸ばすような起爆剤であるコナンを彼の事務所にむかわせるのはひかえ、毛利家に預けていない。

あと、小五郎氏にはもう一度育児を見直してほしかったというのもある。

毛利蘭は、強い。
心が。ではなく、肉体言語的な意味でだ。
心は幼すぎるといっていいだろう。
なにせいまどき白馬に乗った王子様を本気で信じている高校生などいないからだ。 鈴木園子はよく「私の白馬の王子サマ」と言うが、あれはいないことをわかっているからそう言っているふしがある。
だが蘭は本気で信じているような子なのだ。
なので、無茶と無謀をよくしでかす。
ヒロイン症候群とでもいうのか、原作ではよく身を挺してコナンをかばっている。
自分が犠牲になるから〜。空手をやっていて相手を倒せるから〜。とか。
あと「新一が言ってたからできる」みたいな、あの依存一歩手前の思考回路はやめてほしい。
原作の毛利蘭は、工藤新一に依存しすぎだった気がする。
っで、オレがいるこの世界では、オレがいるからそこまうちの新一に蘭が依存しているわけではない。
でもすぐに暴力(空手)に頼るのはかわらないのだ。

それによる器物破損。
人体への傷害罪。
はては自分(毛利蘭)が怪我を負う―――などなど。

それによる周囲の苦労を彼女は理解していない。
オレがしりぬぐいをしているのですよ!!!っと、いうわけで、 彼女の育て方間違ってるよね?と、あまたの請求書と物的証拠という画像を元手に毛利小五郎に説教をしたのも懐かしい。
それから彼が父親らしく、毛利蘭を説得していることを祈るばかり。

自分には力があるから、だから逃げようとした犯人をたおせることができる。 そういう思い込みで、毛利蘭はよく事件の犯人をおいかけたり、空手技をくらわしている。
だが、それはいうなら、日本の警察を一切信じていないということだ。
日本の警察だってかなりの高確率で犯人を逮捕、捕獲という功績を見せているのだから、逃亡しようとした犯人など彼ら警察に任せればいいのだ。
もちろんそれは犯人逮捕の権限さえない探偵も一般人でしかない彼女にも当てはまること。

善意でいうなら、オレとしては毛利蘭にはまっとうな道を進んでほしい。
彼女には、工藤新一のしでかしたことに振り回される必要はないと思うのだ。 たとえ本人は喜んで、事件に巻き込まれる新一のそばにいたがったとしてもだ。
うちのバカ兄に一度しかない青春を振り回され、そうやって人生を送るなんて、彼女がとても可哀そうだと思う。
むしろうちのバカコナンが蘭ちゃんを巻き込んで、彼女に空手技を使わせている時点でダメだ。男して女を守る存在であるべきなのに、なに守られてるのか意味不明である。
何も考えずその空手技をつかう蘭ちゃんにはこまったものだが、うちの猪そのもので周囲をあまり見ない探偵病を患っているコナンもアホである。

コナンは推理は得意だし、記憶力もピカ一だ。
この世界の探偵というやつらは、全員が瞬間記憶能力でも持っているのではないだろうか。と疑いたくなる。
だが彼らはこの世界では、アイドル視されすぎて鼻高になっているともいう。
事件を解決できれば何でもありなのかというレベルで、探偵たちは法律を無視しまくる。

そして探偵たちは事件があれば解決したがるが、そこにいる人間の心までは関与しない。
傷つけるだけ傷つけて彼らはドヤ顔で、事件を解決したことを告げるのだ。

『オレは君たち探偵のそういうところは嫌いだ』

だからだろうか。
小さくなった新一は、今は小学生であるのにもかかわらず年齢も違う蘭や博士を保護者という名目でいいように使っている気がする。
コナンは少しでも蘭や博士の生活の邪魔になると考えたことはないのだろうか?
探偵の服部はやたらと大阪からくるが、大阪との往復でどれだけ金がかかるかしっているのだろうか?その資金は誰が働いて稼いだ金か一刻ほど問い詰めたい。
ちなみにオレの日常の邪魔なので、大阪の名探偵はまちがいなく人の心は理解できないと――オレのなかでは、もう決定事項である。

そんなわけで、コナンは、名探偵ではあるが、人の感情の起伏には疎いと思うのだ。

これ以上花の高校生生活をまっとうにエンジョイできるはずの毛利蘭の生活を、 この生活力ゼロの工藤新一もとい江戸川コナンに振り回される必要はないと思う。
彼女とて高校生であるからには、小学生なんかと日々を過ごすよりもっと同学年の友人たちとの時間を大事にすべきなのだ。
高校生としての彼女には、同年代の友達がたくさんいるのだ。小学生なんかの世話ばかりせずに、もっと人生を楽しむべきだと言いたい。

工藤新一もといい江戸川コナンは結局うちで暮らしているものだから―――新一のただれた生活は変わらなかった。
いつもと同じようにぶったたいて、音量マックスでおこして。
そんな日常を送った。

