02.赤い髪のマサラ人 |
-- side サトシ -- おれはいま、同郷のさんと旅をしている。 さんというひとを紹介するなら、おれの行く先々でバイトをしていたり、伝説級のポケモンが手持ちに多いこと――あと髪の毛が赤いことが特徴だろう。 さんの特徴的な深い赤色の髪は、彼が空から降ってきたときは腰近くまで長く伸びていた。 だけど旅には邪魔だと、アララギ研究所でいつもと同じショートカットぐらいに、短くきってしまった。 ちょっと残念。 そうして今は、ママが作った服を着こんで、肩にピカチュウ“ピカ”をのせている。 研究所を出るときのわかれ際、さんがママに親愛のキスと頬にキスをするのは相変わらずで。それにアララギ博士が「あらら」と驚いていていた。 あのひと、性別もポケモンも年齢も気にせず、抱き着いたりするしなぁ。 現に、オーキド博士やアララギ博士にも握手ではなく、だきついてハグしてそれをあいさつとしていた。 おれなんか、旅に出るときさんに会えば、必ずガバって抱きつかれて、そのあとは頭をなでくりまわされる。 慣れないとはずかしいよな、あれ。 でもさんのスキンシップが激しいのは、ママに対してが一番激しい。 ママとさんは、同郷のよしみというか腐れ縁というか。昔から知っている仲のせいか、二人そろうと会話のテンポが独特で、ぶっちゃけさんとママがそろうと、ママが二人になったような気がしてしまう。 まぁ、さんって、ママと同じで、料理はうまいし洋服とか自分で作ろうと思えばできるらしいし。いつもおだやかで、でも怒るときは怖いけど。結局のところママもさんも似た者同士なのだ。だから二人がそろうと独特の空気になるってこと。 さんは髪が赤いから、赤い服が良く似合うと、青と白を中心としたおれの服を真逆にしたような――赤と黒で統一された服を着ている。 たしかレッドさんは、白と赤がメインだっけ? さすがに互いのことをよく知る同士といったところか。ママはさんの好みを的確に理解している。 アララギ博士の研究所でミシンを借りて急遽作られたさんの服は、彼にあっていて、黒色が彼を大人びさせて見える。 うん。よく似合う。 さすがママ。 とはいえ、あの服ってオレのデザインは同じで色違いなだけだけどね。 当の本人も気に入ったようで、それをうまく着こなしている。 ふたりともセンスをしてるよ。 おれなんかデザインは同じはずの服を着ていてもなんだか子供っぽくみえる気がするし。 それにしても―― 「さん、どうして髪の毛を切ったんだよ?もったいないなぁ。似合ってたのに」 「いや、邪魔くさくてさ」 もともと長くしたことはないしな。そう、言われて、いままでのことを思い返してみる。 そういえば、おしゃれと称して、首裾をのばしてたりしていることはあってもショートカットの領域を出なかったなと思い出す。 最後に会った時も髪は短くて、でもこないだ会った時はみたことないほど長くて一瞬誰かわからなかったんだよな。 それはもうそこらの女の子より長くて―――あれ? 「っというかさ。シンオウ地方で別れてから数カ月も…たっていない、むしろ二週間もたってないよな?なんであんなに髪伸びんだ?腰近くまであったし」 『ああ?そんなんあのクソ玉ねぎのせいにきまってるだろ』 「え。玉ねぎって食べると髪の毛伸びえるのか?」 『ウツギ博士のM字とか、カツラの頭には利かないぜ。 …ごめん冗談。たまねぎっていうのは、セレビィのことで。あいつの遊びに巻き込まれて向こうで五年過ごしてた』 「それは伸びるかも」 『伸びるんだよ』 でた。元祖伝ポケホイホイ。 おれもひとのこといえたぎりじゃないけどさ。 さんの場合は、伝説のポケモンになつかれたりストーカーされたり、さんの周りで騒動は絶えない。 次に事件と遭遇率が高いのは、レッドさんらしい。 まぁ、そんなふたりだから、一緒にいたという初代メンバーのピカチュウ“ピカ”が伝説ポケモンに相当するだけの力量を持ってしまったも頷ける。 「それにしてもちょっとずるい…」 ほんとうにさ・・・。 これが○○歳の人間とは思えない。 ママが作ってくれた赤と黒の服を着たさんは、いわば旅装束で、いつものウェイターらしい黒と白の服ではないせいか、とっても若く見える。 さんの実年齢に関しては、詳しいことはよくわからない。 でもいまの姿なら、十代後半でも行けるんじゃないかって思う。へたしたらオレより少し年上っていってもきっと誰も疑わないぜ? 「なぁ、“ピカチュウ”。お前もそうおもうよな?」 「ぴぃーか」 ほら。おれのピカチュウだって頷いている。 と、同時にさんの肩の上にいた“ピカ”まで、同意とばかりに首を縦に振っている。 『なんだよお前ら。オレが若いのがうらやましいのか?そんなこと言って、サトシだってハナちゃんだってほとんどみために変化ないないだろうが。レッドやグリーンしかり。マサラ人はみんなそうだろ。近所のおばちゃんをみろ。あんなぽっちゃりしてたる三軒隣のおばさんも五軒となりのおじさんもピチピチしてたじゃないか』 「そういえばそうかも。あ、でもシゲルは大人っぽくなったよな〜。オーキド博士は年よりも老けて見えて…」 『うらやむなうらやむな。可哀そうだがサトシ、お前は生涯主人公であるサダメから童顔は必須なのだよ』 「意味わかんないんだけど」 『オレたちは成長が止まったんじゃない!ゆっくり成長してるんだ!まだだぞサトシ!諦めるにはまだ早い! そうじゃなかったら、オーキド一家が老けすぎてるだけだ!』 さらりと凄いこと断言した。 やっぱりのピカチュウだって頷いている。 と、同時にさんにとっては、身長はコンプレックスのひとつだったんだな。 これ、あとでシゲルとかグリーンさんとか博士とかに言ったらどうなるんだろう。 みんな、呆れるかな? それとも怒るかな? もしかしてコンプレックスではなく、ただたんに身長が高くてイケメンぞろいのオーキド一家をねたんでるだけかもしれない。 っと、いうか、間違いなく童顔名の気にしてるよなさんって。 「なぁ、ピカチュウ。さんってホント・・・」 【オマケ】 サト「――さんって心が狭いよな。 狭いっていうか、沸点が低いっていうのか?あれ?なんだっけ?ハラグロイ?まぁ、なんでもいっか」 ピカ「ぴ!?(うわ、こいつ勇者だ)」 サトピカ「ぴかぴぃ〜(なんてことをサトシってば)」 夢主『さーとーしーくーん』 サト「あ…やべ」 夢主『いろいろとさ。聞こえてるんだけどぉ?』 夢主『よしピカ!オレが許す。やってしまえ!!サトシにむけて“でんじは”超弱で!!』 ピカ「ぴっか!(ラジャッ!)」 サト「え・・・ちょ、ちょっとまっ」 夢主『やれ』 ピカ「ぴっかー!」 サト「ぎゃぁぁあぁーーーーー!!!!び、りびりする・・・・」 サトピカ「ちゃぁ〜(あちゃぁ〜)」 ピカ「ぴかちゅ、ぴか(口は災いのもとってね)」 |