なお、申し訳ないことに蘭ちゃんは、原作通り良く巻き込まれている。
だが、オレがいることで、彼女もまぁメルヘン思考ではあるが、少しは落ち着きがある成長を見せているので、 原作の世ように勝手に扉を開けて入ってくることもないし、恋の理想をコナンや新一におしつけることもない。
なにより自分の空手の技が、十分人を傷つけるものだと理解してくれるようになったので、 原作のように感情に任して技をところかまわず仕掛けたりはしていない。
はじめのころはしていたのだが、いいかげんそれの後始末に人様に頭を下げるのがばかばかしくなったので、 毛利小五郎の育児は宛にならないと判断した時点で彼を斬り捨て、オレはまずは毛利蘭の思考調教を行うことにした。 まずは彼女に常識というものを徹底的に叩き込んで、性格改善を試みる。


『暴力女と言われたくないのなら、周りを見ろ。
いつまでも一般人を傷つけて、許してもらえるとは思わないことだよ』

「でもわたしがたおしたのはみんな逃げようとした犯人で」
『はい、却下。蘭ちゃんを巻き込んだ新一やコナンが一番わるいけど。
犯人とはいえ、相手は一般人だよ』

そこまでいっても彼女は首をかしげるばかり。
こら新一、君は何にげようとしてるのかな。君にも関係あることだっていうのにね。

『なにより。探偵である新一にも、ただの空手が強いだけの君にもいえるけど、犯人を逮捕する権限は君たちにはないんだ』

ここまで言って、二人がハッとしたように顔を上げてくる。
ちょっとでも他人が何を考えているか。そういうのを理解してくれればいいんだよ。
大丈夫。オレと過ごしてきた君たちなら、命の尊さをよく理解しているだろう?

『そもそも蘭ちゃんの技ってなんのために鍛えたの?それは人を傷つけるため?』
「そんなはずないでしょ!わたしは・・・わたしは強くなりたかった」

『うん。そうだったね。
でもね、防御の仕方も知らない一般人に怪我をさせちゃぁだめだよ。
それとも一般人にわざと怪我をせて楽しんでいたというのなら、オレはこれ以上口は出さないけどね。
さすがに顔見知りの子が、傷害罪で捕まるのはいやだからね。 だからいままで君の攻撃を食らった壁などの弁消費、および怪我をおった人間からの謝罪請求の対応を毛利おじさんとしてきたわけで。
でも蘭っちゃんが、その意味を理解しないような心がない子なら、オレはもう君のしりぬぐいはしないことにするよ』
「傷害罪?うそ・・・」
「おいおい 、それはやりすぎじゃ」
『そうかな?何かをしたらその代償って必ずつくもんだろ』

『それで蘭ちゃん―――』


『その手で人を殴った感覚はどう?気持ちよかった?』


笑って言ってやれば、意味が分からないというように「え?」と不思議そうな顔をされた。

『スッキリしたとかおもっちゃった?それとも人間に技をかけるのが当然だと思ってる?だめだよ。それは試合でだから許されること』
「で、でも相手は人を殺したのよ?」
『そうかもしれないけど。だからといって君が加害者になる必要はないだろう。
それに、本当に人を殴ってスッキリしたの?

ホ・ン・ト・ウ・に?

なら、オレも殴れるよね?いま、殴ってよ』


「・・・相変わらず っちゃんにはかなわないなぁ。
そう・・・そうね、嫌な感じよ。手に肉の感触がいつまでも残るもの」
『うん。正解。それでこそ蘭ちゃんだよ。
でもそのつらいって気持ちを忘れちゃだめだよ。
一般人からしたらね、君の拳も君の足も武器だ。
武器を一般人にふるったんだ。つまり相手が武器を取って、君を攻撃しても文句は言えないんだよ。
その武器が拳銃だけとは限らない。 傍におちていた石かもしれない。 あるいは法律という絶対の盾を用意してくるかもしれない』

『武器を取ったからには殺される覚悟も求められる。
君はまず他人よりも、自分を守る覚悟をもとうか』

『いつまでもお姫様気分でいれる。そんなすべてが許される子供の時代は、君が力を得た時点で終わったんだよ。力を得たものは、それ相応の責任を背負うんだ』



―――っと言う感じで説教をしました。
傍にいたコナンはめっちゃ顔を引きつらせてひいていた。逃がさなかったけどな。
お前も説教だ!!!!





道徳の授業のお時間でございます。

あと、ハットリくん、君邪魔。
なんで東京にいるの?
え?「ねぇちゃんも反省しとるしそのへんにしたってや」って?

『ふーん。別に君はオレの身内でも何でもないから勝手に自滅して、勝手にお金を湯水のごとく使って親御さんを困らしていればいいし、お前が犯罪者とよばれようとどうでもいいことだけど。
蘭ちゃんもコナンも新一もさ、オレにとっては大事な身内なわけ。
そんな彼らを犯罪者にしたくないから、こうして常識をといてるだけで・・・・・ああ、そうだ西の名探偵君、君背後に重そうなもの憑けてるね。水にひきこまれないことを祈ってるよ』

「!?」










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